税金の豆知識

  • ホーム
  • 税金の豆知識
  • Q112【わかりやすく解説】確定申告での個人事業主の損益通算とは?不動産所得や株の損失との相殺はできる? 

Q112【わかりやすく解説】確定申告での個人事業主の損益通算とは?不動産所得や株の損失との相殺はできる? 

最終更新日:2023/04/13

33329view

Q112 個人事業主の損益通算って何?

法人と異なり、個人の所得税計算は、「収入」の種類によって計算方法が異なります(10種類あります)。

例えば、「給与収入」と、「株の売却」は、収入の種類が異なるので、所得税の計算方法が異なります。

また、原則的に、種類ごとに黒字、赤字が混在している場合でも、黒字と赤字を相殺することはできません。つまり、赤字と黒字の所得を合算して「総所得を減らす(=税金を下げる)」ことは、原則的に認められていないんですね。

(例)「給料所得」黒字1,000万・「株の譲渡」赤字1,000万の場合
⇒黒字と赤字を相殺して「所得をゼロ」にすることはできません。

ただし、例外的に、黒字と赤字を相殺できる場合が認められています。
これが「損益通算」と呼ばれるものです。損益通算を行うと、税金が安くなりますよ!

 

1.損益通算とは?

損益通算とは、赤字(損失額)の所得と黒字(利益)の所得を相殺する制度です。
損益通算は、例外的に認められていますので、損益通算ができる所得は、以下の4つの所得の「赤字」に限定されています。

 

(1) 損益通算できる所得
事業所得事業から発生する所得
不動産所得(※1)不動産(土地や建物)の貸付で発生する所得
総合課税の譲渡所得
(※2)(※3)
資産を譲渡した際に発生する所得
(土地建物、株式、生活に通常必要でない資産以外
山林所得山林を伐採して譲渡(or立木のまま譲渡)で発生する所得

(※1) 不動産所得赤字のうち、土地等取得時の借入金利子は「損益通算」不可

(※2) 土地建物・株式は分離課税のため対象外(後述「居住用不動産」のみ例外)

(※3) ゴルフ会員権、別荘、書画、骨とう品など「生活に通常必要でない資産」の譲渡損失は「損益通算」不可。
なお、生活用動産の譲渡などは、そもそも「非課税」のため、「損益通算」対象外。

 

(2) 損益通算できない所得

例えば、損失が生じる所得でも「一時所得」「雑所得」は損益通算できません

これらの所得は、赤字でも、他の所得(事業所得など)と損益通算できない点にご留意ください。

(雑所得の例)
総合課税のビットコイン、分離課税のFXなどです。

 

(3) 内部通算は可能

なお、損益通算ではなく、同じ所得内での「内部通算」は可能です。例えば、総合課税の雑所得(例 分離課税同士の国内FX等、総合課税同士の仮想通貨等)は「内部通算可能」です。

 

2.具体例・税額へのインパクト

(1) 損益通算できる場合

(例題)

● 給与所得は500万円
● 事業所得は△500万円
● その他の所得はないものとする

(回答)

金額
給与所得500万円
事業所得△500万円
損益通算後所得0万円
税額(所得税+住民税0万円

事業所得の赤字は「損益通算可能」ですので、給与所得と相殺し、相殺後の所得は0円となるため、税金は発生しない。
 

(2) 損益通算できない場合

(例題)

● 給与所得は500万円
● 雑所得(国内FX)は赤字500万円
● 所得控除が100万円あるものとする。

(回答)

金額
給与所得500万円
雑所得△500万円
損益通算後所得500万円
税額(所得税+住民税77万円

雑所得赤字は「損益通算不可」ですので、給与所得と相殺できないため、給与所得500万円に対する税額が課税される。
 

(3)結論

どうですか?損益通算できる所得と、そうでない所得では、税額がだいぶ異なってきますよね。。

 

3.損益通算の特例

実は・・上記4つ以外にも「損益通算」が認められる特例 があります。以下の2つです。

 

(1) マイホームの譲渡損失の特例

土地建物・株式の譲渡は「分離課税」ですので、原則として損益通算の対象外となりますが、「マイホームの譲渡損失」については、損益通算が認められる特例があります。また、損益通算の後、なお余った損失は、「3年間の繰越控除」も可能です。

 

(2) 上場株式の譲渡損失と配当所得との損益通算の特例

上場株式の譲渡損失VS配当所得、公社債等の譲渡所得、利子所得については、損益通算が認められる特例があります(配当所得は「申告分離課税」選択の場合に限る)。

 

4.損益通算の順番

損益通算が可能な、4つの所得(不動産、事業、総合譲渡、山林所得)の赤字は、大きく、次の考え方で損益通算を行います(法69、令198)。

①性質の近い所得で区分し、それぞれの「所得グループ内」でまず損益通算
②次に「その他の種類の所得」で損益通算

繰り返しますが、「損益通算」ができる所得は上記4つに限定されていますので、下記表内で「損益通算」の対象となる所得は「赤字」で表記しています。

第1グループ(経常所得)不動産所得・事業所得・利子所得・総合課税の配当所得・給与所得・総合課税の雑所得
第2グループ総合課税の譲渡所得・一時所得(&分離課税の居住用不動産譲渡損)
第3グループ山林所得
第4グループ退職所得
(1) 第1ステップ

第1グループ、第2グループ内でそれぞれ「損益通算」を行います。
第2グループ内で「一時所得」と通算する場合、50万円特別控除後で、2分の1前の金額と通算する点注意(所法22)。

(2) 第2ステップ

上記の結果、まだ赤字が残る場合は、第1グループと第2グループで「損益通算」を行います。
順番は、総合短期譲渡⇒総合長期譲渡⇒一時所得の順に差引いていきます。

(3) 第3ステップ

第2ステップの結果、まだ赤字が残る場合には、「山林所得」と損益通算します。

(4) 第4ステップ

第3ステップの結果、まだ赤字が残る場合には、「退職所得」と損益通算します。

 

上記の損益通算の後、なお引ききれない損失がある場合は、「純損失」となり、青色申告の場合は、損失の繰越が可能となります。

 

5.白色申告の場合は?

「損益通算」は、青色申告に限られていませんので、「白色申告」でも可能です。

 

6.YouTube

 
YouTubeで分かる「確定申告での個人事業主の損益通算」
 

関連記事





濱田会計事務所への無料ご相談・お問い合わせは0120-932-116まで

顧問契約をご検討の方は、
初回のご相談は無料となっています。
まずはお電話お待ちしております。

0120-932-116

お問い合わせはこちら