税金の豆知識

Q23 使用人兼務役員って何?

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使用人兼務役員って何?

使用人兼務役員とは?

使用人兼務役員とは、「取締役営業部長」「取締役管理部長」など、使用人(従業員)としての肩書を持っている役員のことをいいます。

役員は、従業員に比べると報酬等の制約がありますが(Q19参照)、使用人兼務役員は、従業員職務が併存するため、税務上有利な取扱いがあります。

 

(税法上の「使用人兼務役員」の定義)

役員のうち、部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位(*)を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者

 
(*)定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等によりその職制上の地位が付された役員

使用人兼務役員のメリット

  1. 「使用人分給料」は、定期同額給与の制約を受けない
    税法上、役員報酬は、原則として毎月定期同額とされています。
    しかしながら、使用人兼務役員の「従業員部分」の給料は、毎月変動させることができます。
  2.  

    1. 賞与・残業手当を支給することができる
      役員賞与は、「事前確定届出」をしていない限り、原則として損金になりませんが、使用人兼務役員の「従業員部分」の賞与は、損金にすることができます。
      また、「従業員」業務の残業手当も損金にすることが可能です。
    2.  

    3. ③雇用保険に加入することができる
      役員は、雇用保険に加入することができませんが、使用人兼務役員の「従業員部分」は加入できます。 また、役員は労働保険の対象から外れますが、使用人兼務役員の「従業員給与部分」は労働保険(雇用保険、労災保険)の対象となります。

     

    使用人兼務役員になれない場合

     

    代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
    副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
    合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
    取締役(委員会設置会社の取締役に限ります。)、会計参与及び監査役並びに監事
    上記のほか、同族会社の特定の役員(*)

     
    (*)同族会社の特定の役員は、以下のすべての要件を満たす役員です。

    ・株主グループの第1~3順位までを合計して、所有割合が50%超となる株主グループに属している役員
    その役員の所属する株主グループの所有割合が10%超
    その役員(配偶者及びこれらの者の所有割合が50%超である他の会社を含む)の所有割合が5%超

    どこかで見たことないですか?前回お伝えした「みなし役員」と認定される要件と同じなんですね。
    なので、同族会社の使用人が「みなし役員」とされた場合には、「使用人兼務役員」にもなれないってことになります。

     

    なお、CEO,CFO,COOなども、一般的には、定款の規定等で「職制上の地位」が付与されているため、使用人兼務役員にはなれません。

    具体例

    1. ①取締役経理部長
      使用人たる職制上の地位を有しているため、使用人兼務役員です。
    2.  

      1. ②経理担当取締役
        「経理担当」取締役は、取締役の中での役割分担であり、使用人としての地位ではありません。法人の特定部門の職務を統括しているものは、使用人兼務役員に該当しません。(法基通9-2-5)
      2.  

        1. ③非常勤の取締役営業部長
          使用人兼務役員は、常時使用人としての職務に従事していなければならないとされています。営業部長の肩書きを付けたとしても使用人兼務役員とはなりません。
          また、中小企業等で、職制上の地位を定めていない場合にも、常時従事している職務が他の使用人の職務内容と同様であれば、使用人兼務役員として取り扱うことが可能です(法基通達9-2-6)。
        2.  

          1. ④執行役員
            執行役員は、法令上明確に規定されたものではありませんが、一般的に代表取締役等の指揮、監督のもとで業務執行を行い、意思決定権限を有していないケースが多いため、税法上の役員には該当しないと考えられています(もちろん、みなし役員に該当すれば×です)

           

          使用人兼務役員はどうやって決める?

          税法上は、役員要件は定められていますが、どういう場合に使用人兼務役員となるのかの明確な規定はありません。役員かどうかは登記簿を見ればわかりますが、使用人兼務役員としての登記はありません。
          なので、使用人兼務役員と言えるためには、一般的には以下の点を満たしていることが必要です。

           

          形式面 ・代表取締役・専務取締役等、会社を代表する役員ではない。
          ・同族会社の特定の役員に該当しない(みなし役員)。
          ・使用人兼務役員を決議した議事録や、組織図、名刺に部長等を明示。
          ・ハローワークに提出した「兼務役員雇用実態証明書」を保存。
          実質面 ・同じ部長職等の人と勤務実態や権限に差を設けない。
          ・従業員分の給与には、雇用保険を掛ける。

           

          役員給与、使用人分給与の金額はどうやって決める?

          使用人兼務役員は、「役員給与」と「使用人給与」から構成されますが、各々の金額はどうやって決めるんでしょうか?

          役員給与は、以下の式で求めます。

          役員給与 = 支給総額 - 適正使用人分給与

          つまり、「適正使用人分給与」を決めてあげて、差引で役員給与を決めます。
          では・・「適正使用人分給与」はどうやって決めるんでしょう?
          簡単に言うと、取締役経理部長の経理部長としての給与は、総務部長の給与を基準として決めましょう、って感じです。
          詳しくは、法人税法基本通達(法基通9-2-23)をご参照ください。
          比較する役職者がいない場合の対処方法も記載されています。

           

          その他の留意事項

          ①使用人兼務役員の給与は、利益調整を防止する観点から「役員給与+使用人給与」の合算で過大な役員給与が判定されます(法基通9-2-21)。
          ですので、使用人兼務役員の給与は、「使用人部分」と「役員報酬部分」に明確に区分し、「使用人部分」は、使用人の給与規定に従って支給すること必要です。

          ②使用人兼務役員の使用人分賞与のうち、他の使用人と異なる時期に支給したものは損金不算入となります(未払金経理をした場合も同様、法基通9-2-26)。
          ですので、他の使用人と同じ日に支給することが必要です。

          参照URL

          (役員のうち、使用人兼務役員になれない人)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5205.htm

          (過大な役員給与の額、使用人分の給与の適正額)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_06.htm

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