税金の豆知識
Q154【自宅兼事務所】住宅ローン控除は事業利用割合に注意!/持ち家と賃貸それぞれ解説
最終更新日:2024/09/1264507view
個人事業主の方が、自宅の一部を、「事業用」として利用する場合もありますね。
この場合、賃料や水道光熱費等のうち、事業利用部分については「経費」計上が可能です。
一方、持ち家の場合は、建物取得価額のうち、事業利用部分については「減価償却費」として「経費」計上が可能です。
ただし、持ち家につき「住宅ローン控除」を受けている場合には、注意点があります。
「住宅ローン控除」と「事業経費」が二重控除にならないようにしなければいけません。
目次
1. 賃貸の場合
例えば、自宅兼事務所の家賃が毎月10万円、事業利用割合が30%の場合、事業経費として、毎月3万円計上が可能です。
「水道光熱費」や「火災保険」なども同様の扱いとなります。
2. 持ち家の場合
では、持ち家につき「一部事務所」として利用している場合はどうでしょうか?
(1) 住宅ローン控除がない場合
建物取得価額のうち、事業利用部分については、数年間にわたって「減価償却費」として経費に計上できます。
例えば、自宅兼事務所の建物購入金額が1,000万円、事業利用割合が30%の場合、トータル300万円を「減価償却費」として経費計上できます。
「固定資産税」や「管理費」、「光熱費等」も同様の扱いとなります。
(2) 住宅ローンを受けている場合は?
基本的には、上記(1)と同様に、減価償却費の計上が可能です。
ただし「住宅ローン控除」には「床面積50㎡以上、その2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するもの」
という要件があります。
したがって、事業割合が50%以上の場合は、「2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供する」要件を満たさなくなりますので、住宅ローン控除が受けられなくなります。
つまり・・経費にはできるけど、住宅ローン控除が受けられなくなるのです。
なお、ここでの事業利用割合は、有償の賃貸借、無償の使用貸借の制限は特にありませんので、無償の使用貸借の場合も、同様の要件が要求されています。
(注意事項)
● 床面積50㎡の判断は、マンション等の共用スペース部分は含めません。
登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
● 例えば、奥様等との共有住宅の場合は、床面積×共有持分で判断するのではなく、
全員の共有持分床面積で判断します(区分所有の場合は、区分所有部分の床面積で判断)
3. 事業利用割合を50%未満に抑えた場合の取扱い
事業利用割合を50%未満に抑えた場合でも、住宅ローン控除が全額受けられるわけではありません。
住宅ローン控除の対象は、事業利用分を除いた居住部分に対応する部分のみです。
例えば、事業利用割合が40%の場合、事業経費としては40%、住宅ローン控除は60%部分となります。
4. 10%未満に抑えれれば、全額住宅ローン控除可能
例外的に、事業割合が10%未満の場合は、100%居住用と取り扱われます。
この場合は、住宅ローン控除を全額受けることができます。
つまり、事業割合を10%未満に抑えた場合は、住宅ローン控除が全額受けられるだけでなく、事業経費としても、10%程度事業経費として認めてくれますので、節税的な観点からは、一番お得かもしれません (租措法41-29)
5. 現実的には?
住宅ローン控除は、税額控除ですのでで、他の制度と比べても「税金軽減効果」がかなり大きい恩典の1つです。
ですので、現実的には、「全額住宅ローン控除の恩典を受ける方がお得」な場合が多いと思われます。
事業で利用するとしても、事業割合は10%未満に抑えるのが賢明かもしれませんね。
6. 参照URL
(住宅借入金特別控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
(10%基準)租措法41-29
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/801226/sinkoku/57/41/01.htm
7. YouTube