税金の豆知識
Q240 【古物商・宅建特例】インボイス制度の経過措置や、特例が認められる取引は?交通費等の特例、古物商特例・宅建特例とは?
最終更新日:2026/01/2316view

消費税インボイス制度では、適格請求書登録番号(インボイス番号)のない事業者に支払った消費税額については、原則として「仕入税額控除」ができません。
ただし、実務上の影響を考慮して、①一定の経過措置や、②そもそも制度趣旨になじまない取引については、一定の特例措置が認められています。
今回は、「インボイス番号のない事業者に支払った消費税」に関する経過措置及び特例措置をお伝えします。
目次
1. 経過措置
実務上の影響を考慮して、インボイス番号のない事業者に支払った消費税につき、一定の帳簿保存を前提に、期間限定で、以下の「経過措置」が認められています。
(1) 8割控除・5割控除(全事業主が対象)
全事業主を対象に、全ての課税仕入取引につき、一定割合の消費税仕入税額控除が認められます。
| 適用できる事業者 | 全事業主 |
|---|---|
| 経過措置期間 |
2023/10 ~2026/9末まで ⇒8割控除 2026/10 ~2029/9末まで ⇒5割控除 |
【5割控除の場合の仕訳例】
⇒支払った消費税10のうち、10×50%=5の仕入税額控除が認められます。
仕訳は以下となります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 仮払消費税 |
105 5 |
現金 | 110 |
(2) 少額特例(一定の事業主が対象)
一定の事業主については、税込1万円未満の課税仕入につき、全額、消費税仕入税額控除が認められます。
| 適用できる事業者 |
● 基準期間の課税売上高が1億円以下or ● 特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者 |
|---|---|
| 経過措置期間 | 2023/10 ~2029/9末までの課税仕入取引 |
「or」ですので、どちらか一方の要件だけ満たしていれば、少額特例が認められます。
(3) 一定の帳簿保存とは?
帳簿に、次の事項を記載して保存する必要があります(以下同様)。
● 取引内容(軽減該当の場合はその旨を含む)
● 対価の額(税抜または税込、相当ごとの合計)
● 取引先の氏名又は名称
● 特例適用の場合は、特例適用の旨(少額特例など)
2. 特例措置
期間限定の「経過措置」ではなく、恒久的に認められる特例措置もあります。
インボイス番号のない事業者に支払った消費税につき、一定の帳簿保存を前提に、以下の「特例措置」が認められています。
(1) 全事業主を対象とした特例措置
下記の取引については、インボイス番号の有無に関わらず、全額、消費税仕入税額控除が認められます。
| 公共交通機関 ・ 自動販売機等の特例 |
税込3万円未満の自動販売機等での購入や、公共交通機関(鉄道・バス等)の運賃支払。 |
|---|---|
| 郵便切手類の特例 |
郵便切手等を対価とするサービスの購入。 (切手、はがき、レターパック等) |
| 出張経費等特例(※) | 従業員立替の出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当等 |
(※)公共交通機関特例とは異なり、「通常必要と認められる範囲」であれば、金額の上限はなく、公共交通機関以外のタクシー・飛行機等の交通費も含まれます。
(2) 業種特有の特例措置
個人から仕入を行う業種等の場合、支払先の個人がインボイス番号を取得していないケースも多いです。
そこで、「一定の業種」については、インボイス番号がない支払先であっても、一定の帳簿保存を前提に、全額、消費税仕入税額控除が認められます。代表的なものは以下の2つです。
| 古物商・質屋特例 (古物商特例) |
古物商や質屋が、適格請求書発行事業者でない者から、「棚卸資産」として、古物や質物を取得する取引。 |
|---|---|
| 宅地建物取引業の特例 (宅建業特例) |
宅地建物取引業者が、適格請求書発行事業者でない者から、「棚卸資産」として、建物や再生資源等を取得する取引。 |
以下、実務上よく出てくる、古物商、宅建業特例の内容をお伝えしていきます。
3. 古物商の特例とは?
(1) 古物商とは
古物商とは、中古品などの「古物」の売買等を業として行う者のことです。警察(古物商許可委員会)から、「古物商許可」を受ける必要があります。リサイクルショップ、中古車販売店、ブランド品買取店などが代表例です。メルカリやヤフオクなどのオンラインプラットフォームで仕入を行う事業者も含まれます。
(2) 古物商の特例とは
古物商が、適格請求書発行事業者でない者から、「棚卸資産」として古物を取得する場合、一定の帳簿保存を前提に、全額、消費税仕入税額控除が認められます。
棚卸資産に限定されていますので、例えば、古物商の方が店舗で使用する備品、消耗品などは特例の対象外となります。
なお、「古物営業法」では、原則として1万円以上の取引につき、「古物台帳」への記載が義務付けられています。当該「古物台帳」に記載されている取引の場合は、会計帳簿上、「古物特例適用」の旨を記載すれば、「帳簿保存」の要件は満たすと考えられます。
(3)準古物とは?
「古物営業法」が定義する「古物」は、衣類や時計、自動車、金券、書籍などとなりますが、金・銀、白金の地金・ゴルフ会員権などは、「古物」には該当せず、「準古物」と呼ばれます。
「準古物」は、古物営業法の対象外となりますが、古物営業法と同等の取引方法(古物台帳への記載)が行われる場合は、税法上は、「古物商特例」の対象となります。
| 項目 | 古物 | 準古物 |
|---|---|---|
| 定義 | 古物営業法で規定される中古品等 | 古物営業法対象外のもの |
| 具体例 | 衣類、時計、自動車、書籍、金券など | 金・銀・白金の地金、ゴルフ会員権等 |
| 規制 | 古物営業法の規制対象 (許可等必要) |
古物営業法の規制対象外 |
| 特例 | 適用OK | 古物台帳記載で適用OK |
4. 宅地建物取引業の特例とは?
(1) 宅地建物取引業者とは(宅建業者)
宅建業者とは、土地建物の売買・賃貸仲介業務を業として行う者のことです。「宅地建物取引業免許」を保有している必要があります。
(2) 宅地建物取引業の特例とは?
宅建業者が、適格請求書発行事業者でない者から、「棚卸資産」として建物を購入する場合、一定の帳簿保存を前提に、全額、消費税仕入税額控除が認められます。
「棚卸資産」に限定されていますので、例えば、賃貸目的や、自己所有目的の建物の購入などは、特例の対象外となります。
例えば、宅建業者(買手)が、個人から、転売目的で建物を購入する場合や、購入した建物をリノベーションして販売する場合は、特例の適用が可能です。
なお、土地の購入、売却には消費税がかかりません(非課税取引)。
5. ご参考 媒介者交付特例とは?
「媒介者交付特例」とは、委託販売などの取引で、本来、インボイスを出すべき委託者(売り手)に代わって、間に入る仲介者(媒介者・受託者)が、受託者名義・登録番号でインボイス請求書を交付できる制度です(取引にあたって、委託者のインボイス番号不要)。
(1) 具体例・メリット
● ECモールや、販売代理店を通じた「商品販売」
● 不動産仲介会社(宅建業者等)が介在する「不動産取引」 など
当該特例を活用すれば、実際、買い手とやり取りする仲介業者(ECモール運営者・宅建業者等の受託者)が、売主(委託者)に代わってインボイス発行が可能なため、事務負担の軽減が見込まれます。また、売主(委託者)は、自ら個別にインボイスを発行する必要がなくなる点で、匿名性の確保も可能です。
(2) 要件
| ① | 委託者(売り手)と受託者(媒介者)の双方がインボイス発行事業者である。 |
|---|---|
| ② | 取引前に、委託者(売り手)は、自分がインボイス発行事業者であることを、受託者(媒介者)に通知。 |
| ③ | 委託者(売り手)は、受託者が交付したインボイス請求書の写しを保管 |
6. 参照URL
インボイス制度Q&A
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_invoice_mokuji.htm
7. YouTube
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