税金の豆知識

Q164 賃借物件退去時の「原状回復費用」等にかかる消費税の取扱い

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Q164 賃借物件退去時の「原状回復費用」等にかかる消費税の取扱い

賃借物件から退去する際、家主から「原状回復費用」や「違約金」などの諸費用を請求される場合があります。
今回は、賃貸物件退去時の「諸費用」に関する「消費税課税関係」につきまとめます。

 

1. 原状回復費用の消費税課税区分

賃借人が退去する際に、保証金(敷金)の中から原状回復工事の費用相当額を支払う(相殺される)場合があります。

賃借人には「原状回復義務」がありますので、本来は賃借人が原状回復のうえ、返却する必要があります。
しかし、実務上は、賃貸人が原状回復工事を行ったうえで、工事代金等を賃借人に請求する場合があります。
これが「原状回復費用」の内容となります。
 

つまり、本来は賃借人が行うべき原状回復工事を、賃貸人が代わりに行うものですので、賃貸人⇒賃借人に対する「役務提供」の対価として「消費税課税対象」となります。
 

この「原状回復費用」は、「建物の賃料」とは性格が異なりますので、たとえ居住用であっても、消費税非課税取引となる「住宅家賃」の取扱いはなく「課税取引」となります。

 

賃貸物件の原状回復義務とは…
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること(原状回復ガイドラインより)
● 「故意・過失」による劣化部分・・賃借人負担
● 「通常の生活生じた自然損耗や、経年劣化」部分・・賃貸人負担

 

2. 中途解約する場合の「違約金」の消費税課税区分

賃貸借契約期間終了前に解約する場合、「違約金」として数か月分の家賃を請求される場合があります。
この「違約金」は、中途解約に伴い生じる「逸失利益」を補てんするために支払うもの=損害賠償金ですので「消費税課税対象外」となります。

 

3. 割増賃借料・明渡遅延にともなう「違約金」の消費税課税区分

賃貸借契約期間終了後も賃借人が立ち退かない場合、「割増賃金」を請求される場合があります。
この「割増賃借料」の内容は、「契約期間延長による建物賃貸にかかる対価」であり、違約金とは異なります。
明渡遅延にともなう「違約金」も、たとえ名称が「違約金」でも、実質的には「建物賃貸にかかる対価」となります。
 

したがって、事業用の場合は「消費税課税」、居住用は「消費税非課税取引」となります(消基通5-2-5)。

 

事業用 課税
居住用 原則非課税

 

4. ご参考

(1) 敷引・礼金の消費税課税区分

退去時ではありませんが、入居時に支払う礼金・敷引については、「賃貸借契約を締結した」という「役務提供」に対して支払われるものです。
つまり、消費税は「家賃」と同様の判断となり、以下の通りとなります。

 

事業用 課税
居住用 原則非課税

なお、法人税・所得税上は、税務上の繰延資産(自己が便益を受けるために支出する費用)として、原則5年で償却を行います(契約期間5年未満で更新時に権利金を支払う場合は、その賃借期間)。

 

(2) 居住用不動産に関する消費税課税区分

居住用不動産に関する支出は、原則的に非課税となりますが、課税取引となるものもあります。
参考に、以下まとめておきます。

 

非課税 家賃・共益費・管理費、礼金敷金(原状回復費用は除く)、土地購入代金、保証協会保証料、火災保険・地震保険料
課税 原状回復費用、仲介手数料・リフォーム費用・鍵交換・ハウスクリーニング費用等、司法書士等登記手数料、金融機関融資手数料、建物購入代金

 

5. 参照URL

(建物賃貸借契約の違約金など)
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6261.htm

(建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/06.htm

(家賃・共益費・管理費の消費税区分)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/09/02.htm

 

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