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Q83【具体例付】外貨建取引の会計処理/税務上の法定換算方法/為替レートはどれを使う?

公開日:2017/03/29 最終更新日:2021/08/02

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Q83 外貨建取引の会計処理/税務処理は?

輸入や輸出を伴うビジネスの場合、取引単位が外貨建ての取引も出てきますよね?
これらの外貨建の取引は・・会計帳簿は円で入力しますので「日本円」に換算しないといけません。

また、取引時の為替レートは、代金決済時には変動している場合がほとんどです。
こういった為替レートの変動部分については、どういった会計処理が行われるのでしょうか?

今回は、具体例を使って外貨建取引の会計処理をお伝えし、税務上定められた外貨建取引の換算基準につき解説します。

 

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1. 具体例

外貨建取引は、最終的には、外貨ではなく日本円に換算して「帳簿入力」しなければいけません。
取引時・決済時の仕訳につき、以下、具体例を用いて解説します。
 

●3月1日に海外から100ドル商品を買掛仕入。3月1日の為替レートは100円/ドル
●4月30日に、上記100ドルの掛代金の支払いを行った。4月30日の為替レートは110円/ドル

 

2. 取引時の会計処理

(1) 会計処理

外貨建金額×「取引時点」の為替レートで日本円に換算します。

借方 貸方
3月1日(取引時) (※1)仕入 10,000 買掛金 10,000

(※1)仕入(P/L)の金額は、取引時点の為替レートで確定します。

100ドル×100円/ドル(取引時3月1日の為替レート)
 

(2)為替レートはTTM?TTB?TTS?

日々の為替レートは、銀行等で開示されています。ただし、同じ通貨でも、電信買相場(TTB)、電信売相場(TTS)、仲値(TTM)の3種類があります。どれを使えばよいでしょうか?
税法上、為替レートの適用方法は決められています。(法基通13の2-1-2)

原則 取引日のTTM
例外(継続適用が要件) 収益・資産 TTB
費用等・負債 TTS

なお、為替レートは銀行によって異なる場合もありますが、継続適用をしていれば、どこの銀行が公表している為替レートでも問題ありません。
 

(3) 取引時の為替レート以外の例外は?

先ほどの例では、取引時点の為替レートで換算を行いましたが、現実的には、取引量が多い場合、日々の為替レートを調べて換算を行うのは実務上非常に大変です。
そこで、例外的に、継続適用を要件として簡便的な為替レートの適用が認められています(法基通13の2-1-2)。

原則 取引日の為替レート
例外(継続適用が要件) 取引日の属する「一定日」

・取引月の初日or前月末日

・取引週の初日or前週末日

取引日の属する「一定期間(※)の平均値」

・取引月の前月平均相場

・取引週の前週平均相場

(※)一定期間は、1か月以内となっており、1年間、半年などの例外は認められていません。
 

3. 決済時の会計処理

決済時は、「決済時点」の為替レートで円換算し、差額は「為替差損益」として処理します。
 

借方 貸方
4月30日(決済時) 買掛金
為替差損
10,000
1,000
現金 11,000

決済時は、決済時点(4月30日)のレート(110円)で支払うことになります。取引時の買掛金は100円/ドルで計上していますので、決済時に支払額を円換算した金額と差額が生じることになります。この差額は、「為替差損益」として計上します。
100ドル×(110円/ドル – 100円/ドル)=1,000円

為替差損益の「性格」は、商品代金の変動ではなく、あくまで仕入取引時点と、決済時点の「為替レートとの差額」です。つまり、決済時点までの相場変動による損益ですので、仕入、買掛金ではなく営業外損益の「為替差損益」で計上します(営業損益ではない)。

 

4.決算時の会計処理

取引時と決済時の間に「決算」をはさむ場合は、少しややこしくなります。
決算期末時点で未決済の「外貨建資産や負債」がある場合は、決算時点の為替レートに「換算替え」をしなくてはいけない取引があります。先ほどと同じ具体例を用いて、3月決算の場合を前提に解説します。

 

●3月末決算
●3月1日に海外から100ドル商品を掛仕入。3月1日の為替レートは100円/ドル
●4月30日に、上記100ドルの仕入代金の支払いを行った。4月30日の為替レートは110円/ドル
●3月末決算時に、上記未決済の「買掛金」につき、期末レートで換算を行う。3月末為替レート 120円/ドル

借方 貸方
取引時(3/1) 仕入 10,000 買掛金 10,000
決算時(3/31)(※1) 為替差損 2,000 買掛金 2,000
翌期首(4/1)(※2) 買掛金 2,000 為替差益 2,000
決済時(4/30)(※3) 買掛金
為替差損
10,000
1,000
現金 11,000

(※1)
100ドル×(120円/ドル – 100円/ドル)=2,000円
代金決済までの間に、決算日が到来する場合は、期末外貨建買掛金残につき、「仮に決算日に代金決済したと仮定した」差額を「為替差損益」で計上します。決算時点ではお金の動きがないのでイメージが難しいかもしれませんが、決算時点で「買掛金換算」することで、期末時点の「買掛金」の実態(時価のようなもの)を示すというイメージです。

 

(※2)翌期首は、前期末決算で換算替えした金額を「洗替処理」します(法施令122の8①)
 

(※3)決済時は、決済時のレート110円/ドルで支払うことになりますので、支払額11,000円(110円×100ドル)と、当初買掛金額10,000円の差額1,000が「為替差損益」となります。

 

5.外貨建取引の税法上の取扱い

為替差損益は、益金損金の額に算入されます(法61条の9②)。

 

(1) 外貨建取引の換算

税法上、外貨建取引を行った場合の換算レートは、当該外貨建取引を行った時のレート(発生時換算法)とされています(法61条の8①)

 

(2) 期末外貨建資産等の換算方法

税法上、期末に保有する外貨建資産等の換算は、「勘定科目」ごとに適用すべき為替レートが決められています(法61条の9第1項)(「企業会計上」の為替レートは、微妙に異なる科目があり、申告調整が必要な場合もあります)。
 

取引発生時のレートで換算する方法は、「発生時換算法」、決算時のレートで換算する方法は「期末時換算法」と呼ばれています。つまり、すべての勘定科目が決算日に期末レートで換算するわけではないという点にご留意ください。
発生時換算法が採用される勘定科目については、決算時は特に換算替えは行われません

 

勘定科目 法人税法 法定換算方法
(※1)
企業会計
外国通貨 期末時換算法 期末時換算法 同左
外貨預金&
外貨建債権債務
(短期)(※2)
期末時換算法 or
発生時換算法
期末時換算法 同左
外貨預金&
外貨建債権債務
(長期)(※2)
期末時換算法or
発生時換算法
発生時換算法 期末時換算法
有価証券 売買目的 期末時換算法 同左 同左
売買目的外 償還期限・
償還金額定めあり
期末時換算法 or
発生時換算法
発生時換算法 期末時換算法
上記以外 発生時換算法 同左 期末時換算法
子会社
関連会社株式
発生時換算法 同左 同左

(※1)法定換算方法とは、税務署に換算方法の届出を行わなかった場合の換算方法(法人税法施行令122条の7)。「法定換算方法」以外を選定する場合は、選定事業年度の申告期限までに、税務署に「届出書」を提出。原則3年間は継続適用が必要です(法基通13の2-2-15)

(※2)決済期限又は満期日が翌期首から1年を経過した日の前日まで(翌期中)に到来するものが「短期」それ以外が「長期」となります。

 

(注意事項)

●未収収益や未払費用は、「外貨建債権及び債務」に該当するため、換算を行います。
●換算対象となるのは「貨幣性資産」で、棚卸資産、固定資産、繰延資産などの「非貨幣資産」は換算されません
前渡金や前受金で資産の売買代金に充てられるものは、外貨建債権及び債務には含まれず、換算されません
(基通13の2-2-1)。
●期末時に為替相場が著しく変動した場合(おおむね15%以上)、期末時の為替相場に置き換えて取引日及び期末時の換算とすることができる例外規定があります(法61の9④、法基通13の2-2-10)。
 

6.為替差損益の相殺

外貨建取引が期中に複数ある場合は、為替差益と為替差損が両方残る場合があります。
これらはどちらも「為替」による影響ですので、決算時は相殺して純額で表示します。
益であろうが損であろうが為替による影響という点では同じであり、それぞれを別々に表示する意味はないためです。
 

7.参照URL

(外貨建取引に係る会計処理等)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/13_2/13_2_01.htm

(外貨建資産等の期末換算方法等の届出)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_31.htm
 

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