税金の豆知識

Q113 【青色申告】個人事業主の「損失」は繰越できる?確定申告は必要?

公開日:2018/02/21 最終更新日:2020/11/04

14081view

Q113 個人事業主の「損失」は繰越できる?

事業を始めて間もない時は、赤字のケースが多いかもしれません。

実は・・個人事業主の場合でも、法人と同様に、赤字を繰り越せる制度があります。
「損失の繰越控除」と呼ばれます。
個人事業主は、損失を3年間にわたって繰越することができます。

 

1. 損失を繰り越した場合の税額シミュレーション

まず、損失を繰り越した場合に、どれくらい税金が安くなるのか?を具体例で解説します

● 開業1年目は赤字が500万円となった
● 2年目の黒字は500万円(青色申告控除後)
● 所得控除は100万円あるものとする
● 個人事業主で、事業所得以外はないものとする

(1) 損失繰越がない場合

                  (単位:万円)

1年目 2年目 2年合計
利益 △500 500 0
概算税額(所得税+住民税) 0 77 77

1年目の損失500万円の繰越がない場合は、2年目の利益に対して全額課税されるため、2年目に約77万円の税金が発生する。
 

(2) 損失繰越がある場合

                  (単位:万円)

1年目 2年目 2年合計
利益 △500 500 0
概算税額(所得税+住民税) 0 0 0

1年目の赤字500万円を繰り越した場合、2年目の利益500万円は相殺される結果、利益がゼロになる。
したがって2年目の利益に対して税金は課税されない。
 

(3)結論

2年トータルの利益はゼロにもかかわらず、「損失繰越」がない場合は税金約77万円発生。「損失を繰越」した場合は税金が発生しないため、損失繰越するのとしない場合では、税額で大きな差が生じる。
 

2. 繰越控除の要件

「損失の繰越控除」が認められるのは、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得から生じる損失のみとなります。したがって、例えば雑所得で生じた損失は、原則として繰越控除できません。

実は、この規定、前回お伝えした「損益通算」できる所得と、全く同じです。
(損益通算の特例「マイホームの譲渡損失」「上場株式の譲渡損失」、及び「分離課税のFX」などについても、同様に3年間の繰越控除が認められています)。

 

(要件)
確定申告書を提出(申告書第四表(損失申告用)を利用)
その後、連続して確定申告書を提出

上記の要件には、形式上「青色申告」が要求されていませんが、後述のとおり白色申告の場合は、繰り越せる損失が限定されていますので、実質的な要件としては、青色申告が要求されていますので、ご留意ください。

 

3. まず損益通算、その後繰越控除

事業が赤字になった場合、まず、他の黒字所得との損益通算が可能です。
そして、それでもなお赤字が残る場合に、この「繰越控除の規定」を利用します。
その年に生じた損失金額は、「翌年以後3年間」の所得金額から控除できます。

 

4. 繰越控除の順番は?

 

(1) 古い年度から控除

何年分も「繰越控除」がある場合は、最も古い年度の損失から控除します。
また、同じ年に、「純損失」と「雑損失」の繰越控除があるばあいは「純損失」から優先して控除します。

 

(2) 2種類以上の損失がある場合

同じ年に、2種類以上の純損失が生じている場合は、以下の順番で控除します。

● 総合課税の所得(総所得金額)→山林所得→退職所得の順
(山林所得だけ例外:山林所得→総合課税の所得(総所得金額)→退職所得の順に控除)

 

白色申告でも、「損失の繰越控除」は可能ですが、繰越できる損失の対象が、「かなり限定」されています。
(青色申告の場合は、「純損失の金額」すべてを繰越することができます)

(白色申告で繰越できる損失)
変動所得の損失 作家の印税など、年による変動が著しい所得に対応する損失
被災事業用資産の損失 事業用資産につき、災害によって損害を受けた場合の損失

通常の事業で生じた損失は、繰越控除できませんので注意です。

 

6. 事業を廃止した場合などは?

事業を廃止した場合や、個人から法人成りした場合でも、毎年、「損失の繰越控除の確定申告」を行っておけば、将来的に、「損失」を所得と相殺できる可能性があります。例えば、廃業した場合でも、損失を繰り越しておけば、将来「給与所得」が生じたときに、給与所得から損失を相殺して、税金を安くすることができます。

(注意事項)
●廃業しても、確定申告を連続して提出しておく必要がある
繰越年度は「青色申告」が要件となりますが、控除年度は白色申告でも可能です

 

7. 期限後申告は?

所得税法改正により、現在は、期限後申告でも、純損失の繰越控除が可能となっています。

ただし、黒字の場合に純損失の繰越控除を受けるためには、「それ以前の年度で連続して確定申告を提出している」ことが必要です。

なお、余談ですが・・青色申告特別控除55万円は、期限後申告の場合には適用できません。
(「10万控除」は期限後申告でも可能です)。

 

8. 欠損金の利用は強制?

青色欠損金の繰越があって、今年「利益」が出た場合、青色欠損金の利用は強制されるのでしょうか?

黒字だったら使えばいいのに?・・と思われるかもしれません。
しかし・・例えば、所得控除が多い場合は、青色欠損金を利用しなくても、結果的に税額ゼロになる場合があります。

この場合は・・青色欠損金を利用せずに、来年に繰り越したい!と思いますよね。使うと減っちゃうので。
結構そういう場面はあると思います。

しかし、青色欠損金の利用は、任意ではなく強制のようです。

(所得税法70条の規定)
「・・・当該純損失の金額に相当する金額は・・当該確定申告書にかかる年分の総所得・・の計算上控除する

つまり、「・・算入できる」という規定ではなく、「・・算入する」という強制規定となっています。
結論、任意に利用をしないことはできないようです。残念・・

 

9. YouTube

coming soon

 
濱田会計事務所への無料ご相談・お問い合わせは0120-932-116まで

まずは無料面談からお話をお聞かせください。
どんな些細なお悩みでも結構です。
お電話お待ちしております。

0120-932-116

お問い合わせはこちら