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Q191 【例題付】資産を非業務用⇒業務用に転用した場合の減価償却(新品・中古)

最終更新日:2022/03/28

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Q191 資産を非業務用⇒業務用に転用した場合の減価償却(新品・中古)

プライベートで利用していた財産(不動産・備品等)を、事業として転用するケースもあると思います。例えば、持ち家の一部を事業として利用する場合や、個人で利用していたPCを、ビジネスで利用する場合などです。
こういった場合、固定資産の減価償却方法や耐用年数はどうなるのか?という論点です。
(以下、プライベート利用は「非業務用」、仕事利用は「業務用」と略します)。

 

1. 業務用と非業務用では耐用年数、減価償却方法が異なる

業務用と非業務用では、「耐用年数」や「減価償却方法」が異なります。
税法で規定されている「法定耐用年数」は、「業務用」が前提となりますので、「非業務用」の場合は、業務用の耐用年数を1.5倍して計算します(事業で使う方が早く消耗すると想定されるため)。

 

2. 業務用転用時の価値を算定

一般的に、モノは、利用とともに「価値」が劣化していきますので、業務用転用時点では、当初の取得価額よりも「価値」は減少しています。業務用と非業務用では、耐用年数、減価償却方法が異なりますので、業務用転換時点の「価値」を算定する必要があります。具体的には、業務用転用時点までに「償却しているであろう額」(=価値の減少額)を計算します。

業務用転用時の価値を算定

 

3. 具体的計算方法

大きく分けて、以下の2つの計算があります。

① 業務の用に供した日における未償却残高相当額の計算
② 業務の用に供した後の減価償却の計算

 

(1) 未償却残高相当額の計算

転用時点までの減価償却を行い、業務用転用時点の未償却残高を計算します。

耐用年数(非業務用) 当該減価償却資産に係る(業務用)耐用年数×1.5
償却方法 旧定額法 (取得価額×0.9×旧定額法償却率)
償却金額 上記で算定した非業務用期間の償却金額
償却方法 旧定額法 (取得価額×0.9×旧定額法償却率)
未償却残高 取得金額-上記償却金額

未償却残高相当額の計算

非業務用時代の耐用年数は、新品・中古関係なく、法定耐用年数×1.5で行う点に注意
 (中古資産でも、中古資産の「見積耐用年数」を用いるわけではない)
● 非業務用時代の減価償却の計算は、「旧定額法」で固定されている点に注意。
  旧定額法による償却額=取得価格×90%×旧定額法償却率
 (旧定額法のため、取得価額の95%が限度。5%は必ず残る)
● 非業務用期間の年数は、6月以上の端数は1年、6月未満の端数は切り捨て
● 1.5倍に相当する年数に1年未満の端数は切り捨て

 

(2) 業務用転用後の減価償却費の計算

① 耐用年数・償却率

転用時点の「残存耐用年数」を算定するわけではなく、あくまで、対象物件が新品なのか、中古資産なのか?で、転用後の耐用年数(業務用)を決定します。
また、転用後の減価償却費も、転用時点の未償却残高が基準ではなく、対象物件の取得価額をベースに計算します。

新品の場合 法定耐用年数
中古の場合 合理的見積使用可能年数か簡便法

業務用のため1.5倍しない点に注意
償却方法は「旧定率法ではない」点に注意

業務用転用後の減価償却費の計算

● 中古資産の場合の「経過年数」は、新築等されてから中古資産を取得した時までの期間になります。
  転用した時期は関係ありません

 

② 償却方法

業務用転用後の減価償却方法は、資産の取得年月日(転用の日ではない)で判定します。新品ないし中古資産の取得年月日となります。

取得年月日 建物 建物附属設備・構築物 左記以外
H10/3/31以前 旧定額法or旧定率法 同左 同左
H10/4/1~H19/3/31 旧定額法 旧定額法or旧定率法 同左
H19/4/1~H28/3/31 定額法 定額法or定率法 同左
H28/4/1以降 定額法 同左 定額法or定率法

 

4. 新品の場合の具体例

● 2022年1月に、プライベートで「新築建物」取得(木造 法定耐用年数22年)。
● 取得価格 22,000,000円
● 2023年1月から100%、個人事業主の「業務用」に転用した。
● 消費税については無視する。

新品の場合の具体例

 

(1) 未償却残高相当額の計算

① 非業務用時代の耐用年数
  木造22年 × 1.5 =3 3年 ( 33年の旧定額法の償却率 ⇒0.031)
② 非業務用の期間
  2022年1月~2023年1月 1年1カ月⇒切り捨て1年
③ 非業務時代の償却額 (旧定額法)
  22,000,000円 × 90% × 0.031 × 1年 = 613,800円 ⇦償却済額
④ 業務用転用時の未償却残高
  22,000,000円 – 613,800円 = 21,386,200円 ⇦未償却残高

 

(2) 業務用転用後の減価償却費の計算

① 転用後の耐用年数
  新品のため「法定耐用年数」 を採用⇒22年、定額法(償却率0.046)
② 減価償却費(2022年1月~2022年12月)
  22,000,000円(当初取得価額)× 0.046 × 12/12 = 1,012,000円

 

5. 中古資産の場合の具体例

● 2022年1月に、プライベートで「中古建物」取得(木造 法定耐用年数22年)
● 取得価格 22,000,000円
● 上記の中古建物は、2015年1月完成したものとする
● 2023年1月から100%、個人事業主の「業務用」に転用した。
● 消費税については無視する。
● 中古資産の耐用年数は「簡便法」を採用するものとする。

中古資産の場合の具体例

 

(1) 未償却残高相当額の計算

① 非業務時代の耐用年数
  木造22年 × 1.5 = 33年(33年の旧定額法の償却率 ⇒0.031)
  ⇒ 中古耐用年数を利用するわけではない点注意
② 非業務用の期間
  2022年1月~2023年1月 1年1カ月⇒切り捨て1年
③ 非業務時代の償却額(旧定額法)
  22,000,000円 × 90% × 0.031 × 1年 = 613,800円 ⇦償却済額
④ 未償却残高
  22,000,000円-613,800円=21,386,200円 ⇦未償却残高

 

(2) 業務転用後の減価償却費の計算

経過年数(中古資産の耐用年数)
  2015年1月から2022年1月・・・7年1か月⇒切り捨て7年
  ⇒転用した日までの経過年数ではない点注意
② 転用後の耐用年数(中古資産・簡便法)
  (22年 – 7年)+ 7年 × 20/100 = 16.4年 ⇒切り捨て16年
  16年、 定額法(償却率0.063)
  ⇒業務用のため1.5倍しない、償却方法は旧定率法ではない点注意
③ 減価償却費(2022年1月~2022年12月)
  22,000,000円(当初取得価額)× 0.063 × 12/12 = 1,386,000円

 

6. ご参考~ 一部を業務用に転用する場合~

例えば、自宅の一部を業務用に利用する場合など、事業転用部分が一部の場合は、「事業利用割合」を算定し、当該事業利用割合部分だけ「非業務用から業務用に転用」するものとして計算を行います。

 

7. 参照URL

(No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2108.htm

(No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2109.htm

(非業務用を業務の用に供した場合)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/17.htm

(耐用年数)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

(償却率)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf

 

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