税金の豆知識
Q85 【立替交通費】外注等で立て替えた「交通費等」を請求する際の勘定科目は?/消費税や源泉所得税の取扱い/請求書の具体例
最終更新日:2026/01/21208073view

例えば、取引先から依頼された業務の際に立て替えた「交通費」や「宿泊費」などを、取引先に「請求」するケースもあると思います。こういった「立替金」を請求する場合、勘定科目は「立替金」なのか?「売上」なのか?判断に迷うケースも多いです。また、支払った「宿泊代」などの領収書には消費税が含まれているため、先方に「消費税」分を請求できるのか・・についても、疑問が生じます。
その他、別の論点として、個人事業主の場合は、支払の際に「源泉徴収」が必要な取引もあります。当該「源泉徴収税額」の金額は、当該立替分を含めて計算するのか?という論点もあります。
そこで今回は、立替で支払った交通費等の「勘定科目」や、「消費税」及び「源泉所得税」の取扱いをまとめます。
目次
1.宿泊費や交通費は、消費税課税取引
「交通費」や「宿泊費」などは、たとえ立替で支払った場合でも、「消費税」がかかります。
「宿泊費」などは、消費税が明記されているためわかりやすいですが、「交通費」も、「内税」となっているだけで、消費税課税取引となります。
例えば、電車賃200円を支払った場合は、税込額となりますので、本体182円、消費税18円の合計で200円となります。
2.取引先への請求仕訳は、2種類
上記の通り、「交通費・宿泊費」とも、消費税課税取引となりますが、立て替えた「交通費等」を請求する際の勘定科目は、①立替金として実費精算する場合と、②交通費等を報酬に含めて請求する場合で異なります。
(1) 立替金として実費精算する場合
請求書上、「立替金部分」を、本体の売上とは区別して記載し、実費精算する場合です。請求書とは別に、「立替金精算書」などで、別途精算するケースもあります。
この場合は、本来、他人が負担すべき金額を一時的に肩代わりしただけですので、「資産や役務提供等の対価」に該当せず、消費税は課税されません。したがって、交通費支払時、取引先請求時とも、勘定科目は、消費税支払部分も含めて、税込額で「立替金(消費税対象外)」処理を行います。
当該ケースでは、取引先名義の領収書等を入手して、立替金精算時に添付するケースが一般的です。
なお、請求された取引先側は、ご自身が直接支払った交通費と同様、「旅費交通費(課税仕入)」で仕訳を行います。
(2) 報酬に含めて請求する場合
交通費を、立替金ではなく、報酬(=売上)の一部として請求するケースです。例えば、「出張費込の工事代金」などで請求するケースなどです。
この場合は、他人が負担すべき金額の請求ではなく、役務提供等の対価としての売上請求(消費税課税)となりますので、支払う際の交通費も、「消費税課税取引」となります。したがって、交通費支払時は、立替金ではなく、税抜額で「旅費交通費(課税)」処理を行い、取引先に請求した金額も、税抜額で売上(課税売上)処理を行います。
3.具体例
● 取引先への売上額10,000(消費税 別途1,000)
● 業務にあたって支払った交通費2,200(税込額)。当該交通費は、取引先に請求するものとする。
(1) 立替金として実費精算する場合
支払った交通費を、「立替金」として実費精算する場合、「立替金(消費税対象外)」の勘定科目で仕訳を行います。
| 借方 | 貸方 | |||
|---|---|---|---|---|
| 交通費支払時(※) | 立替金(対象外) | 2,200 | 現金(対象外) | 2,200 |
| 取引先請求時 | 売掛金(対象外) | 13,200 | 売上(課売) 仮受消費税 立替金(対象外) |
10,000 1,000 2,200 |
(※)立替金の金額は「消費税込み」の金額となります。
【請求書の記載例】
| 金額 | |
|---|---|
| 売上請求分(課税) | 10,000 |
| 消費税 | 1,000 | 小計 | 11,000 |
| 立替金(対象外) | 2,200 |
| 請求額 | 13,200 |
(2) 報酬に含めて請求する場合
支払った交通費を、役務提供の対価(売上)として請求する場合、「旅費交通費(課税)」・「売上(課税)」の勘定科目で仕訳を行います。
| 借方 | 貸方 | |||
|---|---|---|---|---|
| 交通費支払時 | 旅費交通費(課仕) 仮払消費税 |
2,000 200 |
現金 | 2,200 |
| 取引先請求時 | 売掛金 | 13,200 | 売上(課売)(※) 仮受消費税 |
12,000 1,200 |
(※)本体10,000+交通費2,000(税抜額)=12,000
⇒交通費も含めた金額を、「課税売上」で計上します。集計金額は、立替金処理の場合と異なり、税抜額となります。
【請求書の記載例】
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 売上本体請求分(課税) | 12,000 | 小計 | 12,000 |
| 消費税 | 1,200 |
| 請求額 | 13,200 |
【注意事項】
なお、立て替えた交通費は税込額となりますので、「支払った額(=税込額)」に上乗せして消費税の請求はできません。したがって、交通費部分は、支払額ではなく税抜額(支払額÷1.1)を記載する必要があります。
4.源泉所得税は?
個人事業主の場合は、源泉徴収が必要なケースがあります。
例えば、フリーランスの方が、講師料を請求する場合や、デザイン料などを請求する場合です。
こういった場合は、「源泉所得税」を差し引いて、請求書を作成します。
しかしながら、例えば、請求書において、本体の講師料以外に、「交通費」を請求する場合、「源泉所得税」の金額算定時の金額は、交通費を含めた額なのか、消費税を含めた額なのか・・疑問が生じます。
(1) 交通費等の取扱い
源泉所得税の計算における「報酬料金」には、原則として、立て替えた交通費も含まれます。
したがって、本体価格だけではなく、交通費を含めた金額で、源泉所得税を計算します(所基通204-4)。
【例外】
ただし、明らかに「立替分」と判別される、以下の項目は除外できます。
● 登記、申請をするための立替登録免許税等(弁護士や司法書士など)
● 通常必要な範囲内の交通費、宿泊費等を、取引先(外注元)が直接ホテル等に支払う場合
● 交通機関やホテル等から「取引先(外注元名義)の領収書」を受け取って精算する場合(※)
(※)実態として支払者が直接支払われたものと同視できるため、源泉徴収不要(税務通信 NO3615)。
逆に言うと、取引先名義ではなく、立て替えた個人名義で領収書をもらっている場合は、原則通り、源泉徴収が必要ということになりますね。
(2) 消費税の取扱い
消費税を明確に区別した請求書であれば、「消費税を除いた額」で、源泉所得税の計算が可能です。
(3) 請求書の具体例(源泉徴収あり)
● 講師料の請求額10,000(消費税 別途1,000)。当該取引は源泉徴収が必要な取引とする(10.21%)。
● 業務にあたって支払った交通費2,200(税込額)。当該交通費は、取引先に請求するものとする。
● 消費税は、請求書に別途明示しているものとする。
原則的な取扱いは、「交通費部分」についても源泉所得税がかかります。
| 内容 | 金額 | |
|---|---|---|
| 本体請求分(課税) | 10,000 | |
| 交通費(課税) | 2,000 | ※1 |
| 小計 | 12,000 | |
| 源泉所得税 | △1,225 | ※2 |
| 差引 | 10,775 | |
| 消費税 | 1,200 | ※3 |
| 請求額 | 11,975 |
※1 交通費税込2,200 ⇒ 税抜額 2,000(消費税200)
※2 交通費部分は、「源泉所得税」がかかります(消費税部分は別途明示しているため「源泉所得税」はかかりません)。
⇒(10,000 + 2,000) × 10.21% = 1,225
※3 「本体+交通費」にかかる消費税 ⇒(10,000 + 2,000) × 10%=1,200
【例外】
例えば、立替金の領収書名義を、取引先名義(外注元名義)で入手した場合は、交通費部分は源泉徴収不要です。
| 内容 | 金額 | |
|---|---|---|
| 本体請求分(課税) | 10,000 | |
| 源泉所得税 | △1,021 | ※1 |
| 差引 | 8,979 | |
| 消費税 | 1,000 | ※2 | 交通費(対象外) | 2,200 |
| 請求額 | 12,179 |
※1 取引先名義の領収書の場合、交通費には、「源泉所得税」がかかりません(消費税は、上記「原則」と同様)。
⇒(10,000円) × 10.21%=1,021
※2 「本体」にかかる消費税 ⇒ 1,000 × 10%=1,000
5.参照URL
~実費弁償金の課税~
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/12.htm
~弁護士や税理士等に支払う報酬・料金~
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2798.htm
~ホテルの客のタクシー代の立替払~
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/11.htm
6.YouTube

