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Q21 【時効あり?】税金滞納で差し押さえも。申告漏れのペナルティ・罰金の種類・影響は?

最終更新日:2024/02/06

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税金を納めなかったとき等のペナルティ罰金は?

当たり前ですが、税金は国に納める義務があります。
しかし、現実的には、資金繰りの悪化などの理由で税金を滞納する場合や、申告の内容を漏らしてしまった、そんな場合もあると思います。
そこで今回は、税金を滞納した場合のペナルティの種類や、「差し押さえ」までの流れ、時効の有無などをまとめます。
 

ペナルティの種類は①利息的な意味合いの「延滞税・利子税」と、②罰金的な意味合いの「加算税」の2種類となります。

 

1.延滞税・利子税

(1)内容
①延滞税税金を申告期限までに納付しなかった場合
②利子税税金の延納、申告書提出期限の延長の適用を受けた場合

 

(2) 税率

①延滞税

延滞税の税率は、毎年異なります。
 

納期限翌日から2か月を経過する日まで年7.3% vs 特例基準割合+ 1%の低い方
上記以外年14.6% vs 特例基準割合+ 7.3%の低い方

(「特例基準割合」とは?)

前年の銀行の「新規短期貸出約定平均金利」等をもとに算定した割合。
参考に、令和3年1月1日~令和3年12月31日の特例基準割合は、1.5%です。

●なお、延滞税が1,000円未満の場合は納付義務はありません
 

②利子税

利子税については、令和3年1月1日以後は1.0%となっています。
 

2.加算税

加算税の種類は、大きく4つあります。

(1)内容

 

①過少申告加算税名前の通り、税金を過少に申告した場合
②無申告加算税申告期限内に申告しなかった場合
③不納付加算税源泉所得税等を納期限までに納付しなかった場合
④重加算税架空仕入、売上除外等事実の仮装や不正をした場合

 

(2) 税率
過少申告加算税無申告加算税不納付加算税重加算税
正当な理由ある場合等なしなしなし
税務調査を受ける前に
自主的に修正申告
なし5%5%
その他原則10%
(新たに収める税額が、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は15%)
・50万円まで15%
・50万円を超える部分20%
10%
期限内申告追加納付税額×35%
期限後申告追加納付税額×40%

●すべての加算税税額が5,000円未満であれば切捨、課税されません(国税通則法119条4)。
「無申告加算税」は、法定申告期限から1月以内にされた「一定の期限後申告」の場合は課税されません。
「不納付加算税」は、法定申告期限までに納付する意思があったと認められ、1か月以内に納付した時は課税されません
●上記「その他」は、「税務調査修正申告等」の場合です。「調査による更正等予知以後」の税率を記載しています。

(平成28年度税制改正)
上記表は、原則的な税率ですが、平成28年改正により、以下の措置か講じられています。
●過少申告加算税、無申告加算税は、修正申告の時期によって、「税率」が段階的に区分されています。
●短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税の税率は、上記表よりも高くなっています。

 

3.具体例

 

当初申告は期限内。
その後、自主的に間違いを見つけて修正申告した場合
「過少申告加算税」はかからないが、「延滞税」はかかる。
調査の結果、修正申告をすることになったが、
調査後の所得金額が0以下の場合
追加納税額がかからないため、「過少申告加算税」及び「延滞税」もかからない。

 

4.納税方法・経費性の有無・青色申告への影響

(1)納税方法

税務署等が計算して、納付書が送られてきますので、それにしたがって納付することになります。
 

(2)支払額の経費性

罰金のため、損金になりません
ただし、利子税は、制度上認められたもので罰金ではありませんので、納付年度に損金算入できます。
 

(3)青色申告への影響

仮装隠ぺいした場合や、法人で2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合には、青色申告を取り消しされる場合があります。

 

5.税金滞納の影響

税務署から目を付けられるため、税務調査が入る可能性が高くなる
「納税証明書」に未納がある場合は記載されるため、銀行融資に制限が入る可能性がある。
差押になった場合は、市場価額の20~30%の低い価格で取引されるため、大きな損失を被る可能性あり。

特に、銀行融資の「審査」には大きな影響があると思われますので、あらかじめ支払いを済ませておく方が無難です。
 

なお、個人の場合、税金や社会保険料の納付状況は「個人信用情報」の登録対象ではないため、滞納があっても「ブラックリスト」に載ることはありません。
そのため、滞納があってもクレジットカードやカードローンの審査には影響しません。
 

6.滞納・申告漏れは「脱税」になるのか?

「脱税」というのが、具体的にどういったものなのか?の定義はありません。
一般的には、脱税というのは、明らかに「大きな仮想隠蔽」をしている場合で、国税局の査察部が強制調査により告発するケースです。
したがって、仮に、税務調査で誤りや不正がみつかっても、「脱税」ではなく、単なる「申告漏れ」となります。
滞納が長くなったからと言って・・「脱税」に変わるわけではありません。

 

7.滞納すればすぐ「差し押さえ」になるのか?

1日でも納期限を超えて納付してしていなければ「滞納」となります。ただし、税金を滞納したり「督促状」が来たからといって、すぐに差押えられるわけではありません。

(1) 差し押さえになるまでの流れ

 

①督促状の送付「滞納」すると、納期限から1か月程度をめどに税金支払にかかる「督促状」が送付されます。
②電話や書面・訪問等による督促「督促状」の後、電話や書面、場合によっては訪問等により督促がされることもあります。
③人物や財産の調査税務署は、何度かの催促でも応じない場合は、差し押さえの前準備として納税者自身の財産情報の調査を行います
④差し押さえ「差押禁止財産」を除いて資産が差し押さえられ、財産は公売にかけられ、その売却額で滞納分を支払います

 

(2) 差押えされないためには

法律上は、差し押さえは「督促状送付後10日以降」であれば実施できることになっていますが、
現実的には、上記②の状態で支払を行えば、差し押さえされることはありません。
したがって、督促状が届いたら、まずは納税について税務署と相談をしましょう。税務署はある程度融通を利いてくれます。状況に応じて分納なども提案してくれます。
 

なお、すべての財産が差押えられるわけではありません。生活をする上で最低限の財産(差押禁止財産)は差し押さえされません。例えば、生活衣類、寝具、食料や燃料などです(給料や不動産は差し押さえになります)。
 

8.時効は?

税金滞納の消滅時効は「5年間」となっていますが、税金滞納後、税務署からの督促、差押などで「時効の中断」されますので、実質的にはこの時効になる5年目を迎えることはなく、免税はされないというのが実態です。
 

9.参照URL

(損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5300.htm

(延滞税・利子税)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm

(確定申告を間違えた時)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm

(確定申告を忘れたとき)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm

(不納付加算税)https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/shotoku/gensen/000703/01.htm

 
 

10.YouTube

 
YouTubeで分かる「税金滞納」
 

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