税金の豆知識
Q42 社員食堂や残業食事代には税金がかかる?
公開日:2015/09/07 最終更新日:2020/04/2331002view
。・・。
従業員等に対して、社員食堂や残業食事等を支給することってありますよね?
これらは、原則として支払った会社側は経費になりますが、受け取った従業員側は、給与課税されます。
でも・・・会社としては、福利厚生の一環で支給することがほとんどですね
そこで、一定要件を条件に、従業員に税金がかからないケースが認められています。
目次
1. 給与にならない(所得税がかからない)要件
① | 食事を受ける社員等が、食事代の半分以上を負担 |
---|---|
② | 食事を提供する会社側の負担額が、一人当たり月額3,500円(税抜)以下 |
上記の要件「どちらも満たせば」給与課税されません。
逆に、満たさない場合は通常の給与同様、源泉徴収義務が生じます。めんどうです・・
なお、
・会社負担額が月額3,500円を超えた場合は、超過部分だけでなく、負担額全額が課税対象となる点、注意です。
・3500円以下でも、食事ではなく金銭を支給した場合は、給与として課税されます。
2.事例
食事代等(1人/月) | 従業員負担 | 会社負担 | 摘要 | |
---|---|---|---|---|
○ | 8,000円 | 5,000円 | 3,000円 | ①②ともに満たす |
× | 8,000円 | 4,200円 | 3,800円 | ①は満たすが②は満たさない(注) |
(注)3,500円を超えた300円ではなく、3,800円全額に所得税がかかります。
最近では、Googleなど「社員食堂」を無料で開放している会社もありますね。ビュッフェスタイルなどかっこいいです。
ただし・・おそらく、無料の「社員食堂」は、給与課税になっていると思われますので・・どちらがよいか?ですね。
3. 食事代はどうやって算定する?
では、食事代、つまり、半分の負担などを判定する「食事の価格」は、どうやって算定するのでしょうか?
・ | 弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う価格 |
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・ | パンなど、販売しているものを買った場合は、「支払った価額」 |
・ | 社員食堂などで「会社がつくった食事を支給している場合は、材料費等、食事を作るための直接費用合計(注) |
(注)人件費や光熱費などは、「食事の価額」には算入されません。また、自社の社員食堂でも、委託業者が食材の調達から調理まですべて行っている場合には、他からの購入に準じて計算します。
4. 留意事項
・ | 全ての従業員に、公平に提供する必要があります。 |
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・ | 現金支給は、原則的に認められません。食事手当等で「給料上乗せ」も×。(注) |
・ | 1人社長の会社や、個人事業主の場合は、 税務署から否認されるケースも多いようです。 一人だと普通の食事も全部残業食事代することもできてしまうので、 ハードルは高いかもですね。 |
(注)会社側で食事を用意できない場合「従業員本人の立替レシートで後日精算」程度なら、問題ないかと思います。
5. 従業員負担食事代にかかる消費税課税関係
事業者が、従業員負担分の食事代などを受け取った場合は、受け取った金額が課税仕入れとなります。
まとめると以下の通り。
直営や外部委託給食施設(※1) | 無償で食事提供 | 課税対象外 |
---|---|---|
有償で食事提供 | 徴収代金が課税売上 | |
外部の食堂(※1) | 食券無償で交付 | 課税対象外 |
食券有償で交付 | 徴収代金が課税売上(※2) |
(※1)事業者が負担する材料費、光熱費、施設の運営費、外部食堂への食事代金は課税仕入
(直営給食施設の従業員に支払う給与は課税仕入×)
(※2)従業員から受け取った食券代金を「預り金」処理し、契約食堂代金に充当する場合は課税対象外
この場合は、「事業者実際負担部分」のみが課税仕入れの対象となる。
6. 残業等の場合
上記規定にかかわらず、残業、宿日直時の食事の現物支給は、給与課税されることはありません(価格の制限なし)。
とはいっても、出前やコンビニ弁当等、常識の範囲内でしょうけど。
7. 現金支給の例外は?
ちょっと論点から外れますが、従業員への食事で、現金支給ができる例外があります。
深夜勤務(22時~29時)で、夜食の現物支給ができない場合、1食あたり300円以下(税抜)の現金支給については、給与課税されません。
ただし、この規定は、正規勤務時間が深夜の方の規定です。
正規就業時間が夕方までの方が、残業で22時を越えた場合は適用されません。
(食事の現物支給と同視されることが立証できれば、「非課税」の余地はあるという見解もあります(税務通信 NO3532)
別の規定ですが、宿日直に関しては、宿直料等として、勤務1回あたり4,000円以内(食事含めて)の支給なら、「非課税」という規定がありますので、食事代を含めて4,000円以内なら、結果的に税金はかかりません。
参照URL
(食事の支給による経済的利益はないものとする場合)
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/05/04.htm
(食事を支給したとき)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm
(深夜勤務夜食の金銭支給)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/840726/01.htm
(宿日直料)
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/04/03.htm
(従業員負担消費税)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6471.htm