税金の豆知識

Q124 非課税取引って?不課税・免税取引との違い

最終更新日:2022/02/03

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Q124 非課税取引って?不課税・免税取引との違い

消費税率は・・ついに10%に突入しましたね。
ただし、消費税という税金は、全ての取引に課税されているわけではありません。
今回は、消費税がかからない取引のうち、「非課税取引」を中心に解説します。

 

1. 消費税の全体像

消費税の観点から、普段の取引を区分すると、①国内取引②輸入取引③国外取引の3つに分かれます(輸出取引は、①国内取引に含まれます)
上記3区分ごとの「消費税の取扱い」をまとめると、以下の通りとなります。

 

区分内訳1内訳2消費税の取扱い
国内取引
(輸出取引含む)
資産の譲渡・貸付・
役務の提供
課税資産の譲渡課税取引・免税取引
上記以外非課税取引
上記以外不課税取引
輸入取引課税資産の譲渡課税取引
上記以外不課税取引
国外取引不課税取引

● 消費税がかからない取引は、上記の赤字の箇所です(免税、非課税、不課税の3つ)このうちの1つが、今回のテーマの「非課税取引」となります。

 

2. 非課税取引と不課税取引・免税取引の違い

先ほどお伝えした、消費税がかからない取引3種類(不課税取引、免税取引、非課税取引)は、それぞれ、どういう違いがあるんでしょうか?

 

(1) 消費税が課税される取引(前提知識)

まず、前提知識として、消費税が課税される取引は「①日本国内において②事業者が事業として③対価を得て行う④資産の譲渡・貸付・役務の提供」です。
4つの要件が要求されています。

 

(2) 不課税取引とは?

不課税取引とは、例えば、海外でお土産を購入した取引などです(国外取引)。「日本国内において」という要件を満たしません。そもそも、上記4つの消費税課税取引の要件を満たさない取引が、「不課税取引」となります。

 

(3) 免税取引(輸出免税)

免税取引=輸出取引のことです。輸出取引は、実は・・上記4つの「要件」は満たしています。なぜなら、「輸出」であっても、資産を引き渡す時点では、当該資産は日本国内にあるからです。(詳しくは、「輸出免税って?」を参照下さい)。
つまり、輸出は、「国内」において、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等に該当し、「課税取引」となります。

しかし、輸出品の「実際の消費地は国外」ですよね。消費税法上、「国内で消費しないものには課税しない」という考え方があるため、輸出取引は、「課税取引」には該当するが、消費税の課税を「免除している」ものです(輸出免税とも呼ばれます。課税資産の譲渡だが、消費税を免除しているだけ)。

 

(4) 非課税取引

非課税取引とは、例えば、土地の譲渡取引などです。非課税取引も、免税取引と同様、上記4つの「要件」は満たしています。しかし、消費税法上、①そもそも消費が予定されていない取引、②消費税を課税することが適当でない取引につき、「限定列挙」で課税しない取扱いにしている取引です(=課税資産の譲渡と取り扱わない)。

 

3. 非課税取引は限定列挙で定められている

結論を先に言うと、「非課税取引」は、消費税法上「限定列挙」されていますので、迷うことはありません。列挙された取引に該当するか?だけの判断です。

「非課税取引」の種類は、大きく2種類となります。

① そもそも、消費が予定されていない取引
② 社会政策的な配慮から、課税することが適当でない取引

 

4. 消費が予定されていない取引

消費税は「消費」に対して課税される税金ですので、資産の譲渡等であっても、「消費」が予定されていない取引には課税されません。限定列挙された内容は以下です。

 

内容留意事項
土地の譲渡・貸付け
(借地権等も含む)
● 貸付期間が1月未満の土地貸付は「課税取引」。
● 駐車場等、施設利用に伴って土地が使用される場合は「課税取引」。
有価証券等・支払手段の譲渡(例)
● 株券・債券・金銭債権等の譲渡
● 貨幣や小切手・手形等の譲渡
● 仮想通貨の譲渡
(資金決済に関する法律第2条第5項)

(留意事項)
● 上記を収集品として譲渡する場合は「課税取引」。
● 株式・出資・預託形態によるゴルフ会員権等は「課税取引」。

預貯金利子及び保険料を
対価とする役務の提供等
(例)
● 預貯金や貸付金の利息
● 投資信託収益分配金
● 信用保証料、保険料、手形割引料、
割賦販売手数料、共済掛金
● 郵便切手・印紙・証紙の譲渡
● 商品券・プリベイトカード等の
物品切手等の譲渡
● 外国為替業務に係る役務の提供
● 非課税取引となる取引は、郵便局や印紙売渡所など、特定の場所で行う郵便切手・印紙・証紙の譲渡のみ。
国等が行う一定事務に係る
役務の提供
(例)
登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付等。

 

5. 社会政策的な配慮から、課税が適当でない取引

 

社会保険医療の給付等● 健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など。
美容整形・差額ベッド料金・市販医薬品の購入は「課税取引」。
介護保険・社会福祉事業等による
サービスの提供
● 介護保険法に基づく、保険給付の対象となる居宅・施設サービスなど。
● 社会福祉法に基づく、社会福祉事業等によるサービスの提供。
利用者選択による特別居室の提供や、送迎等対価は「課税取引」。
助産医師や助産師等による、助産関連サービスの提供。
火葬料や埋葬料を対価とする
役務の提供
● 義肢、盲人安全つえ、義眼、点字器、人工喉頭、車いす、改造自動車など。
学校教育・教科用図書の譲渡● 学校教育法に規定する学校、専修学校等の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など。
住宅の貸付け(※)● 住宅以外(事務所や倉庫)として貸付けた場合は「課税取引」
● 住宅の「譲渡」は「課税取引」
● 契約で人の居住用であることが明らかなもののみ(寮費なども含む)
● 1か月未満の貸付けは「課税取引」
(旅館やホテルなど)
● 会社が家主等から住宅を借上げ、社員に社宅として貸付けた場合は、どちらも「非課税取引」。

(※)住宅関連については、少し頭が混乱する論点ですので、「譲渡」と「貸付」に分けて、土地建物それぞれの取扱いをまとめておきます。

 

譲渡の場合貸付の場合
土地非課税非課税
建物(住宅用)課税非課税
建物(住宅以外用)課税課税

ちなみに、「土地付き建物」の賃貸の場合は、土地を含めた全体を「施設の貸付け」とみなして処理します。したがって、住宅として使用する場合は、土地建物とも「非課税取引」となります。

 

6. 輸入取引での非課税取引

国内取引とのバランスの観点で、輸入取引のうち、有価証券等、郵便切手類、印紙、証紙、物品切手等、身体障害者用物品、教科用図書などは、「非課税取引」となります。

 

7. 参照URL

非課税取引https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm

 

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