税金の豆知識

Q34 社会保険料の会計処理/勘定科目

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社会保険料の会計処理/勘定科目

健康保険料、厚生年金保険料等の「社会保険料」の会計処理って意外と悩ましいですね。
会社負担と個人負担分があり、しかも給料と社会保険の支払時期は通常異なりますので。
社会保険料とは、広義には「労働保険料」も含まれますが、今回は、健康保険料、厚生年金保険料等(狭義の社会保険料)につきまとめます。
(労働保険の会計処理については、(Q14)をご参照ください)

以下、健康保険料、厚生年金保険料を「社会保険」と略します。

会社と個人の負担割合は?

基本的には、「会社と個人の折半」で負担しますが、「児童手当拠出金」については、会社全額負担となります。

年金事務所にはいつ支払?

これは決まっています。当月分を翌月末に支払います
例えば、11月分については12月末に支払います。月の途中入社でも日割りせず、月額満額支払が発生します。

給料の支払時期は?

これは会社によってばらばらです。当月分当月払いの場合もあれば、当月分翌月払いの場合もあります。

「給与の計上時期」と「年金事務所への支払時期」は全く連動していません
このあたりが頭が混乱する理由なんだと思います。

従業員からはいつ天引き?

(1)天引き方法は2パターン

 

翌月徴収 当月従業員負担分を、翌月支払給与より徴収
当月徴収 当月従業員負担分を、当月支払給与より徴収

 
原則は、「翌月徴収」となります。
なお、徴収方法のどちらを採用しても、年金事務所への支払い時期が変わるわけではありません。例えば、11月分社会保険の年金事務所への支払いは、翌月徴収であれ当月徴収であれ、12月末までに納めなければいけません。
 

(2)入社時と退職時の処理が異なる

翌月徴収と当月徴収で、1点異なるところがあります。
翌月徴収の場合は、入社時は1か月遅れで徴収するため、入社月の従業員徴収額はゼロ、退職月には「2カ月分の社会保険料」を徴収します。
一方、当月徴収の場合は、入社月、退職月どちらも1か月分を徴収することになります。

         

         

         

入社月 退職月
翌月徴収 徴収ゼロ 2か月分徴収
当月徴収 1か月分徴収 1か月分徴収

勘定科目は?

         

従業員負担分 預り金 給料仕訳計上時に「預り金」を計上
年金事務所支払い時に「預り金」取り崩し
会社負担分 法定福利費 毎月末or年金事務所支払時に「法定福利費」計上

 

混乱する理由は、給料支払時期や、従業員から預かる時期がバラバラだからでしょうね。

翌月徴収での会計処理例

(例題)
●給料計算期間は1日~31日、当月分を翌月25日に支給。
●社会保険料は、原則通り「翌月徴収」とします。
●給与天引きは、社会保険のみ(所得税、労働保険等の天引きは省略)
●給料額面40、社会保険料8とします(会社負担4 従業員負担4)。
(簡便的に、会社負担、従業員負担は同額を仮定)
10月の計上、11月の支払の例を記載します。
●表内のカッコ書きは、社会保険該当月を示しています。

法定福利費を支払時に計上 法定福利費を未払で計上
内容 借方 貸方 借方 貸方
10月末 給料
計上
給料 40
未払費用 36
預り金(10月分) 4
給料 40
未払費用 36
預り金(10月分) 4
未払時点で、翌月支払社会保険料を預かっておく。
10月末 社保
計上
仕訳なし
法定福利費(10月分) 4
未払費用 4
発生主義は法定福利費を未払計上
11月25日 給料
支払
未払費用 36
現金 36
同左
11月末 社保
支払
預り金(10月分) 4
法定福利費(10月分) 4
現金 8

預り金(10月分) 4
未払費用(10月分) 4
現金 8

年金事務所への支払は共に前月分(10月分)。
11月末 給料
計上
給料 40
未払費用 36
預り金(11月分) 4
給料 40
未払費用 36
預り金(11月分) 4
10月と同様。以下同じ仕訳続く
11月末 社保
計上
仕訳なし
法定福利費(11月分) 4
未払費用 4
10月と同様。以下同じ仕訳続く

●翌月徴収の場合は、毎月末1か月分の預り社会保険料が「預り金残高」で残ることになります。
●なお、法定福利費を未払計上する場合は、未払費用計上時に、預り金⇒未払費用に振り替えておくことも考えられます。この場合は、毎月末の預り金残高は「ゼロ」になります。
●また、簡便的に、従業員から徴収時に「預り金」勘定を使わず、「法定福利費」(貸方)で計上するような仕訳もあります。

翌月徴収と当月徴収の比較

社会保険を、「翌月徴収する場合」と、「当月徴収する場合」を比較します。
入社時と退職時で、徴収額及び仕訳が異なってくる点が特徴です。
簡便的に、現金主義を前提に、両者を比較します。
 

(例題)
●給料計算期間は1日~31日。当月分を当月末に支払
●10月1日に入社し、3月31日に退社したケースを例にします。
●給与天引きは社会保険のみ(所得税、労働保険等の天引きは省略)
●給料額面40、社会保険料8(会社負担4 従業員負担4)。
(簡便的に、会社負担、従業員負担は同額を仮定)
●表内のカッコ書きは、社会保険該当月を示しています。

 

社保翌月徴収
の場合
社保当月徴収
の場合
内容 借方 貸方 借方 貸方
10月末 給料
支払
給料 40
現金 40
給料 40
現金 36
預り金(10月分) 4
当月徴収の場合は、当月分(10月分)社会保険料を預かっておく。
10月末 社保
計上
仕訳なし 同左 現金主義のため社保は計上しない
11月末 給料
支払
給料 40
現金 36
預り金(10月分) 4
給料 40
現金 36
預り金(11月分) 4
徴収した社保の対応月が異なる点注意
11月末 社保
支払
預り金(10月分) 4
法定福利費(10月分) 4
現金 8

同左 年金事務所への支払は共に前月分(10月分)のため、仕訳は同じ。
3月末 給料
支払
給料 40
現金 32
預り金(2月分) 4
預り金(3月分) 4
給料 40
現金 36
預り金(3月分) 4
翌月徴収のケースは、退職月に2か月分徴収する。
3月末 社保
支払
預り金(2月分) 4
法定福利費(2月分) 4
現金 8
同左 年金事務所への支払は共に前月分(2月分)のため、仕訳は同じ。
4月末 社保
支払
預り金(3月分) 4
法定福利費(3月分) 4
現金 8
同左 年金事務所への支払は共に前月分(3月分)のため、仕訳は同じ。

 

退職時期で社会保険料は変わるの?

会計処理とは関係ないですが・・
社会保険料に日割りの概念はなく、月末に属するところに1か月分を支払いますので、仮に月末1日前に退職したとすると、退職月の健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料がかからないことになります。
例えば、3月31日に退職した場合は3月分の社会保険料がかかりますが、3月30日退職の場合は、3月分社会保険料はかかりません。

社会保険料の更新時期

(1)更新時期

毎年9月は、社会保険料が更新される時期です。郵送で送られてくる「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」を見て、標準報酬月額より、社会保険料の金額変更を行います。

(2)従業員から天引きする額を変更するタイミング

「変更後の社会保険料を年金事務所に支払う月」に「該当する給与明細」と考えればわかりやすいです。例年、10月末支払の社会保険料より、金額が変更されますので・・
 

当月分翌月払の場合 9月分10月払給料より新しい社保を徴収
当月分当月払いの場合 10月分10月払給料より新しい社保を徴収

 

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