税金の豆知識

Q53【具体例付】輸入に消費税はかかるのか?勘定科目・仕訳・申告書記載方法

最終更新日:2023/09/30

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輸入消費税の会計処理

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
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輸入には消費税が課税されるのか?疑問に思う方も多いかもしれません。
実は・・消費税がかかります。

輸入の際には、通常の関税の他、消費税が課税されます。

今回は、輸入手続きの一連の流れと、輸入消費税の会計処理をまとめます。

 

1. 輸入商品引取時の一般的な税関手続

輸入商品を引き取る場合の一般的な流れは、以下の通りとなります。

税関で、関税と輸入消費税の計算を行い「輸入申告」を行う。
上記の税金を税関(国)に直接支払う。
輸入許可が出れば「輸入許可通知書」を受取り、商品を引き取る。

一般的に、「輸入申告」は、FedExやDHL等の輸入代行業者、通関業者に頼むことが多く、「商品」や「輸入許可通知書」は、これらの業者を通じてお手元に入荷されることになります。

 

2. 消費税の課税対象

原則的な課税対象国内で、事業者が、事業として対価を得て行う資産の譲渡等
例外「外国貨物の輸入」には、消費税が課税される

●「輸入」は、海外での商品購入のため、商品購入時点では、消費税は不課税となります(国内ではないので)。
●ただし、国内製品との比較で価格面に不利にならないように、例外的に外国貨物の輸入には「消費税」が課税されます。

 

つまり、海外で商品を購入した時点では、消費税「不課税」だが、日本で、保税地域から荷物を引き取る際には、「外国貨物の輸入」として消費税が課税される流れとなります。これが「輸入消費税」となります。

なお、輸入消費税は、法人だけでなく、個人でも同様に消費税がかかります。

 

3. 輸入消費税の金額算定方法・誰に払ってるのか?

(1) 輸入消費税の金額算定方法

「輸入消費税」といっても、内容は日本国内の消費税のことです。ただし、算定方法が、通常の国内課税仕入消費税と異なり、単純に仕入価格×10%ではありません。以下の通りです。
 

輸入消費税=(CIF価格(※1)+関税)×消費税率(10%)(※2)

(※1)CIF価格とは??・・商品価格+輸入港までの海外運賃+保険料

(※2)実際には端数計算等があり、単純な10%とはなりません。酒税等内国消費税以外の消費税も課税標準に含まれます。

 

なお、関税も、上記のCIF価格をもとに、国や諸条件ごとの「税率」を掛け合わせて算定します。

 

(2) 誰にはらってるのか?

国内仕入等の場合は、消費税は仕入業者等に支払っていますが、輸入消費税は、仕入業者等ではなく、直接国に支払っています。(輸入消費税は、通関業者が立替払いするケースが多いので、通関業者の請求書に記載されている場合がありますが、通関業者を通して、直接国に支払っています)

 

関税や輸入消費税の「課税標準」や「免税点」については、別途、Q207で解説しています。こちらもご参照ください。
 

4. 会計処理

(1) 仕訳イメージ

海外から仕入れた場合の仕訳は、一般的にこんな感じです。

借方貸方
輸入仕入(輸仕本体)
仮払消費税(輸仕消税 国税)
仮払消費税(輸仕地税 地方税)
12,000
1000
280
買掛金13,280
(2) 国内仕訳と違う点

仕訳自体は、国内仕入の場合と同じですが、以下の点が違います。

特徴理由
消費税がぴったり本体×10%にはならない輸入消費税の金額が、CIF価格等を基準に決まるので。
輸入仕入は国内取引の仕入とは区分して入力
(輸仕本体)(※)
輸入仕入にかかる消費税は、CIF価格を基準に別建て計算するため、国内仕入(課税仕入)のような一律10%の課税仕入扱いはできないため
輸入消費税は、国内取引の仮払消費税とは区分し、手入力する
(国税・地方税に区分)
輸入消費税は、CIF価格を基準に算定され、国内仕入×10%で算定する国内仕入消費税額とは異なる計算方法のため

(※)輸入仕入の消費税区分は、「対象外」となります。

 

(3) 支払内容ごとのまとめ

輸入の際によく出てくる取引ごとに、「勘定科目」「税区分」をまとめると以下のようになります。
輸入時の取引は、おおむね仕入に付随する費用(仕入諸掛)ですので、「勘定科目」は、租税公課ではなく、「仕入高」(=仕入のために要した費用)となります。

種類課税内容勘定科目税区分
輸入消費税申告
(通関業者代行)
商品本体価格輸入消費税仕入高輸仕本体
関税輸入消費税仕入高輸仕本体
海外運賃輸入消費税仕入高輸仕本体
保険料輸入消費税仕入高輸仕本体
輸入消費税仮払消費税
(国税)
輸仕消税
輸入消費税仮払消費税
(地方税)
輸仕地税
消費税確定申告
(通常の)
通関手数料国内消費税仕入高課税仕入
コンテナ運送料国内消費税仕入高課税仕入
コンテナヤード
チャージ
対象外仕入高不課税

5. 消費税確定申告書の記載

(1) 申告書での記載箇所

輸入消費税は、通常の課税仕入にかかる「消費税」とは、記載箇所が異なりますので、留意しましょう。

(付表2-(1))

記載対象
課税仕入に対する支払対価の額
(税込み)
国内取引の課税仕入
課税仕入れに係る消費税額
(国税のみ)
上記の消費税
課税貨物に係る消費税額
(国税のみ)
輸入消費税の国税部分

 

(2) 注意事項

税関での輸入手続などは、「輸入業者」に委託するケースが一般的ですが、「輸入許可証」などの名義が「通関業者」となっている場合、「仕入税額控除」が認められないケースがあるので注意しましょう
(税務通信 平成28年12月5日 NO3436から抜粋)。

 

6. 具体例

●商品代金500,000
●輸入業者からの関税等の請求代金214,923円。内訳は以下。
関税70,000、輸入消費税(国税)44,400、輸入消費税(地税)12,523、通関手数料80,000(国内消費税8,000)
●上記以外取引はないものとする

 

(1) 仕訳
借方貸方
①(本体仕入)海外仕入(輸仕本体)500,000買掛金500,000
②(通関業者請求)海外仕入(輸仕本体)(※1)
仮払消費税(輸仕消税)(※2)
仮払消費税(輸仕地税)(※2)
国内仕入(課仕)(※3)
仮払消費税(10%)(※3)
70,000
44,400
12,523
80,000
8,000
買掛金214,923

(※1)関税は「輸入消費税」の対象となるため、国内仕入とは区分し、科目「海外仕入(輸仕本体)」で処理します。
(※2)輸入消費税は、「仮払消費税(国税)」「仮払消費税(地方税)」に区分して「手入力」します。
(※3)通関手数料は、通常の国内消費税の対象のため、科目は「国内仕入(課税仕入)で処理します(仕入諸掛)

 

(2) 消費税申告書の記載

(附表2-(1))

 

7.参照URL

~消費税の課税対象~https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6105.htm

~関税・消費税の税額計算方法~http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1111_jr.htm

 

8.YouTube

 
YouTubeで分かる「輸入の国内消費税」
 
 

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