税金の豆知識

Q61 土地仲介手数料等の消費税区分は?仕訳や勘定科目・按分方法は?

最終更新日:2022/08/23

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土地仲介手数料等の消費税区分

この記事は税理士/濱田隆祐により執筆されました。

公認会計士・税理士:濱田隆祐(はまだりゅうすけ)

濱田会計事務所の代表税理士
近畿税理士会 神戸支部:登録番号121899
日本公認会計士協会 兵庫会:登録番号17074
兵庫県行政書士会:登録番号19300373
1973年生まれ、大阪府豊中市出身
あずさ監査法人出身
クレアビズコンサルティング株式会社:代表取締役
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土地の取得、売却に関しては、「消費」という概念がないため、消費税上、「非課税取引」とされています。
しかしながら、土地を取得する際には、土地本体のほか「仲介手数料」「造成費用」「税金」「司法書士報酬」等、さまざまな支払が発生します。
今回は、土地取得の際に支払う「仲介手数料等」には「消費税が課税されるのか?」という論点です。

なお、土地の賃貸については、Q59をご参照ください。

 

1.支払内容ごとの消費税課税区分

土地を取得する際に支払が生じる内容ごとに、「消費税区分」をまとめると以下となります。

内容課税or非課税理由
土地本体(土地定着物も含む)非課税仕入消費が予定されていないため
土地造成費用課税仕入「造成」役務の提供があるため
土地取得仲介手数料課税仕入「仲介」役務の提供があるため
司法書士手数料課税仕入「登記作業」役務の提供があるため
借入事務手数料課税仕入「事務」役務の提供があるため
不動産取得税・登録免許税・印紙税非課税仕入それ自体が「税金」のため
土地にかかる固定資産税精算金課税仕入固定資産税精算金は売買代金の一部のため

●「造成費用」は、例えば、畑を宅地に変えるための土地埋め立て、整理等のコストのことです。
●「固定資産税精算金」は、税金そのものではなく、個人間の利益調整のための金銭の授受であり、不動産の譲渡対価の一部を構成するため、土地部分は「非課税」、建物部分は「課税」対象となります(基通10-1-6)。

 

2.課税仕入の3区分は?(個別対応方式)

「課税仕入」となる土地取得時の「仲介手数料等」ですが個別対応方式における3区分(課税売上対応、非課税売上対応、共通対応)はどのように行うのでしょうか?

個別対応方式における3区分は、「課税仕入を行った日」における土地取得の「目的」によって区分します(消基通11-2-20)。具体的には、土地取得日時点の状況で、「販売目的」「賃貸目的」等の違いにより、3区分の判断を行います。
将来計上される売上が「課税売上」か「非課税売上」か?で判定区分を行うイメージです。

以下の通りとなります。

土地購入の用途土地購入の用途将来の売上課税仕入区分
販売用土地のみ転売土地売却収入(非課税)非課税売上対応
(95%QA 問10)
分譲マンション販売土地建物売却収入
(課税・非課税)
共通対応(※1)
賃貸用居住用賃貸マンション賃貸収入(非課税)非課税売上対応(※2)
事務所用賃貸ビル賃貸収入(課税)課税売上対応
自社利用用自社ビル建設用当該土地で課税売上のみ課税売上対応
同上 非課税売上のみ非課税売上対応
同上 両方計上共通対応
用途未確定用途未確定 未確定(課税・非課税)共通対応

(※1)合理的な基準により「課税売上対応」「非課税売上対応」に区分できる場合は、区分に応じて個別対応方式の適用が可能です(基通11-2-19)。
(※2)社宅として従業員に賃貸する場合も含まれます(家賃未徴収の場合は、「共通対応」課税仕入)。
なお、居住用賃貸建物については、令和2年の改正により、全額仕入税額控除が認められなくなりました。

(ご参考~建物取得費用は?)

建物取得費用は「課税仕入」に該当します。
個別対応方式における3区分(課税売上対応、非課税売上対応、共通対応)も、上記の「土地関連費用」と同様、建物の用途によって判断を行います。

 

3.途中で用途変更した場合は?

土地や建物等の購入後に、「一時的に用途」を変更する場合もあります。
こういった場合、「土地仲介手数料等」にかかる「個別対応方式の3区分」に影響はあるでしょうか?

(例)販売用で購入した「住宅」の買い手が見つからず、一時的に「居住用」賃貸した場合

(結論)
当初「課税仕入時点」での用途が「販売用」であれば、たとえ一時的に賃貸しても、課税仕入の用途区分に影響しないものと思われます。課税仕入を行った日(土地仲介手数料支払時・建物取得時)の目的が「販売用」であり、当該時点では「非課税となる家賃収入」の発生予定がなかったことから、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」で区分が可能です
(参考判例 平成29年(行ウ)第2号 ⇒最終目的での判定が否認された事例)
 

4.「仲介手数料」の勘定科目・仕訳・按分方法は?

(1)会計処理

不動産取得にかかる「仲介手数料」は、不動産取得のための費用=付随費用ですので、「土地建物の取得価額」に含めて会計処理を行います。
固定資産の取得価額に含める範囲はQ157をご参照ください。

(2)按分方法

土地と建物をセットで購入し、仲介手数料を支払った場合、通常は、土地建物売却にかかる「合計の仲介手数料」で請求されることが一般的です。
支払った仲介手数料は、土地、建物両方にかかる費用ですので、土地建物それぞれに区分しなければいけません。

実務上は、仲介手数料総額を「固定資産税評価通知書」などの「土地建物評価比率」で按分を行い、土地、建物の仕訳金額を確定します。

(3)注意事項

仲介手数料を土地と建物に按分した結果、以下の点に注意しましょう。

建物仲介手数料は償却可能だが、土地仲介手数料は償却できない。
土地仲介手数料は、科目は「土地」だが、 消費税上は課税仕入となる。

5. 参照URL

(課税仕入れ等の用途区分の判定時期(消基通11-2-20))
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/11/02.htm

(土地付建物の仲介手数料の仕入税額控除)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/19/18.htm

(副次的に発生する非課税売上げがある場合の課税仕入れの区分)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/19/11.htm

(未経過固定資産税精算金)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/33.htm
 

 

6. YouTube

 
YouTubeで分かる「土地仲介手数料等の消費税区分」
 

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