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Q149【国民健康保険】加入義務者は?無職やフリータは?減免や軽減される場合はあるのか?計算方法を具体例で解説 

最終更新日:2023/05/15

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Q149 国民健康保険料の計算方法/具体例 

国民健康保険は、市区町村が運営する健康保険で、勤務先の社会保険等に加入していない方に「加入義務」がある健康保険です。病気やけがなどで医療機関等で受診する際、医療費の「一定割合」を国民健康保険が負担してくれます。

国民健康保険の「被保険者」になるためには、毎年一定金額を支払う必要がありますが、一定の場合は、健康保険の支払額が減免や軽減される場合があります。

今回は、国民健康保険の加入義務者の範囲や、国民健康保険料の支払額の計算方法・減免・軽減されるケースを中心に解説します(神戸市を例にします)。

 

 

1. 国民健康保険の加入義務者や特徴

(1)加入義務者

日本国民は、国が定めている「健康保険」に、加入義務があります。
したがって、社会保険等「勤務先の健康保険」に加入していない人は、国民健康保険の加入義務があります。
例えば、個人事業主や年金受給者、扶養に入っていない学生などが国民健康保険の対象となります。
収入のない無職の方や、フリーターの方でも、社会保険に加入してない場合は、加入義務がある点に注意が必要です。
 

加入が必要な方加入しなくてよい方
●個人事業主
●年金受給者(後期高齢者医療制度の方除く)
●扶養に入っていない主婦・学生の子
●無職の方・退職して新しい職場に勤務されていない方
●フリーターの方(勤務先の社会保険未加入の方)
●後期高齢者医療制度に加入している方
●勤務先の社会保険に加入している方とその扶養家族
●生活保護を受けている方
●外国人観光客等、旅行で一時的に日本に滞在している人

後期高齢者医療制度は、75歳以上になると加入を義務付けられる医療制度です。
 

(2)扶養の概念はない

 国民健康保険では、勤務先の健康保険のような「扶養」の概念はなく、一人ひとりが「被保険者」となります。
つまり、同居家族であっても「扶養」になるわけではなく、全員が被保険者となり、それぞれの保険料が発生します。
 

(3)世帯単位で適用

国民健康保険は、「世帯単位」で適用を受けますので、保険税の納付義務、保険給付を受ける権利は、世帯主が有します。例えば、世帯主が職場の健康保険に加入している場合であっても、奥様に収入があり扶養を外れる場合などは、世帯主が保険の支払を行います。
 

2. 国民健康保険の支払額はどうやってきまるのか?

(1)世帯全員の所得合計で決定

国民健康保険は、「世帯単位」で適用を受けますので、国民健康保険料算定時の「所得」(所得割)は、世帯内加入者全員の所得合計で算定します。
 

(2)前年所得合計で決定

国民健康保険料は、前年の住民税の「所得」を基に算定します。
税率は、自治体によって異なりますが、所得が増えるにしたがって、段階的に保険料も増えていきます。
(納付額の上限は決められています)
各世帯の「加入者全員の所得」を合算し、世帯主が保険料を納める形となります。
 

3. 軽減や減免は?

一定期間の所得金額が、基準額を下回る世帯の場合は、減額の制度があります。
例えば、前年中の所得がない場合は、「均等割額」と「平等割額」が減額されます。
 

(1)申告が必要

国民健康保険は、前年の「住民税の申告」を基に算定されます。
所得がない場合、原則として「住民税の申告」は不要ですが、住民税の申告をしていないと、上記の軽減がかからない場合があるようです。
所得税確定申告をすると、住民税も自動で申告したことになりますので、軽減を受けたい場合などは、確定申告をしておく方が無難です。

 

(2)軽減金額

市によって異なります。
参考に、神戸市での所得が低い世帯につき、「均等割」「平等割」減免される基準は以下の通りです(令和3年度)
 

前年所得減免割合
43万円以下5割減免
43万円+(28万5千円×世帯内被保険者数) 以下3割減免
43万円+(52万円×世帯内被保険者数) 以下1.5割減免

(ご参考 1.5割減免可能な給与収入換算額)

被保険者数減免可能な所得見込上限給与収入換算
1人950,000円1,500,000円
2人1,470,000円2,215,999円
3人1,990,000円2,959,999円

被保険者の中に、給与所得者あるいは公的年金等受給者がいる場合、上記の金額に、10万円×(給与所得者等の数-1)を加えた金額を基準となります(既に減額制度の適用を受けている世帯は、金額の調整あり)。
 

その他、所得が前年比大幅に減少した世帯、医療費の一部負担金を減額・免除された世帯、災害により被害を受けた世帯等も、所得割等の減免があります。

 

4. 国民健康保険の計算

(1) 3つの合計

国民健康保険料は、大きく、下記3つの合計で決定されます

① 所得割 + ②均等割 + ③平等割

 

(2)  神戸市での保険料計算(令和3年度の税率。以下同様

上記①~③それぞれに、「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分」という内訳があります。
保険料率や税額等は各市町村によって異なりますが、参考に「神戸市」を例にそれぞれの金額を記載します。
各市町村によって、「独自の控除」があるケースもありますので、ご留意ください。

内訳所得割均等割
(1人当たり)
平等割
(1世帯あたり)
最高限度額
医療分8.81%34,260円23,650円630,000円
後期高齢者支援金分3.30%12,450円8,590円190,000円
介護分3.02%13,890円6,760円170,000円
合計15.13%60,600円39,000円990,000円

所得割は、各世帯の「所得合計」を基礎とした金額で算定します。
均等割は加入人数で決まります。平等割は、1世帯ごとに決められた数値となります。
所得割・均等割・平等割共通ですが、介護分は、世帯内に40歳以上64歳以下の加入者がいる場合のみ、当該加入者だけで計算します。

(所得額とは?)
各種所得控除後の数値です。基礎控除43万円(加入者1人につき)や、各市役所により独自の控除があります。

 

5. 具体例(神戸市を例にします)

神戸市在住、3人家族で「世帯全員」が国保に加入。各人の所得と基準額は以下の通り。

職業年齢所得金額基準額
(左記所得‐基礎控除43万円)
個人事業主42歳事業所得231万円(収入-経費)188万円
パート勤務35歳給与所得45万円(給与所得控除後)2万円
学生10歳所得ゼロゼロ
世帯合計190万円
(1) 所得割の計算

所得割額は、世帯合計の基準額がプラスの場合にのみかかります。
介護分は、40歳以上の方(夫)のみの基準額で計算する点に注意

①医療分+後期高齢者分
(188万円 + 2万円) × 12.11%(8.81% + 3.30%)=230,090円
②介護分
188万円 ×3.02%=56,770円(10円未満切り捨て)
③合計(① + ② )
286,860円
 

(2)均等割の計算

介護分は、40歳以上の方(夫)のみの人数で計算する点に注意

①医療分+後期高齢者分
(34,260円 + 12,450円) × 3人 = 140,130円(医療分+後期高齢者分)
②介護分
13,890円 ×1 人=13,890円(介護分)
③合計(① + ② )
154,020円
 

(3)平等割の計算

39,000円(医療分 + 後期高齢者分 + 介護分)
 

(4)総合計(上記(1)~(3)合計)

286,860円(所得割)+ 154,020円(均等割)+ 39,000円(平等割)= 479,880円

神戸市の場合、別途神戸市独自の緩和措置等がありますので、実際は上記より金額が少なくなります(469,460円)

(参考 神戸市~国民健康保険料計算シート)
http://www.city.kobe.lg.jp/life/support/insurance/hokenryo/08_2.html

 

6. 決定時期、納付方法

● 保険料率の決定時期は、前年「市県民税」決定後の6月。
6月~翌年3月まで、10回に分けて納付(4月・5月は納付書の送付・口座振替はなし)。
● 年金特別徴収の場合は、4月~翌2月までの年金支払月(年6回)で徴収。

 

7. 参照URL

● 神戸市
http://www.city.kobe.lg.jp/life/support/insurance/hokenryo/08_2.html

● 減免制度(神戸市)
https://www.city.kobe.lg.jp/a52670/kurashi/support/insurance/genmensedo.html

8. YouTube

 

YouTubeで分かる「【国民健康保険】加入義務者は? 」
 

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