税金の豆知識

Q159 従業員団体への拠出金の会計/税務処理

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Q159 従業員団体への拠出金の会計/税務処理

従業員の親睦や福利厚生などを目的として、「従業員団体」が作られる場合があります。
○○共済会や、○○同好会、○○互助会などですね。

こういった団体は、営利を目的とするわけではなく、社内旅行や忘年会、クラブ活動資金など「一定の目的」のための「積立用」に作られるケースがほとんどです。また、福利厚生を目的とするため、法人も、その活動財源の一部を補填することが一般的です。

そこで今回は、「従業員団体」に補填する会社側の会計/税務処理について解説します。

 

1. 従業員団体の運営・財源

一般的には、法人名義口座とは別に「従業員団体名義」の通帳を作成し、積立目的に応じて、定期的に資金を積み立てていきます。財源は、従業員給料から一定額を徴収するとともに、法人側も、福利厚生の一環として一定額を拠出します。

 

2. 従業員団体の独立性

現実的には、従業員団体は、財源を母体法人に頼っているものが多いです。
従業員団体の会計処理は、母体法人からの独立性が高いかどうか?で処理が異なります。
 

法人から独立性が高い団体 人格のない社団方式 法人から独立した団体として扱い、その団体自体が法人税課税対象となる(法3条)
法人から独立性が低い団体(民法上の組合、民667条) 従業員団体方式 法人から独立した団体ではなく、会社の「内部組織」として取り扱い、法人が法人税課税対象となる
(団体の収支⇒法人自体の損益とみなして合算して課税)

上記①「人格のない社団方式」は、その団体自身が法人税の課税対象となりますので、大きな論点は生じません。
一方、②「従業員団体方式」の場合は、法人の内部組織として課税されますので、法人側に「団体の損益」を取り込む必要があります。
 

具体的に、どのように取り込んで会計処理するのか・・迷いそうですね。

 

3. 従業員団体方式の法人税上の取扱い

(1) 原則

従業員団体方式は、民法上の組合となりますので、原則的には、団体の事業年度ごとに、法人と従業員の拠出割合に応じて損益を分配し、それぞれ(法人&従業員)が課税対象となります(所基通36・37共-20、法基通14-1-1~2)。

ただし、法人税上、「一定の要件」を満たす場合、団体は「法人の一部門」とみなされ、団体帰属損益の全額を「法人の損益」で処理するものとされています(法基通14-1-4,14-1-5)。

つまり、団体で利用した事業経費は、「全額法人の損益」となります(=従業員に課税関係は生じない)。

 
(一定の要件)
 

会社が従業員団体に、相当の金額(従業員負担額よりも多い金額)を出しており、かつ、以下のどれかを満たす場合

● 法人役員等「一定資格」を有する者が、当然に当該団体の役員に選出される場合
● 団体の重要事項等の決定につき、法人の許諾を要する等、法人が業務運営に参画している場合
● 団体が利用する施設等の大部分を、当該法人が提供している場合

 

ただし、上記要件を満たした場合でも、法人から団体に「拠出した金額」が全額経費になるわけではありません。
拠出した時点では単なる内部取引
です。あくまで、団体側が「事業利用した経費部分」だけが法人経費となります。
 

法人から団体に拠出した金額が全額経費にできるのであれば、法人は、利益圧縮のために、決算間際に従業員団体に資金を拠出して租税回避しますよね。当たり前ですが、そういったことは認められません。

 
 

4. 法人側の会計処理

期中(法人から団体へ支出時) 「福利厚生費」で処理
決算期末 団体口座残高につき、「福利厚生費の戻入処理」
(=法人側で資産計上)

上記処理により、団体で利用した損益を、法人側に反映することができます。

 

5. 未利用預金残高の取扱い

(1) 原則

団体側で、決算期末に「経費未利用の預金残高」がある場合、厳密には、当該預金残高は、「法人拠出部分」と「従業員徴収部分」の2種類が混在しています。

したがって、本来、法人側で決算時に「福利厚生費の戻入処理」を行う金額は、団体預金残高のうち、「法人帰属部分」だけとなります。

Q159 従業員団体への拠出金の会計/税務処理

 

(2) 実務上(私見)

ここからは私見ですが、団体「預金通帳残高」は、すべて法人負担分が残存していると考え、残高全額を「福利厚生費戻入処理」しても、税務上は問題ないものと思われます。

確かにこの場合、法人側では「経費戻入が多く」なり、従業員徴収分も含めた「預金残高」が計上されることになります。
しかし、少なくとも、税務上の損金が過大になることはありませんし、実務上は、法人と個人の負担部分を区別する手間が省けるので、煩雑さはなくなります。
 

あくまで私見ですが・・団体では経費の支払いのみで、収入がないのが通常ですので。

 

(3) 預金残高をゼロにする

なお、団体預金口座の期末残高がゼロの場合は、上記の論点自体が出てきません。
一番明確な処理は、「決算期末までに団体預金残高を使い切ってゼロにする」ことだと思います。

なお、どのやり方を採用するにしても、団体で利用した経費のうち、交際費等や寄附金等の支出があれば、法人が支出した場合と同様、申告書での加減算は必要です。

 

6. 具体例

 

● A社は、従業員の親睦を目的とした「A社親睦会」を組成し、同団体名義の通帳を作成した。
● A社親睦会は、A社からの独立性が低い「従業員団体方式」とする。
● A社は毎月、従業員から20,000円を徴収し、会社負担分40,000円を上乗せした60,000円を、同団体に拠出。
● 期末時点の「A社親睦会名義」の通帳残高は30,000円。
 ⇒簡便的に、当該預金残高は、全額法人負担分が残存しているものとして処理する。
● 給料仕訳は、親睦会以外の預り金は無視。法人と団体の会計年度は同じとする。

 

(仕訳例)

借方 貸方
毎月 毎月従業員から預り時 給料 ××× 預り金
現金
20,000
×××
毎月 法人から親睦会へ拠出時 預り金
福利厚生費
20,000
40,000
現金 60,000
決算期末 団体預金残の戻入 預金 30,000 福利厚生費 30,000

本来、決算期末の処理として、預金残高全額ではなく「法人負担部分」のみを戻せば正解です。
しかし、法人と従業員負担分の区分の煩雑さを考慮し、今回の仕訳例は、決算期末の預金残高は、すべて法人負担分が残存しているものとして処理を行っています。

 

7. 参照URL

(福利厚生等を目的として組織された従業委団体の損益の帰属 法基通14-1-4,14-1-5)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/14/14_01_02.htm

 

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