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Q35 確定申告が必要な人・不要な人。しないとどうなる?気になる住民税の関係とは?

最終更新日:2024/08/16

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Q35 申告義務のある人って?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

確定申告

サラリーマンの方は、勤めている会社が年末調整してくれますが、フリーランスの方は、原則として毎年「確定申告」が必要となります。でも・・例外ってあるのでしょうか?
フリーランスでも確定申告しなくてよい人?がいるのかどうか!
今回は、「確定申告しなくてもいい人」をまとめてみました。

 

1.申告義務のある方って

所得税では、「確定申告をする必要がある人」は、以下のように決められています。

原則・・その年の「所得金額の合計額」が「所得控除の合計額」を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人

 →一般の方には・・わかりにくい書き方ですね。。

所得税っていうのは、収入に対してかかるわけではなく、所得に対してかかります。
所得は以下の式で表されます。

所得=収入-経費ー各種所得控除

収入から経費や所得控除を差し引いて、所得がゼロの方は、確定申告は必要ありません。

では・・所得控除って何でしょう?
 

基礎控除例えば、本人所得が2,400万円以下の方の場合、48万円の所得控除(基礎控除)があるため、収入が48万円以下の人は申告義務自体がありません。
例えば、ネット事業を始めたものの・・、結局経費がかかって赤字でした!みたいなケースです。
その他の控除また、基礎控除48万円以外にも、差し引けるいろんな「所得控除」があります。
例えば、生命保険料の支払が4万円以上ある方だと、収入が52万円以下(48万円の基礎控除+4万円の生命保険料控除)であれば申告義務がありません。

つまり、申告義務が生ずる金額は、各人の状況に応じた「所得控除」の有無によって異なってきます
 

2.実際は申告している人が多い?

ただ、現実的には、所得ゼロでも申告されている方は多いです。
これは、以下の理由が背景としてあります。

確定申告をすることで税金が返ってくる場合がある。
(収入から源泉徴収されている場合や、医療費控除を受ける場合など)
青色申告恩典(損失繰越、青色申告特別控除等)、株式等の譲渡損失の繰越控除を受けるには確定申告が必要
銀行融資等を受ける際に確定申告書等の提出を求められる場合がある。また「非課税証明書」「所得証明書」が発行されず、国民健康保険料の軽減措置や、お子様の奨学金の申請などができない恐れがある。
住民税の計算は、所得税の計算と控除額などが微妙に異なる。

 

3.副業している場合は?

副業の人はどうなるの?

サラリーマンの方で、副業収入がある方はどうなるのでしょう?
「副業収入が20万以下なら確定申告不要?」という話を聞かれることも多いと思います。

給与収入の方で、確定申告しなくてよい人は以下のとおり。

「給与の収入金額が2,000万円以下、かつ1か所から給与等の支払を受けており、その給与全部について源泉徴収される人で、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下の人」

 

(留意事項)
1カ所からだけ給与の支払を受けている」ことが条件です。
2か所から給与の支払を受けている方は、原則的には確定申告が必要となります(例外もあります 下記4参照)
同族会社の役員などが、その同族会社から役員給与(給与所得)のほかに貸付金の利子や不動産の賃貸料などを受け取っている場合には、
これらの所得金額が20万円以下の場合でも、確定申告が必要になります。
住民税は、この20万円以下の例外規定がありません。

 

4.2か所以上から給与の支払を受けている場合は、必ず確定申告が必要?

例えば、本職のサラリーマン以外に、別途、アルバイトで給与をもらっている方などです。
2か所以上から給与の支払を受けている人でも、そもそも、上記「申告義務のある方って」で記載した要件に当てはまらない方は、確定申告不要です。
例えば、2か所合計給与から各種の所得控除等を差し引いたら「マイナス」の方です。
 

(1)例外規定

上記の他、以下の例外規定があります。

「給与所得」の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄付金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、⇒申告の必要はありません。

 

(2) 具体例

① 主たる給与の所得200万円(年末調整済)
② 主たる給与以外の給与所得 20万円(源泉徴収済)
③ 給与所得及び退職所得以外の所得(事業、不動産、雑所得等)18万円
その他、所得控除が80万円あるものとします。
 

2か所から給与をもらっているため、原則として確定申告が必要となります。
ただし、上記(1)の規定に当てはめます。

 

「給与所得」‐所得控除<150万円以下か?給与所得(主たる給与以外も含む)の合計は220万円(①200万円+②20万円)。そこから所得控除80万円を差し引くと140万円、つまり150万円以下となります。
⇒要件満たす
給与所得及び退職所得以外の所得金額合計額<20万円「給与所得及び退職所得以外の所得」のため、従たる給与(②の金額)は含めず、③の金額だけで判断します。
つまり、今回の場合、③の金額18万円≦20万円なので⇒要件満たす

(結論)

この例では、主たる給与以外の②と③の合計は20万円を超えているにもかかわらず、この規定により、確定申告の必要がないということになります。
 

(3) 給与の全部につき源泉徴収されていることが前提

ただし、上記(1)の規定は、給与の全部につき、源泉徴収等がされていることが前提の規定となります。

~所得税法121条抜粋~
第百二十一条 ・・給与等・・の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、・・申告書を提出することを要しない。・・
一 ・・・(省略)
二 二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条(源泉徴収)又は第百九十条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、イ又はロに該当するとき。
イ ・・従たる給与等・・の金額と、その年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が二十万円以下であるとき。
ロ イに該当する場合を除き、・・給与等の金額が百五十万円と社会保険料控除の額、・・との合計額以下で、かつ、その年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額が二十万円以下であるとき。

例えば、2か所以上でバイト等をされていて、、所得控除を差し引いた最終合計所得金額が150万円以下になる場合でも、給与所得から源泉徴収されていなければ、上記の規定は適用できません
 

(3) 申告すれば還付されるケースも

なお、2か所以上から給与の支払を受けている場合は、副業の給与から源泉徴収額が多く引かれているケースが多いですので、確定申告することで、税額が還付されるケースもあります。
 

5.申告しないとどうなる?

確定申告をしない場合、本来の税額に加えて、「無申告加算税」や「延滞税」の加算、悪質な場合は刑事罰を課せられる可能性があります。

 

税率内容
無申告加算税納税額に対して15%~20%
(自主的に期限後申告をした場合には、5%に軽減)
申告しないことに対するペナルティ
延滞税特例基準割合+1%or7.3%期限内に納付されなかったことに対するペナルティ

詳しくは、Q21をご参照ください。
 

6.年金受給者で確定申告不要の人は?

その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合は、確定申告の必要がありません(源泉徴収の対象とならない公的年金等の支給を受ける者は除く)

 

7.参照URL

(確定申告をする必要がある人)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm

 

8.YouTube

 
YouTubeで分かる「確定申告の申告義務」
 

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