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Q130  ゴルフ会員権購入・売却時の会計処理・消費税の取扱い/プレー代、年会費は?(預託金方式・株式方式)

公開日:2018/10/12 最終更新日:2021/07/26

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Q130  法人保有のゴルフ会員権(預託金制)の税務処理

取引先等との親睦を目的に、法人で「ゴルフ会員権」を保有する場合もあると思います。
ゴルフ会員権は、大きく「預託金形式」と「株式形式」の2種類に分かれますが、実務上は「預託金形式」のゴルフ会員権が多いと思います。

預託金方式・株式方式それぞれの「法的形式」は異なりますが、税務処理上の取扱いは、共通している点が多いです。

今回は、法人の「ゴルフ会員権」取得・売却時の税務処理や、プレー代・年会費等の会計処理を中心にお伝えします。
 

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1. ゴルフ会員権の種類・法的な性格

(1) 種類

ゴルフ会員権の実質内容は、「施設でゴルフをプレーできる権利」=「施設利用権」ですが、
種類は、大きく「預託金方式」と「株式方式」の2種類に分かれます。

種類 内容
預託金方式 会員がゴルフ場に「預託金」を預け、優先的施設利用権と預託金返還請求権を取得する制度
株式方式 会員が、ゴルフ場に「株主」として出資し、優先的施設利用権と株主の地位を取得する制度
(2) 法的な性格の違い

「預託金方式」と「株式方式」は、法的な性格が異なるため①勘定科目②資産価値下落時の損失の取扱いの点で異なります。

種類 勘定科目 損失計上
預託金方式 債権(≠金銭債権) 預託金返還請求権が顕在化した場合に限り、貸倒引当金・貸倒損失の計上が可能
株式方式 投資有価証券 時価が著しく下落した場合等は、株式評価損の計上が可能

両者の大きな違いは上記のみです。その他の内容、例えば「購入時、売却時、プレー代等」の取扱いは、ほぼ同じですので、以下の「購入時・運用時・売却時の会計処理」については、両者を特に「区分せずに」まとめます。
 

2. 購入時の会計処理

(1) 法人税上の取扱い(=資産計上)

ゴルフ会員権の「本体価額」「入会金」「名義書換料」は、購入時の「損金算入」が認められていませんので、資産で計上を行います。預託金方式は「投資その他の資産(会員権)」、株式方式の場合は「投資有価証券」で計上します。
また、「ゴルフ会員権」は、利用に応じて価値が減少するものではありませんので、減価償却は行いません
 

(2) 消費税の取扱い

①ゴルフクラブから取得する場合(募集等)

会員権本体については、預託金方式の場合は「預託金」、株式方式の場合は「出資金」の取得となりますので、「資産の譲渡等の対価」には該当せず「消費税課税対象外」となります。
会員権本体と別に支払う、将来返還されない「入会金」は「消費税課税取引」となります。
 

②第三者から取得する場合

会員権本体については、「預託金方式」「株式方式」どちらも、消費税課税取引となります。なぜなら、ゴルフ会員権の購入・売却は、消費税上「非課税」とされていないためです(非課税とされる「有価証券」の範囲から除外)。

なお、会員権本体と別に支払う、将来返還されない「名義書換料」は、「消費税課税取引」となります。
 

(3) 購入時の会計処理まとめ
購入形態 内容 科目 消費税
募集 預託金 会員権or投資有価証券 対象外
入会金 同上 課税
第三者購入 購入価額 同上 課税
購入時の名義書換料・
仲介手数料
同上 課税
~ご参考~

レジャークラブ(宿泊・体育・遊技施設その他等)の入会金・年会費の会計処理(法基通 9-7-13の2)
基本的には、ゴルフ会員権の処理が「準用」されます。
ただし、入会金については、①会員有効期間の定めがあり、かつ②脱退時に返還されないもの(役員等給与以外)は、「繰延資産」で償却可能な点だけ異なります。消費税は課税取引となります。

 

(4) 例外~給与と取り扱われる場合~

①個人会員での登録しかできないゴルフ会員権

法人が負担した入会金等は、原則として個人に対する「給与」と取り扱われます。
ただし、入会が「法人の業務上必要と認められる場合」は「資産計上」が可能です。

②記名式の法人会員で、特定の役員等が名義人の場合

原則として「資産で計上」可能です。
ただし、これらの者が法人業務に関係なく利用する場合は、個人に対する「給与」と取り扱われます。
 

3. 運用時の会計処理(プレー代、年会費)

法人の業務上、必要なゴルフのプレー代、接待飲食代、年会費、ゴルフ場利用税などは、すべて「交際費」として処理を行います。(法人業務に必要でない個人の娯楽を目的とした場合は「給与」扱いされます)

内容 科目 消費税
年会費、
管理料・利用料、
名義書換料
交際費(※1) 課税
プレーに直接要する費用 同上(※1) 課税
ゴルフ場での接待飲食費 同上(※2) 課税
ゴルフ場利用税 同上 対象外(※4)
緑化協力金 同上(※3) 対象外(※4)

(※1)入会金等を「給与処理」している場合は、こちらも「給与」となります。
(※2)ゴルフ場での接待飲食費は、交際費課税での「飲食費」には該当しません。詳しくはQ39参照ください。
(※3)ゴルフ緑化促進会(特定公益増進法人)に対する支払は、寄付金となります。
(※4)科目は「交際費」でも、消費税は「対象外」となる点に注意しましょう。

 

4. 売却時・預託金等返還時の会計処理

(1) 法人税上の取扱い

第三者売却時は、売却額は益金、ゴルフ会員権「本体価額」「入会金」「名義書換料」は損金算入となります。
ただし、法人の場合は他の経費と通算可能ですので、必ずしも法人税が課税されるわけではありません
(個人の場合は、総合課税の譲渡所得、給与等との損益通算不可
 

(2) 消費税の取扱い

①ゴルフクラブから預託金等返還の場合

会員権本体については、預託金方式の場合は「預託金」、株式方式の場合は「出資金」の返還となりますので、「資産の譲渡等の対価」には該当せず「消費税課税対象外」となります。
 

②第三者に売却する場合

「預託金方式」「株式方式」どちらも、売却額につき消費税課税取引となります。なぜなら、ゴルフ会員権の購入・売却は、消費税上「非課税」とされていないためです(非課税とされる「有価証券」の範囲から除外)。

内容 法人税 消費税
ゴルフ会員権の売却 売却額益金
本体・入会金・名義書換料等損金
売却額全額が課税
預託金等の返還 課税なし 対象外

 

5. 評価損・貸倒損失の計上

「預託金方式」と「株式形式」で税務上異なる点は、資産価値が大幅に下落している場合の取扱いです。
法的な性格が異なるため、税務上の「損金算入ロジック」が異なります。
 

(1) 預託金方式の場合

預託金方式の場合、施設を利用できる「権利」ではありますが「金銭債権」とは異なりますので、その状態では貸倒引当金や貸倒損失の計上は認められません。
ただし、ゴルフ会員権が、何らかの形で「金銭債権」(預託金返還請求権)に転換された場合は、金銭債権に対する貸倒引当金・貸倒損失の計上が可能となります(法人税基本通達9-7-12)。
この取扱いは、ゴルフ場施設を利用できる(=プレーできる)できないにかかわらず可能です。
 

(預託金返還請求権の全部または一部が顕在化する場合)

退会届を提出し、
預託金が返還されない場合
退会届による会員契約の解除により、預託金返還請求権(金銭債権)に転換されるため、貸倒引当金計上可
破産手続の開始決定
特別清算手続の開始決定
これらは、「清算型」の倒産処理手続のため、この時点で金銭債権に転換されるため、貸倒引当金計上可
会社更生法の更生手続の開始決定
民事再生法の再生手続の開始決定
これらは、「再建・再生型」の処理手続のため、この時点では金銭債権には転換せず、貸倒引当金の計上はできない
更生計画・再生計画認可による
一部切り捨て額
契約変更により、預託金返還請求権の一部が金銭債権として顕在化し、その一部が切り捨てられたと考え、その事業年度貸倒損失計上可
(施設を利用できる場合でも)
(2) 株式方式の場合

通常の非上場株式同様、株式発行法人の資産状態が著しく悪化した場合や、その価額が著しく低下した場合、評価損の計上が可能です。

(要件)~下記のいずれかを満たす場合(法令68①ニロ,法基通9-1-9)
①その発行法人に次に掲げる事実が生じた場合
 ●会社の整理開始の命令又は特別清算の開始の命令
 ●破産手続開始の決定
 ●民事再生・会社更生手続開始の決定
②発行法人の1株当たりの純資産価額が、会員権取得時に比しておおむね50%以上下回ることとなった場合。

 

6. ご参考~預託金形式の貸倒損失の計上時期・仕訳例

(1)貸倒損失の計上時期

貸倒損失は、利益操作防止の観点から、回収不能が明らかになった事業年度のみ計上が認められ、その後の事業年度で、損金算入することは認められません
したがって、「ゴルフ会員権の預託保証金」の一部が切り捨てられた場合は、切捨てられた事業年度以外は、損金算入できない点に注意しましょう。
 

例えば、切り捨てられた年度で貸倒損失処理を失念していた場合、将来売却した際に、当該切捨て部分を、「ゴルフ会員権売却損」として損金計上することはできません。十分に注意しましょう(Q60「貸倒損失の実務上の判断は」 参照)。

 

(2)貸倒損失の仕訳例

(例)
民事再生計画認可により、預託保証金が額面2,000⇒1,500に切り捨てられた。

 

①切り捨て前のゴルフ会員権簿価が、2,300の場合

借方 貸方
ゴルフ会員権評価損(有税)
貸倒損失(損金)
300
500
ゴルフ会員権 800

● 会計上、簿価と預託保証金の差額300は、「ゴルフ会員権評価損」として費用計上します。ただし、税務上は、金銭債権に転換された「預託金部分のみ」が貸倒損失の対象となりますので、当該ゴルフ会員権評価損300は、有税になる点注意。

● 切捨ての事実により、預託保証金部分は、金銭債権に転換されていますので、預託保証金のうち、額面切り捨て額、500全額に貸倒損失を計上できます。

 

②切り捨て前のゴルフ会員権簿価が、1,800の場合

借方 貸方
貸倒損失 300(損金) ゴルフ会員権 300

● 切り捨て前簿価≦額面の場合は、ゴルフ会員権評価損の計上はありません。

● 例題を見る限り、切捨額は500のように見えますが、実質的には、切捨以前に既に簿価が額面を下回っています。あくまで、切捨後の額面1,500が下限となりますので、簿価1,800と切捨後の額面1,500との差額300が貸倒損失となります。

 

7. 参照URL

(会費及び入会金等の費用)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_07_03.htm

(ゴルフ会員権 消費税)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6249.htm

(船荷証券6-2-2)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/06/02.htm

(ゴルフ会員権が金銭債権に転換する時期)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/09/04.htm

(ゴルフ会員権の預託金の一部が切り捨てられた場合の取扱い)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/20/08.htm

 

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