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Q94【得する方法】住民税の非課税限度額の計算シミュレーション/子供は奥様の扶養に入れると税金が安くなる?

最終更新日:2022/02/01

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Q94 住民税の「非課税限度額」の計算例及び活用方法

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

住民税上、「住民税の非課税限度額」という制度があります。
所得が一定の「非課税限度額」に収まる場合は、住民税が課税されません。

この非課税限度額の計算には「16歳未満の扶養親族」もカウントすることができる点が特徴的です。
所得税等の「所得控除」の制度では、例えば中学生や赤ちゃんなどは「扶養控除」できません。
したがって、今回の「住民税の非課税限度額」を活用することで、「住民税」が安くできるケースがあります

なお、16歳未満の扶養親族は、サラリーマンの方であれば毎年年末ごろに提出する「扶養控除等申告書」の一番下に「住民税に関する事項 16歳未満の扶養申告」を記載する欄があります。

今回は、具体例を用いて「住民税の非課税限度額」や、活用方法につきお伝えします。

 

1. 住民税非課税限度額の種類

所得が「一定金額」以下の場合、住民税が課税されないケースがあります。
この「一定金額」=「住民税の非課税限度額」と呼ばれています。

ただし、住民税は、①所得に応じて課税される「所得割」と、②所得に関わらず一定金額課税される「均等割」の2種類合計で算定されます(Q16参照)。

したがって、「非課税限度額」は、完全に非課税になる場合(①②どちらも非課税)と、所得割のみ非課税になる場合(②のみ課税)の2パターンそれぞれが定められています。
 

(1)完全に非課税になる方(非課税者)
生活保護法の規定により生活扶助を受けている方
障害者、未成年者、寡婦又はひとり親で、前年「合計所得金額」が135万円以下(給与収入換算2,043,999円以下)の方
前年「合計所得金額」が、「非課税限度額」以下の方(※)

(※)「非課税限度額」は、下記「3」で後ほど解説します。
 

(2)所得割のみ非課税になる方(均等割のみ支払)

前年の「総所得金額等」が、「非課税限度額」以下の方(※)

(※)「非課税限度額」は、下記「3」で後ほど解説します。
 

(3)合計所得金額・総所得金額等とは?

上記(1)と(2)で、「合計所得金額」「総所得金額等」という概念が出てきます。微妙に内容は異なりますが、給与所得だけの方であれば、どちらも「給与収入-給与所得控除」の金額のことを指します。
「所得控除」は差し引く前の金額となる点に注意しましょう。

合計所得金額とは?合計所得金額とは、事業所得、給与所得、雑所得(公的年金等)、配当所得、不動産所得などの所得金額を合計した金額(純損失or雑損失等の繰越控除適用前)のことをいいます。土地・建物等の譲渡所得など、分離課税の所得(特別控除適用前)も含まれます(退職所得は含まれない)。
総所得金額等とは?総所得金額等とは、合計所得金額から、純損失or雑損失等の繰越控除適用後のすべての合計所得のことをいいます。純損失、雑損失等の繰越控除がない場合は、合計所得金額と同額になります。

2. 扶養控除とは異なる!

「住民税非課税限度額」は、単に「所得の額が00円以下の場合は、住民税がかからない」という意味にすぎません。
所得から「非課税限度額」を差し引いて住民税の金額を算定するわけではありません
「扶養控除」のように、「住民税」自体を控除する制度ではありませんのでご留意ください。
 

3. 住民税非課税限度額の計算

本人+同一生計配偶者、扶養親族の数に応じて「非課税限度額」が認められています。
また、同一生計配偶者、扶養親族が1人でもいれば、更に32万円あるいは21万円を加算することができます

 

(1)完全に非課税となる非課税限度額(非課税者)

非課税限度額 = 35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+10万円 +21万円(※)

(※)21万円は「同一生計配偶者」又は「扶養親族」がいる場合のみ加算します。
 

具体例非課税限度額計算
本人のみ45万円35万円×1人+10万円
本人+同一生計配偶者101万円35万円×2人+10万円+21万円
本人+同一生計配偶者+扶養親族1人136万円35万円×3人+10万円+21万円
(2)所得割のみ非課税となる住民税非課税限度額

非課税限度額 =35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+10万円 +32万円(※)

(※)32万円は「同一生計配偶者」又は「扶養親族」がいる場合のみ加算します。
 

具体例非課税限度額計算
本人のみ45万円35万円×1人+10万円
本人+同一生計配偶者112万円35万円×2人+10万円+32万円
本人+同一生計配偶者+扶養親族1人147万円35万円×3人+10万円 +32万円
(3)同一生計配偶者?扶養親族とは?

同一生計配偶者、扶養親族とは以下の方です。単に扶養親族というと「16歳未満の子供」も含まれる点がポイントです。

同一生計配偶者とは?本人と生計を一にする配偶者で、年間合計所得が48万円(給与収入換算103万円)以下の方(納税者本人の所得制限はなし)
扶養親族とは?配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)等で、年間合計所得が48万円(給与収入換算103万円)以下で、生計を一にしている方。16歳未満の子供も含みます。

 

4. 例題

●兵庫県神戸市在住
●本人(夫)+配偶者(妻)+子供1人(2歳)
●配偶者、子供は収入ゼロとし、同一生計配偶者、扶養親族とする。
●収入は給与所得のみ。所得控除は、基礎控除、配偶者控除のみとし、その他の控除はないものとする

(1)  本人の給与収入が200万円の場合

①所得の計算
2,000,000円-680,000円(給与200万に対応する給与所得控除)= 1,320,000円

給与所得控除とは、サラリーマンの必要経費みたいなものです。
収入に応じて、「あらかじめ決められた額」が控除されます。
 

②住民税「非課税限度額」の計算

●完全に非課税となる「非課税限度額」の計算
350,000円 ×3人(本人+配偶者+子供)+ 100,000円 + 210,000円 = 1,360,000円
●所得割のみ非課税となる「非課税限度額」の計算
350,000円 ×3人(本人+配偶者+子供)+ 100,000円 + 320,000円 = 1,470,000円
 
③住民税の課税判定

1,320,000(①)<1,360,000、1,470,000(②)のため、均等割、所得割とも課税されない
 

(2) 本人の給与収入が300万の場合

①所得の計算
3,000,000円-980,000円(給与300万に対応する給与所得控除)= 2,020,000円

 

②住民税「非課税限度額」の計算

上記(1)と同様、1,360,000円、1,470,000円
 
③住民税の課税判定

2,020,000(①)>1,360,000、1,470,000(②)のため、均等割、所得割とも課税
 
④住民税額の計算

2,020,000円-430,000円(本人基礎控除)-330,000円(配偶者控除)=1,260,000円(課税所得額)
1,260,000円×10%(住民税率)+6,200円(兵庫県・神戸市の均等割)=132,200円
 

(住民税額計算時のPOINT)

あくまで、②非課税限度額は、③住民税の課税判定をするための数値にすぎません。①と②を比較し、①≧②の場合は、④の住民税の計算に進みます(超えない場合は③で終わり)。
④の住民税の計算では、お子様は16歳未満のため「扶養控除」できません。あくまで16歳未満の扶養親族は、「非課税限度額」の計算上考慮できるだけで、住民税の計算において「扶養控除」ができるわけではありません。
住民税の計算上、②で算定した「非課税限度額」を控除するわけではありません。あくまで、住民税の計算は、収入から基礎控除や扶養控除を差し引いた「課税対象額」で計算します。
住民税の計算上の基礎控除、配偶者控除は、「所得税」の控除額とは異なります。詳しくは、Q16をご参照ください。

5. 非課税限度額の活用方法

例えば、夫婦共働きで妻の収入が少ない場合、「16歳未満の子供」は、妻側の「扶養親族」に入れることで、トータルの住民税が安くなるケースがあります。

「16歳未満の子供」は、所得税・住民税とも「扶養控除」できないため、非課税限度額を超える収入がある夫の場合は、子供を扶養に入れても入れなくても、税額は変わりません(16歳以上の扶養親族の場合は、所得税、住民税への影響もあるため、一般的には所得が高い方に入れる方が得な結論が多い)。

一方、・・妻自身の収入が少ない場合は、「16歳未満の子供」を扶養に入れることで、住民税の「非課税限度額」に収まれば、住民税がゼロとなり、税額が安くなるということになります。
 

(例題)

●兵庫県神戸市在住
●夫 + 妻 +子供1人(2歳)
●夫の給与収入は300万円、妻の給与収入は150万円(子供は収入ゼロ)
(配偶者・・同一生計配偶者×、子供・・扶養親族〇)
●収入は上記給与所得のみ。所得控除は、基礎控除、配偶者控除のみとし、その他の控除はないものとする

 

(1) 子供を妻側の扶養に入れた場合

①妻の所得の計算
1,500,000円-550,000円(給与150万に対応する給与所得控除)= 950,000円
 

②妻の住民税「非課税限度額」の計算

●完全に非課税となる「非課税限度額」の計算
350,000円 ×2人(妻本人+子供)+ 100,000円 + 210,000円 = 1,010,000円
●所得割のみ非課税となる「非課税限度額」の計算
350,000円 ×2人(妻本人+子供)+ 100,000円 + 320,000円 = 1,120,000円
 
③住民税の課税判定

950,000(①)<1,010,000、1,120,000(②)のため、均等割、所得割とも課税されない
 

(2) 子供を夫側の扶養に入れた場合

扶養はどちらか一方しか入れることができません。子供を「夫側」の扶養に入れた場合、妻は子供を「扶養親族」にカウントできませんので、「住民税非課税限度額」を超えてきます。

①妻の所得の計算
1,500,000円-550,000円(給与150万に対応する給与所得控除)= 950,000円
 

②妻の住民税「非課税限度額」の計算

「所得割及び均等割」の非課税限度額の計算
350,000円 ×1人(妻本人のみ)+ 100,000円 = 450,000円
 
③住民税の課税判定

950,000(①)>450,000(②)のため、均等割、所得割とも課税される
 
④妻の住民税額の計算

950,000円-430,000円(本人基礎控除)=520,000円(課税所得額)
520,000円×10%(住民税率)+6,200円(兵庫県・神戸市の均等割)=58,200円
 

(3) 結論

「16歳未満の扶養親族」を「妻側」の扶養親族に入れると、住民税58,200円の支払がゼロとなりました妻の収入が低い場合、子供を妻側の扶養にいれることで、住民税が節税できる可能性がありますね!
 

6. YouTube

 
YouTubeで分かる「住民税の非課税限度額計算」
 

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