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Q194【令和3年改正】研究開発費・試験研究費の税務処理・会計処理/試験研究費の税額控除(特別控除)の内容や範囲は?

最終更新日:2022/05/24

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Q194【令和3年改正】研究開発費・試験研究費の税務処理・会計処理/試験研究費の税額控除(特別控除)の内容や範囲は?

新製品や、サービス等を開発する費用は、「研究開発費」と呼ばれます。
会計基準については、「研究開発費等に係る会計基準」がありますが、税法上は「試験研究費」という名称で整理され、会計基準の「研究開発費」と、微妙に概念が異なります
法人が支出する「税法上の試験研究費」については、一定要件を満たす場合、試験研究費の一部を法人税から控除(税額控除)できます。
今回は、令和3年の改正をもとに、多くの中小企業に関連する、税法上の「試験研究費」の会計処理・税務処理や、税額控除の内容をお伝えします。

 

1. 税法上の「試験研究費」の内容

(1) 税法上の試験研究費とは?(国税庁No.5442、No.5444)

試験研究費とは、①製品の製造・技術の改良、考案若しくは発明及び②対価を得て提供する「サービス開発」(※)に係る試験研究に要する費用です。
(※) 【例】 AIや、ビックデータのサービス提供等

製品の製造・技術の改良、考案若しくは発明 ● 製品については、新製品や新技術に限らず、現に生産中の製品の製造や既存技術改良のための試験研究も含まれる。
サービス開発 ● 「対価を得た」「新サービス」に限定されるため、既存サービスの改良や、社内業務改善の試験研究は対象外
● ①データの収集②データの分析③新サービスの設計④新サービスの適用のすべての活動が行われる必要がある。

● 人文・社会科学的な研究は「試験研究費」に該当しない。

 

(2) 税法上の試験研究費とならないもの 

税法上の「試験研究費」に似たもので、以下のものがあります。これらは税法上の「試験研究費」になりませんので、注意が必要です。

ソフトウェア 無形固定資産となります。(タックスアンサーNo.5461 )。
研究のための固定資産 特定の研究開発目的だけに使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等は、固定資産となります。なお、研究のための固定資産は、通常の減価償却資産よりも短い耐用年数が設定されています。
開発費 「開発費」とは、新技術・新経営組織の採用、資源の開発・市場開拓のために「特別に支出」する費用です(法施令 14条1項3号)。開発費は、法人税上、任意償却の「繰延資産」となり、法人が損金経理した金額が損金となります。(法施令第64条1項1号)(※)

 

(※)開発費の例示

新技術の採用 技術導入費、特許権使用に関する頭金等(ただし、ノウハウ設定の頭金は税法固有の繰延資産に該当)
新経営組織の採用 新経営組織採用に伴うコンサル費用、設備移転費用、人員配置換え費用等(集中生産の機械装置移転費用等は、機械装置の取得原価 法基通7-3-12)
資源の開発 鉱山業の探鉱のための地質調査、ボーリング費用等
市場の開拓 新販路開拓の広告宣伝費、展示会出展費、市場調査費、PR品、パンフレット制作費等

● 開発費には、経常的な支出となる費用、例えば不動産賃借料、消耗品費、人件費、保険料、光熱費などは含まれない。

 

(3) 試験研究費となる費目(措法令 27 の 4③)

「試験研究費」という勘定科目は、あくまで「試験研究」という目的に着目した区分であり、雑多な費目が集まった「複合科目」となります。税法上、「試験研究費」に該当する「費目」が例示されています。以下の通りです。

試験研究を行うための原材料費、人件費(専門的知識で試験研究業務に専ら従事する者の人件費に限る)および経費
他の者に委託して試験研究を行う法人は、その委託費用
技術研究組合法第9条第1項の規定により賦課される費用

 

2. 試験研究費の会計処理・税務処理

税務上の「試験研究費」は、以下の区分に応じて処理を行います。原価性を有する「試験研究費」は製造原価で処理を行います。製造原価の場合は、期間費用と異なり、販売未了時点(在庫)では損金にできず、実際販売時点で損金算入が可能です(法基通5-1-4 (2))。

区分 内容 税務処理
基礎研究
応用研究
● 自然現象の実験等による法則を見つける等、原理原則の研究
● 基礎研究の結果を応用して、工業化するための研究
● 工業化研究に該当することが明らかでないもの
期間費用
(一般管理費)
工業化研究 ● 基礎研究や応用研究を元に、製品化のめどがついた工業化や量産化をするための研究。
● 既存製品や既存技術改良のための費用は、工業化研究に含まれる。
製造原価
(当期総製造費用)

試作品については、自社の固定資産としての機能を有する場合や、外部に販売可能なものは、原則、固定資産・棚卸資産で計上。ただし、仕損した材料費や採用されなかった設計費、研究開発段階の人件費などは、支出時費用計上OK(法基通7-3-15の3)

 

3. 試験研究費の税額控除(特別控除)の種類

「一定の要件を満たした」研究開発費については、税額控除が認められています。次の3つの税額控除があります。すべて青色申告法人が対象となります(タックスアンサー No5441)。

制度 税額控除額
A 一般試験研究費の額に係る税額控除制度 試験研究費」の額×控除率(2~14%)(※2)
B 中小企業技術基盤強化税制(※1) 試験研究費」の額×控除率(12~17%)(※2)
C 特別試験研究費の額に係る税額控除制度
(オープンイノベーション型)
特別試験研究費」の額×控除率(20~30%)(※3)

(※1)中小企業者のみ(原則、資本金の額が1億円以下の法人)
(※2)控除上限は法人税額×(25%+上乗せ)、上限は最大法人税額×40%
     控除率は増減試験研究費割合により変動
(※3)控除上限は法人税額×10%

AとBは選択適用となり、中小企業者の場合は、Bを選択する方が有利となります。なお、欠損が生じる場合など、税額が生じない場合は、「税額控除」の恩典は受けられません。

 

4. 税額控除が可能な試験研究費・特別試験研究費とは?(租措法通達42の4(1)-1)

税額控除の対象となる「試験研究費」は、損金に算入される「試験研究費」よりも対象範囲が広くなっています。

 

(1) 税額控除の対象となる試験研究費とは?

令和3年改正により、税額控除が可能な「試験研究費」が、明確に定義づけられました。

税額控除が可能な「試験研究費」とは、事物、機能、現象などについて新たな知見を得るため又は知見の新たな応用を考案するために行う、創造的で体系的な調査、収集、分析等の活動のうち「自然科学」に係るもの。新製品の製造又は新技術の改良、考案若しくは発明に係るものに限らず、現に生産中の製品の製造又は既存の技術の改良、考案若しくは発明に係るものも含まれる。

(特徴)
● 損金に算入される「試験研究費」だけでなく、税法上、固定資産、繰延資産、棚卸資産の取得価額に含められる研究開発費についても、非試験研究用資産(試験研究の用に供さないもの)であれば、損金経理を要件として、研究開発税制の対象(タックスアンサー No.5442)。例えば、製品の製造に使用されるクリーンルームの開発・製造費用等。「損金経理」が要件となる点、留意が必要。
● 顧客へ販売する製品・サービスの研究開発に限らず、自社で利用するソフトウェアに係る研究開発も、自然科学に該当するものであれば、研究開発税制の対象(令和3年改正)。例えば、クラウドサービス等の開発に用いられるツールなど。
● 国税庁上、試験研究費に含まれないものが、例示されています、(租措法通達42の4(1)-2、人文科学及び社会科学に係る活動など。)

 

(2) 税額控除の対象となる「特別試験研究費」とは?(国税庁 No.5443 )

特別試験研究費は、試験研究費よりも範囲が狭くなっています。
特別試験研究費とは、試験研究費のうち①国の試験研究機関、②大学等と共同して行う試験研究③国の試験研究機関、大学等に委託する試験研究④中小企業者からその有する知的財産権の設定又は許諾を受けて行う試験研究⑤その用途に係る対象者が少数である医薬品に関する試験研究などに係る試験研究費。

(特徴)
● 特別研究機関等には、人文系の研究機関も含まれる(令和3年改正)。
● 共同研究の相手方には、国立研究開発法人・国公立大学等の外部化法人も含まれる
(令和3年改正)

 

5. 損金算入要件

税額控除の対象となる試験研究費・特別試験研究費は、「損金算入要件」があります。

区分 税務処理 税額控除のタイミング
基礎研究・応用研究 期間費用(一般管理費) 期間費用時
工業化研究 製造原価(当期総製造費用) 販売時点(当期製品製造原価)
研究用固定資産 固定資産(取得原価) 減価償却費計上時

● 賞与引当金や退職給与引当金等は、税務上の損金算入時点で税額控除の対象
● 例外的に、非試験研究用資産については、固定資産等の取得価額に含まれるものであっても研究開発税制の対象になります。

 

6. 参照URL

(法基通5-1-4(2)製造原価に算入しないことができる費用)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/05/05_01_02.htm

(法基通 7-3-15の3 ソフトウェアの取得価額に算入しないことができる費用)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_03_01.htm

No.5441 研究開発税制について(概要)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5441.htm

No.5442 一般試験研究費の額に係る税額控除制度

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5442.htm

No.5443 特別試験研究費の額に係る税額控除制度(オープンイノベーション型)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5443.htm

No.5444 中小企業技術基盤強化税制

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5444.htm

税額控除関係 第1款 試験研究の範囲(租措法通達42の4(1)-1、2)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/01/01_42_04a.htm

 

7. YouTube

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