税金の豆知識
Q186【住民税特別徴収税額決定通知書】住民税特別徴収の会計処理・仕訳・勘定科目は? /市町村納付時期と給与天引き時期の関係
最終更新日:2022/03/10963view

従業員の個人住民税は、毎月の「給与明細」から天引きし、事業主が翌月10日までに市役所等に納税するのが原則となります。事業主が、個人の住民税を代わりに納税する方法は「特別徴収」と呼ばれています。
「特別徴収」の場合、各従業員お住まいの市役所から、事業主に「特別徴収税額の決定・変更通知書」が届きます(毎年5月ごろ)。事業主は、当該書類に基づいて毎月「個人住民税」を天引きして給与を支払います。
今回は、住民税特別徴収の会計処理や仕訳・勘定科目につきお伝えします。
目次
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1. 特別徴収税額の決定・変更通知書
「神戸市」の通知書のサンプルは以下の通りです。従業員お住いの各市町村からそれぞれ郵送されてきます。6月~翌年5月までの給与から天引きする「住民税」の金額が記載されています。
上記の①②の内容は以下の通りです。
内容 | 利用する場面 | |
---|---|---|
① | 神戸市に居住する従業員全体の特別徴収税額 | 毎月各市町村に納税する金額や、会計仕訳入力時に利用。 |
② | 神戸市に居住する従業員各人ごとの特別徴収税額 | 各人の給与明細から天引きする金額を確認する際に利用。 |
2. 市町村への納付と給与天引き時期の関係
(1) 市町村への納付金額・納付時期
毎月の各市町村への納付金額は、上記画像の①の金額となります。市町村ごとの「従業員特別徴収額の従業員合計金額」となります。
各市町村への納付時期については、「月割額」と記載されている箇所の月の翌月10日となります。例えば、月割額「6月分」14,200円は、7月10日が市役所等納期限となります。下記の納付書で支払います。
(納付書サンプル)
なお、「住民税特別徴収税額」の納税については、年に2回に短縮してくれる「納付特例」の制度があります。
詳しくはQ17ご参照ください
(2) 給与天引き金額・天引き時期
各従業員給与から天引きする金額は②の金額となります、「納付額」と記載されている欄に、「月ごとの徴収額」が記載されていますので、当該金額を、各従業員の給与明細から天引きします。
給与から天引きする時期は、「納付額」と記載されている月に「支払う給与」から「天引き」します。例えば、「納付額」6月の箇所に記載された金額は、6月支払給与から天引きします。給与締めが、「当月分翌月払い」の会社なら、5月分(6月払い)給与、「当月分当月払い」の会社であれば6月分(6月払)給与から天引きします。
3. 具体例
上記の「特別徴収決定通知書」をもとに、毎月の「給与仕訳」をまとめます。
● 給与支給者は3名、全員額面25万円とする。
● 住民税以外の源泉所得税、社会保険等の天引きは無視する。
● 給与計上・住民税納付仕訳は?
(6月10日の住民税払は前年分のため省略)
(1) 給与の締 当月末締 翌月末払いのケース
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
5月末給与計上 (6月払) |
給与 | 750,000 | 未払費用 預り金(住民税) |
735,800 14,200 |
6月末給与計上 | 給与 | 750,000 | 未払費用 預り金(住民税) |
735,800 12,300 |
7月10日支払時 (5月給与預り分) |
預り金(住民税) | 14,200 | 現金 | 14,200 |
7月末給与計上時 | 給与 | 750,000 | 未払費用 預り金(住民税) |
737,700 12,300 |
8月10日支払時 (6月給与預り分) |
預り金(住民税) | 12,300 | 現金 | 12,300 |
当月締翌月払いのケースは、5月分給与(6月支払)から、新年度の特別徴収の金額に変更されます。したがって、会計上、月末時点の「預り金残高」は2か月分残ることになります。
(2) 給与の締 当月末締 当月末払いのケース
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
6月末給与計上・支払 (6月分) |
給与 | 750,000 | 現金 預り金(住民税) |
735,800 14,200 |
7月10日支払時 (6月給与預り分) |
預り金(住民税) | 14,200 | 現金 | 14,200 |
7月末給与計上・支払 (7月分) |
給与 | 750,000 | 現金 預り金(住民税) |
737,700 12,300 |
8月10日支払時 (7月給与預り分) |
預り金(住民税) | 12,300 | 現金 | 12,300 |
当月払いのケースは、6月分給与(6月支払)から、新年度の特別徴収の金額に変更されます。したがって、会計上、月末時点の「預り金残高」は1か月分残ることになります。
4. 従業員への特別徴収通知書
会社には、特別徴収決定通知書(特別徴収義務者用)とともに、以下の「特別徴収通知書(納税義務者用)」が届きます。こちらは、従業員に配布する分となります。特別徴収通知書(納税義務者用)の見方については、また改めて解説します。