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Q122【信用保証協会保証料】勘定科目は前払費用?繰延資産?返金時の会計処理は?/賃貸物件借入時の家賃保証は?

最終更新日:2022/08/17

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信用保証協会へ支払った「保証料」は前払費用?繰延資産?

金融機関から融資を受ける際、「信用保証協会」を利用する場合もあると思います。

この場合、保証の対価として、一定の「保証料」を支払います。
当該保証料は、「保証期間」に応じた対価という面では、期間に応じた費用、つまり「前払費用」的な性格を有しますが、将来返金されない可能性があるという点では、償却資産、つまり「繰延資産」としての性格も有します。
前払費用と繰延資産では、税務上の取扱いが大きく異なります。

そこで今回は、信用保証協会への「保証料」の税務処理・会計処理につき解説します。

また、関連論点として、賃貸借契約時に支払う「家賃保証」の会計処理についてもお伝えします。
(今回の論点は、私見の部分も含まれます)。
 

1. 信用保証料は将来返金されるのか?

(1) 将来返金されるケースは?

信用保証協会の保証料は、一般的に、契約当初に一括で支払う場合が多いです。
当該保証料については、将来、借入金を「全額繰上返済」する場合は、保証期間のうち「未経過部分」に対応するは「返金」されます。一方、借入金の一部だけ繰上返済する場合は「返金されない」ケースが多いです。

つまり・・「将来返金されるかどうか」は、将来の繰上返済額によるため・・保証契約当初は、「わからない」・・というのが答えになります。
 

(2) 契約書では?

この点、信用保証協会の「保証委託契約書」では、「信用保証料は、違算の場合を除き返金を求めない」と記載されていますが、実務上は、借入金の「全額繰上返済」を行った場合は、保証協会側から返金している実態があります。
上記の契約上の文言は、単に「借主側から求めない」だけで、保証協会側からは返戻できるとも、とらえられます。
実際、信用保証協会のホームページ上では、完済の場合は保証料を返金すると明言しています
(借入残高比例額に応じて、返戻)。
 

2. 繰延資産?前払費用?どちらなのか?

信用保証協会の保証料は、「支払った保証料に対応する保証期間」が定められている一方、保証期間中に返済した場合でも、残金が返金されないケースがあるため、「前払費用」なのか?「繰延資産」なのか?という論点があります。
どちらに区分されるかで、税務上は、費用処理期間や、少額支出の取扱いが異なってきます
 

(1) 繰延資産と前払費用の取扱いの相違

信用保証料を「繰延資産」か「前払費用」のどちらで処理するかにより、税務上は、以下の点で相違が生じます。

繰延資産 前払費用
損金期間 5年(※) 保証期間
少額支出の取扱い 20万未満の少額支出
⇒支出時一括経費OK
少額支出の取扱いなし

(※)資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立退料等、電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出するその他の費用(法基通8-2-3)
 

(2) 前払費用の考え方

信用保証料は、「保証期間」が定められており、保証期間中は、全期間にわたり保証協会が保証してくれるため、契約時点で役務の提供は完結せず、「保証期間にわたって継続的に役務提供は行われている」と考えられます。
会計上の「費用収益対応」の考え方からは、「前払費用」の考え方が整合します。
中小企業会計指針でも、前払費用の例示として保証料を挙げられています(中小指針30)。
 

(3) 繰延資産の考え方

一方、信用保証協会は「借入を支援する」機関であり、保証の引受行為によって、事業者は銀行からの借入が実現できた点を重視し、契約締結時に、「保証を引き受けた行為」自体を「役務の提供」と考えます。この場合は、契約時に役務提供(借入行為)は完了しているが、借入期間にわたって効果が及ぶ繰延資産と考えることが可能です。
将来返金されないという「契約上」の取扱いや、法人税上の「債務確定主義」の考え方とは整合します。

 

 

3. 実務的には?

過去の裁判例では、「保証料の計算」が、保証期間を元に算定され、保証期間にわたって役務を提供していることを根拠に、「前払費用」とした判決があります(平成19年2月27日 国税不服審判所、平成17年1月12日名古屋高裁)。
したがって、実務上は、裁判例を考慮して、「前払費用」として、期間に応じて費用化するのが多数説のようです。

 

ただし、ここからは私見となりますが・・
税務上の繰延資産は、支出金額20万円未満の場合に「一括損金」にできる規定があります(法人税施行令134)。
前払費用には、20万基準の規定がありませんが、「信用保証料」は、契約上、将来の返金有無が確実でない点や、大部分の役務提供は契約締結時に完了している(借入行為の実現)点を踏まえて、実務上は、20万円未満の保証料につき、税務上の繰延資産の規定を類推して、一括損金処理しても、大きな弊害はないものと考えます。

 

上記の私見をもとに・・会計処理をまとめると、以下となります。

 

パターン 支払時の勘定科目 支払後の会計処理
支出額20万以上 前払費用 保証(融資)期間にわたって費用処理
支出額20万未満 税務上の繰延資産 税務上の繰延資産の規定を類推し、支出時に一括費用処理可

4. 勘定科目

貸借対照表上は、固定資産(投資その他の資産)の部に「長期前払費用」として計上します。
また、損益計算書上は、支払保証料の内容は、財務費用ですので、営業外費用の「支払保証料」や「長期前払費用償却」となります。金額的な重要性の観点から、「支払利息」に含めた表示でも、実務上は問題ありません。

一方、消費税上は、課税になじまない項目のため、非課税取引(消基通6-3-1(2))と規定されています。

なお、返戻された場合は、消費税は「非課税」となりますので、実務上は、計上済の「長期前払費用」と入金額の差額を「雑収入」で計上します。
 

5. 家賃保証料は?

賃貸物件を借りる際、連帯保証人の代わりに保証をしてくれる「保証会社」に家賃保証料を支払う場合があります。
当該「家賃保証料」も、上記の「信用保証料」と考え方は同じです。
なお、家賃保証料については、契約上、中途解約しても「返金されない」という旨が記載されている場合が多いです。
 

消費税上の取扱いも、信用保証料同様、保証的な内容となりますので、「非課税取引」となります。
(保障委託料の算定につき、税込み家賃×%で決定されている保証料もありますが、算定方法は関係なく、保証料自体は、非課税取引です)
 

6. 参照URL

( 繰延資産の償却期間)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_02.htm

(金融取引及び保険料を対価とする役務の提供等)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/06/03.htm

(平19.2.27 国税不服審判所)
https://www.kfs.go.jp/service/JP/73/19/index.html

 

7. YouTube

 

YouTubeで分かる「信用保証協会保証料」
 

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