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Q161 賃上げ投資促進税制(所得拡大税制)の具体例(大企業) H30改正

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Q161 賃上げ投資促進税制(所得拡大税制)の具体例(大企業) H30改正

従業員に支払った給料等が、前期と比べて増加した場合、税額控除できる制度があります。
「所得拡大促進税制」(賃上げ投資促進税制)と呼ばれます。
平成30年度に大幅な改正
が行われました。「中小企業者向け」と「大企業向け」で、内容や要件が異なります。

今回は「大企業向けの賃上げ投資促進税制」についてまとめます。
(中小企業者向けは、Q160をご参照ください)

 

1. どんな制度?

大企業向けの所得拡大促進税制とは、

● 青色申告を提出している「大企業」が
● 国内雇用者に給与等を支給する場合
● 前年度より給与等支給額を増加させた場合に、
増加額の15%(or25%)を法人税額から控除できる制度です。

(大企業とは?)

下記に 該当しない企業
(租税特別措置法に規定する「中小企業者」に該当しない企業)

● 資本金の額等が1億円以下の法人で、発行済株式等の一定割合以上(※)
  大規模法人(資本金の額が1億円超の法人等)に所有されていない法人
● 資本等を有しない法人(or個人)で、常時使用従業員数が1,000名以下

(※)1法人で50%以上、複数法人で2/3以上

(POINT)

● 事前申請は不要ですが、確定申告の際に明細書を添付する必要があります。

 

2. 適用期間

2018.4.1~2021.3.31に開始される事業年度

 

3. 適用要件

「下記の要件」すべて満たす場合に、適用が可能です

当期の雇用者給与等支給額>前期の雇用者給与等支給額
当期の継続雇用者給与等支給額÷前期の継続雇用者給与等支給額≧103.0%
国内設備投資額≧当期償却費総額×95%(※)(令和元年税制改正大綱反映)

(※)現時点は、償却費総額×90%です。令和元年税制改正により95%に引上予定

 

(POINT)

● 雇用者には、パート等は含まれるが、役員及びその特殊関係者は含まれない。
● 要件②は「継続雇用者」である点に留意。
大企業の場合は、「中小企業者」と異なり、要件③が追加される。

雇用者給与等支給額 雇用者に対して支給した給与・賞与。
継続雇用者とは? 前事業年度、適用年度すべての月分の支給がある国内雇用者。
  ⇒前事業年度や適用年度中の、退職者や新入社員は含まれない
● 雇用保険一般被保険者ではない方と、継続雇用制度対象者は(※)(※)は除かれる。
国内設備投資額とは? 適用事業年度に取得等した国内資産で、
  適用年度終了日に有するものの減価償却前の取得価額の合計
● 有形・無形固定資産が対象。土地・建設仮勘定は対象外

(※)65歳未満で退職し、継続して雇用されている者

 

4. 対象となる給与等とは?

給与等の定義は、大企業・中小企業者どちらも同じです。
以下の通りとなります。

給料、賃金、賞与など。退職金は含まれない
● 所得税が課税されない「通勤交通費」は、原則含まれない。
  ただし、継続的に、通勤交通費を含めて支給額の計算をしている場合は、含めてOK

 

5. 税額控除額

(1) 原則

当期の雇用者給与等支給額 - 前期の雇用者給与等支給額)×15%
税額控除額の算定は「継続雇用者」ではない、点に注意)

 

(2) 特典

以下の要件を満たす場合は、税額控除割合が20%に拡大されます。

当期の教育訓練費の額 ≧ 過去2年平均費の教育訓練費(※)×120%

(※)(前年教育訓練費+前々年教育訓練費)÷2
(※)中小企業者の上乗せ要件と異なり、大企業の場合は、前期と前々期の平均との比較となる点に注意

 

(3) 上限

当期の法人税額の20%を限度

 

6. 教育訓練費とは

教育訓練費の定義は、大企業・中小企業者どちらも同じです。

教育訓練費は、「国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用」です。

 

(1) 該当するもの
法人が教育訓練等を自ら行う費用 外部講師料・外部施設使用料。
他の者に委託する教育訓練等費用 研修委託費・講師人件費・施設使用料等の委託費用。
他の者が行う教育訓練等に参加させる費用 外部研修参加費等

 

(2) 該当しないもの

使用人等に支払う教育訓練中の人件費
● 教育訓練等に関連する旅費、交通費、食費、宿泊費等
● 福利厚生目的など教育訓練以外を目的として実施する場合の費用。
法人等が所有する施設等の使用に要する費用。
● 法人の施設等の取得等に要する費用。
教材の購入・製作に要する費用。

 

7. 具体例

(1) 例題

● 法人3月決算。設立20期目。資本金200百万円(大企業とする)。
● 2022年3月期の法人税額は400万円とする(税額控除前)。
● 従業員は全員、雇用保険に加入済(一般被保険者)、継続雇用制度対象者はいない。
● 2022年3月期に「所得拡大税制」が適用できるか?

(各事業年度の状況)

前事業年度 当事業年度
2021/3 2022/3
給与年間支給額 (B)3,000万円 (A)3,150万円
(うち、退職者への給料) (△350万円)
(うち、新入社員への給料) (△250万円)
小計(=継続雇用者への給与) (D)2,650万円 (C)2,900万円
設備投資額 1,000万円 (E)2,500万円
減価償却費 (F)2,000万円
教育訓練費(※) 2,000万円 (G)3,000万円

(※)2020年3月期の教育訓練費は、2,000万円あったものとする。
比較教育訓練費=(前年2,000万円+前々年2,000万円)÷2=2,000万円(H)

 

(2) 要件あてはめ
計算 可否
要件1 (A)≧(B)
要件2 (C)÷(D)=109.4%≧103%
要件3 (E)≧(F)×95%
上乗せ要件 (G)÷(H)≧150%≧120%

⇒3要件及び上乗せ要件もすべて満たす。

 

(3) 税額控除額

③ 原則
((A)-(B))×20%=30万円

④ 上限(法人税の20%)
400万円×20%=80万円

①≦②のため、①30万円全額控除が可能

 

8. 参照URL

● 経済産業省(大企業向け 賃上げ・生産性向上のための税制 ご利用ガイドブック)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/30pamphlet.pdf

 

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