税金の豆知識

Q28 出向した場合の給与負担関係は?

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出向した場合の給与負担関係は?

人事政策の一環として、関係会社間で出向・転籍とかってありますよね。今回は、出向転籍の場合の税務上の留意事項(給与等)まとめてみました。

出向とは? 現在の雇用関係は消滅せず、籍を残して他の法人に勤務
転籍とは? 現在の雇用関係は消滅し、他の法人に籍を移して勤務

 

転籍者の給与については、通常、転籍前の法人が負担することはありませんので、今回は「出向者給与」に限定して以下記載します。

以下、解説をよりわかりやすくするため、
親会社から子会社へ出向した場合を例にします。出向者をAさんにします。

 

税務上の考え方

税務上は、出向者Aさんへの給与は、「どこに労働を提供した結果得た給料か」をもとに課税関係を決定します。

簡単にいうと・・
例えば、Aさんが、子会社側で終日仕事をしている場合は、Aさんの給料は子会社で100%負担しましょう!ってことです。
(この場合、もし全額親会社が負担した場合は、親会社から子会社への寄付金課税)

勘定科目や消費税の取り扱いは?

(例)
● Aさんは、出向先の子会社で100%就業している
●会社からAさんへの直接の給与支払は、出向元である親会社で行う
●出向先である子会社は、親会社に、Aさんの給与負担金を支払う

よくあるケースですね。
Aさんは、一旦、子会社に出向するけれど、将来的には親会社へ復帰すること等を考慮して、出向後も引き続き親会社がAさんに給与の支払いを行うような場合です。

(1)給与負担金の勘定科目

 支払時の科目は・・何でも構いません。
ただ、後述の源泉徴収との関係を考えると・・従業員に直接支払う方(親会社)は「給料」、請求に基づき給与を負担金する側(子会社)は、「支払手数料」等の科目の方がわかりやすいです。(上記例だと親会社=給料、子会社=支払手数料)。
 

(2)給与負担金の消費税

子会社側では、支払手数料は損金算入されますが、実質中身は給料等ですので消費税は不課税の点、注意です(親会社の受取手数料等も、同様に不課税)。
 

(3)まとめ
会社名 支払時科目 受取時科目 消費税
親会社 給料(従業員へ) 受取手数料等 不課税処理
子会社 支払手数料等 不課税処理

 

源泉所得税や社会保険の支払は?

直接従業員に支払う側に、「源泉徴収義務」や「社会保険納付義務」があります。
(所基通183~193共-3)。
上記の例だと、出向元(親会社)に源泉徴収・社会保険納付義務があります。
(逆に、子会社から従業員に直接給料を支払う場合は、子会社に義務があります)
 
ただし、労働保険に関しては、事業所単位での支払いとなり、上記と関係なく実際就業している会社側での支払いとなります。

         

         

         

         

         

項目 親会社支払(出向元) 子会社支払(出向先)
源泉所得税 親会社 子会社
社会保険料 親会社 子会社
雇用保険料 親会社 子会社
労災保険料 子会社 子会社

なお、上記の表は、各役所に対してどっちが支払うか?という意味ですので、実際に負担するかどうか?を示しているわけではありません。
例えば、社会保険の会社負担分は、一旦出向元(親会社)が年金事務所に支払いますが、実質その分は、当該支払い分は、親会社から子会社に請求を行います。

較差補てん

出向した場合でも、出向元の賃金水準を維持する観点等から、給与条件の較差を補てんする場合があります。

(1)較差補填金の損金算入は?

給与較差を補てんする等、合理的理由がある場合には、補てん額につき損金算入が可能です(合理的理由がない場合は、給与相当額を超えた部分は、「寄付金」)

 

(2)給与較差を補てんする合理的な理由例

 ・子会社が、経営不振等でAさんに賞与を支給できないため、親会社が負担した賞与等
 ・子会社が海外にあるため、親会社が留守宅手当を支給した場合
 ・その従業員に特別な技術力があって、当該技術力に対して支給する場合
 

Aさんの立場が、親会社では従業員、子会社では役員の場合

Aさんは、子会社では「役員の立場」のため、子会社負担部分は役員報酬となります。従って、子会社では、一般的な役員報酬の規制を受けます。
 
また、従業員の立場である親会社での「賞与の支払」にも注意しましょう。親会社が支給した賞与のうち、子会社が負担した部分は子会社側で「役員賞与」となります。

 

退職金関係

(1)出向期間に対応する退職給与の額

・子会社が、出向期間に対応する退職給与の額を、定期的に親会社に支出している場合は、子会社で支出事業年度に損金算入できます。また、Aさんが親会社を退職した場合、子会社がAさんに対して出向期間に対応する退職給与の額を親会社に支出したときも、同様に子会社で支出事業年度に損金算入できます。
(Aさんが子会社役員の場合や、子会社で役員等で継続勤務する場合も損金OK)
 
・Aさんの出向期間に対応する退職給与の額は、合理的な理由があれば、子会社で負担しないことも可能です。
 

(2)適格退職年金

・親会社が適格退職年金契約を締結している場合に、子会社がAさんに係る掛金等の額を親会社に支出したときは、支出事業年度に損金算入できます。

~関連URL~

(転籍、出向者に対する給与等)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_09.htm

(出向先法人が支出する退職金の負担金の取扱い)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5242.htm

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