税金の豆知識

Q170 輸出売上の消費税還付のしくみと還付の具体的手続

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Q170 輸出売上は消費税還付?還付を受けるための具体的手続

輸出売上がある場合、「消費税が還付」される場合があります。
今回は「消費税還付のしくみ」と、「還付を受けるための具体的手続」についてまとめます。

 

1. 消費税の仕組み

消費税は、売上時に「預かった消費税」から、仕入等の際に「支払った消費税」を差し引いた額を納税する税金です。

売上時に預かった消費税‐仕入等の際に支払った消費税

 

(例)取引が、売上1,100(内消費税100)、仕入880(内消費税80)だけの場合

上記例の場合、100-80=20が消費税納税額となります。
消費税は、売上時に預かった消費税100のうち、支払った消費税80を差し引いて、残った20を納税するだけですので、事業者が負担する税金ではありません(=預かったものを払うだけ)

 

(例)取引が、売上1,100(内消費税100)、仕入880(内消費税80)だけの場合

 

2. 消費税還付の仕組み

売上<仕入のケースで、消費税を差し引いた結果、マイナスの場合はどうでしょうか?

 

(例)取引が、売上880(内消費税80)、仕入1,100(内消費税100)だけの場合

上記例の場合、80-100=△20となります。この場合、納税額がゼロになるだけでなく、マイナス部分の20は税務署から還付されます。預かった金額以上に消費税を支払った場合、消費税は還付されるんですね。
消費税は、「自分が負担する税金ではない」という理解があれば、イメージできると思います。

 

(例)取引が、売上880(内消費税80)、仕入1,100(内消費税100)だけの場合

 

開業当初などで、売上<支出で赤字の場合は、消費税が還付されるケースもあります。

 

3. 輸出売上はなぜ還付?

では、輸出売上の場合、なぜ還付されるのでしょうか?赤字だからでしょうか?
答えは・・違います。
 
輸出の場合、売上時に消費税を預かっていないため、仕入時に支払った消費税を差し引くと、結果的にマイナスになる、ということです(輸出免税の対象についてはこちらをご参照ください)。

 

(例)取引が、輸出売上1,100、仕入800(内消費税80)だけの場合

 

(例)取引が、輸出売上1,100、仕入800(内消費税80)だけの場合

 

輸出の場合、たとえ輸出売上で利益が生じていたとしても、「輸出売上金額」には消費税が含まれていない(=消費税を預かっていない)ということになります。たとえ、売上金額が「税込」のような1,100円と表示されていても、この金額には消費税は含まれていません。したがって、上記例の場合、0円-80=△80円全額が還付されます。

 

4. 還付を受けるための要件

消費税の還付を受けるには、以下の要件が必要となります。

● 税務署に「消費税の還付申告に関する明細書」を提出。
● 輸出したことを証明する書類の保存(保存期間 7年)。

 

5. 輸出したことを証明する書類とは?

「輸出したことを証明する書類」は以下の通りです。領収書では代用できません

 

① 通常の輸出の場合

輸出許可書、積込承認書又は税関の輸出証明書

 

② 郵便による輸出の場合

価格が20万円を超える郵便物を外国に送る場合、原則として、税関へ輸出入申告を行い、許可を受ける必要があります。
したがって、郵便物の場合は、20万超か否かで、以下の違いがあります。

金額20万超(大額申告) 輸出許可書又は税関の輸出証明書
金額20万以下(少額申告) その事実を記載した帳簿、送り状、郵便物受領証等

● 20万円超の判定は、原則として1個あたりの価額になりますが、同一受取人に2個以上差し出す場合は、それらの合計金額で判断します。
● 20万以下の場合、①輸出年月日②輸出先の住所・名前③輸出商品名、数量、価額④輸出した対価の額の4つの記載がある書類を保管する必要があります。EMSの控にこれらの記載がありますので、EMSの控書類を保存すれば問題ありません。

 

6. 税関への対応

還付を受けるために、直接、税関に提出する書類はありませんが、税務署に申告書提出後、税関から追加資料の提出が求められる場合があります
提出が求められる書類は、「輸出したことを証明する書類」となりますので、上記5と同様の書類となります。
申告書提出後、結構な頻度で、税関から電話はありますね。
 
なお、税関にはコピー提出で問題ありません。送り状等の場合、資料の量が膨大になりますので、いくつかをピックアップして提出する場合が多いです。その他、国内での仕入に係る請求書なども、税関から追加要求される場合もあります。
迅速に還付を受けるためにも、事前に整理、準備しておく必要があります。

 

7. 留意事項

(1) 消費税課税事業者でないと還付されない

還付を受けることができるのは、「消費税課税事業者」のみですので、一般的に免税事業者となる設立1期目、2期目は注意が必要です。設立間もない時期に輸出免税の還付を受けたい場合は、事前に「消費税課税事業者選択届出書」を提出しておく必要があります。
 
なお、届出書の提出時期には注意が必要です。設立1期目の期限は、設立1期目終了日までとなりますが、設立2期目は、事業年度が始まる初日前日、つまり第1期期末までとなります。

 

(2) 簡易課税の場合は還付されない

簡易課税の場合、仕入税額控除の計算は、売上高にかかる消費税(課税標準額)に「みなし仕入れ率」を乗じて計算されます。ただし、輸出取引については、上記の「課税標準額」から除かれます(消451①)。
したがって、簡易課税を選択している場合は、たとえ輸出取引があったとしても、還付を受けることはできません。

 

(3) 税務調査の確率が高まる

税務署は、還付手続きに関しては非常に慎重です。また、不正な還付申告が横行しているため、税務調査の可能性が高まるといわれています。
輸出に係る書類関係だけでなく、輸出がわかる帳簿での記載や、消費税計算根拠なども保管しておくことが望まれます。

 

参照URL

(税関)価格が20万円を超える国際郵便物の通関手続の見直しについて
https://www.customs.go.jp/tsukan/yubin/yubin210216.htm

(税関)消費税の輸出免税について(事業者の場合)
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/extsukan/5003_jr.htm

 

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