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Q123【選択可能】個人事業主の車両・備品売却は事業所得か譲渡所得か?減価償却費との関係は?

公開日:2018/06/19 最終更新日:2021/07/20

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Q123 個人事業主が売却した「固定資産」の所得区分と減価償却費の関係

今回は、個人事業主が「固定資産」を売却するケースを考えてみます。

法人の場合、元々所得区分は1つしかありませんので、売却益を「固定資産売却益」に計上するだけで、所得区分の論点はありません。

一方、個人事業主の場合、所得税法上「所得区分が10個」もあります。事業で利用していた固定資産を売却した場合、固定資産売却益は「事業所得?」「譲渡所得?」・・
迷いそうな感じですね。

 

0.YouTube

1.個人事業主の「固定資産売却益」は譲渡所得

個人が固定資産を売却した場合は、たとえその固定資産が「事業用資産」の場合でも、所得区分は、原則「事業所得ではなく譲渡所得」となります。

ただし、 使用可能期間が1年未満や取得価額10万円未満の減価償却資産、一括償却資産資産(取得価額が20万円未満の減価償却資産)を譲渡した場合は「事業所得又は雑所得」となります。
これらの「少額減価償却資産」については、Q31をご参照ください。
 

2.売却時までの減価償却費は?

期の途中に売却した場合、「売却時までの減価償却費」はどう取り扱うのでしょうか?
事業所得の経費?それとも譲渡所得の経費?・・ここも迷いそうですね。

結論ですが、期中の減価償却部分については、納税者の選択により、どちらの処理も可能です(所得税基本通達49-54)。

つまり、事業所得の計算上「必要経費」に算入するか?譲渡所得の計算上「取得費」(=経費)に含めるか?どちらか選択できるんですね。まとめると以下の通りです。

 

事業所得側の処理 譲渡所得側の処理
(取得費の取扱い)
影響
減価償却費を計上
(事業所得の経費にする)
売却日における未償却残高 ● 事業所得 少
● 譲渡所得 多
減価償却費を計上しない
(事業所得の経費にしない)
前期末の未償却残高
(=期首簿価)
● 事業所得 多
● 譲渡所得 少

 

3.例題

 

● 個人事業主(1月1日~12月31日)
● 期首簿価100万円の事業用車両を、200万円で売却
● 売却日は6月30日。期首から売却日までの減価償却費は30万円とする。
● 簡便的に、上記以外の所得はないものとする

 

売却時までの減価償却費を「事業所得」の必要経費で計上するか?しないかにより、「譲渡所得」の金額にも影響があります。まとめると、以下の通り。

事業所得側の処理 事業所得 譲渡所得 (※3)所得合計
減価償却費を計上
(事業所得の経費にする)
△300,000 (※1)1,300,000 1,000,000
減価償却を計上しない
(事業所得の経費にしない)
0 (※2)1,000,000 1,000,000

(※1)事業所得計算上、売却時までの「減価償却費」を計上⇒譲渡所得の「取得費」は減少し、譲渡所得増加
2,000,000(売却額)-700,000(⇒)==1,300,000
   (⇒)1,000,000(期首簿価)-300,000(期中の減価償却費、事業所得側で経費計上済のため差し引く!)

(※2)事業所得計算上、売却時までの「減価償却費」を計上しない⇒譲渡所得の「取得費」は増加し、譲渡所得減少
2,000,000(売却額)-1,000,000(期首簿価)=1,000,000

(※3)事業所得、譲渡所得の合計額は変わりません

 

4.所得区分の違いによる影響

(1) 事業所得が赤字の場合

例えば、事業所得がマイナスの場合や、繰越欠損金を多く保有する場合は、事業所得の経費として「減価償却費」を計上しても、事業所得から生じる税額はどのみち「ゼロ」なので、当年度の節税効果はありません(繰越欠損金は増えますが)

こういった場合は、譲渡所得の計算上の「取得費」(=経費)に含めた方が、税金が安くなる可能性がありますね。

 

(2) 建物の場合

建物の場合は「分離課税」となりますので、税率が固定されます。
例えば、非居住用の短期譲渡所得の場合、税率が40%(所得税・住民税計)程度と高いです。
したがって、建物の場合は、一般的に税率が高い「譲渡所得側の経費」として計上したほうが、税金は安くなることが多いと思われます。
 

5.ご参考~法人税上の減価償却費~

 

● 法人税法上、減価償却費の計上は、「事業年度終了の時に有する減価償却資産」につき、損金経理を条件に、損金算入できる規定になっています。
● 上記の考え方に基づき、法人税申告書別表16(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)も、事業年度末に存在する資産のみ償却費を計上し、期中売却にかかる減価償却費は計上しません。

 

つまり、
●法人税上は、期中売却の場合に、「売却時までの減価償却費」は認められていない
●法人が固定資産を売却した場合、「期首帳簿価額」が売却原価、売却価額との差額が「売却損益」として計上
(除却の場合も同様)。

とはいっても・・法人税では、期中の減価償却をしてもしなくても、最終課税所得への影響はありません
なぜなら、法人税は「所得区分は1つしかない」ので、期中減価償却部分を「減価償却」にしてもしなくても、その分「売却損益」の額が変わるだけで、「トータルの所得の金額」には影響はないからです。

一方、所得税の場合は、所得区分が複数あることから、どの所得の経費にするか?で最終の税額が変わってくる可能性があるんですね。

なので、あえて、所得税法上は、期中売却の際の減価償却の取り扱いが定められているのかもしれませんね。

 

6.参照URL

● (所得税基本通達49-54~年中途で譲渡した減価償却資産の償却費~)
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/08/13.htm

 

 

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