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Q184【社内販売】社員割引価格で販売した場合の税務処理・会計処理/仕訳・勘定科目は?

最終更新日:2023/07/14

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Q184【社内販売】社員割引価格で販売した場合の税務処理・会計処理/仕訳・勘定科目は?

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

法人が、従業員に自社商品等を社員割引価額で社内販売する場合、法人や個人側に「税金」は課税されるのでしょうか?
また、社員割引価格で販売する場合、法人側の会計処理や勘定科目、消費税の取扱いなど・・悩まれる場合もあるかもしれません。

今回は、社内販売時の「税務上の留意事項」及び「会計処理」につき解説します。

 

1. 所得税・法人税の規定

(1) 原則

従業員に対して値引き販売する場合は、一般販売価額よりも低い価額で購入することになるため、従業員は、当該差額分だけ「経済的利益」を受けていることになります。したがって、原則として「現物給与」として給与課税されます。

(2) 例外

ただし、例外的に、所得税上は、以下の要件すべてを満たす値引販売は、課税されません(所基通36-23)

値引後販売価額が会社の取得価額以上、かつ、通常他に販売する価額のおおむね70%未満でないこと。
値引率が、①従業員等全員一律で設定or②地位や勤続年数等に応じて合理的なバランスが保たれる範囲内の格差を設けて定められていること。
値引販売する商品数量は、自己の家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。

● 季節商品などで、外部への販売価額自体が値下げされている場合は、「通常他に販売する価額」も、「値下げ後の価額」を基準に判定可能です。
● 「通常他に販売する価額」は「店頭価額」に限られません。例えば、メーカーが「通常他に販売する価額」は、卸売業者への販売価額で判定可能です。

 

(3) 不動産は×

ただし、土地・建物等の不動産の値引販売は、多額かつ通常消費するものでないため、上記の例外基準の適用外となります(「住宅の値引販売による経済的利益」参照)。

 

2. 消費税上の規定

(1) 従業員の場合

消費税は、原則として、実際に受領した譲渡等の対価の額が課税標準となります。
したがって、社内販売の相手が「従業員」の場合は、実際販売価額に対して消費税が課税されます。

(2) 役員の場合

社内販売の相手が「役員」の場合、「無償」ないし「著しく低い価額」により資産を譲渡した場合は、譲渡時の「時価」を基準に消費税が課税されます。

ただし、贈与の対象が「棚卸資産」であり、かつ、「譲渡価額」が下記要件の両方を満たす場合は「著しく低い価額」には該当しないものとされています。

譲渡価額が当該資産の仕入価額(=取得価額)以上。
通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上。

上記要件を満たす場合は、実際譲渡価格が消費税の課税標準となります。

なお、上記要件を満たさない場合でも、資産の譲渡が、役員及び従業員等全員一律or勤続年数等に応じた「合理的な基準」での「値引率」に基づいて行われた場合は、時価ではなく、実際の対価の額に課税されます。

3. 税務上の要件を満たさない取引の取扱い

社内販売取引が、上記の「税法上の要件」を満たさない場合は、「通常販売価額」を基準に、所得税上は給与課税、消費税は譲渡時の時価(=その時点の販売価額)に対して課税されます。

 

4. 具体例

具体例を用いて解説します。

● 法人が、自社の商品(通常販売価額 税抜10,000円)を社内販売した。
● 上記商品の取得価額は5,000円とする。
● 法人は消費税課税事業者、税抜処理、簡便的に源泉所得税の処理は省略する。

● 所得税上の基準
通常販売価額10,000円 × 70% = 7,000円
● 消費税の基準
通常販売価額10,000円 × 50% = 5,000円

 

(1) ケース1 従業員に8,000円(税抜)で販売した場合

従業員販売価額8,000円は、所得税の基準7,000円(販売価額の70%)を上回ります。
また、従業員への販売の場合、消費税上は「実際販売価額」が課税標準となります。
この場合は、給与課税は生じず、実際販売価額で売上計上、消費税を認識します。

【仕訳】

借方貸方
現金8,800売上
仮受消費税
8,000
800
(2) ケース2 役員に4,000円(税抜)で販売した場合

役員販売価額4,000円は、所得税の基準7,000円(販売価額の70%)を下回っています。
また、消費税の基準5,000円(販売価額の50%)を下回っているため、消費税上、「譲渡資産の時価(=販売価額)」が課税標準となります。
この場合は、通常販売価額で売上計上、消費税を認識、差額は役員への給与支払となります(源泉所得税の仕訳は省略)。

【仕訳】

借方貸方
現金
役員報酬
4,400
6,600
売上
仮受消費税
10,000
1,000

社内販売の相手が「役員」の場合は「役員賞与損金不算入」となり、法人税が増加します。

 

(3) ケース3 役員に無償で贈与した場合

社内販売価額0円≦7,000円・5,000円のため、税法要件を満たしません。ケース2同様、通常販売価額で仕訳を行い、差額は給与課税、消費税は「通常販売価額」に対して課税されます(源泉所得税の仕訳は省略)。

【仕訳】

借方貸方
役員報酬11,000売上
仮受消費税
10,000
1,000

5. サービス提供の場合

従業員への社内販売の対象が、商品ではなく「サービス」の場合はどうでしょうか?例えば、散髪屋、運送業等が、従業員に「通常販売価額」よりも安い値段で役務を提供した場合です。

この場合、所得税上は、① 経済的利益の額が著しく多額である場合又は②役員だけを対象として行っている場合のみ課税される取扱いとなります(所基通36-29)。

なお「著しく多額の経済的利益」の金額基準の定めは特にありませんが、所得税上は、商品と同様に70%基準で判定するものと考えられます。

6. 飲食業での「まかない」は?

飲食業の場合、自社製品=食事となりますので、従業員等に食事を提供する場合は「社内販売」となり、「上記基準」が適用されるのか・・疑問が生じます。
この点、従業員や役員への「まかない」も、原則として現物給与として課税されますが、上記の基準と別に、「福利厚生費」として損金処理できる要件が定められています(本人負担が半額以上&経済的利益の額が税抜月額3,500円以下)。詳しくは、「Q42食事代が福利厚生費で認められる条件」をご参照ください。
なお、個人事業主が自ら食事する場合は「自家消費」の論点になります。こちらについては、「Q15自家消費」をご参照ください。

7. 参照URL

(課税しない経済的利益・商品、製品等の値引販売 所得税)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm

(法人が課税資産を役員に対して低廉譲渡した場合 消費税)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6321.htm

(住宅の値引販売による経済的利益)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/26.htm

 

8. YouTube

 

YouTubeで分かる「社内販売」

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