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Q108【無償贈与】法人が固定資産を無償贈与したときの会計処理・仕訳・税務処理は?/消費税の取扱い/寄付金・受贈益?

最終更新日:2022/06/07

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Q108 無償贈与の会計・税務処理/申告書の記載

法人が財産を無償贈与する場合は、お金の動きがないため、仕訳に迷われる場合も多いと思います。
また、無償贈与の場合の「消費税の取扱い」についても気になるところです。

法人が無償贈与を行った場合、贈与を受けた相手先だけではなく、贈与を行った法人側にも課税されるケースがあります。

今回は、法人が「無償贈与」を行った場合の会計・税務処理や、申告書の記載方法、消費税上の取扱いにつき解説します。
(今回は、完全支配関係間の寄付の場合は除きます。完全支配関係間の寄付はコチラご参照ください。)
 

なお、「無償贈与」の論点は、反復継続的に行う取引は除外されますので、一般的には、固定資産等を贈与するする場合の論点となります。
 

1. 時価で譲渡したものとみなされる

法人が無償贈与を行った場合は、以下の取扱いとなります。法人税と消費税で考え方が異なります。
 

(1) 法人税上の取扱い

法人が無償贈与した場合は、その財産を時価で売却したものと考えます(法法22条2項)。
したがって、取得価格と時価の差額については「売却益」となります。
(広告宣伝用資産の贈与や、陳列棚等につき例外的な取扱いもあります)
 

(2) 消費税上の取扱い

消費税上は、法人税とは全く別の考え方をします。あくまで「対価を得た取引部分」のみが「消費税課税取引」となります(消法4条、28条)。したがって、無償贈与の場合は、対価のやり取りがありませんので、原則として「消費税不課税取引」となります。
(例外的に、一定の場合、消費税課税取引となる取引があります。後ほど解説します)
 

2. 勘定科目・税金は?

(1) 贈与を行った法人側

財産を無償で贈与する法人側の会計処理は、相手先が従業員等か第三者なのか?で勘定科目が異なります。
以下の通りです。

 

贈与先 勘定科目 法人税上の損金の有無
個人(従業員・役員) 給与・役員報酬 従業員は損金OK、役員は損金不可
個人(第三者) 寄付金 損金算入限度額まで損金OK
法人(第三者) 寄付金 損金算入限度額まで損金OK

すべて、会計上は「経費」となりますが、法人税上の損金の点では、違いが生じます。従業員の場合は、全額損金OKですが、役員の場合は、役員賞与は全額損金算入不可となります。
また、第三者の場合は、寄付金の損金算入限度額を超えた部分は損金不算入となります。
 

(2) 贈与受けた側

贈与を受けた側は、以下となります

贈与先 勘定科目 課税有無
個人(従業員・役員) 給与課税
個人(第三者) 一時所得
法人(第三者) 受贈益 益金算入

3. 例題(法人⇒法人への無償贈与)

● A社 ⇒ B社に土地を無償贈与した(土地帳簿価格300 / 時価500)
● 寄付金損金算入限度額は100とする。
● A社、B社はグループ会社ではなく、グループ法人税制の適用はないものとする。

 

(1) A社の税務処理
借方 貸方
寄付金(不課税) 500 土地 300
固定資産売却益(不課税) 200

税務上は時価で売却したものとされるため、借方「寄付金」は時価で計上し、土地帳簿価額との差額は「固定資産売却益」として計上します。
●借方寄付金については、損金算入限度額を超える部分は「損金不算入」となります。なお、贈与の相手先が従業員・役員の場合は、借方の勘定科目が「給与」or「役員賞与」となり、「役員賞与」については原則全額損金不算入となります。
●消費税上は、対価のやり取りがないため、寄付金及び売却益とも消費税「不課税取引」となります。
 

(2) B社の税務処理
借方 貸方
土地 500 受贈益(不課税) 500

● 税務上は、時価で取得したものとされるため、土地を時価で受け入れ、相手科目は「受贈益」となり、法人税課税対象となります。
●なお、受贈側が従業員・役員の場合は「給与課税」、第三者の場合は、「一時所得」として所得税が課税されます。
●消費税上は、対価のやり取りがないため、受贈益は消費税「不課税取引」となります。
 

4. 無償贈与で消費税が課税されるケース

消費税上は、対価のやり取りがない部分については、原則として消費税は課税されません。
ただし、金銭のやり取りがない場合でも、例外的に、以下の場合は、商品等の時価で消費税が課税されます。
個人が、実質的に消費税を負担しないで取得(消費)することを防止するための規定です。

法人が自社商品を役員に贈与 or 低廉譲渡した場合(消4条5項、28条1項・3項)
個人事業者が、棚卸資産等を自家消費した場合(消4条5項、28条3項)

その他、代物弁済による債務消滅や資産交換の場合など、消費税課税取引となる例外があります。

 

5. 低廉譲渡の場合は?

法人から時価よりも低い価格で「低廉譲渡」した場合も、考え方は上記の「無償贈与」と同様です。
詳しくは、「法人が財産を「低額譲渡」した場合の税金は?」をご参照ください。

 

(1) 法人税上の取扱い

無償贈与の場合と同様、その財産を時価で売却したものと考え、取得価格と時価の差額については「売却益」、時価と譲渡額の差額は寄付金となります。
 

(2) 消費税上の取扱い

消費税上も、無償贈与と同様、あくまで「対価を得た取引部分」のみが「消費税課税取引」となります。
ただし、法人役員に低廉譲渡した場合のみ、時価で譲渡したものとみなす規定があります)
 

6. ご参考~上場会社の場合~

上場会社の場合は、贈与を行った法人側の会計処理が異なります(受贈側の会計処理は、上記税務処理と同じです)。

(1) 会計処理

会計上は、時価で譲渡ではなく、帳簿価額で土地を減少させ、同額の寄付金を計上します。

借方 貸方
寄付金 300 土地 300
(2) 申告調整

この結果、会計と税務で相違が生じますので、申告調整が必要となります。借方「寄付金」は減算留保、貸方「固定資産売却益」は加算留保の申告調整を行います。寄付金については、限度額を超えた金額は「損金不算入」となります。

【別表4 所得の金額の計算に関する明細書】

区分 総額 処分
留保 社外流出
当期利益
加算 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
売却益計上漏れ (※1)200 (※1)200
減算 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
寄付金計上漏れ (※1)200 (※1)200
仮計
寄付金の損金不算入額 (※2)100 (※2)100

【別表5 利益積立金の計算に関する明細書】

区分 期首 当期中の増減 差引
利益準備金
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
寄付金・売却益認定損益 200 200

7. 参照URL

(No.6117 課税の対象となる取引)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6117.htm

 

(No.6321 法人の役員に対する贈与・低額譲渡の取扱い)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6321.htm

 

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