税金の豆知識

Q57 調整対象固定資産って?

公開日:2016/06/26 最終更新日:2020/10/14

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調整対象固定資産って?

1. 固定資産購入時の消費税の取扱いは?

消費税の納税額は、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて算定します(Q55参照)。

固定資産を購入した場合、法人税・所得税上は、耐用年数で費用化(減価償却)します。
一方、消費税上は、原則として、固定資産購入時に「全額控除」が可能です。
 
ただし、一定の場合、消費税上、全額控除した仕入税額控除の金額につき、調整が必要な場合があります。
これが今回の「調整対象固定資産」の論点となります。

 

2. 調整対象固定資産って?

固定資産にかかる消費税は、原則として購入時に全額控除が可能です。
しかし、固定資産は通常、長期にわたって使用されるため、購入時の状況だけで「仕入税額控除」を確定させると、その後の実態にそぐわないことがあります。

そこで、①一定の固定資産が②一定の条件を満たす場合には、当初に全額控除した「仕入税額控除」の金額を調整します。
これが「調整対象固定資産」と呼ばれるものです。
 

(1) 一定の固定資産とは?

固定資産(※) のうち、一取引単位の取得価額(税抜金額)が100万円以上の資産

(※) 建物、構築物、機械及び装置、車両及び運搬具、工具、器具及び備品など。
  ⇒土地などの「非課税資産」や「棚卸資産」は除きます。
 

(2) 一定の条件とは?

次の2つの条件どちらかを満たす場合です。
 

取得年度とその後3年間の「通算課税売上割合」を比較して、課税売上割合が著しく増減した場合
使用形態を転用した場合(課税業務用⇔非課税業務用)

なお、この調整は、調整対象固定資産を第3年度の課税期間の末日に保有している場合のみ行います。
つまり、同日までに、調整対象固定資産を除却、譲渡等で保有していない場合は、調整する必要ありません。
 

4. 調整する必要がある会社

課税事業者に対する規定ですので、免税事業者は関係ありません
「個別対応方式」や「一括比例配分方式」で、課税仕入を3区分する必要がある会社。
  (=課税売上高が5億円以上または課税売上割合が95%未満の会社)
 
⇒仕入税額控除が全額可能な会社は、原則として「調整対象固定資産の論点」は関係ありません。
(例外的に、課税売上割合が著しく増減した場合に調整が必要なケースもあります。)
 

5. 著しく変動とは?

●当初の課税売上割合(A) VS その後3年間の「通算課税売上割合」(B) を比較
   50%以上の変動がある場合⇒著しく変動に該当します。

 

(1)仕入消費税額に加算する場合(支払税額が安くなる)

   (BーA) ÷ A ≧ 50% の場合です。 (ただし、B-A≧5%の場合のみ)

(2)仕入消費税額に減算する場合(支払税額が高くなる)

    (AーB) ÷ A ≧ 50% の場合です。 (ただし、A-B≧5%の場合のみ)
 

6. 調整額

以下の金額を、第3年度の仕入消費税額に加算or減算します。

加算 調整対象固定資産消費税額×(B-A)
減算 調整対象固定資産消費税額×(A-B)

 

7. 具体例(課税売上割合が変動した場合)

 ● 建物を2021年3月期に購入 税込8,800万円(消費税800万円)。
 ● 2023年3月期末も、継続して保有しているとします。
 ● 2021年3月期~2023年3月期の課税売上割合は「以下の表」の通り。
 ● いずれの期間も「課税事業者」とします。

 

2021/3 2022/3 2023/3 3年合計
課税売上高(税抜)① 3,000万円 4,000万円 6,000万円 13,000万円
非課税売上高② 9,000万円 1,000万円 2,000万円 12,000万円
売上合計③=①+② 12,000万円 5,000万円 8,000万円 25,000万円
課税売上割合(①÷③) 25% 80% 75% 52%

(1)調整対象固定資産の判定
   8,800万円×100/110=8,000万円≧100万円 ⇒ 調整対象固定資産に該当
 
(2)2021年3月期の課税売上割合
   3,000円÷12,000万円=25%
 
(3)2021年~2023年3月期の通算課税売上割合
   13,000万円÷25,000万円=52%
 
(4)著しい変動かどうか?の判定
   (52%ー25%) ÷25% =108% ≧ 50%
   
   かつ、52%-25%≧5%⇒著しい変動に該当!
 
(5)加算額の計算
   800万円×(52%-25%)=216万円
   ⇒2023年3月期の仕入消費税額に加算します(=支払税額が安くなる)
 

8. 免税事業者・簡易課税との関係は?

原則として、調整対象固定資産を取得した当初課税期間から3年間は課税事業者となり、免税事業者の選択ができません
また、簡易課税制度を選択することできない点にも注意です(注)

(注)「課税事業者選択届出書」を提出した年度&翌事業年度に、「調整対象固定資産」を取得した場合のみ。
 

参照URL

(課税売上割合が著しく変動したときの調整)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6421.htm

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