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Q58【事業所税】課税されるケースは?会計処理や勘定科目・税務処理・損金計上時期は?/免税点はあるのか?

最終更新日:2023/05/16

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事業所税って何?損金計上時期は?

名前は似ていますが、「事業税」とは別に、「事業所税」という税金があります。
特定の市区町村で事業を行っている会社の場合、事業所税という「市民税」が課税されるケースがあります。
事業所税とは、人口30万人以上の特定の市区町村だけに課税される税金です。

今回は「事業所税」が課税される方がどういった方なのか?会計・税務処理・免税点等につき解説します。
 

1. 課税対象

事業所税が課税される対象は、事業所等において事業を行う法人(or個人)となります。
ただし、すべての市区町村で課税されるわけではありません。人口30万人以上の市区町村のみが対象となります。
兵庫県の場合は、神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、明石市、姫路市となります。

したがって、上記の市町村に法人を移転する場合は、事業所税が課税されるケースがある点に留意が必要です。
 

2. 事業所税の計算方法・納期限

事業所税には、①事業所用家屋の床面積に課税される資産割と、②従業員給与に対して課税される従業者割の2種類があります。それぞれの計算方法をまとめると、以下となります。

資産割 事業年度末日の各指定都市内の事業所床面積合計(㎡)× 600円/㎡
従業者割 年間に支払われた各指定都市内の従業者給与総額 × 0.25%

なお、期中に事業所を新設・廃止した場合は、新設・廃止日から1カ月以内に「事業所等の新設・廃止申告」を行う必要がある点に注意が必要です。
期中新設・廃止の場合の納税額は、月割計算になります。
 

(1) 資産割の対象となる事業所

事業所等とは、事業の必要から設けられた人的、物的設備で、継続して事業が行われる場所をさします。具体的には、事務所、店舗、工場、倉庫等などです。所有するものに限らず、借りて使用している場合も含まれます。

ただし、一定の施設において行う事業は非課税とされます。
 
【事業所等に該当しない代表例】

社宅、社員寮などの住宅 「住宅」は事業所等に該当しません。
設置期間が2~3か月程度の現場事務所等 事業継続性がないため、事業所等と扱いません。
福利厚生施設 保養所、食堂などは非課税。更衣室・休憩室などは実態判断されます。
路外駐車場 広く一般に公開される「時間貸し駐車場」は非課税となります。

【共用部分の取扱い】
事業所家屋の共用部分がある場合、共用部分の床面積も課税対象となります。共用部分も含めた事務所床面積の算式は以下となります。

 

(2) 従業者割の対象となる給与

●65歳以上の者や、障害者の給与は含めません。
役員やアルバイトの給与は含みます(ただし、免税点判定の際は、アルバイトの人数は含めません)
●賞与や各種の手当は含みますが、退職給付金、年金、恩給等は含まれません。

 
 

(3) 納期限

申告・納付期限は、法人の場合は事業年度終了の日から2月以内、個人の場合はその年の翌年3月15日となります。
 

3. 免税点

中小企業の負担軽減の観点で、以下の免税点が設けられています。免税点以下の場合は、事業所税は課税されません。

免税点に該当するかどうかは、各々の各指定都市内で有するすべての事業所を合算して判定します。
また、会社の事業年度末日で判定します。

資産割 各指定都市内の「事業所床面積合計」が1,000㎡以下
従業者割 各指定都市内の「従業者合計」が100人以下

●上記のうち、片方だけが免税点を超える場合は、免税点を超えた方につき単独で申告・納付します。
●事業所等に共用部分がある場合は、共用部分を含んだ面積で判定します。
免税点の判定には、パート・アルバイトは含まれません(役員は含まれます)。また、年齢65 歳以上の方や障害者も含まれません。
●「特殊関係者」(親族その他の特殊の関係にある個人又は同族会社)と同一の家屋で事業を行っている場合、その特殊関係者の行う事業は共同事業とみなされます。この場合、免税点の判定はその者の事業と特殊関係者の事業を合算して行います(みなし共同事業)。

 

4. 会計・税務処理

(1)会計処理

事業税は、申告納税方式となりますので、通常の決算時の法人税等と同様に未払計上を行います。
決算仕訳で、「租税公課」及び「未払事業税」を計上します。

 

(2)税務処理・損金算入時期

原則的に、申告書を提出した事業年度に損金算入が認められます。
つまり、決算で未払計上した場合は、申告上、加算処理を行いますが、翌年申告書提出時点で減算処理を行います。固定資産税など、賦課決定日に損金算入できる賦課課税方式の税金とは大きく異なります。

ただし、例外的に、製造原価等で、決算時に損金経理により未払計上した事業所税は、損金経理をした事業年度に損金として認められます。
   
 

5. 免税点以下でも申告が必要なケースも

免税点以下で課税されない場合でも、申告が必要なケースがあります。
以下の場合は、たとえ税金が課税されない場合でも、申告書の提出が必要となります。

資産割 各指定都市内の「事業所床面積合計」が800㎡超
従業者割 各指定都市内の「従業者合計」が80人超

6. 参照URL

(No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5300.htm

 

 

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