税金の豆知識

Q54【いくらまで経費?】自宅兼事務所の家賃の経費上限は?個人事業主・法人向け

最終更新日:2022/01/28

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個人事業主の自宅家賃や減価償却は経費?

個人事業主の中には、自宅でお仕事をされている方もおられると思います。
自宅を事務所にされている場合には、支払家賃を経費で落とせるんでしょうか?
 

結論を先に言うと・・事業で利用されているのであれば、「経費」に計上が可能です
ただし、事業で利用している部分を算定しなければいけません。

 

1.経費にできる支出の内容は?

家賃に限らず、共益費、敷引、水道光熱費、火災保険料なども経費に計上可能です。
その他、事業で利用している車両費や駐車場代、携帯電話代も同様に、経費で計上できます。
 

2.経費にできる金額

事業で利用している割合を算定して、按分した額を経費に計上します。
例えば、家賃が10万で、「事業利用割合」が50%の場合は、単純に5万円となります。
 

3.業務利用割合の算定方法・具体例

では・・業務利用割合って、どうやって算定するんでしょうか?

実は、決められた基準は特にありません。
逆に言うと、「ちゃんとした根拠」があれば、税務署にも説明が可能です。
例えば、以下のような「按分基準」が考えられます。これ以外にも「理屈」があれば、いろいろ考えられます。
 

対象按分基準ご参考
家賃・光熱費床面積共用部分(廊下やトイレ等)は、上記面積比率で按分します。
携帯電話仕事で利用した時間・就業時間など例えば、24時間×31日=744時間/月のうち、就業時間が154時間であれば、154時間÷744時間も1つの根拠になるかも。
車両費仕事で利用した距離等1か月の走行距離のうち、仕事で利用した距離などで按分するなど

 
(注意事項)
常識的な判断が大切です!自宅なのに、9割が仕事用で1割がプライベートなど・・明らかにおかしいと思われる場合は、否認されるおそれがありますので、注意です。

 

4.いくらまで経費で認められる?

いくらまで経費?という基準は特にありません。
ただし・・税務署は、業種ごとの「経費の目安のデータベース」を持っていると考えられています。
 
例えば、自宅でネットショップを行っている場合は、自宅経費は理屈がありますが、現場でのお仕事がほとんどの方にも関わらず、自宅の家賃を経費にしていると・・税務署は???という感じで突っ込まれる可能性もあります。
逆に言うと、自宅でのお仕事がほとんどの業種にも関わらず、交際費が異常に多いなども不自然ですね。
 
要は・・「常識」をもった節度ある判断が大切です。
 

5.持ち家の場合は?

考え方は賃貸の場合と同様です。建物減価償却費、管理費、住宅ローン利息、固定資産税、火災保険料等が対象となります。総額のうち事業利用割合分が経費となります。

(注意事項)
 ●持ち家の場合は、住宅ローンの返済額は経費ではありません。(あくまで借金の返済で、経費にはならない)

 ●住宅ローン減税を受けている場合は、 「住宅ローン控除の要件」との関係に注意が必要です。
「床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用に供するもの」である必要があります。
  詳しくは、Q154をご参照ください。
 

6.法人の場合は?

(1) 個人名義の賃貸借契約の支払賃料は、法人経費にできる?

個人名義(社長等)の賃貸借契約で「個人が支払っている賃貸料」を、法人側で経費にできたりするんでしょうか?

理論構成としては、個人が賃借している物件を、法人に「転貸」している形になります。
法人が個人に「家賃」を支払えば、その分は経費にできますが、個人側で「受取家賃」の計上が必要な点(不動産所得)に注意です。
 
(賃貸の場合)

経理処理効果
個人・受取家賃収入計上
・支払家賃経費計上
結果±ゼロになるため、
税金は発生しない
法人・支払家賃経費計上支払家賃分、税金は安くなる

(持ち家の場合)

経理処理効果
個人・受取家賃発生
・減価償却費等計上
家賃の額によるが、トータルでは相殺
されるため、税金影響は小
法人・支払家賃経費計上支払家賃分、税金は安くなる

 

(注意事項)

●個人側では転貸により利益が生じる場合には、確定申告が必要な場合があります。
●法人と個人との間で、不動産賃貸借契約書を締結します。
●賃貸借契約(個人契約分)は、第三者(法人)に転貸を認めてくれない家主さんも多いので注意です。
●自宅が事業所となると、法人県民税・市民税の均等割負担が増える可能性があります
  (「均等割」の納税義務者は、県内や市内に事業所を有する法人)。
 

(2) 法人名義の賃貸借契約を、個人に貸す場合は?

法人税の社宅制度の論点となります。社宅扱いになると、個人に所得税がかかりません。
詳しくは、Q38をご参照ください。

 

7.ご参考~青色申告と白色申告での取扱いの違い(個人事業主)

青色申告者と白色申告者で、「業務関連費用の経費の範囲」が、若干異なります。

経費にできる範囲
青色申告 業務の遂行上、直接必要なことが明らかな部分
白色申告主たる部分が事業用かつ明らかに区分できる場合(※)(原則50%以上)

(※)原則50%以上業務に使っているかどうかで判断します青色申告よりは厳しくなっています
(ただし・・50%以下でも、・・「業務必要部分が明らかに区分可能」ならOKとも記載されています) 。
 

8.YouTube

 
YouTubeで分かる「自宅兼事務所の家賃の経費の上限」
 

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