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Q188【年金受給者】所得から差し引ける公的年金等控除とは?確定申告書の記載例/源泉徴収票の見方!/所得税の計算例

最終更新日:2023/11/17

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Q188【公的年金】確定申告書の記載例/所得税の計算例・控除額や還付額は?/源泉徴収票の見方!

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
YouTubeチャンネル:濱田会計事務所のちょっとお得な税金の豆知識
相続専門サイト:御影みらい相続センター

年金には、「公的年金等」と「公的年金等以外の年金」の2種類がありますが、どちらも「所得税」が課税されます。

ただし、収入金額全額に対して課税されるわけではありません。
また、年金受取時に源泉徴収されている場合もあります。

今回は、年金等から差し引ける公的年金等控除、その他経費の内容や、源泉徴収票の見方をお伝えします。
また、具体例を用いて、確定申告書の記載例をご紹介し、確定申告したほうが良いケースをお伝えします。
 

 

1. 年金の種類と課税される所得の計算方法

年金の種類は、「公的年金」・「公的年金等以外の年金」の2種類に分かれます。
収入額全額に課税されるわけではなく、収入額から「公的年金控除」や「経費」「各種所得控除」を差し引いた「所得」に対して課税されます。
それぞれの「課税所得」の計算は以下の通りです。

種類所得計算方法
公的年金課税所得 =収入金額- 公的年金等控除額 - 各種所得控除等
公的年金等以外の年金課税所得 = 収入金額 - 経費 - 各種所得控除等

2. 公的年金等の「公的年金等控除」とは?

公的年金等控除とは、公的年金の金額に応じて決められている、最初から認められる経費のようなものです。控除額は、①65歳未満と②65歳以上で異なります。また、「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得」の金額によって、控除額が3区分されていますので、少しややこしくなっています。以下の通りです。

(公的年金等控除額)
(65歳未満)

公的年金等の収入年金以外の所得
1,000万円以下
年金以外の所得
1,000万円超2,000万円以下
年金以外の所得
2,000万円超
130万円未満600,000円500,000円400,000円
130万以上
410万円未満
収入金額×25%
+275,000円
収入金額×25%
+175,000円
収入金額×25%
+75,000円
410万円以上
770万未満
収入金額×15%
+685,000円
収入金額×15%
+585,000円
収入金額×15%
+485,000円
770万以上
1,000万未満
収入金額×5%
+1,455,000円
収入金額×5%
+1,355,000円
収入金額×5%
+1,255,000円
1,000万以上1,955,000円1,855,000円1,755,000円

(65歳以上)

公的年金等の収入年金以外の所得
1,000万円以下
年金以外の所得
1,000万円超2,000万円以下
年金以外の所得
2,000万円超
330万円以下1,100,000円1,000,000円900,000円
330万超
410万円以下
収入金額×25%
+275,000円
収入金額×25%
+175,000円
収入金額×25%
+75,000円
410万円超
770万以下
収入金額×15%
+685,000円
収入金額×15%
+585,000円
収入金額×15%
+485,000円
770万以上
1,000万未満
収入金額×5%
+1,455,000円
収入金額×5%
+1,355,000円
収入金額×5%
+1,255,000円
1,000万以上1,955,000円1,855,000円1,755,000円

 

3. 公的年金等以外の年金の「経費」とは?

例えば、「個人年金」の場合は、過去に支払った年金支払額をもとに算定された「当期控除額」が、「経費」となります。
以下のような保険会社から毎年送られてくる書類に記載があります。この金額が「経費」となります。

 

公的年金等以外の年金の「経費」とは?

 

4. 源泉徴収票の見方

毎年1月ごろに、下記の「公的年金等の源泉徴収票」が送付されます。こちらに基づき確定申告を行います。

源泉徴収票の見方

上記の「源泉徴収票」の見方は、以下の通りです。

支払金額年金収入額を示しています。公的年金等控除前の金額です。この金額が400万円以下であれば、原則として「確定申告は不要」となります。
源泉徴収税額年金受取時に、既に天引きされている「源泉所得税額」を示しています。
社会保険料の額年金受取時に、既に天引きされている「介護保険額」を示しています。

 

5. 確定申告不要の計算例

● 本人の年齢 67歳
● 公的年金収入150万円、社会保険料5万円、源泉徴収税額 0円。年金受取時に天引きされている。
● 66歳配偶者あり(配偶者収入は年金収入 年間30万円のみ)
● 本人は年金以外の収入はないものとする。
● 医療費年間支出額 50万円

確定申告不要の要件
● 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下全部が源泉徴収対象
● 公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下

⇒要件を満たすため、原則、確定申告不要です。
また、源泉徴収されている金額はゼロのため、確定申告しても還付額はゼロのため、申告する意味もありません。

 

6. 確定申告した方がよい場合の計算例

「上記4.の源泉徴収票」を例題にします。

● 本人の年齢 67歳
● 公的年金収入2,396,142円、介護保険料95,220円、源泉徴収税額 14,849円。年金受取時に天引きされている。
● 66歳配偶者あり(配偶者収入は年金収入 年間30万円のみ)
● 年金以外の収入はないものとする。
● 医療費年間支出額 50万円

 

(1) 確定申告の有無

● 公的年金等の収入金額の合計額が400万以下全部が源泉徴収対象
● 公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下

原則、確定申告不要です。
しかし、上記例では、源泉徴収されている金額が14,849円あります。別途、医療費控除があるため、確定申告することで、源泉徴収税額が還付される可能性があります。

 

(2) 所得税の計算

① 所得の計算

総所得金額
(公的年金控除後)
2,396,142円 - 1,100,000円(65歳以上の公的年金等控除額)= 1,296,142円
課税所得
(所得控除後)
1,296,142円-95,220円(社会保険料控除)-480,000円(基礎控除)-380,000円(配偶者控除)- 435,193円(医療費控除(※))= △59,078円

(※)医療費控除の金額 500,000円-1,296,142円(総所得金額等)×5%=435,193円。
⇒総所得金額等が200万未満のため、医療費控除額は、総所得金額等×5%となります。

 

② 所得税額
所得マイナスのため ⇒所得税は0円

 

③ 還付額
14,849円(源泉所得税)-0円(実際の所得税)=14,849円が還付されます。

なお、あくまで、還付の最大金額は、天引きされた源泉徴収税額14,849円となります。介護保険料などが還付されるわけではありませんのでご留意ください。

 

7. 確定申告書の記載例

上記の源泉徴収票をもとに、確定申告書を作成します。
確定申告書上記載されている番号は、上記4.「源泉徴収票」記載の番号ととなります。

 

 

8. まとめ

年金収入が400万以下でも、源泉徴収票の「源泉徴収税額」に金額が記載されている場合は、確定申告することで還付されるケースがあります。
逆に言うと、源泉徴収されていない場合は、確定申告する必要はありません。

つまり・・源泉徴収の金額が少ない場合は、手間暇かけて「確定申告」をする必要があるのか?という選択になります。
例えば、「源泉徴収票」に記載された源泉徴収税額が1,000円の場合・・わざわざ確定申告会場にいって交通費1000円かかるくらいなら・・申告するだけ時間の無駄ということも言えます。
還付される最大金額との比較で、申告有無を決める形で良いかと思います。

 

9. ご参考~所得金額調整控除~

令和2年分の給与所得控除、公的年金等の控除の改正に伴い、新たに「所得金額調整控除」という制度が設けられています。①子供・特別障害者を有する場合②給与所得と年金所得の双方を有する場合に、一定の所得調整が行われます。

 

10. 参照URL

(公的年金等を受給されている方へ)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/campaign/h30/Dec/01.htm

(No.1600 公的年金等の課税関係)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

11. YouTube

 

YouTubeで分かる【年金受給者】所得から差し引ける公的年金等控除とは?確定申告書の記載例/源泉徴収票の見方!/所得税の計算例
 

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