税金の豆知識

Q19 法人税法上の役員報酬規制

19610view

Q19 法人税法上の役員報酬規制

法人を設立して、まず迷われる論点は、「役員報酬の金額の決定」かもしれません。
個人事業主と異なり、法人の場合は自分への「役員給与」として損金算入が認められています。
 
実は、役員給与の決定は・・非常に大事な手続きになってきます。
なぜなら・・一度決めた給与は、基本的に期中で変更することができないからです。
途中で思ったより利益が出そうだから給与を増額する、あるいは賞与を出す・・これらは経費として認められません。
 
役員は自分の給料を自由に決定できる立場なので、お手盛り防止の観点から、法人税上は厳密な規定が設けられています。

 

役員報酬を決定する機関

 

取締役会非設置会社 「株主総会」で決定
取締役会設置会社 一般的に「株主総会」で役員の年間報酬総額を定め、「取締役会」で、株主総会で承認された役員報酬総額の枠内で、各役員の報酬を決定

 

損金できるケース

下記の①~③に該当すれば損金算入できます。
ただし、過大な役員給与については損金算入が認められません。

 

①定期同額給与 支給時期が1月以下の一定期間ごとであり、かつ支給額が同額である給与。
事前届出がなくても無条件に損金算入できます。
事前確定届出給与 所定時期に確定額を支給する給与で、届出期限まで(注)に納税地の所轄税務署長に届出を提出しているもの。例えば、夏季、冬季の賞与等が該当します。
③業績連動給与 同族会社以外の法人が、役員に対して支給する利益連動給与で、一定要件を満たすもの。
一定の要件は、「算定方法が、有価証券報告書に記載される客観的なもの」などですので、中小企業にはあまり関係ないかもです。

(注)事前確定届出給与の株主総会決議日から1か月以内 or 期首から4月経過日のいずれか早い日まで
 

過大役員給与とは?

   

形式基準 株主総会で承認された役員報酬の支給限度の範囲内であること。
実質基準 役員の職務内容、利益、同種同規模の役員報酬の水準等からみて判断。

 

定期同額給与の改定は認められる?

改定は次の場合に認められています。

 

①通常改定 事業年度開始後3か月以内の定時改定(申告期限延長していない場合は2か月以内)。
②臨時改定事由による改定 取締役から代表取締役への昇格等役員の職制上の地位の変更、病気等により職務執行ができない、合併等による役員の職務内容の重大な変更等、やむを得ない事情による改定。
③業績悪化改定事由による減額改定 「経営の状況が著しく悪化したこと等」によりやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情にかかる減額改定。

定期同額給与の改定時期

(1)原則的な取扱い

定期同額給与の改定は、例えば、3月決算の場合、申告書提出期限の5月末までに株主総会を開催し、6月から新たな職務執行期間の給与改定を行います(法人税申告期限を延長していない中小企業)。
 

(2)翌月払いのケースは認められる?

なお、6月分役員報酬の支給を、後払で7月以降に支払うケースでも、定期同額給与として認められます。

なぜなら、法令は、改定後の定期給与を3か月以内に改定を行うことは要求していますが、3か月以内に支払うことまでは規定されていないからです(税務通信 NO3594)。
 

(3)期首からの役員報酬変更は可能?

また、期首又は前期末での臨時株主総会を前提に、期首から改定も認められます
(「租税相談事例研修会」より)。
 

業績悪化改定事由とは?

国税庁の役員賞与Q&Aでは、かなり厳しい要件となっています。業績や財務状況、資金繰りの悪化といった事実が生じていたとしても、利益調整のみを目的とした減額改定は、業績悪化改定事由に該当しません。

 

(1) 該当する場合~国税Q&Aより~
株主との関係上、業績の悪化等についての経営上の責任から、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
取引銀行との借入金返済のリスケジュール協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
取引先等への信用を維持・確保する必要性から、経営改善計画が策定され、役員給与減額が盛り込まれた場合。
大口得意先の倒産、主力製品の瑕疵による損害賠償金等で数か月後には利益影響が必至な状況での減額改定
⇒たとえ、数値的指標が悪化する前でも、客観的な事情から、今後経営状態が悪化することが不可避であるため

なお、事前確定届出給与も、業績悪化改定事由や臨時改定事由が生じた場合は、届出を前提に改定が認められます。

 

(2) 該当しない場合~国税Q&Aより~
一時的な資金繰りの都合や、単に目標の経営数値に届かないことによる減額改定(国税Q&A)
経常利益が対前年比で6%減少したため行った減額改定は、業績悪化改定自由には該当しない
(国税不服審判所の裁判事例 平成23年1月25日)

 

一旦減額したものは、任意の時期に元に戻せる?

税務上は、減額規定だけですので、元の支給額に戻す時期の「明確な規定」がありません。

したがって、増額改定時期は、期首もしくは定期改定事由に該当する時期に戻すのが「現実的」かもしれません。
(任意に戻した場合は、増額改定後の金額のうち、「改定前の金額を超える部分」が損金不算入になります)

 

損金不算入額は?

定期同額給与に該当しない役員賞与については、賞与はその全額、毎月の給与については、改定額と改定後の差額が損金不算入額となります。

 

期中で金額改定した場合は?

いろんなパターンがありますが、代表的なパターンだけ記載しておきます。

(1) 増額パターン

 

通常改定ではない増額 「通常改定ではない増加額」が損金不算入
役員に対する経済的利益が認定
(税務調査で)
経済的利益のうち「年度を通じて概ね一定の金額になっている部分以外」は損金不算入

 

(2) 減額パターン

 

業績悪化改定事由に至らない期中減額改定 減額後の金額を基準に、「減額前の超過額全額」が損金不算入
過大役員報酬と認定され、適正額まで減額する場合
(税務調査で)
適正額を基準に、「減額前の超過額全額」が損金不算入

 

参照URL

(役員に対する給与)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm

(役員給与に関するQ&A)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf

 

濱田会計事務所への無料ご相談・お問い合わせは0120-932-116まで

まずは無料面談からお話をお聞かせください。
どんな些細なお悩みでも結構です。
お電話お待ちしております。

0120-932-116

お問い合わせはこちら