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Q213【計算例付】外形標準課税(事業税)の適用対象・計算方法をわかりやすく解説/税率は?/資本金1億円超の判定と資本割計算(資本金等の額)の違い

最終更新日:2024/01/17

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Q213【計算例付】外形標準課税(事業税)の適用対象・計算方法をわかりやすく解説/税率は?/資本金1億円超の判定と資本割計算(資本金等の額)の違い

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

法人事業税は、通常、所得に対して課税されますが、資本金1億円超の法人の場合、所得だけでなく、外形(付加価値・資本金)に対しても課税される外形標準課税が適用されます。外形標準課税の場合は、赤字の場合でも事業税が発生することになります。
今回は、外形標準課税の内容や、具体的な計算方法等につき解説します。

 

1. 外形標準課税の適用有無判定は「資本金」のみ

外形標準課税が適用される会社の判定は、各事業年度末日の「資本金の額」が1億円超かどうか?だけで判定し、資本準備金等の金額は含めません。ここは、住民税均等割等算定時の「資本金等の額」とは異なりますので、十分な留意が必要です。
なお、一般社団法人・財団法人は、資本金の額に関わらず、外形標準課税の対象外となります。

 

2. 外形標準課税の計算は3つの合計

外形標準課税は、「所得割」「付加価値割」「資本割」の3つの要素から計算されます。
税率は各都道府県によって異なりますが、兵庫県の場合は以下となります(「超過税率」が適用)。

構成要素税率
外形標準課税所得割(※)1.18%
付加価値割1.26%
資本割0.525%

(※)兵庫県の場合は、超過税率(標準税率は1.0%)。
上記の他、特別法人事業税(国税)が課税されます(所得割(標準税率)×260%)

 

(1) 所得割

法人税上の「所得」に対して課税されます。繰越欠損金控除後の所得となります。
赤字の場合、所得割は発生しません。

 

(2) 付加価値割

「付加価値」に対して課税されます。付加価値とは、企業活動で生み出した価値のことをいい、。具体的には、以下の式で算定されます。付加価値割は、。赤字の場合でも発生する可能性があります。

付加価値割=単年度損益+収益配分額(=①報酬給与額 + ②純支払利子 +③ 純支払賃借料)

「収益配分額」については、後ほど、「3.」で解説します。

 

(3) 資本割

住民税上の資本金等の額」に対して課税されます。ここでの「資本金等の額」は、上記「1.外形標準課税の提要有無判定」の「資本金」ではなく、「資本準備金」も含めた金額となる点、注意が必要です。資本割は、赤字の場合でも発生します。
なお、持ち株会社等の場合、資本割の課税標準を一定額「減額」できる規定があります(特定子会社の株式等に係る控除措置)。特定子会社(発行済株式総数の50%超保有)の帳簿価額が、総資産の50%超の場合に減額が可能です。

 

3. 付加価値割の構成要素

付加価値は、以下の式で計算されます

付加価値割=単年度損益 + 収益配分額(報酬給与額 + 純支払利子 + 純支払賃借料)

 

(1) 単年度損益

単年度損益とは、「所得割」の「所得」、つまり法人税上の所得と同じ概念になります。
ただし、ここでの付加価値割を算定する際の「単年度損益」は、繰越欠損金を差し引く前の所得となる点で大きく異なります。
また、単年度損益がマイナスの場合は、収益配分額から控除することができます。単年度損失が大きく、収益配分額から控除した結果、付加価値割がマイナスになる場合は、付加価値割はゼロとなります。
付加価値割がマイナスだからと言って、翌年繰越はできません。

 

(2) 報酬給与額

役員や従業員に支払う報酬、給与、賃金、賞与、退職手当等の合計額となります。法人税上、損金の額に算入されるものが対象となるため、未払給与等も含まれます。実務上、細かい論点がいろいろありますが、代表的な取引を以下にまとめておきます。

中退共掛け金・確定拠出年金事業主負担部分は、報酬給与額に含まれる。
出向給与他社に出向している場合
出向元法人での受入出向負担金は報酬給与からマイナス
出向先法人の支払報酬負担額は報酬給与として集計
法定福利費(健康保険・雇用保険等)・通勤交通費原則として含まれない。ただし、非課税限度額を超える通勤手当は含まれる(消費税除く)。
各種引当金(賞与・退引繰入等)含まれない
派遣会社に支払う報酬支払額の75%だけ報酬給与額として集計
(旅費交通費も含まれる)

 

(3) 純支払利子

「支払利子」から「受取利子」を控除した金額です(マイナスの場合はゼロ)

含まれる含まれない
支払利子● 借入金・社債利息
● 手形割引料
● 売上割引
● ファクタリング費用
● 延滞税
受取利子● 預金・貸付金・有価証券利息
● 還付加算金
仕入割引

資産で計上した「支払利息」等も含まれます。

 

(4) 純支払賃借料

「支払賃借料」から「受取賃借料」を控除した金額です(マイナスの場合はゼロ)
ただし、1か月以上の契約等のものに限定されます。

含まれる含まれない
純支払賃借料● 土地・建物の賃借料
● 荷物保管料
● 出向先法人が負担する社宅家賃負担金
賃貸借処理のリース料
● 時間貸しの駐車場収入
● 契約で明確に区分されている共益費(光熱費等)

 

(5) 雇用安定控除

雇用(報酬等)に対する影響に配慮して、報酬の割合が多い会社については、一定の「雇用安定控除」が認められています。「収益配分額」のうち、「報酬給与額」の占める割合が70%超の場合、付加価値割から雇用安定控除額を控除できます。
控除額は以下の式で算定します。

雇用安定控除額 = 報酬給与額 - 収益配分額 × 70%(マイナスの場合はゼロ)

 

4. 中間申告

外形標準課税対象法人は、法人税で中間申告義務のない法人でも、法人事業税につき、必ず中間申告義務があります。
前事業年度と当事業年度で、外形標準課税かどうか異なる場合、中間申告の有無は、以下の方法で判定します。

前事業年度末当中間
事業年度末
中間申告義務の判定
外形対象外形対象法人税の中間申告義務の有無により判定(法72 条の26⑧、⑨)。予定申告の場合は、前事業年度の所得割額ではなく、事業税額の合計額をもとに計算した金額を申告納付。
外形対象外形対象中間時点で外形課税対象になる場合、中間申告納付の義務あり。ただし、予定申告の場合で、前事業年度が欠損等により事業税額がゼロの場合は、結果的に中間申告納税額はゼロ(法72条の26①、⑧)。

 

5. 具体例

● 兵庫県の会社。資本金の額 200,000千円( =資本金等の額とする)。
● 報酬給与 50,000千円。
● 単年度損益 △20,000千円( =所得と一致しているものとする)。
● 収益配分額の内訳は以下とする。リース料は「賃貸借処理」を採用。

【収益分配額の内訳】(単位:千円)

収益配分額支払受取差引
純支払利子支払利息10,000受取利息2,0008,000
純支払賃借料支払リース料30,000受取賃借料35,000△5,000

⇒純支払賃借料はマイナスのため、ゼロとなる。

 

(1) 付加価値割の計算
項目金額(千円)
報酬給与額50,000
純支払利子8,000
純支払賃借料0
収益配分額(①~③合計)58,000
単年度損益△20,000
付加価値割額(④+⑤)38,000
雇用安定控除額(①-④×70%)(※)9,400
課税標準となる付加価値割額(⑥-⑦)28,600

(※)収益配分額(④=58,000)のうち報酬給与額(①=50,000)の占める割合は、50,000÷58,000=86.2%>70%を超えるため、⑨雇用安定控除の適用が可能。

 

(2) 法人事業税(外形標準課税)の計算
(単位:千円)

納税額計算
所得割0単年度所得マイナスのため
付加価値割36028,600×1.26%
資本割1,050200,000×0,525%
合計1,410

なお、単年度所得マイナスのため、特別法人事業税(国税)も0になります。

 

(3) 結論

外形標準課税は、赤字の場合でも、資本割や付加価値割が課税されます。

 

6. 参照URLL

【東京都 外形標準課税に関するQ&A】

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/info/gaikeiqa.html

【東京都・外形標準課税の概要】

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/info/gaikei-01.html

【兵庫県 税率】

https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk22/pa04_000000008.html

 

7. YouTube

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この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
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1973年生まれ、大阪府豊中市出身
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