税金の豆知識

Q131 固定資産を修繕した場合の会計処理/税務処理

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Q131 修繕した場合の会計処理/税務処理

今回は、所有する固定資産に、修繕や改修を行った場合の会計処理のお話です。
この場合、支出したすべての金額を「経費」(費用)で処理できるとは限りません。資産(固定資産)として計上しなければいけない場合もあります。
 
経費(修繕費)か、資産計上(資本的支出)かは実務上、非常に迷いやすい論点です。

 

1. 費用か?資産か?の違い

 

(1) 費用として処理する場合(=収益的支出といいます)

破損・故障した固定資産を、通常の維持管理又は原状回復させるために要した費用は、「修繕費」として、費用計上できます。
一方、既存固定資産の「耐用年数」が延長するケースなどは、費用計上できません。

(費用となる場合の例)
建物の解体費用、部品の取替費用、車の整備費用など

 

(2) 資産として処理する場合(=資本的支出といいます)

固定資産を元の機能まで回復させるだけでなく、使用可能期間を延長又はその価値を増加させる支出の場合は、「資産」として計上しなければいけません。

(資産となる場合の例)
建物の耐震構造、壁の防音・防火加工など

 

2. 会計処理は?

「費用処理」できる場合は、勘定科目は「修繕費」で処理します。
一方、「資産処理」しなければいけない場合は、「固定資産」で処理します。
 
固定資産に計上した場合は、所定の耐用年数で、毎年「減価償却」を通じて、費用化していきます。

 

3. 資産で計上する(資本的支出)場合の耐用年数は?

平成19年4月1日以後の資本的支出(=資産計上)は、支出の対象となった「既存減価償却資産の耐用年数」で、「新たな資産を取得した」と考えて、減価償却を行います。
 

(例)
● 修繕の対象となった固定資産が、「耐用年数15年の建物付属設備」の場合
 ⇒資本的支出した金額も「建物付属設備・15年」で償却

(なお、平成24年4月以降の資本的支出については、200%定率法の適用が可能です)
 

一方、既存の減価償却資産は、資本的支出後も、従来の償却年数で償却を続けます。

 

4. 会計処理の具体例

● 建物付属設備の改修工事を行い、1,000支払った。
● うち、100は定期的修繕の支出、残りの900は耐用年数が延長する支出。
● 建物付属設備の耐用年数は15年とし、減価償却費は1年分計上する。

 

借方 貸方
修繕費 100 現金 1,000
建物付属設備 900
減価償却費 60 建物付属設備 60

 

● 定期的修繕の支出100は、「修繕費」(収益的支出)で処理します。

● 耐用年数が延長する支出は、資本的支出に該当するため、
  「建物付属設備」で処理し、耐用年数15年で減価償却を行います
  (900 ÷ 15年 = 60/年)。

 

5. 費用か資産か?の実務上の判定方法

実務上は、下記、(1)⇒(2)⇒(3)の順で判定していきます。

 

(1) 少額または周期の短い費用(法基通 7-8-3)

下記のいずれかに該当する場合は、「修繕費」で処理します。

一の修理、改良等に要した費用額が20万円未満の場合
② その修理、改良等が、概ね3年以内周期で行われることが明らかな場合

 

(2) 通達例示区分等による判定(法基通 7-8-1、7-8-2)

明らかに、以下に該当するものは、資産(資本的支出)、費用(修繕費)として処理します。区分のポイントは、「機能を元に戻すだけの維持管理」か「機能が当初より向上するか」です。

 

資産(資本的支出)の例示(※1)
(価値の増加又は耐久性の増加)
費用(修繕費)の例示
(通常の維持管理or現状回復)
通達例示 ● 避難階段の取付け等、物理的付加部分の費用。

● 用途変更のための模様替え等の改造or改装費用。

● 機械部品等を、特に品質(or性能)高いものに取り替えた場合の取替費(通常費用を超える部分のみ)。

● 建物移えいor解体移築費用。

● 機械装置の移設費用。

● 地盤沈下土地を、沈下前状態に回復するための地盛費用。

● 地盤沈下による海水等浸水を防ぐ床上、地上、移設費。

● 土地の水はけを良くするための砂利、砕石等の敷設費用。

その他
(通達以外)
● 耐震加工・防水加工壁
(耐久性が増すもの)。

● 事務所用を居住用に変更
(用途変更・改造・改装の費用)。

● ソフトウェアへの新機能の追加
(機能の向上)。

● 部品や壊れたガラスの取替等

● 保守メンテ・点検費用。

● 雨漏修理、壁塗替・解体費

● LEDランプ取替費用(※2)

● 法改正対応ソフト更新。

(※1)30万未満の少額減価償却資産等
資本的支出に該当する内容のものでも、「中小企業者等の少額減価償却資産特例等」に該当する場合は、支出した年度に、一括で費用にすることが可能です。

 

(※2)オフィスの蛍光灯⇒LEDランプへの取替
この工事により、使用可能期間等が向上する点から、「資本的支出」とも考えられますが、LEDランプ等は、建物附属設備の部品にすぎず、建物附属設備全体の価値を高めるとまではいえないため、「修繕費」処理が認められています(質疑応答事例)。

 

(3) 判定が難しい場合(形式基準による判定・法人税法基本通達7-8-4)

上記(2)でも判定できない場合は、実務上、次のいずれかに該当すれば、修繕費として処理を行います。

 

支出額が、60万円未満 or 対象固定資産の「前期末取得価額」の10%以下。
● 継続的に、下記①②の少ない方を修繕費、残額を資本的支出としている場合。
   ① 支出額の30% VS ② 対象固定資産の「前期末取得価額」の10%

 

(4) 判定が難しい場合の具体例

● ソフトウェア(取得価額100万円)につき、 50万円の追加支出を行った。
● 追加支出内容は、ソフトウェア修正及びバージョンアッププログラムである
 が、両者の区分は不明。

(判定)
修正部分とバージョンアップ部分の金額が不明なため、60万円基準で判定する
500,000円<600,000円  ∴修繕費OK

 

6. ご参考 ~資本的支出と修繕費の判定フローチャート~

国税庁HPより、抜粋&加工

資本的支出と修繕費の判定フローチャート

 

4. 参照URL

(修繕費とならないものの判定)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm

(資本的支出と修繕費)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm

(資本的支出後の減価償却資産の償却方法等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5405.htm

(LEDランプ 質疑応答事例)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/12.htm

 

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