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Q139【法人休眠】休眠中の税金や確定申告の有無・具体的手続は?/ 銀行口座はゼロがよい?/復活の手続は?

最終更新日:2022/04/21

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Q139 法人を廃業したい場合の「休業」の選択肢

業績不振などを背景に、今の法人を「廃業したい」という状況もあるかもしれません。
しかし・・解散、清算して法人を廃業すると・・結構な費用がかかります。
(実費だけでも7,8万円。外部に頼むと、トータル20~30万円程度はかかります)。

一方、将来再開する可能性があるにもかかわらず、解散・清算してしまうと、再度会社を設立する場合はさらにコストがかかります。

そこで、今回は、法人を廃業させることなく、「休眠させる」という選択肢についてお伝えします。

 

1. 休眠とは? 休眠中の税金は?

(1) 休眠と廃業の違い

「休眠」は、法人として「登記簿上」は存在してはいるものの、事実上、営業活動を停止している状態をいいます。
会社自体は消滅させずに、事業活動だけを停止します。
 
一方、廃業の場合は、解散登記や清算手続を行い、清算手続完了により、会社自体が消滅します。
つまり、「休眠」と「廃業」の違いは、会社自体が存続するか?消滅するか?の違いとなります。

 

(2) 休眠中の税金は? 

休眠中は、所得や課税売上は生じませんので、法人税、消費税は課税されません。
また、所得に関係なく、一定額課税される県民税・市民税の「法人住民税均等割」についても、休眠中は課税されません。
ただし、休眠中でも、不動産を所有していれば、固定資産税は課税されます。
 

なお、地方税法上、法人住民税が課税される「法人」は、「道府県内または市町村内に事務所又は事業所を有する法人」と規定されており(地方税法12条、294条他)、「事務所又は事業所」とは、以下の要件を満たすものとされています。

● 事業の必要から設けられた人的・物的設備があること
継続して事業が行われる場所である

⇒つまり、休業している場合は、「事業自体が継続して行われていない」と言えるため、均等割はかかりません。
ただし、一時的な営業休止状態等、実質的な事務所機能を有する場合は、休眠とは捉えられず、均等割免除が受けられない場合もありますので、ご留意ください。

 

2. 休眠中の確定申告の有無は?

(1) 確定申告提出の有無

休業中も、会社自体は存在していますので、「法人税確定申告義務」はありますが、税金ゼロですので、無申告でも実害はないかと思われます。ただし、2期連続無申告の場合は「青色申告」は取消されます。
なお、消費税に関しては、課税取引がありませんので、申告義務はありません。
 

(2) 青色申告取消による過去の欠損金の取扱い

2期連続無申告等で、青色申告を取り消されると、過去の青色欠損金を利用できないのか?という疑問が生じます。
この点、過去の青色欠損金を利用する要件として、欠損が生じた事業年度に青色申告書を提出し、かつ、その後、連続して確定申告書の提出が要件となります。
休眠中に確定申告書を提出していない場合は、上記要件を満たさないということになりますが、復活後、遡って確定申告書を提出(期限後申告)することで、連続して確定申告書を提出しているということになりますので(法法2三十一)、結論的には、申告をしていないからといって、青色欠損金がなくなることはありません
 

3. 休眠するための費用・休眠するための具体的手続

(1) 休眠するための費用は?

休眠については、解散登記や清算手続の必要がないため、諸費用は一切かかりません
 

(2) 休眠するための具体的手続

国税、地方税ともに、「休眠」に関しての特別な規定は存在しません。
一般的に、会社を「休眠状態」にするには、一切の事業を停止するとともに、関連の役所に、以下の資料を提出すれば完了します。

提出先 提出資料
税務署 ● 異動届出書(※)
● 給与支払事務所の廃止届
● 消費税の納税義務者ではなくなった旨の届
都道府県税事務所・市税事務所 ● 異動届出書(※)
年金事務所 ● 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届

(※)「異動事項等」の欄に「休眠」、異動年月日の欄に「休業した日付」を記載するだけでOK。
特にエビデンスなどの添付はありません。

なお、自治体によっては、「均等割減免申請書」の提出が必要な地域や、後日実地調査等が行われる地域もあるようです。
 

4. 休業までに預金を引き出す方法・休眠中の預金残高は?

(1) 退職金による引出は?

休業自体は、会社が消滅するわけではありませんので、休業中も「役員」は必要です。
当たり前ですが、休業するからといって、そのタイミングで「役員退職金」を支給できるわけではありません
もちろん、休業時に「給料」の支払いなどもできません。
 

(2) 配当による引出は?

オーナー社長の場合、役員報酬については定期同額給与の制限がありますので、休業間もないタイミングで、自由に預金を引き出しできないという制約があります。この点、預金口座の残高を引き出す手段として「配当」という選択肢があります。法人は、株主総会の決議により、いつでも株主に配当することが可能です(会社法453条)。ただし、配当の場合、剰余金の分配可能限度額の規制がある点に留意が必要です。有償減資自己株式の取得についても、同様の配当財源規制がありますのでご留意ください。
 

(3) 休眠中の銀行口座はゼロがベター

休眠しても、最後の決算の「税金納税等」が発生するケースはあるため、異動届を提出する時点で、必ずしもすべての預金口座をゼロにしておく必要はありません。
しかしながら、ある程度資金の支出が終わったのちは、預金口座はゼロにしておくことをお勧めします。
なぜなら、預金口座残高があると、利息が発生するため、休眠していないとみなされる場合がある(=均等割が発生)ためです(口座を解約するまでの必要はありません)。
また、休眠中に代表取締役が死亡した場合などは、変更登記をしなければ、預金口座自体を引き出すこともできない点にも注意が必要です。
 

5. 休眠年度翌年の予定申告

法人税等や消費税等は、前年の税額が一定額以上の場合、中間申告義務があります。
この点、休眠したからといって、翌年の中間申告義務が当然になくなるわけではないようです。通常通り予定申告の納付書が届きます。こういった場合、休眠後は所得や課税売上は発生していませんので、①中間時点で仮決算を行い、納税額ゼロで申告、②あるいは、予定納税額を納めて、期末の確定申告で還付を行うことになります。ご留意ください。
 

6. みなし解散に注意

休業中でも役員地位は継続しているため、任期満了時には変更登記が必要です。株式会社の取締役の任期は最長10年、一般社団法人の場合は最長2年となっています。手続を行わない場合は、100万円以下の過料が発生します(会社法976条)。
また、株式会社の場合は最終登記から12年間、一般社団法人や一般財団法人の場合は5年間登記がされないと、法務局職権による「みなし解散」(会社法第472条)が行われますので、ご留意ください。
 

7. 休眠中の会社を再開(復活)させる具体的な手続

社長が将来、「新ビジネスの展開」を考えている場合などは、いったん、現在の会社を休業し、将来「新ビジネス開始時点」で、「休業していた会社」を活用(=再開)することもありえます。
休眠の場合は、解散と異なり、必要な場合はすぐに再開も可能です。
休業中の会社を再開(復活)させる場合は、休業時に「異動届」等を提出した税務署、都道府県税事務所、市税事務所等に、改めて「異動届」等を届出します。

提出先 提出資料
税務署 ● 異動届出書
● 給与支払事務所の開設届
都道府県税事務所・市税事務所 ● 異動届出書
年金事務所 ● 健康保険・厚生年金保険適用事業所届

(休業会社を将来活用(=再開)する場合の効果)

● 改めて法人を設立する「コスト」がかからない
● 休業していた会社が、過去の「繰越欠損金」を保有している場合、期限内であれば、繰越欠損金を活用して税金が安くなる可能性がある。
● 新設する会社よりも、休業会社の方が事実上の社歴は長いため、取引先からの信頼性は意外とあるかもしれない。

 

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