税金の豆知識

Q137  フリーレントの「借主側」の会計処理と消費税の関係

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Q137 フリーレントの「借主側」の会計処理と消費税の関係

事務所等を借りた際、「最初の〇か月間家賃無料!」っていう広告は結構ありますよね。

借主側は家賃が安くなりますし、大家さんの立場では、既存借主との関係で、今の家賃相場自体を引き下げることができない場合などに、広く活用されています。

では・・借主側は、「フリーレントの期間」はお金を支払わないんだから、会計処理も不要?でよいのでしょうか・・ ?

 

1. 会計処理は2つ

税法上、フリーレントの処理に関して、「借主側」の規定は、特にありません。

ですので、ここでは・・実務的な会計処理方法を、2つ記載します。

 

(1) フリーレント期間は仕訳を行わない(以下「仕訳なし」と略します)

実際のお金の支払に合わせて仕訳を行い、消費税も、支払に合わせて「課税仕入」を計上します。

このやり方は、フリーレント期間は支払がないので「仕訳なし」、簡単です。
中小企業では、圧倒的にこっちが多いですね。

 

(2) 賃料等総額を契約期間で按分&毎月賃料を計上(以下「期間按分」と略します)

実際のお金の支払にかかわらず、「賃料等総額を契約期間で按分した月額負担額」を、毎月費用計上し、消費税も、毎月の費用計上に合わせて「課税仕入」を計上します。

フリーレント期間でも、「現実的に事務所は利用している」ので、会計の発生主義の考え方からすると、理屈がありますね。上場会社は、こちらで処理することが一般的です。

ただし、このやり方は、「中途解約不能で、賃料総額が確定」している場合しか、選択できません。

 

2. 法人税・消費税上の取扱い

明確な規定がありませんので・・実務上の解釈を記載します(あくまで私見)

結論を先にお伝えすると、税法上は、上記2つの処理、どちらの選択も可能だと考えます。

 

(1) 仕訳なしの根拠

① 法人税上の根拠

「フリーレント期間の賃料」は、実質免除又は値引きと考えます。

この考え方では、フリーレント期間は、賃料が値引きされているため「仕訳なし」、実際賃料の支払が生じた時から仕訳を計上します。

 

② 消費税上の根拠

フリーレント期間は、対価を支払っていないため、「フリーレント期間」の賃料は「課税仕入」に該当しない。フリーレント期間終了後に実際支払う賃料が「課税仕入に係る支払対価の額」であり、あくまで、賃料支払に応じて「課税仕入」を認識していく。

 

(2) 期間按分の根拠

① 法人税上の根拠

フリーレント期間も、実際、事務所は利用しているわけなので、「中途解約ができず、賃料総額が確定しているフリーレント」は、発生主義に基づき、フリーレント期間も含めて期間按分による費用計上を行う。(=損金)

② 消費税上の根拠

消費税上の「課税仕入を行った日」は、原則として「法人税法や所得税法上の費用計上時期と一致する」ため、法人税や所得税上、フリーレント期間を含む契約期間で按分費用計上している場合は、消費税もそれに応じて「課税仕入」認識できる(消費税法基本通達第9章(資産の譲渡等の時期)に準ずる)

⇒結論、上記(1)(2)とも、法人税、消費税上、どちらの処理も認められるという解釈になりそうです。

 

3. 仕訳例

● 事務所家賃 月額10万円(消費税8千円)
● 賃貸借期間 1年(更新なし)、フリーレント期間3か月、中途解約は不能
● 年間賃料総額90万円(消費税72,000円)
 ⇒(10万円×9か月。実質、1年間 9か月分の賃料)
● 敷金・礼金は無視、消費税は8%とする。

 

(1) 仕訳なしの場合
借方 貸方
フリーレント期間中 仕訳なし
フリーレント期間終了後(毎月) 地代家賃
仮払消費税
100,000
8,000
現金 108,000

支払ごとに仕訳を行い、消費税の課税認識をする。こっちは簡単!

 

(2) 期間按分の場合
借方 貸方
フリーレント期間中(※1) 地代家賃
仮払消費税
75,000
6,000
未払費用 81,000
フリーレント期間終了後(毎月)(※2) 地代家賃
仮払消費税
未払費用
75,000
6,000
27,000
現金 108,000

(※1)900,000円(年間賃料総額) ÷12か月 = 75,000円/月(消費税6,000円)
フリーレント期間中は、「賃料総額÷賃借期間」で算定した「月額家賃」を費用計上。
また、費用計上と合わせて、消費税も「課税仕入」で計上します。

(※2)フリーレント期間終了後も、フリーレント期間と同様、「月額家賃」を費用計上。
一方、実際支払額100,000円/月(消費税8,000円)との差額は、未払費用取崩の処理を行います
(差額の性格は、フリーレント期間に計上した「未払費用」)。

 

(3) 実務上は・・

実務上は、圧倒的に「支払いに応じて仕訳を行う」(=仕訳なし)方法が楽です。

税務調査の観点では、どちらの考え方でも理屈は立つと思いますが、先方(賃貸先)がどういった会計処理を行っているか?まではわかりません。

結論的には、上場会社などでは、「期間按分」が必要な場面もあるでしょうけど、中小企業の場合は「仕訳なし」でよいのではないでしょうか?

 

4. 参照文献

税務通信3338号(2014年12月1日)

 

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