税金の豆知識

  • ホーム
  • 税金の豆知識
  • Q240 【古物商・宅建特例】インボイス制度の経過措置や、特例が認められる取引は?交通費等の特例、古物商特例・宅建特例とは? 

Q240 【古物商・宅建特例】インボイス制度の経過措置や、特例が認められる取引は?交通費等の特例、古物商特例・宅建特例とは? 

最終更新日:2026/01/23

16view

Q240 【古物商・宅建特例】インボイス制度の経過措置や、特例が認められる取引は?交通費等の特例、古物商特例・宅建特例とは?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

はまだ税理士法人の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
                                                           YouTubeチャンネル:はまだ税理士法人のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

消費税インボイス制度では、適格請求書登録番号(インボイス番号)のない事業者に支払った消費税額については、原則として「仕入税額控除」ができません。
ただし、実務上の影響を考慮して、①一定の経過措置や、②そもそも制度趣旨になじまない取引については、一定の特例措置が認められています。
今回は、「インボイス番号のない事業者に支払った消費税」に関する経過措置及び特例措置をお伝えします。

 

1. 経過措置

実務上の影響を考慮して、インボイス番号のない事業者に支払った消費税につき、一定の帳簿保存を前提に、期間限定で、以下の「経過措置」が認められています。

 

(1) 8割控除・5割控除(全事業主が対象)

全事業主を対象に、全ての課税仕入取引につき、一定割合の消費税仕入税額控除が認められます。

適用できる事業者 全事業主
経過措置期間 2023/10 ~2026/9末まで  ⇒8割控除
2026/10 ~2029/9末まで  ⇒5割控除

【5割控除の場合の仕訳例】

仕入100 (別途消費税10)の場合

⇒支払った消費税10のうち、10×50%=5の仕入税額控除が認められます。
仕訳は以下となります。

借方 貸方
仕入
仮払消費税
105
5
現金 110

 

(2) 少額特例(一定の事業主が対象)

一定の事業主については、税込1万円未満の課税仕入につき、全額、消費税仕入税額控除が認められます。

適用できる事業者 ● 基準期間の課税売上高が1億円以下or
● 特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者
経過措置期間 2023/10 ~2029/9末までの課税仕入取引

「or」ですので、どちらか一方の要件だけ満たしていれば、少額特例が認められます。

 

(3) 一定の帳簿保存とは?

帳簿に、次の事項を記載して保存する必要があります(以下同様)。

● 取引年月日
● 取引内容(軽減該当の場合はその旨を含む)
● 対価の額(税抜または税込、相当ごとの合計)
● 取引先の氏名又は名称
特例適用の場合は、特例適用の旨(少額特例など)

 

2. 特例措置

期間限定の「経過措置」ではなく、恒久的に認められる特例措置もあります。
インボイス番号のない事業者に支払った消費税につき、一定の帳簿保存を前提に、以下の「特例措置」が認められています。

 

(1) 全事業主を対象とした特例措置

下記の取引については、インボイス番号の有無に関わらず、全額、消費税仕入税額控除が認められます。

公共交通機関 ・
自動販売機等の特例
税込3万円未満の自動販売機等での購入や、公共交通機関(鉄道・バス等)の運賃支払。
郵便切手類の特例 郵便切手等を対価とするサービスの購入。
(切手、はがき、レターパック等)
出張経費等特例(※) 従業員立替の出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当等

(※)公共交通機関特例とは異なり、「通常必要と認められる範囲」であれば、金額の上限はなく、公共交通機関以外のタクシー・飛行機等の交通費も含まれます。

 

(2) 業種特有の特例措置

個人から仕入を行う業種等の場合、支払先の個人がインボイス番号を取得していないケースも多いです。
そこで、「一定の業種」については、インボイス番号がない支払先であっても、一定の帳簿保存を前提に、全額、消費税仕入税額控除が認められます。代表的なものは以下の2つです。

古物商・質屋特例
(古物商特例)
古物商や質屋が、適格請求書発行事業者でない者から、「棚卸資産」として、古物や質物を取得する取引。
宅地建物取引業の特例
(宅建業特例)
宅地建物取引業者が、適格請求書発行事業者でない者から、「棚卸資産」として、建物や再生資源等を取得する取引。

以下、実務上よく出てくる、古物商、宅建業特例の内容をお伝えしていきます。

 

3. 古物商の特例とは?

(1) 古物商とは

古物商とは、中古品などの「古物」の売買等を業として行う者のことです。警察(古物商許可委員会)から、「古物商許可」を受ける必要があります。リサイクルショップ、中古車販売店、ブランド品買取店などが代表例です。メルカリやヤフオクなどのオンラインプラットフォームで仕入を行う事業者も含まれます。

 

(2) 古物商の特例とは

古物商が、適格請求書発行事業者でない者から、「棚卸資産」として古物を取得する場合、一定の帳簿保存を前提に、全額、消費税仕入税額控除が認められます。
棚卸資産に限定されていますので、例えば、古物商の方が店舗で使用する備品、消耗品などは特例の対象外となります。

なお、「古物営業法」では、原則として1万円以上の取引につき、「古物台帳」への記載が義務付けられています。当該「古物台帳」に記載されている取引の場合は、会計帳簿上、「古物特例適用」の旨を記載すれば、「帳簿保存」の要件は満たすと考えられます。

 

(3)準古物とは?

「古物営業法」が定義する「古物」は、衣類や時計、自動車、金券、書籍などとなりますが、金・銀、白金の地金・ゴルフ会員権などは、「古物」には該当せず、「準古物」と呼ばれます。
「準古物」は、古物営業法の対象外となりますが、古物営業法と同等の取引方法(古物台帳への記載)が行われる場合は、税法上は、「古物商特例」の対象となります。

項目 古物 準古物
定義 古物営業法で規定される中古品等 古物営業法対象外のもの
具体例 衣類、時計、自動車、書籍、金券など 金・銀・白金の地金、ゴルフ会員権等
規制 古物営業法の規制対象
(許可等必要)
古物営業法の規制対象外
特例 適用OK 古物台帳記載で適用OK

 

4. 宅地建物取引業の特例とは?

(1) 宅地建物取引業者とは(宅建業者)

宅建業者とは、土地建物の売買・賃貸仲介業務を業として行う者のことです。「宅地建物取引業免許」を保有している必要があります。

 

(2) 宅地建物取引業の特例とは?

宅建業者が、適格請求書発行事業者でない者から、「棚卸資産」として建物を購入する場合、一定の帳簿保存を前提に、全額、消費税仕入税額控除が認められます。
「棚卸資産」に限定されていますので、例えば、賃貸目的や、自己所有目的の建物の購入などは、特例の対象外となります。
例えば、宅建業者(買手)が、個人から、転売目的で建物を購入する場合や、購入した建物をリノベーションして販売する場合は、特例の適用が可能です。
なお、土地の購入、売却には消費税がかかりません(非課税取引)。

 

5. ご参考 媒介者交付特例とは?

「媒介者交付特例」とは、委託販売などの取引で、本来、インボイスを出すべき委託者(売り手)に代わって、間に入る仲介者(媒介者・受託者)が、受託者名義・登録番号でインボイス請求書を交付できる制度です(取引にあたって、委託者のインボイス番号不要)。

 

(1) 具体例・メリット

● ECモールや、販売代理店を通じた「商品販売」
● 不動産仲介会社(宅建業者等)が介在する「不動産取引」 など

当該特例を活用すれば、実際、買い手とやり取りする仲介業者(ECモール運営者・宅建業者等の受託者)が、売主(委託者)に代わってインボイス発行が可能なため、事務負担の軽減が見込まれます。また、売主(委託者)は、自ら個別にインボイスを発行する必要がなくなる点で、匿名性の確保も可能です。

 

(2) 要件
委託者(売り手)と受託者(媒介者)の双方がインボイス発行事業者である。
取引前に、委託者(売り手)は、自分がインボイス発行事業者であることを、受託者(媒介者)に通知。
委託者(売り手)は、受託者が交付したインボイス請求書の写しを保管

 

6. 参照URL

インボイス制度Q&A

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_invoice_mokuji.htm

 

7. YouTube

Coming soon

 

濱田会計事務所への無料ご相談・お問い合わせは0120-932-116まで