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Q31 PC・プリンター購入時の特例は?税務処理や勘定科目?~少額の減価償却資産の特例~

最終更新日:2022/01/28

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少額の減価償却資産の特例とは?

パソコンやプリンターなど、お仕事で利用するOA機器を購入する機会も多いですね。

これらは、経費にできるのか?固定資産で計上するのか?勘定科目や税務処理に迷う方もいるかもしれません。

今回は、これらOA機器購入にかかる会計処理と、「少額減価償却資産」の税務上の取扱いをまとめます。

 

1.原則 固定資産で計上

パソコンやプリンターは、「固定資産」と呼ばれます。
こういった機器は、一般的に、支出年度だけでなく、3~4年程度は利用できるものが多いです。

したがって、税務上は、原則として「備品」(固定資産)で計上し、税務上定められた耐用年数に応じて「複数年度」で費用処理します。

 

2.特例

ただし、固定資産で計上し、耐用年数で費用処理していくは管理が大変です。
そこで、実務上の便宜を考慮し、金額小のものや、中小企業者等の場合、支出時一括経費or3年で経費にできる3つの特例が認められています。個人事業主も適用可能です。

(1) 3つの特例
①10万未満or使用可能期間1年未満
(少額の減価償却資産)
一括損金算入可●損金経理が要件
●白色申告でもOK
●中小企業者に限られない。
②取得価額が20万円未満
(一括償却資産)
各事業年度ごとに一括し、3年で償却●損金経理が要件
●白色申告でもOK
●中小企業者に限られない。
●「一括償却資産の損金算入に関する明細書」添付
③取得価額が30万円未満
(中小企業者等の少額減価償却資産特例)
年間合計300万円まで一括損金可(事業年度が1年に満たない場合は月割)●損金経理が要件   
青色申告の「中小企業者等」で、常時使用する従業員数が500人以下(連結法人除く)
●「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」添付

中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等)は除かれます。
 

(2)中小企業者等とは?

●資本金の額が1億円以下で以下に該当しない法人
    ・単一の大規模法人(※1)に発行済株式総数(※2)の1/2以上を所有されている
    ・複数の大規模法人(※1)に発行済株式総数(※2)の2/3以上を所有されている

(※1)大規模法人とは?
①資本金1億円超
②常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
③大法人(資本金の額が5億円以上である法人等)との間に、その大法人による完全支配関係がある普通法人
④100%グループ内の複数の大法人に、発行済株式等の全部を直接または間接に保有されている普通法人
 
(※2)発行済株式とは?
発行済株式には、自己株式は除かれます。

 

(3)勘定科目は?

特に決まりはありませんが、消耗品費や減価償却費等でも構いません。
ただし、上記②③の場合は、「明細書」の作成が必要となりますので、他の科目と区別するため、新たに「備品費」等の科目を設けて集計するのもよいかと思います。
 

3.金額判定単位は?判定は税込み?

(1) 金額判定単位は?

 通常取引される1単位ごとに判定。
ポイントは以下
●通常、単独での取引単位となるか?
構造的・物理的に一体性があるかどうか。

機械及び装置1台又は1基ごと
工具、器具及び備品1個、1組又は1揃いごと
構築物単体で機能を発揮できないものは1工事ごと

(国税庁での具体例)

 ●応接セット・・1組で判定(通常、テーブルと椅子が1組で取引されるため)
 ●カーテン・・部屋ごとに判定(1つの部屋で数枚が組み合わされて機能するため)

 
(ご参考~さいたま地裁判例H.16.2.4 内容要約)

●衣料品販売チェーンストアが、各店舗に「防犯用ビデオカメラ」を設置。
●防犯用ビデオカメラは、①監視カメラ②コントローラー③接続ケーブル④テレビ⑤ビデオで構成。
(監視カメラ・テレビ・ビデオは、家庭用製品と同じもの)
●上記①~⑤は1単位として判断しなければならないか?

(判決)

●テレビ・ビデオなどの家庭用製品は、通常「単独で取引単位」となるため、1品ごとに判定
(監視目的で一体使用されていても、常に一体、一資産として捉えることは合理的ではない)
●監視カメラ・コントローラー・接続ケーブルは、「一体」として、「店舗ごと」に判定。
 

(2) 判定は消費税込み?税抜き?

税込処理をしている会社なら税込、税抜処理の会社なら税抜で金額判定。
 

(3)取得価額の範囲は?

次の金額を合計した金額が「取得価額」となります。詳しくは、Q157をご参照ください。

●購入対価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他)
●事業の用に供するため直接に要した費用

 
(例)

搬入作業代、ソフト等導入設定作業代取得価額算入
租税公課(不動産取得税、自動車税、登録免許税等) 取得原価算入しなくてOK
借入金の利子資産購入のためにのための借入利子は、算入しなくてOK
(4)資本的支出・交換部品は対象に含まれない

30万未満の中小企業等の特例は、「新品資産の取得に限定」されます。
資本的支出に該当するものは対象に含まれません。例えば、既に使用している資産に係る交換部品の購入は、少額減価償却資産の適用はありません。
資本的支出か修繕費かという論点での判断となります。

 

4.償却資産税との関係は?

「中小企業の少額減価償却資産の特例」だけ、「償却資産税」の対象となります。
詳しくは、Q98をご参照ください。

(1)少額の減価償却資産適用対象外
(2)一括償却資産適用対象外
(3)中小企業の少額減価償却資産特例適用対象

 

5.適用順序は?

30万円未満の固定資産は、全部上記(3)中小企業の特例で損金にすればよいのでは・・?
と疑問に思う方もいるかもしれません。

しかし、(3)は年間300万までの上限がありますし、中小企業者、青色申告の要件があります。
また、(3)は、償却資産税の対象になるため、償却資産税の影響も考えなければいけません。

中小企業者、かつ青色申告事業者を前提とした場合に、よりよいと考えられる適用方法は以下となります。

 

10万未満少額減価償却資産の規定により損金経理
20万円以上30万円未満 中小企業の特例規定により損金経理
10万円以上20万円未満 中小企業特例か一括償却資産を選択適用(※)

(※)とはいっても、300万までは、中小企業特例を選択したほうがお得なケースが多いと思います。

6.まとめ

取得価額10万未満20万未満30万未満30万以上
取扱い全額損金3年均等償却全額損金通常償却
限度額300万以下
償却資産税非課税非課税課税課税
対象企業すべてすべて中小企業者のみすべて

 

7.参照URL

(少額の減価償却資産になるかどうかの判定)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5403_qa.htm

(一括償却資産を除却した場合の取り扱い)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/03.htm

(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm

(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_01_02.htm

(減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5400.htm

 

8.YouTube

 
YouTubeで分かる「PC・プリンター購入時の特例」
 

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