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Q23【簡単説明】使用人兼務役員とは?判定基準・メリットデメリット・使用人報酬の算定方法は?

公開日:2014/04/29 最終更新日:2021/07/18

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使用人兼務役員って何?

役員は、従業員に比べると報酬等の制約がありますが(Q19参照)、使用人兼務役員は、「役員職務」と「従業員職務」が併存するため、税務上有利な取扱いがあります。

今回は、「使用人兼務役員」の税法上の取扱いと、留意事項につきまとめます。
 

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1.使用人兼務役員とは?

使用人兼務役員とは、「取締役営業部長」「取締役管理部長」など、使用人(従業員)としての肩書を持っている役員のことをいいます。
 
(法人税上の「使用人兼務役員」の定義)

役員のうち、部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位(*)を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者

(*)「使用人としての職制上の地位」とは、具体的には、部長、課長、工場長、支配人など「会社内の役職」のことです。
 

2.使用人兼務役員のメリット(デメリット)

(1)「使用人分給料」は、定期同額給与の制約を受けない

税法上、役員報酬は、原則として「毎月同額」で、変更は年1回とされています。
しかしながら、使用人兼務役員の「従業員部分」の給料は、「毎月金額を変動させる」ことができます
 

(2)賞与等の支給が可能

役員賞与は、「事前確定届出給与」でない限り、原則として損金になりませんが、使用人兼務役員の「従業員部分」の賞与は、損金にすることができます
また、「従業員」業務の「残業手当」を支給する場合は、損金にすることも可能です。
 

(3)雇用保険に加入可能+有給休暇の付与も可能

役員は労働保険の対象から外れますが、使用人兼務役員の「従業員給与部分」は労働保険(雇用保険、労災保険)の対象となります。つまり「使用人兼務役員」は、失業手当等の担保が可能となります。
また、同様に使用人兼務役員については、有休休暇の付与も可能です
 

なお、経営サイドからは、上記がデメリットであるとも言えます。
他の従業員同様、賞与等の負担が発生する可能性があり、労働保険や有休休暇の負担が発生します。
 

3.使用人兼務役員になれない場合

使用人兼務役員になれない役員は、「職制上の地位を有する役員」です(法施令71)。
定款や株主総会等の決議により、役員としての地位が付与された方となります。

具体的には、以下の通りとなります。

代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
取締役(委員会設置会社の取締役に限る)、会計参与及び監査役並びに監事
上記のほか、同族会社の「特定の役員」(*)

(*)同族会社の「特定の役員」とは、以下のすべての要件を満たす役員です。

株主グループ1~3順位まで合計した場合、所有割合50%超となる株主グループに属している
その使用人の所属する株主グループの所有割合が10%超
その使用人(配偶者&これらの者で所有割合50%超の会社を含む)の所有割合が5%超(※2)

実はこの要件・・前回お伝えした「みなし役員」と認定される形式要件と全く同じになります。
ですので、同族会社の使用人が、「みなし役員」の形式要件を満たす場合は、「使用人兼務役員」にもなれないという結論になります。
 

しかも・・ここでは「みなし役員」で要求される「法人の経営に従事」の要件はありません
したがって、例えば、オーナー社長の奥さんは、法人経営に従事していない場合であっても、「使用人兼務役員」にはなれないという結論になります。
(「奥様の論点」は、Q22みなし役員で詳しく解説しています。ご参照ください)

 

4.具体例

取締役経理部長 使用人たる職制上の地位を有しているため、使用人兼務役員です。
経理担当取締役 「経理担当」取締役は、取締役の中での役割分担であり、使用人としての地位ではありません。法人の特定部門の職務を統括しているものは、使用人兼務役員にはなれません(法基通9-2-5)。
非常勤の取締役営業部長 使用人兼務役員は、常時使用人としての職務に従事している必要があります。したがって、非常勤の場合は使用人兼務役員にはなれません。
執行役員 執行役員は、会社法上に規定された役員ではないため、原則として「最上位の使用人」と捉えられます。したがって、使用人兼務役員の論点は生じません
(例外的に、執行役員が「みなし役員」に該当する場合も、使用人兼務役員にはなれないと思われます。同族会社の使用人のうち「税務上みなし役員とされる者」は、使用人兼務役員になれない旨、明確に規定されていますので(タックスアンサー5205)。
CEO,CFO,COOなど 一般的には、定款の規定等で「職制上の地位」が付与されているため、使用人兼務役員にはなれません

なお、中小企業等で、株主総会等で「職制上の地位」を明確に定めていない場合は、「常時従事している職務」が他の使用人の職務内容と同様であれば、使用人兼務役員の取扱いも可能です(法基通9-2-6)
例えば、中小企業では、株主総会等を経ず、単に社長の片腕の人に「専務」と名付けているような場合もあります。この場合も、他の使用人の職務内容と同様であれば、使用人兼務役員としての取扱いが可能です。

 

5.使用人兼務役員と主張するためには?

税法上「役員」となる要件は明確ですが、「使用人兼務役員」は明確でなく、税務調査でもよく問題になります。役員かどうかは「登記簿」を見ればわかりますが、使用人兼務役員は「登記」はありません。

唯一証明できる書類としてハローワークに提出する「兼務役員雇用実態証明書」という書類があります。
労働基準法の適用対象であることを証明する書類です。
この「兼務役員雇用実態証明書」を提出しておけば、使用人兼務役員と主張できる可能性は高まります。

その他、一般的に「使用人兼務役員」を証明する上では、以下の点が必要となります。

形式面 ・代表取締役・専務取締役等、会社を代表する役員ではない。
・同族会社の特定の役員に該当しない(みなし役員)。
・使用人兼務役員を決議した議事録や、組織図、名刺に部長等を明示。
実質面 ・同じ部長職等の人と勤務実態や権限に差を設けない
従業員分給与には、雇用保険を支払う。
使用人分給与や賞与支給時期は、他の従業員と同時期に行う。

6.役員給与・使用人分給与の金額の算定方法

使用人兼務役員は、「役員給与」と「使用人給与」から構成されますが、各々の金額はどうやって決めるんでしょうか?

(1) 「使用人分給与」を先に決める

具体的には、以下の関係式で決定します。

役員給与 = 支給総額 - 適正使用人分給与

つまり、最初に「適正使用人分給与」を決め、支給総額からの差引で「役員給与」が決定されます。
 

(2)「適正使用人分給与」の算定方法

「適正使用人分給与」は、「類似する職務に従事する使用人の給与」を参考に決定します。
例えば、取締役経理部長の「経理部長」としての使用人給与は、「総務部長」の給与を基準として決定するなどです。以下の通達が参考になります。
 
(法基通9-2-23 抜粋)

使用人兼務役員に対する使用人分の給与・・・その使用人分の給与の額のうち当該使用人兼務役員が「現に従事している使用人の職務」と「おおむね類似する職務に従事する使用人」に対して支給した給与の額・・・原則として、これを使用人分の給与として相当な金額とする。・・・比準すべき使用人・・がいないときは、当該使用人兼務役員が役員となる直前に受けていた給与の額、その後のベースアップ等の状況、使用人のうち最上位にある者に対して支給した給与の額等を参酌して適正に見積った金額・・

 

(3)役員報酬部分ゼロにできるのか?

理屈上は可能だと思います。
ただし、上記の通り、「適正な使用人部分給与」を算定し、超えた部分が役員報酬となりますので、「超えた部分がゼロ」ということを証明できなければいけません。
つまり、他の部長等との給与比較で、多い場合は、「役員分が含まれている」とみなされる可能性がありますので、十分留意が必要です。
 

7.賞与支給時期・過大な役員給与規制

(1)賞与支給時期

使用人兼務役員の「使用人分賞与」のうち、他の使用人と異なる時期に支給したものは損金不算入となります(未払金経理をした場合も同様、法基通9-2-26)。
したがって、他の使用人と「同じ日に支給」することが必要です。
 

(2) 過大な役員給与の判定

従業員給与と異なり、役員給与については、利益調整を防止する観点から、「過大な役員給与」部分は損金算入できません(法施令第70条第1号イ)。
そこで、使用人兼務役員の場合も、「役員給与+使用人給与」の合算で「過大な役員給与」を判定することとされています(法基通9-2-21)。
 

(3)結論

上記より言えることは、使用人兼務役員の給与は、「使用人部分」と「役員報酬部分」に明確に区分し、「使用人部分」は、使用人の給与規定に従って支給することが必要です。

 

8.参照URL

(役員のうち、使用人兼務役員になれない人)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5205.htm

(過大な役員給与の額、使用人分の給与の適正額)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_06.htm

 

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