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Q147【消費税区分】店舗が支払う電子マネー決済手数料 (paypay等)の消費税区分は?/ECショッピングサイト決済手数料は?

最終更新日:2023/11/17

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Q147 電子マネー決済手数料・ショッピングモール手数料の消費税区分

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

最近は、飲食店等で、決済手段としてクレジットカードだけでなく、電子マネーを導入する店舗も増えてきています。
これらは、一般的に「キャッシュレス決済」と呼ばれています。
 
消費者が店舗で電子マネーを利用して購入した場合、店舗側は、後日「電子マネー登録事業者」から入金が行われ、その際、一定の「決済手数料」を支払います。
この、店舗側が「電子マネー登録事業者」に支払う「一定の決済手数料」の消費税区分は「課税」取引なのでしょうか?
 

また、関連論点として、アマゾンや楽天等ECショッピングサイトで販売する事業者が支払う、「手数料」に係る取扱いについてもお伝えしたいと思います。

(今回の論点は、現時点では、国税庁に明確な記載はなく、税務通信第3557号に、関連の記事があります。)

 

1. クレジットカード手数料の場合

消費者が「クレジットカード」で決済した場合、お店側は「カード会社」に対して代金を請求し、「一定の決済手数料」が差し引かれて入金されます。
 
この「決済手数料」は、原則として消費税「非課税取引」となります。
なぜなら、クレジットカード利用による代金回収は、「金銭譲渡」と同様の取扱いとなり、課税対象になじまないためです(単なる資本の移転)。

ただし、決済代行会社をはさむ場合は、課税非課税の判断が分かれます。詳しくは、Q146をご参照ください。

 

2. 電子マネーの場合

電子マネー決済の場合、お店側は、「電子マネー登録事業者」に代金を請求しますが、クレジット同様、「一定の手数料」が差し引かれて入金されます。
この手数料は・・消費税「課税」でしょうか?
 
結論は・・電子マネーの種類によって課税判断が異なってきます。

 

(1) 後払方式の場合は消費税「非課税」

電子マネーのうち、IDやQUICKPAY、PITAPAなどは、商品購入後に、支払う方式となります(後払式)

後払式の電子マネーの場合は、販売店が消費者に対して代金を請求できる権利(=以下、「金銭請求権」といいます)を、電子マネー登録事業者に譲渡する法律構成になると思われます(=債権譲渡)。

つまり、金銭請求権の譲渡は、単なる資本の移転であり、「消費」という概念になじまないため、「消費税非課税取引」となります。
したがって、電子マネー登録事業者から入金時に差し引かれる「手数料」は、原則としてクレジットカード手数料同様、消費税「非課税」となります。

(ただし、電子マネー登録事業者との間に、代行会社が入っている場合等は、 クレジットカードの場合と同様、「課税」になる場合もあると思われます)。

 

(2) 前払方式の場合は消費税「課税」

電子マネーのうち、LINE Pay、paypay、楽天ペイ、交通系電子マネーのICOCAなどは、商品購入前にチャージする方式となります(前払式)(支払方法につきクレジットカード払にした場合は除く)。

前払式の電子マネーの場合は、チャージ時点で「お金が電子マネー」に換わっているだけで、商品購入時はお金で購入したのと同様の取扱いとなります。
つまり、店側の立場では、現金で受け取ったのと同じとなりますので、販売店⇒消費者に対して後日請求できる「金銭請求権」自体が発生せず、「金銭債権」の譲渡行為自体が発生しません
したがって、後払形式や、クレジットカード決済とは異なる法的構成となります。

一方、お店側は、「電子マネー登録事業者」に代金を請求できる権利を新たに取得します(新たに発生した債権)。この「権利」は、消費者に対する「金銭請求権」を譲渡したものではなく、決済を代行してもらったサービス提供の対価、つまり、消費税課税取引となります。

したがって、電子マネー登録事業者から入金時に差し引かれる「手数料」は、消費税「課税」となります(=債権譲渡から生じる手数料ではない)。

 

3. 店舗が支払うECショッピングサイト決済手数料は?

ECショッピングサイトで販売する事業者は、楽天市場やアマゾン、Yahooなどに対して、一定の「手数料」を支払っています。
この「手数料」の中には、「システム利用」に対する手数料だけでなく、「決済手数料」が含まれていることがあります。

これらの手数料にかかる「消費税課税判断」はどうでしょうか?

 

(1) システム料などは課税

システムを利用するための手数料は、「システム利用」という、「役務に対して支払う対価」となりますので、消費税「課税取引」となります。

 

(2) 決済手数料は内容に応じて判断

ただし、先方から送られてくる「請求書」には「システム利用料」だけでなく、「決済手数料」もまとめて請求されるケースがありますので・・結構厄介です。
内容を区分して処理していく必要があります。

「銀行振込決済手数料」や「コンビニ決済手数料」は消費税「課税」、クレジットカード決済手数料などは、原則として消費税「非課税」となります。電子マネーの場合は、先ほどの取扱いに従います。
 

(3) ECモールごとのまとめ

ネットで検索した程度ですが・・以下のような感じでした。あくまで参考情報です。
確かに、上記の考え方に基づいた区分になっているようです。
見せ方の違いかもしれませんが、①アマゾンはすべてシステム利用料として「課税」、②楽天市場・yahooショッピングは、決済手数料は「非課税」、その他は「課税」で区分されているようです。

内容課税非課税
amazon(※)
yahooショッピング(クレジットカード決済手数料、ワイジェイカード決済手数料)
yahooショッピング(上記以外)
楽天市場(クレジットカード、後払式電子マネー決済手数料)
楽天市場(上記以外)

(※)アマゾンは、すべて「システム利用料」

 

4. YouTube

 

YouTubeで分かる「店舗が支払う電子マネー決済手数料の消費税区分は?」
 

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