税金の豆知識

Q45【明細書付】医療費控除に交通費や家族分は含まれる?明細書の記載方法

最終更新日:2024/08/19

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医療費控除できるものって?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

毎年、年末にかけて、「医療費控除」の話題がよく出てきます。
医療費控除は、支払った医療費につき、確定申告することでその年の所得税安くなる制度です。

サラリーマンの方の場合、確定申告することで、毎月天引きされていた所得税が「還付」されます。
今回は、「医療費控除」の計算方法、医療費控除の対象となる範囲を中心に解説します。

 

1. 医療費控除の対象期間は?

毎年、1月1日から12月31日までに支払った分です。
前年分や、支払がまだされていない医療費は対象となりません。
 

2. 「生計を一」にする家族の分も対象

医療費控除は、本人の分だでなく、「生計を一」にする親族が支払った医療費も合算して申請可能です。
 

「生計一」という概念は「扶養」とは異なります。扶養親族でなくても、「同居していれば」、一般的には「生計一」と認められます(明らかにお互い独立生活を営んでいる場合を除く)
一方、別居の場合でも、日常生活費を負担している場合は「生計一」と認められます。
 

同居の場合一般的には「生計を一」となります(明らかにお互い独立生活を営んでいる場合を除く)。
別居の場合実態判断。ポイントは日常生活費用(住居費や食費、光熱費、学費、医療費など)を負担しているか?

 

3. 対象となる「医療費」

医療費控除できるものって?

医療費すべてが対象となるわけではありません。
基本的には「医師による治療が必要なもの」が対象となり、「予防」的なものは含まれません
例えば、疲労回復、美容関係は「治療」ではありませんので、対象外です。
また、健康増進、人間ドック等は「予防的な」ものですので、対象外となります。

 

(1) カテゴリごとのまとめ
カテゴリ医療費控除○医療費控除×
治療病院、歯科の治療費、薬代健康診断・人間ドック・美容整形
入院入院代・食事費用差額ベット代
(なくてもよいから)
入院時の消耗品
(なくてもよいから)
マッサージ医師のあん摩・マッサージ・指圧・柔道整復師が行う場合単なるマッサージは×
処方箋、薬局等での市販薬ビタミン剤、漢方薬、予防接種
妊婦妊婦検査費用・出産入院費・不妊治療はOK里帰り出産の飛行機代
(飛行機で帰る必要なし)
介護在宅で介護保険をつかった時の介護費用訪問介護(生活援助中心型)
メガネ
コンタクト
医師の治療上必要とされ、治療方法に合致するもの
(レーシックは○)
通常のものは×

 

(2) 交通費は?

例えば、病院までの公共交通機関交通費(電車・バス)はOK。です。この場合、領収書は必要ありません。
ただし、タクシー、マイカーガソリン代、駐車場代は×です。
(移動困難な場合のタクシーはOK)
なお、介添えが必要な通院等の場合、介添えの方の交通費も控除可能です。
 

(3) おむつ代は?

通常の赤ちゃんのおむつ代は×。です。一方、「おおむね6か月以上寝たきりの方の「おむつ代」は、医療機関が発行する「おむつ使用証明書」を要件に、医療費控除の対象となります。
 

(4) 歯列矯正は?

歯科矯正は、発育過程にあるお子様の矯正と大人の場合で、要件が異なります。美容のための矯正は対象となりません。

発育過程の子供の歯科矯正正しい成長を促すための治療としての位置づけ。目安は中学生程度まで
大人の矯正治療噛み合わせが悪いことで咀嚼に問題、あるいは歯並びが悪いことで発音に影響がある場合などはOK

 

4. 医療費控除の金額は?必ず10万以上必要か?上限は?

原則的に、年間10万円を超えた場合、医療費控除が可能です。
ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%の金額以上あれば「医療費控除の対象」となります。

● 医療費控除の額=年間支払医療費合計-保険等で補てんされる額-10万円(※)

(※)総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%の金額

 

(例題)
●給与年収250万円の方(給与所得控除83万円)

250万(給与収入)-83万(給与所得控除)=167万
167万<200万
この場合は、167万円×5%=83,500円以上あれば「医療費控除」が可能となります。
 

なお、医療費控除の上限は、年間最大200万円までとなっています。
 

 

5. 住民税も安くなる?

医療費控除は、所得税だけの制度ではありません。所得税確定申告をすることで、住民税も自動的に安くなります。
住民税の税率は、所得の10%ですので、基本的に医療費×10%の住民税が安くなることになります。
意外と影響は大きいですよ!
 

6. 還付の方法

医療費控除は会社で「年末調整」はしてくれません。ご自身でをする必要があります。
「確定申告」することで、税金が「税務署」から返還される場合があります。
 

なお、「医療費控除」は、あくまで税金が還付されるものです。
したがって、当たり前ですが、いくら「医療費控除」があったとしても、支払うべき所得税・住民税がない場合は、1円も返ってきません。
よく「医療費の補填的なもの」と勘違いされますがそうではありません。税金の制度です。
 

7. 医療費控除の明細書の記載方法

医療費控除を受けるためには「医療費控除の明細書」を確定申告に添付しなければいけません。
従来は、領収書の添付が必要でしたが、現在は領収書の提出の必要はなく、それに変えて「医療費控除の明細書」を提出します。
 

8. 参照URL

(医療費を支払ったとき)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

(医療費控除の対象となる医療費)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm

 

9.YouTube

 
YouTubeで分かる「医療費控除」
 

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