税金の豆知識

Q95 帳簿書類の「保存義務」は何年?

最終更新日:2022/01/23

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Q95 帳簿書類の「保存義務」は何年?

最近は電子帳簿保存法の改正など・・帳簿や請求書の保存関係の論点を、新聞で見かける場合も多いですね。

電子取引の電子保存義務は、結局、2年の猶予期間(令和5年12月31日まで)が設けられることになりましたが・・
今回のテーマは、事業を続ける限りどんどんたまってくる「帳簿や請求書」。
いつまで保管しとかないといけないのか?という論点です。

帳簿や請求書の保存期間は、税法上定められています。
保存期間は、紙保存でも電子―データでの保存でも共通です。
ただし、「保存期限」は、法人税、所得税、消費税で微妙に異なっています。
今回は、税法上定められた帳簿や請求書等の保存期間につき、法人と個人事業主に分けて解説します。

 

1. 法人の場合

(1) 原則的な保存期限

確定申告書の提出期限から7年間となります。

 

 

 

帳簿 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、
固定資産台帳、売上帳、仕入帳など
 7年
書類 決算書類  貸借対照表・損益計算書・棚卸表など
現金預金取引等関係書類 領収書、預金通帳、小切手控・借用証など
 その他 請求書、契約書、納品書、注文書、見積書、
電子取引の電磁的記録、源泉徴収簿等
 

なお、請求書の発行側は、「請求書の控え(写し)」が存在する場合のみ「保存義務がある」規定となっています。
ただし、令和5年に導入されるインボイス制度では、受け取った請求書だけではなく発行した請求書(適格請求書)についても7年間の保存義務がありますので、結論的には保管しておいた方がよさそうです。

(例)

決算年度 確定申告書提出期限 帳簿保存期限
令和4年3月期 令和4年5月末 令和11年5月末
(2) 例外

青色申告で、欠損金の繰越控除を行っている場合は、以下の例外があります。

平成20年4月1日以後に欠損金が生じた事業年度の帳簿等 9年間
平成30年4月1日以後に欠損金が生じた事業年度の帳簿等 10年間

(具体例)
● 令和4年3月期が赤字の場合(青色申告)
 ⇒確定申告申告期限 令和4年5月末
 ⇒帳簿保存期限   令和14年5月末

帳簿保存期限の原則期間(7年間・令和11年5月末まで)の間に、令和4年3月期に発生した繰越欠損金が「既に利用済」の場合は、原則どおり7年間の保存で構いません。

 

(3)会社法

ただし、会社法では、下記の書類は10年の保存期間がありますので、少し頭の隅に置いておいてもよいと思います。

計算書類および附属明細書 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表など
会計帳簿および事業に関する重要書類 総勘定元帳、各種補助簿、株式申込簿、株式割当簿、株式台帳、株式名義書換簿、配当簿、印鑑簿など

3. 個人事業主の場合

重要書類は7年間、その他の書類は5年間です。

青色申告、白色申告別にまとめると以下の通りです。
(2014年1月より、白色申告者についても、「帳簿の記帳」と「帳簿書類の保存が義務づけられています)

(1) 青色申告の場合

 

 

 

帳簿 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、
固定資産台帳、売上帳、仕入帳など
 7年
書類 決算書類  貸借対照表・損益計算書・棚卸表など
現金預金取引等関係書類 領収書、預金通帳、小切手控・借用証など
 その他 請求書、契約書、納品書、注文書、見積書、送り状など
 
5年
 

ただし、消費税の仕入税額控除の要件として、帳簿等の7年間保存が要求されていますので、消費税課税事業者の場合は、現実的には請求書や契約書等は7年間保存が必要です。
(※)現金預金取引等関係書類は、前々年度分の所得が300万円以下の場合は5年でOK

 

(2) 白色申告の場合

 

 

帳簿 収入金額や必要経費が記載してある帳簿  7年
上記以外の帳簿  5年
書類 決済に関して作成した棚卸表など
業務に関して作成または受領した請求書、納品書、領収証など

 

4. 帳簿保存期間を守らなかった場合は?

保存期間を守らなかった場合・・以下の影響があります。

消費税 消費税上、「仕入税額控除」の適用を受ける要件として、「帳簿書類の保存」が義務付けられています(簡易課税や少額取引を除く)。
つまり、帳簿保存していない期間は、仕入税額控除が認められない可能性があります。仕入税額控除が認められない場合は・・・消費税の追徴額がかなり多額になってしまいますので、十分ご留意ください。
青色申告の取消 青色申告の要件として「帳簿書類の保存」が要件となります。したがって、帳簿保存されていない場合は、「青色申告」が取り消されます。
会社法上の過料 会社法上の帳簿・書類の保存義務(会976条)に違反する場合は、100万円以下の過料が科せられる場合もあるようです。

 

5. 帳簿保存方法は?

(1) 原則 紙保存

紙ベースでの保存が原則となります。
とはいっても・・実務上は、税務調査の際に「直近でまとめて打ち出す」場合も、必ずしも×とは言われないようですね。

ただし・・会計ソフトのバージョンアップがあった場合、過去の書類が開けなくなるケースがありますので、最低限のリスクヘッジとしてPDFでの保存をお勧めします。

 

(2) 例外 電子データ保存

国税関係帳簿書類については、電子データ保存・スキャナ保存も認められます。紙に出力する必要がなくなりますので、管理コスト削減につながります。
また、改正により、税務署への事前申請承認が不要となりました。
ただし、電子データ保存を行う場合は、従来よりだいぶ要件は緩和されていますが、検索機能の整備等、現状でもさまざまな要件がありますので、注意が必要です。

 

6. 人事関連書類は?

賃金台帳や労働者名簿等は、従来は3年間の保存義務でしたが、2020年の民法改正と合わせて、労働基準法が改正され、人事関係書類保存義務は5年間に延長されています
(労働基準法109条、115条、Q&A Q2-1)。
対象となるものは、例えば、労働者名簿、賃金台帳、雇用・解雇に関する書類・災害補償に関する書類・賃金に関する書類・その他労働関係に関する重要な書類(出勤簿、タイムカード等の記録、労使協定の協定書、各種許認可書、退職関係書類、休職・出向関係書類等)が挙げられます。
 

経過措置として、当分の間は3年が適用されますが、将来的なことを見据えると、これらの関係書類は5年間は保存しておいた方がよさそうです。
 

参照URL

(法人税法 帳簿書類等の保存期間及び保存方法)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm

(所得税法 記帳や帳簿等保存・青色申告)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_2.htm

(消費税法 帳簿の記載事項と保存)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6621.htm

(改正労働基準法等に関するQ&A)
https://www.mhlw.go.jp/content/000617980.pdf

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