税金の豆知識

Q130  法人保有のゴルフ会員権(預託金制)の税務処理

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Q130  法人保有のゴルフ会員権(預託金制)の税務処理

ゴルフ会員権には、会計・税務上様々な論点がありますが、今回は、代表的なゴルフ会員権の形態である「預託金制のゴルフ会員権」を保有する、法人の会計処理についてまとめます。

 

1. 購入時・売却時の会計処理(税務・会計)

ゴルフ会員権の実質内容は、「ゴルフをプレーできる権利」ですので、法的な性格は「施設利用権」となります。したがって、購入時の会計処理は、原則として「投資その他の資産」で処理を行います。

ただし、「ゴルフ会員権」は、利用に応じて価値が減少するものではありませんので、、減価償却は行えません。以下、会計処理をまとめておきます。

 

内容 科目 消費税
預託金
投資その他の資産 対象外(※1)
入会金(※2)
原則、投資その他の資産(※3) 課税(※1)
入会時の名義書換料・
仲介手数料
原則、投資その他の資産(※3) 課税(※1)
年会費、
管理料・利用料、
名義書換料
原則、交際費(※4) 課税
プレーに直接要する費用 原則、交際費(※4) 課税
ゴルフ場利用税 交際費 対象外(※6)
緑化協力金 交際費(or寄付金)(※5) 対象外(※6)
預託金の返還 対象外
ゴルフ会員権の売却 (※7) 売却額に課税

(※1)第三者から購入する場合は、購入金額が「課税仕入」となります。

(※2)ここでの「入会金」は、預託金と別に支払う入会金で、返還されないものです。

(※3)個人会員として入会した場合は、原則「給与」となります。

(※4)入会金等を「給与処理」している場合は、こちらも「給与」となります。

(※5)ゴルフ緑化促進会(特定公益増進法人)に対する支払は、寄付金となります。

(※6)科目は「交際費」でも、消費税は「対象外」となる点に注意しましょう。

(※7)ゴルフクラブ脱退や売却時、入会金等相当額は、脱退・売却時に損金となります。

 

なお、法人会員・個人会員でも、「法人業務に関係あるかないか」で、例外的な取扱いがあります。また、入会金で一定の場合、「消費税課税の対象」となる場合があります。詳しくは国税庁HPを参照ください。

 

~ご参考~

レジャークラブ(宿泊・体育・遊技施設その他等)の入会金・年会費の会計処理
基本的には、ゴルフ会員権の処理が「準用」されます。
ただし、入会金については、①会員有効期間の定めがあり、かつ②脱退時に返還されないもの(役員等給与以外)は、「繰延資産」で償却可能な点だけ異なります。消費税は課税取引となります。

 

2. ゴルフ場が破綻した場合の会計処理(税務)

先ほどお伝えした通り、ゴルフ会員権の実質内容は「施設利用権」であり、金銭債権とは異なりますので、貸倒引当金や貸倒損失の計上は認められません(評価損も×)。
 
ただし、ゴルフ会員権が、何らかの形で「金銭債権」に転換された場合は、金銭債権に対する貸倒引当金・貸倒損失の計上が可能となります。

 

(1) 貸倒引当金・貸倒損失が計上できる場合

「退会の届出、預託金の一部切捨、破産宣告等の事実に基づき、預託金返還請求権の全部または一部が顕在化した場合」には、金銭債権として、貸倒引当金、貸倒損失等の対象となります(法人税基本通達9-7-12)。

ゴルフ場施設を利用できる(=プレーできる)できないにかかわらず、金銭債権(預託金返還請求権)に転換された場合は、貸倒引当金・貸倒損失の計上が可能です。

 

(2) 具体例
退会届を提出し、
預託金が返還されない場合
退会届による会員契約の解除により、預託金返還請求権(金銭債権)に転換されるため、貸倒引当金計上可
破産手続の開始決定
特別清算手続の開始決定
これらは、「清算型」の倒産処理手続のため、この時点で金銭債権に転換されるため、貸倒引当金計上可
会社更生法の更生手続の開始決定
民事再生法の再生手続の開始決定
これらは、「再建・再生型」の処理手続のため、この時点では金銭債権には転換せず、貸倒引当金の計上はできない
更生計画・再生計画認可による
一部切り捨て額
契約変更により、預託金返還請求権の一部が金銭債権として顕在化し、その一部が切り捨てられたと考え、その事業年度貸倒損失計上可
(施設を利用できる場合でも)

 

(3) 貸倒損失の計上時期

貸倒損失は、利益操作防止の観点から、回収不能が明らかになった事業年度のみ計上が認められ、その後の事業年度で、損金算入することは認められません
したがって、「ゴルフ会員権の預託保証金」の一部が切り捨てられた場合は、切捨てられた事業年度以外は、損金算入できない点に注意しましょう。
 

例えば、切り捨てられた年度で貸倒損失処理を失念していた場合、将来売却した際に、当該切捨て部分を、「ゴルフ会員権売却損」として損金計上することはできません。十分に注意しましょう(Q60「貸倒損失のの実務上の判断は」 参照)。

 

3. 貸倒損失の仕訳例

(例)
民事再生計画認可により、預託保証金が額面2,000⇒1,500に切り捨てられた。

 

(1) 切り捨て前のゴルフ会員権簿価が、2,300の場合
借方 貸方
ゴルフ会員権評価損(有税)
貸倒損失(損金)
300
500
ゴルフ会員権 800

● 会計上、簿価と預託保証金の差額300は、「ゴルフ会員権評価損」として費用計上し
 ます。ただし、税務上は、金銭債権に転換された「預託金部分のみ」が貸倒損失の
 対象となりますので、当該ゴルフ会員権評価損300は、有税になる点注意。

● 切捨ての事実により、預託保証金部分は、金銭債権に転換されていますので、預託保
 証金のうち、額面切り捨て額、500全額に貸倒損失を計上できます。

 

(2) 切り捨て前のゴルフ会員権簿価が、1,800の場合
借方 貸方
貸倒損失 300(損金) ゴルフ会員権 300

● 切り捨て前簿価≦額面の場合は、ゴルフ会員権評価損の計上はありません。

 

● 例題を見る限り、切捨額は500のように見えますが、実質的には、切捨以前に既に簿価が額面を下回っています。あくまで、切捨後の額面1,500が下限となりますので、簿価1,800と切捨後の額面1,500との差額300が貸倒損失となります。

 

4. 参照URL

(年会費その他の費用 法人税法基本通達9-7-13)
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_07_03.htm

(ゴルフ会員権が金銭債権に転換する時期)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/09/04.htm

(ゴルフ会員権の預託金の一部が切り捨てられた場合の取扱い)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/20/08.htm

(ゴルフ会員権 消費税)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6249.htm

 

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