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Q42 【令和8年改正】従業員の食事代を会社が負担した場合、福利厚生費にできるケースは?/仕訳や消費税/社長やフリーランスは?

最終更新日:2026/02/07

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社員食堂や残業食事代には税金がかかる?

福利厚生の一環として、社員食堂がある会社や、従業員等の食事代の一部を「会社が負担」するケースもありますね。
食事代は、本来は、「従業員自身」が負担すべき部分となりますので、「会社が負担」した従業員の食事代は、原則として、従業員への「経済的利益の供与」として、給与課税されます。

ただし、「一定の要件」を満たす場合は、「福利厚生費」として個人側に課税されないケースがあります。

そこで今回は、社員食堂や、従業員の昼食・夜食代などを、「会社が負担」する場合の、税務上の取扱いにつき解説します。
物価高上昇を背景に、令和8年の税制改正で、「会社負担額」の上限が引き上げられています。
 

社員食堂や残業食事代には税金がかかる?

1. 会社負担の食事代が福利厚生費となる要件

会社側で、従業員等の食事代を負担した場合は、原則として、従業員に対する「経済的利益の供与」として給与課税されます。ただし、以下の要件を満たす場合は、「福利厚生費」として認められ、個人側にも給与課税が行われません。
 

(1) 要件
全従業員を対象 全従業員を対象としている必要があります。特定の役員や従業員だけを対象とした場合は、給与課税されます。
会社が実費負担(現物支給) 現金での支給ではなく、現物(食事)支給が必要です。食事手当等で「給与上乗せ」の場合は「給与課税」されます。
従業員等が食事価額の半分以上を負担 例えば、1か月当たりの「食事価額」が20,000円、従業員負担額が9,000円の場合は、要件を満たさず、給与課税されます。
⇒20,000円の半分10,000円に満たない部分(1,000円)だけでなく、会社負担額(11,000円)全額が給与課税対象となります。
会社負担額一人当たり月額7,500円(税抜)以下
(令和8年改正)
例えば、1か月当たりの「食事価額」が20,000円、従業員負担額が11,000円の場合は、要件を満たさず、給与課税されます。
⇒7,500円を超過する部分だけでなく、会社負担額9,000円全額が課税対象となります。

●なお、会社からの「食事補助」を受けたくない従業員がいる場合でも、会社から従業員に「食事補助の機会を与えている事実」があれば、「福利厚生費」として認められます
 

(2) 食事価額とは?

「食事価額」の内容は、市販の弁当などの場合と、自社内で調理する食事(まかないなど)で異なります。
市販の弁当等の場合は、「弁当業者等に支払う金額」となりますが、まかないなどの場合は、「食事を作るために直接かかった費用(材料費等の原価合計)」となります。人件費や減価償却費等の「間接費」は、含まれません。
 

(3)残業や宿日直時のパン代などは?

例えば、残業の際に「パン」を支給するケースもありますが、この場合も、上記の要件を満たす必要があるのでしょうか?

結論的には、通常勤務外の残業時に支給する食事(現物)については、「福利厚生費」として処理でき、所得税は課税されません(所基通36‑24)。「勤務時間外」での食事の支給は、「経済的利益」の提供ではなく、会社の利益(業務遂行)のための「実費弁済的な支出」の性格を有するためです。パンに限らず、飲食店で外食するケースも認められます。

ただし、①全従業員を対象とした、②食事等での現物支給、③常識の範囲の金額である必要があります。特定のものだけを対象とした場合や、居酒屋などでの食事は、給与課税の可能性があります。

なお、会社側で食事を用意できない場合、「本人が立替、後日レシートで精算」する場合も、残業に伴う「実費弁済」ととらえ、現金支給には該当しないと解されています。

 

【所得税基本通達 36-24】
(課税しない経済的利益 残業又は宿日直をした者に支給する食事)
使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。

 

●ここでの「残業食事代」は、あくまで「勤務時間外」での支給に限定されます。例えば、深夜勤務(18時から26時など)で、「勤務時間内」で夜食を出した場合は、適用できません。「上記(1)」の要件が必要となります。

 

2. 徴収した食事代の会計処理は?

会社側が負担した弁当等購入代金(まかないなどの場合は、材料費等)は、材料費や福利厚生費(課税仕入)で計上します。一方で、会社が、従業員から「従業員負担分」を徴収する取引は、雑収入(課税売上)で計上します。従業員からの徴収分は「課税資産の譲渡等の対価」となり、消費税が課税される点に注意が必要です。

なお、外部の食堂などで、従業員から受け取った食券代金を「預り金」処理し、契約食堂への支払に充当する場合は、例外的に、消費税「非課税処理」が可能です。
 

3. 仕訳の具体例

● 会社は、従業員1人1か月あたりの弁当代 15,000円(税込)を、弁当業者に支払っている。
● 従業員負担分は、給与から天引きするものとする。
● 従業員給料は200,000円/月。簡便的に、給与源泉、社会保険料等の仕訳は省略する。

 

(1)従業員が月7,500円(税抜)を負担する場合

従業員が月7,500円(税抜)を負担する場合は、弁当代金15,000円(税抜)の半分以上を従業員が負担しています。
また、会社負担額は15,000円-7,500円=7,500円となり、「会社負担額月額7,500円(税抜)以下」の要件も満たすため、「福利厚生費」で処理が可能です。仕訳は以下となります。

借方 貸方
弁当購入時 福利厚生費(課仕)
仮払消費税
15,000
1,500
現金 16,500
給与天引時 給与 200,000 現金
雑収入(課売)
仮受消費税
191,750
7,500
750

弁当購入額15,000円は、全額消費税仕入税額控除が可能ですが、従業員徴収分7,500円は課税売上で計上します。
 ⇒ 会社側での実質的な負担額は、15,000円(福利厚生費)‐7,500円(雑収入)=7,500円となります。
●福利厚生費の要件を満たす場合、従業員側には給与課税されません
 

(2)従業員が月5,000円(税抜)を負担する場合

従業員が月5,000円(税抜)を負担するケースの場合は、会社負担額は10,000円(税抜)となり、「福利厚生費」の要件は満たしません。この場合、会社負担額10,000円全額が給与課税されます。仕訳は以下となります。

借方 貸方
弁当購入時 福利厚生費(課仕)
仮払消費税
15,000
1,500
現金 16,500
給与天引時 給与 200,000 現金
雑収入(課売)
仮受消費税
194,500
5,000
500
経済的利益計上 給与(不課税) 10,000 雑収入(不課税) 10,000

弁当購入額15,000円は、全額消費税仕入税額控除が可能ですが、従業員徴収分5,000円は課税売上となります。
 ⇒ 会社側での実質的な負担額は、15,000円(福利厚生費)‐5,000円(雑収入)=10,000円となります。
●福利厚生費を満たさない場合、会社負担額は全額「給与」となり、従業員側は給与課税されます(源泉徴収仕訳は省略)。
 ⇒ 従業員から収受しない金額(経済的利益部分)も、「雑収入」で計上しますが、当該金額は役務提供がないため、消費税は原則として、課税対象外となります(消基通5-4-4。役員の場合は、経済的利益部分につき、譲渡時の「時価」を基準に消費税が課税されるケースもあります)。
 

4. 例外的に、現金支給で給与課税されないケース

(1)深夜勤務の場合

勤務時間外の残業ではなく、元々深夜勤務の方の場合、店がしまっているケースもあり、夜食の現物提供が難しいケースもあります。こういった場合は、例外的に、「現金で支給」した場合でも給与課税されない以下の規定があります。
 

【昭和59年7月26日付 直法6-5・直所3-8 要約 令和8年改正後】
深夜勤務(22時~翌朝5時の間の勤務)で、夜食の現物支給ができない場合、勤務1回あたり650円以下(税抜)の現金支給については、給与課税されない(令和8年改正)

深夜勤務という特殊事情に対する規定となるため、上記1の「月額7,500円基準」とは「別枠の規定」と位置付けられており、併用も可能と考えられます。福利厚生費として処理が可能です。

ただし、当該規定はあくまで深夜勤務が「勤務時間内」の方の規定です。例えば、勤務時間外の残業で、22時を越えた場合は適用できません。
 

(2)宿日直等の場合

また、上記と別の規定で、通常の勤務時間外での「宿日直」については、「実費弁済的」な性格を考慮し、例外的に、「現金で支給」した場合でも給与課税されない以下の規定があります。勤務1回あたり4,000円以内(食事含めて)の「現金支給」については、給与課税されません。
 

【所得税基本通達 28-1 抜粋】
 宿直料又は日直料は給与等に該当する。ただし、・・・勤務1回につき支給される金額(・・支給される食事の価額を除く。)のうち4,000円(・・支給される食事がある場合には、4,000円からその食事の価額を控除した残額)までの部分については、課税しない・・

 

ただし、ここでの「宿日直」は、見回り、非常時に備えて待機する者など、ほとんど労働する必要のない勤務を指します。したがって、夜勤など「宿日直」を本来の職務としている方や、宿直等によって代休が与えられる方は対象外となります。科目は福利厚生費ではなく「給与(非課税)」となります。
 

5. 個人事業主本人・社長・一人社長の場合は?

個人事業主の場合、ご自身の食事代は、単なる生活費とみなされ、福利厚生費は認められません
一方で、法人の場合は、社長や役員の「食事代」であっても、他の従業員同様、上記1の要件を満たせば認められます。ただし、マイクロ法人などで、一人社長への食事代の場合は、実質判定で「給与認定」される可能性が高いです。
詳しくは、Q79をご参照ください。
 

6.参照URL

(食事を支給したとき)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm

(深夜勤務夜食の金銭支給)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/840726/01.htm

(宿日直料)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/03.htm

(従業員負担消費税)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6471.htm

(食事を支給したときの非課税限度額の判定)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594-1.htm

 

7. YouTube

 

YouTubeで分かる「食事代が福利厚生費で認められる条件」
 

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