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Q96【具体例付】法人住民税法人税割・事業税の分割基準とは?0人の場合や出向の取扱いは?均等割との違いは?

最終更新日:2022/04/28

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Q96 住民税法人税割・事業税の分割基準って?

法人税は、国に対して支払う税金ですが、法人住民税は、各都道府県、市町村に支払う税金です。

一方、法人住民税は、複数の都道府県や市町村に「事業所等」を持つ法人の場合は、各都道府県や市町村に申告・納税する必要があります。

この点、法人住民税(法人税割・所得割)の計算は、法人税上の「課税標準額総額」(「所得金額」や「法人税額」)をもとに、一定の分割基準を用いて自治体ごとに按分し、分割された「課税標準額」に基づき、それぞれの住民税額を算定し、申告・納税する手続きとなります。

今回は、住民税(法人税割・所得割)を分割申告する際の「分割基準」についてお伝えします。

 

1. 分割基準

分割基準を用いる税金は、①法人都道府県民税・市民税の法人税割②法人事業税の所得割計算となります。

 

(1) 住民税法人税割(都道府県民税・市民税)

業種に関わらず、従業者数で分割します。

 

(2) 法人事業税所得割

法人の業種ごとに決められています。下記の通りです。

非製造業(特定業種除く) (※) 1/2が従業者の数、1/2が事務所等の数を基準に分割
製造業 従業者数で分割
資本金1億円以上の法人は、工場の従業者数を1.5倍)

(※)特定業種・・・倉庫業・電気供給業・ガス供給業・鉄道事業・軌道事業

なお、複数事業を営む法人の場合、売上金額の大きい事業にかかる「分割基準」を適用します。
 

2. 従業者の数とは?

「従業者」とは、給料支払を受けるべき人をさします。役員(非常勤役員含む)やアルバイト・パート、派遣労働者は含みます。また、他社への出向者は、従業者数から控除し、他社からの出向者数は従業者数に含みます。

 

「分割基準」となる「従業者の数」は、各事務所等の事業年度末日の「従業者の人数」となります。

例えば、期中異動がない場合の従業者数は、各事業所の「事業年度末日の人数」になります。
一方、期中新設・廃止がある場合は、存在「月数」に対応する従業員数を算定します(1人未満、1月未満とも、切上)。
 

(1) 「期中新設」がある場合の従業者数

「期中新設」がある場合の従業者数

 

(2) 期中廃止がある場合の従業者数

期中廃止がある場合の従業者数

 

(3)具体例

● 3月決算(小売業・軽減税率適用法人とする)
● 兵庫県 1事業所は、異動なし
● 大阪府 1事業所は、2月10日に新設
● 京都府 1事業所は、12月29日に廃止
● 所得金額は300万円とする。

 
  (単位:人)

事業所/月 10 11 12 従業者数 従業者数の計算
兵庫県 兵庫県は異動がないため、期末時点の人数=従業者数
大阪府 事務所存在月数 2月~3月 ⇒ 2か月(切上)
7人(事業年度末人数)×2/12=1.16⇒2人(切上)
京都府 事務所存在月数 4月~12月 ⇒ 9か月(切上)
3人(廃止前月末人数)×9/12=2.25⇒3人(切上)
合計 11

分割計算上の従業者数は、6人+2人+3人=11人となります。11人を元に、各都道府県に分割計算を行います。

なお、期中に従業者数が大きく変動した場合(各月末日人数のうち、最大従業者数>最小従業者数×2)は、各月の平均人数を算定し、「従業者数」とします。
 

3. 事業所等の数とは?

事務所等とは、「事業の必要性から設けられた人的及び物的設備で、継続して事業が行われる場所」を指します、ある程度の継続性が求められますので、現場事務所などは含まれません。また、従業員の宿泊所、従業員詰め所等も含まれません(地方税 取扱通知 6事務所又は事業所」)。

また、「分割基準」となる「事業所等の数」は、各事業所等の「各月末日事業所数」の合計となります。
例えば、事業所が2つで、期中異動がない場合の事業所の数は、それぞれ12、合計24となります。また、期中新設・廃止がある場合の事業所数は、事業年度中の存在月数となります(1カ月未満は切り上げ)。具体例は下記ご参照ください。

 

先ほどと同じ例の場合

● 3月決算(小売業・軽減税率適用法人とする)
● 兵庫県 1事業所は、異動なし
● 大阪府 1事業所は、2月10日に新設
● 京都府 1事業所は、12月29日に廃止
● 所得金額は300万円とする。

 (単位:事業所数)

事業所/月 10 11 12 事業所等の数 事業所等の数の計算
兵庫県 12 各月末事業所数の合計
大阪府 2月~3月 ⇒ 2か月(切上)
京都府 4月~12月 ⇒ 9か月(切上)
合計 23

分割計算上の事業所等の数は、12+2+9=23事業所となります。23事業所を元に、各都道府県に分割計算を行います。

なお、分割基準が適用される場合、都道府県ごとの「超過税率」は適用されず、標準税率か軽減税率が適用されます。
 

4. 事業税の分割計算例

先ほどの例題をもとに、事業税所得割の分割計算をまとめます。

(1)課税所得金額を、事業税率区分ごとに振り分ける。

事業税は所得ごとの税率が異なりますので、年①400万以下②400万超③800万超の区分に分けます(千円未満切捨)
今回は、所得金額300万円のため、すべて年400万円以下の区分となります。
 

(2)上記(1)の区分ごとに、1/2ずつ区分。

事業税所得割の分割基準は、①従業者の数②事業所等の数の2種類となりますので、上記(1)の区分ごとにに1/2ずつに区分します(千円未満切捨)
 ①従業者の数で区分する所得 ⇒ 150万円 ②事業所等の数で分割する所得 ⇒ 150万円
 

(3)それぞれの分割基準で按分

①従業者の数で区分する所得

所得金額150万円 ÷ 11人= 136,363.63(小数点以下は、分割基準総数の桁数+1の位以下切捨)

課税標準 計算
兵庫県 818,000円 136,363.63 × 6人 = 818,181.78⇒818,000円(千円未満切捨)
大阪府 272,000円 136,363.63 × 2人 = 272,727.26⇒272,000円(千円未満切捨)
京都府 409,000円 136,363.63 × 3人 = 409,090.89⇒409,000円(千円未満切捨)
合計 1,499,000円

②事業所等の数で区分する所得
所得金額150万円 ÷ 23事業所= 65,217.39(小数点以下は、分割基準総数の桁数+1の位以下切捨)

課税標準 計算
兵庫県 782,000円 65,217.39 × 12人 = 782,608.68⇒782,000円(千円未満切捨)
大阪府 130,000円 65,217.39 × 2人 = 130,434.78⇒130,000円(千円未満切捨)
京都府 586,000円 65,217.39 × 9人 = 586,956.51⇒586,000円(千円未満切捨)
合計 1,498,000円
(4)上記(3)の按分金額を、区分ごとに合算した「分割課税標準」をもとに税額を計算

令和4年3月末現在、標準税率は3.5%です。

従業者の数 事業所等の数 合計 税額 計算
兵庫県 818,000円 782,000円 1,600,000円 56,000円 1,600,000円 × 3.5% = 56,000円
大阪府 272,000円 130,000円 402,000円 14,000円 402,000円 × 3.5% = 14,070⇒14,000円(百円未満切捨)
京都府 409,000円 586,000円 995,000円 34,800円 995,000円 × 3.5% = 34,825⇒34,800円(百円未満切捨)
合計 1,499,000円 1,498,000円 2,997,000円 104,800円

課税標準、および税額とも、各ステップで端数が生じたときは切り捨てますので、1事業所の場合よりも、総額は少なくなります。
 

5.ご参考~「均等割」と「法人税割・所得割」の従業者数の違い

均等割の「従業員数」と、「法人税割・所得割」の「従業者数」は、考え方が異なります。
大きな違いは以下です。

法人税割・所得割 均等割
従業者数 閉鎖等の場合は、閉鎖「前月末」の従業者数で計算し、端数は「切上」 閉鎖等の場合は、事業年度末の従業者数で計算し、ゼロ

 

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