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Q125 会社が負担したマイカー通勤者の駐車場料金は経費?給与課税されるのか?/コインパーキングの場合は?

最終更新日:2023/11/17

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Q125 法人が負担した「マイカー通勤者の駐車場料金」は給料?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

工場勤務などの場合は、マイカーで通勤される方も多いかもしれませんね。
最近のコロナ下では、マイカー通勤を認める会社も増えてきているのではないでしょうか。

この点、会社の敷地が狭い場合、別途「月極駐車場」などを借りるケースもあると思います。

法人が借りて、従業員に利用させる場合もあれば、従業員自身が駐車場を借りて支払を行い、後日、法人から従業員に支払う場合もあります。

こういった場合、会社の経費にできるのか。また、勘定科目は「地代家賃」なのか「給料」なのか?という論点です。
「給与扱い」されると、個人側には所得税がかかりますので、従業員にとっても大きな論点です。
(なお、今回の論点は、明文規定がありませんので、あくまで個人解釈になります)。

 

1. 法人名義で借りた場合

(1) 法人側の取扱い

法人名義で借りる場合は、業務で利用することが明確ですので、原則として法人側は損金、消費税課税仕入が可能です。

 

(2) 個人側の取扱い

① 原則

法人名義で借りる場合は、法人と従業員とのお金の授受はありませんので、原則的に「個人側」に「給与課税」の論点は生じません。
(経済的利益の額が著しく多額な場合は×、税務通信 NO3674)

勘定科目は、給与でなく、地代家賃などで処理が可能です。
 

② 例外

ただし、以下のような場合は、従業員への「給与」とみなされ、個人側に給与課税が行われる可能性があります。

「特定の者」のために借りた場合
駐車場に駐車できる車が「特定」されている
車通勤が会社の許可がいるような場合で、「特定の社員のみが許可」されている場合

上記に共通する点は、「特定の人」しか利用できないという点です。
例えば、社長のみのために借りた場合などですね。こういった場合、たとえ業務に利用するとしても、他の従業員が利用できないという点で、個人に対する給与と何ら変わるところがないのでは?
と指摘される可能性があります。

(実務上の対応 税務通信 no3674)
実務上は、下記の対応をすることで、特定の者の専属利用でないとの説明が可能だと思われます。
 

●社用車も当該駐車場を利用する場合があることを周知する。
●当該駐車場が空いている場合は、当該駐車場を利用するルールを定める。

 

2. 個人名義(従業員名義)で借りた場合

(1) 法人側の取扱い

従業員名義で駐車場を借りて支払を行い、後日、法人から従業員に支払う場合はどうでしょうか?
この場合も、個人名義とはいえ、業務で利用することが明確な場合は、法人側は損金、消費税課税仕入と考えられます。
 

(2) 従業員側の取扱い

従業員が立替払いしたケースは、後日法人から従業員に立替金精算額の支払が生じます。
この支払は、個人側は「給与」として取り扱われるのでしょうか?
① 原則

まずは、所得税上の「通勤交通費」に該当するか?を検討します。
通勤交通費に該当すれば、所得税上の非課税限度額までは「個人側」に所得税はかかりません。

 

(非課税とされる通勤手当(所施令20条の2 四))

四 通勤のため交通機関又は有料の道路を利用するほか、併せて自動車その他の交通用具を使用することを常例とする者・・・が受ける通勤手当又は通勤用定期乗車券その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃の額又は定期乗車券の価額と当該交通用具を使用する距離につき・・・ 

● 「自動車その他の交通用具」に、「駐車場代」が含まれると解釈するのは・・ ちょっと無理がありそうです。
● また、「通常の通勤の経路及び方法による運賃等」の「等」は消費税を指しているようですので、「駐車場代」は含まれていないものと想定されます。

 

上記より、個人名義で借りた駐車場代を、後日、法人から従業員に支払った場合は、所得税法上の「非課税通勤交通費」には含まれず、「給料扱い」となる可能性があります。
  ⇒「給与扱い」とされると、 個人側にも「所得税」がかかる可能性がある、ということになります。

② 例外

実質的に、「業務用である」点を合理的に説明できる場合は、仮に従業員名義であったとしても税務上は給与課税されないものと解されています。

ただし、上記「1.法人名義で借りた場合」同様、賃借名義の従業員のみが専属的に利用する場合や、「経済的利益の額が著しく多額」の場合は除きます(税務通信No3674、所得税基本通達36-29 課税しない経済的利益 自家用益通達)。

 

(3) 結論

マイカー通勤の駐車場は、「法人名義で契約」することが無難だと思われます。
なお、マイカー通勤の交通費については、所得税上課税されない非課税限度額が定められています。
駐車場料金ではなく、通勤手当として支給する分には、限度額内であれば給与課税は行われません。

 

3. コインパーキングの場合は?

コインパーキングの場合はどうでしょうか・・ここも、明文規定はありません。
コインパーキングの場合も「実質的に業務用」であることを合理的に説明できれば、税務上は大きな問題になることはないものと考えます。

会社名義で領収書をもらっておけば、実費弁償的な支出として説明可能かと思われます。

 

4. 参照URL

(非課税とされる通勤手当 所得税施行令20条の2)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340CO0000000096

(所得税基本通達36-29 課税しない経済的利益)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm

(実費弁償金の課税)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/12.htm
 

5. YouTube

 

YouTubeで分かる「会社が負担したマイカー通勤者の駐車場料金は経費?」
 

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