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Q112 【具体例付】個人事業主の損益通算のしくみをわかりやすく解説  給与所得と相殺は? 

公開日:2018/02/21 最終更新日:2020/11/04

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Q112 個人事業主の損益通算って何?

法人と異なり、個人の所得税計算は、「収入」の種類によって計算方法が異なります(10種類あります)。

例えば、「給与収入」と、「株の売却」は、収入の種類が異なるので、所得税の計算方法が異なります。

また、原則的に、種類ごとに黒字、赤字が混在している場合でも、黒字と赤字を相殺することはできません。つまり、赤字と黒字の所得を合算して「総所得を減らす(=税金を下げる)」ことは、原則的に認められていないんですね。

(例)「給料所得」黒字1,000万・「株の譲渡」赤字1,000万の場合
⇒黒字と赤字を相殺して「所得をゼロ」にすることはできません。

ただし、例外的に、黒字と赤字を相殺できる場合が認められています。
これが「損益通算」と呼ばれるものです。損益通算を行うと、税金が安くなりますよ!

 

1. 損益通算って何?

損益通算とは、赤字(損失額)の所得と黒字(利益)の所得を相殺する制度です。
損益通算は、例外的に認められていますので、損益通算ができる所得は、以下の4つの所得の「赤字」に限定されています。

 

(1) 損益通算できる所得
事業所得 事業から発生する所得
不動産所得(※1) 不動産(土地や建物)の貸付で発生する所得
総合課税の譲渡所得
(※2)(※3)
資産を譲渡した際に発生する所得
(土地建物、株式、生活に通常必要でない資産以外
山林所得 山林を伐採して譲渡(or立木のまま譲渡)で発生する所得

(※1) 不動産所得赤字のうち、土地等取得時の借入金利子は「損益通算」不可

(※2) 土地建物・株式は分離課税のため対象外(後述「居住用不動産」のみ例外)

(※3) ゴルフ会員権、別荘、書画、骨とう品など「生活に通常必要でない資産」の譲渡損失は「損益通算」不可。
なお、生活用動産の譲渡などは、そもそも「非課税」のため、「損益通算」対象外。

 

(2) 損益通算できない所得

例えば、損失が生じる所得でも「一時所得」「雑所得」は損益通算できません

これらの所得は、赤字でも、他の所得(事業所得など)と損益通算できない点にご留意ください。

(雑所得の例)
総合課税のビットコイン、分離課税のFXなどです。

 

(3) 内部通算は可能

なお、損益通算ではなく、同じ所得内での「内部通算」は可能です。例えば、総合課税の雑所得(例 分離課税同士の国内FX等、総合課税同士の仮想通貨等)は「内部通算可能」です。

 

2. 具体例・税額へのインパクト

(1) 損益通算できる場合

(例題)

● 給与所得は500万円
● 事業所得は△500万円
● その他の所得はないものとする

(回答)

金額
給与所得 500万円
事業所得 △500万円
損益通算後所得 0万円
税額(所得税+住民税 0万円

事業所得の赤字は「損益通算可能」ですので、給与所得と相殺し、相殺後の所得は0円となるため、税金は発生しない。
 

(2) 損益通算できない場合

(例題)

● 給与所得は500万円
● 雑所得(国内FX)は赤字500万円
● 所得控除が100万円あるものとする。

(回答)

金額
給与所得 500万円
雑所得 △500万円
損益通算後所得 500万円
税額(所得税+住民税 77万円

雑所得赤字は「損益通算不可」ですので、給与所得と相殺できないため、給与所得500万円に対する税額が課税される。
 

(3)結論

どうですか?損益通算できる所得と、そうでない所得では、税額がだいぶ異なってきますよね。。

 

3. 損益通算の特例

実は・・上記4つ以外にも「損益通算」が認められる特例 があります。以下の2つです。

 

(1) マイホームの譲渡損失の特例

土地建物・株式の譲渡は「分離課税」ですので、原則として損益通算の対象外となりますが、「マイホームの譲渡損失」については、損益通算が認められる特例があります。また、損益通算の後、なお余った損失は、「3年間の繰越控除」も可能です。

 

(2) 上場株式の譲渡損失と配当所得との損益通算の特例

上場株式の譲渡損失VS配当所得、公社債等の譲渡所得、利子所得については、損益通算が認められる特例があります(配当所得は「申告分離課税」選択の場合に限る)。

 

4. 損益通算の順番

損益通算が可能な、4つの所得(不動産、事業、総合譲渡、山林所得)の赤字は、大きく、次の考え方で損益通算を行います(法69、令198)。

①性質の近い所得で区分し、それぞれの「所得グループ内」でまず損益通算
②次に「その他の種類の所得」で損益通算

繰り返しますが、「損益通算」ができる所得は上記4つに限定されていますので、下記表内で「損益通算」の対象となる所得は「赤字」で表記しています。

第1グループ(経常所得) 不動産所得・事業所得・利子所得・配当所得・給与所得・総合課税の雑所得
第2グループ 総合課税の譲渡所得・一時所得(&分離課税の居住用不動産譲渡損)
第3グループ 山林所得
第4グループ 退職所得

 

(1) 第1ステップ

第1グループ、第2グループ内でそれぞれ「損益通算」を行います。
第2グループ内で「一時所得」と通算する場合、50万円特別控除後で、2分の1前の金額と通算する点注意(所法22)。

(2) 第2ステップ

上記の結果、まだ赤字が残る場合は、第1グループと第2グループで「損益通算」を行います。
順番は、総合短期譲渡⇒総合長期譲渡⇒一時所得の順に差引いていきます。

(3) 第3ステップ

第2ステップの結果、まだ赤字が残る場合には、「山林所得」と損益通算します。

(4) 第4ステップ

第3ステップの結果、まだ赤字が残る場合には、「退職所得」と損益通算します。

 

上記の損益通算の後、なお引ききれない損失がある場合は、「純損失」となり、青色申告の場合は、損失の繰越が可能となります。
 

5. 白色申告の場合は?

「損益通算」は、青色申告に限られていませんので、「白色申告」でも可能です。
 

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