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Q178【どちらが得?】給与と外注費の区分・判断基準は?外注費判定チェックシート付!

最終更新日:2022/01/18

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Q178 【チェックシート付】給与と外注費の判定基準・違いを具体例で解説/判例紹介

個人への報酬支払が、「外注費」か「給与」かの判定は、税務調査でもよく問題になる論点です。
どちらも「経費」にはなりますが、消費税・社会保険・源泉徴収等の観点で、取扱いが大きく異なります。

今回は、「外注費」と「給与」の税務上・社会保険上の取扱いの違いや、チェックシートを用いた「実務上の判定基準」を解説します。

 

1. 両者の違い

(1) 外注費と給与の定義
外注費請負契約等に基づく役務提供対価
給与雇用契約等に基づく役務提供対価

 

(2) 両者の違い及び影響

① 支払側から見た場合
支払側にとっては「外注費」の方が有利になります。外注費の場合、①源泉所得税の徴収義務なし②消費税控除が可能③社会保険の負担はありません。

給与外注費
源泉徴収義務ありなし(※)
消費税不課税課税
社会保険加入義務ありなし

(※)「外注費」でも、内容によっては「源泉徴収」が必要な場合もあります。

 

② 受取側から見た場合
受取側にとっては「外注費」の方が不利になります。外注費の場合、①ご自身で「確定申告」を行う必要あり②原則として消費税納税義務が発生③社会保険はご自身で加入する必要があります。

 

2. 具体例・仕訳

● 50万円(税込)を、「外注費」で支払う場合と「給与」で支払う場合の仕訳は?
● 源泉所得税は3万円、社会保険料は15万円(労使折半)とする。
● 外注費は「源泉徴収義務」がない外注費とする。

 

(1) 外注費の場合
借方貸方
外注費
仮払消費税
454,545
45,455
現金500,000

 

(2) 給料の場合
借方貸方
給与
 
 
法定福利費
500,000
 
 
150,000
預り金(源泉)
法定福利費(社保)
現金
現金
30,000
75,000
395,000
150,000

 

(3) 結論
給与外注費影響
源泉徴収義務ありなし外注費は、原則として源泉所得税の徴収義務はありません。
消費税不課税課税外注費で支払う場合、消費税の仕入税額控除が可能です。
社会保険加入義務ありなし外注費の場合、社会保険加入義務はなく、会社負担はありません。

 

3. 給与と外注費の判断基準

給与と外注費の判断は、実務上、迷うケースが多いと思われます。国税庁での情報をもとに、両者の判断基準をまとめると、下記「5つの判断基準」となります。

判断基準内容給与外注費
代替性他人が代替して業務遂行(or役務提供)できるかどうか。代替不能代替可能
拘束性
(独立性)
報酬支払者から作業時間を指定、報酬が時間単位で計算など、時間的拘束を受けるかどうか
(業務の性質上当然に存在する拘束を除く。)
拘束あり拘束なし
指揮監督作業の具体的内容や方法につき、報酬支払者から指揮監督を受けるかどうか。監督あり監督なし
報酬請求完成品が不可抗力で滅失等した場合、既遂行業務の報酬支払を請求できるか?請求可請求不可
材料又は用具等の供与材料等は、報酬支払者から供与されているかどうか?供与あり供与なし

最終的には、上記を総合的に勘案して判定することになりますが、「契約内容」や「業務実態」などの客観的な事実関係に基づいて判断することとなります。

 

4. 外注費判定チェックシート

支払側から見た場合の「外注費」判定チェックシートを作成しました。
東京国税局の内部資料で、「法人課税課速報(源泉所得税関係)「給与所得及び事業所得の判定検討表」(平成15年7月第28号)」というものがあり、こちらを参考に、実務上重要と思われるポイントを中心にまとめています。あくまで「総合判断」にはなりますが、基本的にYesが多くなれば「外注費」として認められる可能性は高くなります

判断基準YN
代替性業務内容につき、支払先以外の者による代替が可能
従業員同様の福利厚生等の取扱いはない
(残業、通勤手当、有休休暇、退職金等)
拘束性
(独立性)
作業時間の指定、時間単位での支払はない。タイムカード、出勤簿等はない。
(業務の性質上当然に存在する拘束はOK)
支払先は他に「顧客」を有しており、
事業所得で確定申告している(営利性、反復継続性)。
支払先は「使用人」を有している
支払先は労働保険法の適用なし。自分で保険加入
指揮監督作業につき、指揮監督権・命令権はない。名刺などでの従属・制約もない
(業務の性質上当然に存在する指揮監督はOK)
報酬請求権完成納品前であれば、支払義務はない。
雇用契約書ではなく、業務委託契約書(請負契約書)で、
先方からの請求書の発行(消費税明示)がある。
価格決定権は支払先にあり(給与明細ではない)
材料用具材料・作業道具の負担は相手である。

 

5. 判例 職人に支払った報酬が「外注費」ではなく「給与」とされた判例

一人親方に支払った報酬が、「外注費」ではなく「給与」認定された判例があります。報酬が「基本賃金」や「時間外手当」等をもとに支給されていたことと、それぞれの職人の作業が「独立した仕事」と認められなかったことが原因です。

(国税不服審判所|裁決事例集 No.25 – 60頁)

・・報酬は一人親方に対するもの・・各職人の労務の提供は、職人個々の独立した事業として行われたものとは認められず、・・対価は基本賃金のほか時間外勤務手当等の支払基準により支払われている・・請求人と職人との間の雇用契約書の作成はないものの、その実質は・・給与等として支払ったものと解するのが相当である。・・

 

6. 参照URL

(個人事業者と給与所得者の区分)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/01/01.htm

(大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱い(法令解釈通達)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/091217/01.htm

(国税不服審判所|裁決事例集 No.25 – 60頁)

https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/1201000000.html

 

7. YouTube

 

YouTubeで分かる「給与と外注費の区分」
 

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