税金の豆知識

Q33 役員退職金支給の際の留意点は?

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役員退職金支給の際の留意点は?

役員退職金は、給与や賞与と比較して、税法上非常に有利な取り扱いとなっています。
 
事業承継の一環として、役員退職金の支給により、自社株式の評価を下げる手段としても活用されています。

税務上の退職所得の算定方法(所得税)

退職所得の金額は、次のように計算します。

● (収入金額(源泉徴収前) - 退職所得控除額) × 1/2=退職所得の金額

退職所得控除額

● 勤続年数20年以下・・・40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
● 勤続年数20年超 ・・・800万円+70万円×(勤続年数-20年)

(例) 

勤続年数20年、退職金1,000万円の場合
⇒(1,000万円-800万)×1/2 =退職所得100万
 
もし、1,000万円を「退職金」ではなく、「給与」でもらったら?
⇒(給与収入1000万円―給与所得控除220万円)=給与所得780万円

 

どうです?だいぶ違うというのが分かると思います。
 
要は、「退職所得控除」っていうのと1/2っていうのが大きいんですね。
(所得に税率をかけ合わせて「税額」はきまります。)

 

例外~特定役員退職手当等~(所得税)

例外的に、役員等の勤続年数が5年以下で、役員退職金の支給を受ける場合には、上記2分の1ができません
役員とは、法人税上の役員等を指します。

 

退職金の金額はいくらでもよいの?

「不相当に高額とされる部分」の金額は、損金に算入されません。
例えば、同業種同規模の会社の支給状況や、法人業務従事期間、事情等を勘案して妥当な水準を決定します。

 

実務的には、功績倍率法が用いられることが多いです。

功績倍率を用いた場合の退職金の計算式は、以下となります。

最終報酬月額×勤務年数×功績倍率(代表取締役なら2~3倍程度が目安)

功績倍率は、一定集団を用いた平均値等、根拠ある倍率を用いる必要があります。
 
なお、最終報酬月額が0の場合も、支給できないわけではありません。功績倍率法を使わず、1年当たりの平均退職金×勤続年数等を用いて支給されることもあります。

 

支給手続・損金算入時期

(1)支給手続
取締役に対する報酬の一部とされ、株主総会決議が必要となります。一般的には、株主総会で総額のみを決議し、各人別の金額や支給時期、方法等は取締役会に一任する旨の決議を行うのが一般的です。

(2)損金算入時期は?
 

原則 支給額確定の株主総会決議日(or方法等一任を受けた取締役会決議日)の属する事業年度。
例外 実際支給日の属する事業年度において損金経理をした日

 

退職金を分割払いした場合や年金で支払った場合は?

役員退職金は、支給確定年度に「一括費用計上」が可能ですし、複数年度に分割支給する場合には、それぞれの年度の経費とすることも可能です(法基通 9-2-28但書)。

ただし、支給確定年度に「一括損金計上」する場合で、支給する分割期間があまりに長いと、損金が否認されるケースがあります。
期間は特に定められていませんが、概ね「3年程度が目安」だといわれています。
(退職年金制度の場合に支給する退職年金は、その支給の都度、損金計上となります)
 

役員分掌変更の場合は?

役員が非常勤役員になった、取締役から監査役になった場合はどうでしょう?

分掌変更後の役員給与の額が、おおむね50%以上減少した場合等、実質的に「退職と同様の事情が認められる場合」に支給される分は、役員退職金として取り扱うことができます。
 
ただし、単に形式的に変更しただけで、実態を伴っていない場合はだめです。50%減額したものの、従前と変わらず、意思決定を実質的に行っている代表者などですね。

(例)

● 社長が非常勤取締役に分掌変更し、役員給与も50%以上減額
しかし、100%の株式をは変わらず保有、役員会に出席して会社の経営参画
実質的な退職とは認められません。

( 判例では、以下の状況をもとに、役員退職金が否認されているケースがあります)
 

新しい代表者が、会社の状況を把握できていなかった
主要な取引先に、代表者の交代事実を知らせていなかった
給与減額が不自然(一度増額してから減額)
その事業年度に、満期保険金等による多額の雑収入があった
その他、社長の退職が名目的なものに過ぎないような状況がある

 

(分掌変更での分割払は損金認められるか?)
「分掌変更」による退職金の場合も、分割支給による損金算入が認められます
(平成27年2月26日東京地裁)。
 

使用人から執行役員、執行役員から取締役になった場合は?

執行役員は、会社法・法人税法上の役員ではありません。
執行役員がらみの「分掌変更時」に退職金を支給した場合の取り扱いは以下となります。

使用人⇒執行役員 法令上の地位に変動はありませんので、原則として「給与」として扱われます。
執行役員⇒取締役 法令上の地位に明確な地位変動がありますので、原則として「退職所得」として扱われます。

ただし、形式的な判定だけでなく、労働条件等の重要な変更等、特別の事実関係を把握して、実質的に退職所得か給与所得の判定を行います。
 

 

退職金制度を廃止した場合は?

役員退職金制度を廃止した場合に、制度廃止時までの役員退職金を支給した場合はどうなるでしょうか?
まだ退職したわけではないので、「役員賞与」として取り扱われる可能性があります。
 
制度廃止時は、総額の見込額を未払金などに計上し(申告加算)各人別の支給額や支給時期などは、実際の退任時に改めて決定するのが良いと思われます。

 

退職金の源泉徴収(源泉所得税)

「退職所得の源泉徴収税額の速算表」を用いて、一定金額を源泉徴収しなければなりません(「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合は、20.42%の源泉徴収)。

参照URL

(退職金を受け取った時)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/shoto308.htm

(役員の退職金の損金算入時期)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5208.htm

(相続税~退職手当金関係)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4117.htm

(役員昇格・分掌)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5203.htm

(使用人から執行役員への就任退職手当等)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/071205/01.htm

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