税金の豆知識

Q139 法人を廃業したい場合の「休業」の選択肢

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Q139 法人を廃業したい場合の「休業」の選択肢

業績不振などを背景に、今の法人を「廃業したい」と考えたことはありませんか?
でも、解散、清算して法人を廃業すると・・結構な費用がかかります。
(実費だけでも7,8万円。外部に頼むと、トータル20~30万円程度はかかります)。

廃業を検討する場面は、一般的に「資金繰り」が厳しい場合が多いと思われますので、費用がかかるのであれば、廃業できない・・悩みが増えそうですよね。

そこで、今回は、法人を廃業させることなく、「休業させる」という選択肢についてお伝えします。

 

1. 休業とは?廃業との違い

「休業」は、法人として「登記簿上」は存在してはいるものの、事実上、営業活動を停止している状態をいいます。
会社自体は消滅させずに、事業活動だけを停止します。
 
一方、廃業の場合は、解散登記や清算手続を行い、清算手続完了により、会社自体が消滅します。
つまり、「休業」と「廃業」の違いは、会社自体が存続するか?消滅するか?の違いですね。

 

2. 休業のメリット・デメリット

休業した場合の、メリットとデメリットを比較します。

メリット デメリット
● 解散登記や清算手続の必要がないため、諸費用がかからない
● 法人税・消費税はかからない。
● 赤字でも毎年一定額かかっていた「法人住民税均等割が免除される。
● 会社自体は存続するため、毎年「税務申告」は必要
(確定申告しておかなければ、「青色申告」は取消)。
● 不動産を所有していれば、固定資産税は課税。
役員地位は継続しているため、任期満了時には変更登記が必要
● 株式会社の場合、最終登記から12年間登記がされないと、法務局職権による「みなし解散」あり。

なお、休業中は、課税取引自体がないため、消費税申告書の提出は不要です。

 

3. 休業時に「均等割」が課税されない根拠

地方税法上、法人住民税が課税される「法人」の定義は、以下となります。(地方税法12条、294条294条他)

 

道府県内または市町村内に「事務所又は事業所」を有する法人

 

上記定義中の「事務所又は事業所」とは、以下の要件をみたすものです。

 

● 事業の必要から設けられた人的・物的設備があること
継続して事業が行われる場所である

 

⇒つまり、休業している場合は、「事業自体が継続して行われていない」と言えるため、均等割はかかりません
(休業した事業年度は、休業までの月数分の均等割は発生)。
 

なお、地域によって「均等割減免申請書」の提出が必要な自治体はあるようです。

 

4. 休業するための具体的な手続

実は・・国税、地方税ともに、「休業」に関しての特別な規定は存在しません。
ただし、会社を休業=休眠状態にするには、一切の事業を停止するとともに、関連の役所に、以下の資料を提出するのが一般的です。(費用は一切かかりません)。

提出先 提出資料
税務署 ● 異動届出書(※)
● 給与支払事務所の廃止届
● 消費税の納税義務者ではなくなった旨の届
都道府県税事務所・市税事務所 ● 異動届出書(※)
年金事務所 ● 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届

(※)「異動事項等」の欄に「休業」、異動年月日の欄に「休業した日付」を記載するだけでOK。
特にエビデンスなどの添付はありません。

 

5. 休業時に退職金は支払える?

休業自体は、会社が消滅するわけではありませんので、休業中も「役員」は必要です。
当たり前ですが、休業するからといって、そのタイミングで「役員退職金」を支給できるわけではありません
もちろん、休業時に「給料」の支払いなどもできません。

 

6. 休業を選択すべきケース

社長の気持ち的には、解散・清算した方が、完全に法人がリセットされるので、すっきりはする、と思います。
 

しかし、例えば、社長が将来、「新ビジネスの展開」を考えている場合などは、いったん、現在の会社を休業し、将来「新ビジネス開始時点」で、「休業していた会社」を活用(=再開)することはありだと思います。
 

法人を新しく設立するのも、お金がかかりますしね。

 

(休業会社を将来活用(=再開)する場合の効果)

● 改めて法人を設立する「コスト」がかからない
● 休業していた会社が、過去の「繰越欠損金」を保有している場合、期限内であれば、繰越欠損金を活用して税金が安くなる可能性がある。
● 新設する会社よりも、休業会社の方が事実上の社歴は長いため、取引先からの信頼性は意外とあるかもしれない。

 

7. 休業中の会社を再開(復活)させる具体的な手続

休業中の会社を再開(復活)させる場合は、休業時に「異動届」等を提出した税務署、都道府県税事務所、市税事務所等に、改めて「異動届」等を届出します。

提出先 提出資料
税務署 ● 異動届出書
● 給与支払事務所の開設届
都道府県税事務所・市税事務所 ● 異動届出書
年金事務所 ● 健康保険・厚生年金保険適用事業所届

新規に法人を設立する場合は、「定款作成」や「登記」も必要となりますし、税務署には「設立届」を提出しなければいけません。それと比べると、「休業」の再開(=復活)は、手間がかからず、手続きは簡単ですね。

 

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