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Q16【個人住民税】個人住民税の税率や計算方法は?給与天引きの時期/退職・転職時の取扱い

最終更新日:2022/01/28

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個人住民税って何?

個人の方は「所得税」だけでなく、「住民税」と呼ばれる税金も納税しなければいけません。
サラリーマンの方は、毎月の給与から天引きされること一般的ですね(特別徴収)。

住民税は、「道府県民税」と「市町村民税」の2種類で構成されています。
(東京都の場合は「都民税」と「市町村民税」(特別区民税)と呼ばれます)。

住民税は、前年所得を基準に各都道府県等で計算が行われますので、ご自身や会社の年末調整で計算が行われるわけではありません。毎年5月ごろ、個人ないし会社を通じて「税額」が記載された通知書が届きます(住民税税額決定通知書)。

今回は、「個人住民税」の計算期間・支払方法、退職した場合の取扱い等につきお伝えします。

 

1.計算期間・税率は?

(1) 計算期間

個人住民税は、毎年「1月1日~12月31日」の所得をもとに決定されます。
自営業の方は、所得税確定申告をすることで、市町村にも「住民税の申告」をしたこととなりますので、原則として住民税の確定申告は不要です。
サラリーマンの方は、勤務先が毎年1月に、各従業員お住いの市町村に「給与支払報告書」を提出し、各市町村で住民税が計算されます。
 

(2)納税額・税率は?

住民税納税額は、①「所得割」と②「均等割」の合計額となります。

●「所得割」は、所得×税率で算定します。住民税率は、全国一律10%(標準税率)(地域によっては「超過課税」あり)
●「均等割」は、所得に関係なく一定金額課税されます。均等割は、全国一律(令和5年まで市民税3,500円、県民税1,500円)(市によって、それぞれ個別に上乗せがある場合あり)。

(兵庫県神戸市の場合)

所得割均等割摘要
市区町村民税(神戸市)6%3,900円均等割のうち、400円は神戸モデル費用
道府県民税(兵庫県)4%2,300円均等割のうち、800円は県民緑税
合計10%6,200円

ただし、「一定の条件」を満たす場合、住民税が非課税となる場合があります。
住民税非課税限度額と呼ばれます。詳しくはQ94をご参照ください。

 

(3)引越や転職した場合はどこに支払?

住民税は、毎年、1月1日時点で住民票がある自治体から、前年1月~12月末までの「年間所得」に対して課税されます。
例えば、1月10日に転居した場合も、「1月1日時点」の旧住所の自治体から住民税が請求されます。
「転出・転入届」さえ提出しておけば、住民税に関する手続は特にありません。
 

2.納付時期は?

(1) 住民税は後払い

住民税は、毎年1月~12月末までの所得につき、「翌年6月から5月」の1年間で「後払い」納付します。

つまり・・「計算期間」と「納付時期」に1年程度の時間差があることになります。
サラリーマンの場合は、毎年6月支給の給与から「天引き」されます。
(学生卒の新入社員の場合は、2年目の6月から「天引き」開始)
 

(2) 前年収入が多い場合は資金繰り注意

前年収入は多いが、今年の収入は少ない場合でも、前年収入が多い場合は、前年所得を基準に、5月に納税通知が来ます。特に、退職されて収入がなくなった方は、後払いの「住民税」の負担は大きく感じると思います。
退職金の一部は、住民税納税用に、一部「ストック」しておくほうがよいですね。

 

3.支払方法

(1) 特別徴収

サラリーマンの方等を対象とした納税方法です。
勤務する会社が、従業員に代わって「市役所」に納税する方法です。
会社が、毎月従業員に支払う給料から天引きし、預かった住民税を会社が市役所に納税します。
毎年5月末までに、自治体等から会社に「年間納税額」が通知されます(特別徴収税額通知書)。
税額は、会社を通じて、従業員本人にも通知が行われます。

 

(2) 普通徴収

主に、「自営業者の方」を対象とした納税方法になります。
納税者本人が、直接市役所に納税する方法です。
毎年5月ごろ、市役所等から直接「納税者」に「住民税決定通知書」が郵送され、年4回の納期で本人が直接納付します。
(6月、8月、10月、翌年1月)。一括で納める場合は、6月末に1回で納付します。

 

(一括納付のメリットは?)
分割納付と一括納付での金額の差は特にありません。
一括納付したからといって特にメリットがあるわけではありません
 

4.住民税の計算方法

(1)計算式

住民税は、以下の①②の合計で算定します。

●①所得割・・課税所得(総所得金額(※) -各種所得控除) × 10% - 各種税額控除
●②均等割・・5,000円(市民税3,500円+県民税1,500円)⇒自治体によって独自の加算あり

(※)(総所得金額とは?)
総所得金額とは、給与所得だけの場合は「給与収入-給与所得控除」の金額を指します。

総所得金額とは、事業所得、給与所得、雑所得(公的年金等に係る所得など)、配当所得、不動産所得などの所得金額を合計した金額(純損失または雑損失等の繰越控除を適用後)のすべての合計所得のことを指します。土地・建物等の譲渡所得など、分離課税の所得(特別控除適用前)も含まれます(源泉分離課税の退職所得は除く)。
 

(2)所得控除とは?

所得控除には様々な種類がありますが、主な控除は以下の通りとなります。
基本的には、「所得税」と同様の所得控除が認められていますが、微妙に控除額が異なる点が特徴的です。
サラリーマンの方は、毎年年末ごろ提出する「扶養控除等申告書」で会社に報告し、会社を通じて市役所に報告されます。
(医療費控除・雑損控除などは除く)
個人事業主の方は、「確定申告」で、各種所得控除の状況を記載します。

住民税控除額(ご参考)所得税控除額
基礎控除~43万円~48万円
配偶者控除・配偶者特別控除~33万円~38万円
配偶者控除(老人)~38万円~48万円
扶養控除(一般)33万円38万円
扶養控除(特定)45万円63万円
老人扶養控除(同居老親)45万円58万円
老人扶養控除(上記以外)38万円48万円
社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除支払額同左
生命保険料控除(新)~7万円~12万円
地震保険料控除~2.5万円~5万円
ひとり親控除30万円35万円
寡婦控除・障害者控除(重度除く)・勤労学生控除26万円27万円
医療費控除・雑損控除支払額(ただし足切あり)同左
(3)税額控除とは?

①住宅借入金特別税額控除②寄付金税額控除③配当控除④外国税額控除⑤調整控除の5種類があります。
ただし、①の住宅借入金特別税額控除①「所得税」の制度となりますので、所得税から控除額を引ききれない場合に初めて、住民税からも控除可能です。

(住民税上の住宅ローン税額控除の限度額)

H21年1/1~H26年3/31まで居住分最大97,500円
H26年4/1~令和3年12/31まで居住分最大136,500円

5.会社を退職・転職した場合は?

(1) 支払方法

住民税は、「後払い」になりますので、サラリーマンの方が年の途中で会社を退職する場合は、住民税の未払は必ず残っていることになります。この未払の住民税の支払方法は、「下記3つ」となります。
 

再就職先で、引き続き「特別徴収」の方法により納める
退職する会社の「最後の給料から一括天引」してもらう
後日、市役所等から送付される「納付書で自ら納めに行く」
(=普通徴収に切り替える)
(2) 退職時に天引きされる「住民税」の金額

上記(1)②「退職時に一括徴収される住民税の金額」は、退職時期によって異なります。(「特別徴収引継」は除く)。

退職月原則的な取扱い具体例
1~5月残り分を一括徴収(※1)例えば、2月退職なら、2月~5月の4か月分を、退職月の給与から一括で天引きされます
6月~12月退職月までの分が天引き。翌月から普通徴収切替(※2)例えば、6月退職であれば、6月発生給与(最終支払給与)までは通常通り特別徴収。退職月翌月以降が普通徴収となります。

(※1)退職金や給料を超える金額の場合は、普通徴収も認められる。
(※2)会社に依頼すれば、一括徴収も可能。
 

なお、住民税は「後払」ですので、一括天引きされる住民税は、あくまで、退職時~次の5月までに本来特別徴収されるはずだった「前年ないし前々年」の住民税となる点に注意しましょう。
 

(3) 退職時の資金繰りに注意

退職時期によっては、「住民税」の一括徴収により、想定外の「資金負担」が生じる可能性がある点に注意が必要です。

例えば、2022年1月退職の場合は、1月給与で一括徴収される金額は2022年1月~2022年5月の「5か月分」となります。一括徴収されると、資金的な負担が多くなることが予想されますので、普通徴収に切り替えた方が「4分割」で払えて、資金的には楽かもしれません。

なお、退職時に天引きされなかった住民税は、「再就職先に特別徴収引継」をしない限り、「自動的に普通徴収に移行」します。この場合は、後日各自治体から納税通知書が郵送され、ご自身で納付する必要がある点にも留意しましょう。
 

6. YouTube

 
YouTubeで分かる「個人住民税」
 

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