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税金の豆知識


Q131 固定資産を修繕した場合の会計処理/税務処理

Q131 修繕した場合の会計処理/税務処理

今回は、所有する固定資産に、修繕や改修を行った場合の会計処理のお話です。
この場合、支出したすべての金額を「経費」(費用)で処理できるとは限りません。資産(固定資産)として計上しなければいけない場合もあります。
 
経費(修繕費)か、資産計上(資本的支出)かは実務上、非常に迷いやすい論点です。

 

1. 費用か?資産か?の違い

 

(1) 費用として処理する場合(=収益的支出といいます)

破損・故障した固定資産を、通常の維持管理又は原状回復させるために要した費用は、「修繕費」として、費用計上できます。
一方、既存固定資産の「耐用年数」が延長するケースなどは、費用計上できません。

(費用となる場合の例)
建物の解体費用、部品の取替費用、車の整備費用など

 

(2) 資産として処理する場合(=資本的支出といいます)

固定資産を元の機能まで回復させるだけでなく、使用可能期間を延長又はその価値を増加させる支出の場合は、「資産」として計上しなければいけません。

(資産となる場合の例)
建物の耐震構造、壁の防音・防火加工など

 

2. 会計処理は?

「費用処理」できる場合は、勘定科目は「修繕費」で処理します。
一方、「資産処理」しなければいけない場合は、「固定資産」で処理します。
 
固定資産に計上した場合は、所定の耐用年数で、毎年「減価償却」を通じて、費用化していきます。

 

3. 資産で計上する(資本的支出)場合の耐用年数は?

平成19年4月1日以後の資本的支出(=資産計上)は、支出の対象となった「既存減価償却資産の耐用年数」で、「新たな資産を取得した」と考えて、減価償却を行います。
 

(例)
● 修繕の対象となった固定資産が、「耐用年数15年の建物付属設備」の場合
 ⇒資本的支出した金額も「建物付属設備・15年」で償却

(なお、平成24年4月以降の資本的支出については、200%定率法の適用が可能です)
 

一方、既存の減価償却資産は、資本的支出後も、従来の償却年数で償却を続けます。

 

4. 会計処理の具体例

● 建物付属設備の改修工事を行い、1,000支払った。
● うち、100は定期的修繕の支出、残りの900は耐用年数が延長する支出。
● 建物付属設備の耐用年数は15年とし、減価償却費は1年分計上する。

 

借方 貸方
修繕費 100 現金 1,000
建物付属設備 900
減価償却費 60 建物付属設備 60

 

● 定期的修繕の支出100は、「修繕費」(収益的支出)で処理します。

● 耐用年数が延長する支出は、資本的支出に該当するため、
  「建物付属設備」で処理し、耐用年数15年で減価償却を行います
  (900 ÷ 15年 = 60/年)。

 

5. 費用か資産か?の実務上の判定方法

実務上は、下記、(1)⇒(2)⇒(3)の順で判定していきます。

 

(1) 少額または周期の短い費用(法基通 7-8-3)

下記のいずれかに該当する場合は、「修繕費」で処理します。

一の修理、改良等に要した費用額が20万円未満の場合
② その修理、改良等が、概ね3年以内周期で行われることが明らかな場合

 

(2) 通達例示区分等による判定(法基通 7-8-1、7-8-2)

明らかに、以下に該当するものは、資産(資本的支出)、費用(修繕費)として処理します。区分のポイントは、「機能を元に戻すだけの維持管理」か「機能が当初より向上するか」です。

 

資産(資本的支出)の例示(※1)
(価値の増加又は耐久性の増加)
費用(修繕費)の例示
(通常の維持管理or現状回復)
通達例示 ● 避難階段の取付け等、物理的付加部分の費用。

● 用途変更のための模様替え等の改造or改装費用。

● 機械部品等を、特に品質(or性能)高いものに取り替えた場合の取替費(通常費用を超える部分のみ)。

● 建物移えいor解体移築費用。

● 機械装置の移設費用。

● 地盤沈下土地を、沈下前状態に回復するための地盛費用。

● 地盤沈下による海水等浸水を防ぐ床上、地上、移設費。

● 土地の水はけを良くするための砂利、砕石等の敷設費用。

その他
(通達以外)
● 耐震加工・防水加工壁
(耐久性が増すもの)。

● 事務所用を居住用に変更
(用途変更・改造・改装の費用)。

● ソフトウェアへの新機能の追加
(機能の向上)。

● 部品や壊れたガラスの取替等

● 保守メンテ・点検費用。

● 雨漏修理、壁塗替・解体費

● LEDランプ取替費用(※2)

● 法改正対応ソフト更新。

(※1)30万未満の少額減価償却資産等
資本的支出に該当する内容のものでも、「中小企業者等の少額減価償却資産特例等」に該当する場合は、支出した年度に、一括で費用にすることが可能です。

 

(※2)オフィスの蛍光灯⇒LEDランプへの取替
この工事により、使用可能期間等が向上する点から、「資本的支出」とも考えられますが、LEDランプ等は、建物附属設備の部品にすぎず、建物附属設備全体の価値を高めるとまではいえないため、「修繕費」処理が認められています(質疑応答事例)。

 

(3) 判定が難しい場合(形式基準による判定・法人税法基本通達7-8-4)

上記(2)でも判定できない場合は、実務上、次のいずれかに該当すれば、修繕費として処理を行います。

 

支出額が、60万円未満 or 対象固定資産の「前期末取得価額」の10%以下。
● 継続的に、下記①②の少ない方を修繕費、残額を資本的支出としている場合。
   ① 支出額の30% VS ② 対象固定資産の「前期末取得価額」の10%

 

(4) 判定が難しい場合の具体例

● ソフトウェア(取得価額100万円)につき、 50万円の追加支出を行った。
● 追加支出内容は、ソフトウェア修正及びバージョンアッププログラムである
 が、両者の区分は不明。

(判定)
修正部分とバージョンアップ部分の金額が不明なため、60万円基準で判定する
500,000円<600,000円  ∴修繕費OK

 

6. ご参考 ~資本的支出と修繕費の判定フローチャート~

国税庁HPより、抜粋&加工

資本的支出と修繕費の判定フローチャート

 

4. 参照URL

(修繕費とならないものの判定)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm

(資本的支出と修繕費)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm

(資本的支出後の減価償却資産の償却方法等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5405.htm

(LEDランプ 質疑応答事例)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/12.htm

 

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Q130  法人保有のゴルフ会員権(預託金制)の税務処理

Q130  法人保有のゴルフ会員権(預託金制)の税務処理

ゴルフ会員権には、会計・税務上様々な論点がありますが、今回は、代表的なゴルフ会員権の形態である「預託金制のゴルフ会員権」を保有する、法人の会計処理についてまとめます。

 

1. 購入時・売却時の会計処理(税務・会計)

ゴルフ会員権の実質内容は、「ゴルフをプレーできる権利」ですので、法的な性格は「施設利用権」となります。したがって、購入時の会計処理は、原則として「投資その他の資産」で処理を行います。

ただし、「ゴルフ会員権」は、利用に応じて価値が減少するものではありませんので、、減価償却は行えません。以下、会計処理をまとめておきます。

 

内容 科目 消費税
預託金
投資その他の資産 対象外(※1)
入会金(※2)
原則、投資その他の資産(※3) 課税(※1)
入会時の名義書換料・
仲介手数料
原則、投資その他の資産(※3) 課税(※1)
年会費、
管理料・利用料、
名義書換料
原則、交際費(※4) 課税
プレーに直接要する費用 原則、交際費(※4) 課税
ゴルフ場利用税 交際費 対象外(※6)
緑化協力金 交際費(or寄付金)(※5) 対象外(※6)
預託金の返還 対象外
ゴルフ会員権の売却 (※7) 売却額に課税

(※1)第三者から購入する場合は、購入金額が「課税仕入」となります。

(※2)ここでの「入会金」は、預託金と別に支払う入会金で、返還されないものです。

(※3)個人会員として入会した場合は、原則「給与」となります。

(※4)入会金等を「給与処理」している場合は、こちらも「給与」となります。

(※5)ゴルフ緑化促進会(特定公益増進法人)に対する支払は、寄付金となります。

(※6)科目は「交際費」でも、消費税は「対象外」となる点に注意しましょう。

(※7)ゴルフクラブ脱退や売却時、入会金等相当額は、脱退・売却時に損金となります。

 

なお、法人会員・個人会員でも、「法人業務に関係あるかないか」で、例外的な取扱いがあります。また、入会金で一定の場合、「消費税課税の対象」となる場合があります。詳しくは国税庁HPを参照ください。

 

~ご参考~

レジャークラブ(宿泊・体育・遊技施設その他等)の入会金・年会費の会計処理
基本的には、ゴルフ会員権の処理が「準用」されます。
ただし、入会金については、①会員有効期間の定めがあり、かつ②脱退時に返還されないもの(役員等給与以外)は、「繰延資産」で償却可能な点だけ異なります。消費税は課税取引となります。

 

2. ゴルフ場が破綻した場合の会計処理(税務)

先ほどお伝えした通り、ゴルフ会員権の実質内容は「施設利用権」であり、金銭債権とは異なりますので、貸倒引当金や貸倒損失の計上は認められません(評価損も×)。
 
ただし、ゴルフ会員権が、何らかの形で「金銭債権」に転換された場合は、金銭債権に対する貸倒引当金・貸倒損失の計上が可能となります。

 

(1) 貸倒引当金・貸倒損失が計上できる場合

「退会の届出、預託金の一部切捨、破産宣告等の事実に基づき、預託金返還請求権の全部または一部が顕在化した場合」には、金銭債権として、貸倒引当金、貸倒損失等の対象となります(法人税基本通達9-7-12)。

ゴルフ場施設を利用できる(=プレーできる)できないにかかわらず、金銭債権(預託金返還請求権)に転換された場合は、貸倒引当金・貸倒損失の計上が可能です。

 

(2) 具体例
退会届を提出し、
預託金が返還されない場合
退会届による会員契約の解除により、預託金返還請求権(金銭債権)に転換されるため、貸倒引当金計上可
破産手続の開始決定
特別清算手続の開始決定
これらは、「清算型」の倒産処理手続のため、この時点で金銭債権に転換されるため、貸倒引当金計上可
会社更生法の更生手続の開始決定
民事再生法の再生手続の開始決定
これらは、「再建・再生型」の処理手続のため、この時点では金銭債権には転換せず、貸倒引当金の計上はできない
更生計画・再生計画認可による
一部切り捨て額
契約変更により、預託金返還請求権の一部が金銭債権として顕在化し、その一部が切り捨てられたと考え、その事業年度貸倒損失計上可
(施設を利用できる場合でも)

 

(3) 貸倒損失の計上時期

貸倒損失は、利益操作防止の観点から、回収不能が明らかになった事業年度のみ計上が認められ、その後の事業年度で、損金算入することは認められません
したがって、「ゴルフ会員権の預託保証金」の一部が切り捨てられた場合は、切捨てられた事業年度以外は、損金算入できない点に注意しましょう。
 

例えば、切り捨てられた年度で貸倒損失処理を失念していた場合、将来売却した際に、当該切捨て部分を、「ゴルフ会員権売却損」として損金計上することはできません。十分に注意しましょう(Q60「貸倒損失のの実務上の判断は」 参照)。

 

3. 貸倒損失の仕訳例

(例)
民事再生計画認可により、預託保証金が額面2,000⇒1,500に切り捨てられた。

 

(1) 切り捨て前のゴルフ会員権簿価が、2,300の場合
借方 貸方
ゴルフ会員権評価損(有税)
貸倒損失(損金)
300
500
ゴルフ会員権 800

● 会計上、簿価と預託保証金の差額300は、「ゴルフ会員権評価損」として費用計上し
 ます。ただし、税務上は、金銭債権に転換された「預託金部分のみ」が貸倒損失の
 対象となりますので、当該ゴルフ会員権評価損300は、有税になる点注意。

● 切捨ての事実により、預託保証金部分は、金銭債権に転換されていますので、預託保
 証金のうち、額面切り捨て額、500全額に貸倒損失を計上できます。

 

(2) 切り捨て前のゴルフ会員権簿価が、1,800の場合
借方 貸方
貸倒損失 300(損金) ゴルフ会員権 300

● 切り捨て前簿価≦額面の場合は、ゴルフ会員権評価損の計上はありません。

 

● 例題を見る限り、切捨額は500のように見えますが、実質的には、切捨以前に既に簿価が額面を下回っています。あくまで、切捨後の額面1,500が下限となりますので、簿価1,800と切捨後の額面1,500との差額300が貸倒損失となります。

 

4. 参照URL

(年会費その他の費用 法人税法基本通達9-7-13)
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_07_03.htm

(ゴルフ会員権が金銭債権に転換する時期)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/09/04.htm

(ゴルフ会員権の預託金の一部が切り捨てられた場合の取扱い)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/20/08.htm

(ゴルフ会員権 消費税)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6249.htm

 

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Q129 交際費に係る控除対象外消費税等の取扱いは?

Q129 交際費に係る控除対象外消費税等の取扱いは?

前回、控除対象外消費税等の論点のうち、「繰延消費税等」のお話をしました。
この繰延消費税等は、固定資産等に係る控除対象外消費税等で、支払時には一括損金算入できませんが、資産として一定期間で費用配分していくため、最終的には全額が損金になります。

一方、固定資産等以外(経費や棚卸資産など)にかかる「控除対象外消費税等」は、原則として、支払時に全額損金となるのが原則です。しかし、例外的に・・永遠に損金にならないものがあります。
今回ご紹介する、「交際費」に係る控除対象外消費税等です。

Q129 交際費に係る控除対象外消費税の取扱いは?

 

1. 「繰延消費税」と「交際費にかかる控除対象外消費税」の対象の違い

上記のイメージ図では、①繰延消費税等と、②交際費に係る控除対象外消費税等を、一つの箱の中で表していますが、両者は、対象となる会社の範囲が全く異なります。

 

繰延消費税等 交際費に係る控除対象外消費税
課税売上割合80%未満の場合のみ関係する 課税売上高が5億円以上又は、課税売上割合が95%未満の場合のみ関係する

 

範囲が全く異なりますね。逆に言うと、今回の交際費の論点は、「課税売上高が5億円未満かつ課税売上割合が95%以上」の法人様は、全く関係ありません。

 

2. 交際費の法人税上の規定

交際費に関する、法人税上の取り扱いは以下の通りです。

法人の種類 交際費の取扱い
資本金額等が1億円超 全額損金不算入
資本金額等が1億円以下(※) 年間800万円超部分が損金不算入

(※)資本金額等が5億円以上の法人の100%子会社は除きます。

また、交際費の中でも、「飲食費」については別の規定があります。
詳しくは、Q39を参照ください。

 

3. 交際費に係る控除対象外消費税

ここで、ようやく「控除対象外消費税」の話になります。本来、経費等にかかる控除対象外消費税等は、原則、全額支払時に一括損金となりますが、経費の中でも、交際費にかかる「控除対象外消費税等」については、「交際費として集計し、交際費の損金不算入額の計算テーブルに乗せ」ないといけないことになっています。

つまり、テーブルに乗せた結果、交際費の損金不算入額がでてくる可能性があります。
この交際費の損金不算入額は、永久に損金にならないという点で、繰延消費税等とは全く取り扱いが異なります。

 

4. なぜ損金不算入?

控除対象外消費税(=租税公課)の中身は、通信費やら固定資産、交際費など・・雑多な種目にかかる消費税です。

つまり・・租税公課とはいえ、「交際費」にかかる「控除対象外消費税等」も含まれているので、税務上は、この交際費に係る控除対象外消費税等は、本体の損金不算入の規定にならって、対応する消費税も同様のテーブルに乗せて判断しましょう!ってことなんです。めんどうですが・・理屈は合ってますね。

 

5. 事例

(1) 例題

● 課税売上12,500(仮受消費税1,000)。
● 課税仕入7,500(仮払消費税等600)。
● 課税仕入7,500(仮払消費税等600)のうち125(仮払消費税10)は交際費。
● 固定資産の取得はない。
● 交際費のうち飲食費はないものとし、交際費は「全額損金不算入」とする。
● 課税売上割合は60%とする。
● 消費税は、一括比例配分方式を採用、税抜処理とする。

 

(2) 決算時の仕訳
借方 貸方
消費税相殺仕訳 仮受消費税等
租税公課(※1)
1,000
240
仮払消費税等
未払消費税等
600
640

(※1)控除対象外消費税金額の計算
600(仮払消費税)×(1-60%)=240
⇒交際費にかかる控除対象外消費税等も含めて、「租税公課」として仕訳します。

 

(3) 別表15の記載

別表15は、本体の交際費の額とは別建てで「控除対象外消費税等」として記載します。

支出交際費等の額 129 損金算入限度額 0
・・・ ・・・ ・・・ 損金不算入額 129
支出交際費等の額の明細
科目 支出額 ・・・ 差引交際費 飲食費の額
交際費 125 125
控除対象外消費税等 (※)4 4
129 129

(※)交際費にかかる控除対象外消費税等の額
=10(交際費消費税額)×(1-60%)=4

 

(4) ご参考~科目は交際費に振り替える?

一般的に、会計処理として、交際費にかかる控除対象外消費税等を、「租税公課」から「交際費」に振り替える処理は行いません。

なぜなら、あくまで、交際費に係る控除対象外消費税等とはいえ、中身が「税金」であることに違いはないため、科目は「租税公課」が正しいからです。
もし、交際費に科目振替するのであれば、他の通信費や消耗品などにかかる「控除対象外消費税等」も、それぞれの科目に振り替えるのか?という変なことになります。

つまり、今回の「交際費にかかる控除対象外消費税等」は、法人税の交際費損金不算入額の計算テーブルにのせるためだけに集計すると考えてもらってよいと思います。

 

6. 参照URL

(交際費等の損金不算入額を算出する場合における消費税等の取扱い)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6917.htm

 

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Q128 繰延消費税等って?

Q128 繰延消費税等って?

 

1. 繰延消費税等って?

繰延消費税等とは・・
消費税計算で生じた「控除対象外消費税」のうち、法人税上、支払時の「一括損金」にできず、資産として繰り延べて一定期間で損金処理を行うものです。

 

Q128 繰延消費税等って?

 

消費税の計算では、支払った消費税のうち、一部控除できないものが生じます(控除対象外消費税等)。この「控除対象外消費税等」は、あくまで、消費税上、控除できないだけで、法人税上は、原則として支払った年度に全額損金にできます(租税公課)。

ただし、例外的に、法人税上も支払時に一括損金にできないものがあります。
これが「繰延消費税等」と呼ばれるものです。

なお、繰延消費税等は、支払時に「一括損金」にできないだけで、資産として一定期間で費用配分していくため、最終的には全額が損金になります。
(永遠に損金にならない、「交際費」に係る控除対象外消費税等とは論点が異なります。この論点は、Q129でご紹介します) 

 

2. 繰延消費税等が発生するケース

以下の二つの要件を、どちらも満たす場合です。
 
● 課税売上割合が80%未満かつ
● 1つの固定資産等に係る「控除対象外消費税等」の発生額が20万以上
 

課税売上割合が80%以上の法人や、1つの固定資産に係る控除対象外消費税等が20万未満の場合は、繰延消費税等の論点自体、出てきません(=全額支払時に損金となる)。
まとめると以下の通り。

 

区分 損金算入時期
課税売上割合80%以上 全額損金算入
課税売上割合80%未満 固定資産以外(棚卸資産等)
固定資産等に対応する
控除対象外消費税等が20万円未満
同上20万以上 繰延消費税等発生。一定期間で損金算入

 

3. 会計処理及び損金算入限度額

 

(1) 会計処理

発生時は「資産計上」し、一定期間にわたって費用処理を行います。

 

(2) 損金算入限度額
事業年度 税抜経理の場合
発生事業年度 損金算入限度額=繰延消費税額等×当期の 月数/60 × 1/2
翌事業年度以降 損金算入限度額=繰延消費税額等×当期の 月数/60

● 発生事業年度(初年度)だけ、1/2する点がポイントです。

 

4. 事例

(1) 例題

● 課税売上12,500(仮受消費税1,000)、
● 課税仕入7,500(仮払消費税等600)。
● 課税仕入のうち、5,000は、機械1台の購入(仮払消費税400)。
● 課税売上割合は60%、事業年度月数は12か月とする。
● 消費税は、一括比例配分方式を採用、税抜処理とする。

 

(2) 決算時の仕訳
借方 貸方
消費税相殺仕訳 仮受消費税等
繰延消費税等
租税公課
1,000
160
80
仮払消費税等
未払消費税等
600
640
繰延消費税等償却 繰延消費税等償却 16 繰延消費税等 16

① 控除対象外消費税金額の計算
600(仮払消費税)×(1-60%)=240
⇒これを、②繰延消費税と③租税公課に分ける。

 

② 繰延消費税等の金額(固定資産対応仮払消費税等)
400× (1 – 60%) = 160(資産として繰延)

 

③ 租税公課の金額(固定資産以外の仮払消費税等)
(600 – 400)× (1 – 60%) = 80(一括経費処理)

 

④ 繰延消費税等償却額の計算(初年度)
160 × 12/60 × 1/2 = 16

 

原則として、控除対象外消費税等240(上記①)全額が、支払時に一括損金となるはずですが、この内訳に、「固定資産の取得」に対応する消費税が含まれているため、当該部分だけを、繰延消費税等として「資産計上」します。

なお、今回の論点は、税込処理の場合は関係ありません。

 

5. 参照URL

(繰延消費税等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6921.htm

 

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Q127 個人がポイントで会社経費を支払った場合、会社に精算できる?

Q127 個人がポイントで会社経費を支払った場合、会社に精算できる?

最近は、いろんなところで「ポイント」がたまりますよね。
例えば、交通系や流通系のカードでたまったポイントは、現金の代わりの支払手段として利用できます。

で、今回の論点ですが、会社の経費、例えば「立替交通費」を従業員がポイントで支払った場合、従業員⇒会社に金銭での精算は請求できるのでしょうか?・・
というお話です。

常識的には、そんなことしない人も多いと思いますけど・・
お客様から相談があったので、調べてみました。

 

1. 一般常識?

一般常識から考えると・・ポイントはあくまで「個人」でためたものなので、個人が会社経費支払の際に、ポイントを利用することなんて・・通常はしないですね。
あくまで、常識としての話なんですが。
 
もし、会社から「ポイントで支払ってほしい」なんて指示があるなら話は別ですけど・・

 

2. 実際、ポイントで支払った場合

で・・本題。実際、会社の経費を、従業員個人がポイントで支払ったとしましょう。
この場合、従業員は、会社にポイント分を「金銭で精算」できるのでしょうか?

例えば、出張交通費が10,000円かかったとして、現金で9,000円、ポイントで1,000円相当額をJRなどに支払った場合、ポイント分も含めた10,000円を会社に請求できるのか?という論点です。精算を要求された会社からの・・切実な質問です。

 

3. 法的な話

おそらくですけど、ポイント自体は、個人に所有権が帰属しているはずです。だとすれば、ポイント分は利用により消失したとしても、それにかわるもの(=従業員から法人に精算を要求する権利)は・・普通にあると思います。

つまり、精算を要求された法人は、「ポイント分の金銭を、従業員に支払わなければいけない」という結論が、法的な取扱いなのかなと思います。
会社側からすると・・法的には「むげに」断れる理由はなさそうです。

 

4. 税務の話

法人が従業員に金銭で支払った部分は、「個人のポイント相当額」という法的構成を前提にすると、税務上は、個人側で「収入計上」するのでは?と思います。

会社側は、支払った額につき経費の計上はもちろん可能です。しかし、会社から従業員への支払なので、ポイント精算分の金銭は、「旅費交通費」ではなく、「給与」とみなされる可能性もあります
ですので、一旦は所得税を源泉徴収しないといけない、などの論点がでてきます。

 

5. 結論

結論ですが・・もし、従業員からポイントの精算依頼があったとしても、「精算できない」、と一言で断るわけにはいきません。

ただし、ポイント部分の金銭精算額は、「給与所得」となる可能性があるので、「給与として源泉徴収」します。というくらいでしょうか。悩ましい所ですね。

 

6. 会社の規定

会社側の立場からの意見ですが、事務処理やトラブルを避けるために、「会社経費のポイント精算は禁止する」などの「社内規定」を設けておくのもありかもしれませんね。

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Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

消費税の課税期間は、通常は「事業年度単位」、つまり1年間が原則です。
しかし、消費税に関しては・・「課税期間」を短縮することができる制度があります。

なぜ?短縮する必要があるの?と思われる方もいるかもしれません。
還付の場合、短縮することで、税金を早く還付してもらうことができるからですね。

この制度は、法人だけでなく、個人事業主にも認められています。

 

1. 課税期間は、「原則」と「特例」あり

(1) 原則
個人事業者 1月1日~12月31日までの期間(暦年)
法人 事業年度

 

(2) 課税期間を短縮した場合

① 3か月か1カ月のみ
納税者の選択により、3か月or1か月ごとの期間に変更することができます。
これ以外の期間は、認められていません。

 

② 届出書の提出時期に注意
原則的に、適用を受けようとする課税期間前日までに、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

 

③ 3月決算の場合の課税期間例
3月決算法人の場合、課税期間を短縮した場合の「課税期間」は、以下の通り。

3か月に短縮 4月~6月末、7月~9月末、10月~12月末、1月~3月末
1カ月に短縮 4月~4月末、5月~5月末・・続く。1カ月ごとに区分した各期間

 

2. 届出書提出時期の例外

届出書の提出は、適用を受けたい課税期間前日までに提出することが原則ですが、例外的に、以下の場合は、提出した日の期間から適用できます。

事業開始等 事業者が、事業を開始した日の属する期間
(例) 開業1年目、設立第1期など
相  続 相続により「課税期間の特例の選択をしていた被相続人の事業」を承継した場合の、その相続があった日の属する期間
吸収合併 吸収合併により「課税期間の特例の選択をしていた被合併法人の事業」を承継した場合の、その吸収合併があった日の属する期間

 

3. 課税期間短縮の具体例 (3月決算法人の場合)

年に1回しか届出できないわけではなく、期の途中でも提出・適用が可能です。
以下、具体例を記載しますね。

● 3月決算会社
● 平成30年8月20日に、「課税期間特例選択変更届」を提出する場合

(1) 課税期間を3か月に短縮するケース

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

8月20日に提出した場合は、10月1日から「課税期間の短縮」が可能です。課税期間が3か月に変更された場合、提出日が属する課税期間(7月1日~9月30日)の翌日=10月1日となります。つまり、いつ提出しても、「事業年度を3か月ごとに区切った月の翌月初日から短縮期間は適用できる」ということですね。

 

(2) 1か月ごとの期間に短縮する場合

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

考え方は、3か月短縮の場合と同様です。8月20日に提出した場合は、翌月9月1日から課税期間の短縮が可能ということですね。

 

4. 課税期間短縮のメリットとデメリット

メリット デメリット
● 消費税の還付を早く受けることができるので、資金繰りが楽になる(※1)
● 各種消費税届出書提出漏れの影響を最小限に抑えることができる場合がある(※2)
● 消費税申告書の提出回数が増えるため、事務処理は煩雑になる。
● 一旦、課税期間を短縮した場合は、最低2年間は継続適用が義務付けられます。

(※1)特に、輸出や貿易事業者は輸出売上(免税)のため、恒常的に還付が発生します。課税期間を短縮することにより、消費税還付のタイミングが早まるため、資金繰りがかなり改善します。
(※2)例えば、「消費税課税事業者選択届出書」の提出を失念していた免税事業者が、多額の設備投資があって、その年度から還付を受けたい場合などです。「課税期間短縮届」と「消費税課税事業者選択届」を提出することにより、提出失念の影響を最小限に食い止めることができる場合があります。(なお、設立初年度は、決算日末までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば、第1期から課税事業者になれます)

 

5.  原則の課税期間に戻したい場合(課税期間短縮をやめたい場合)

消費税課税期間の短縮の適用をやめたい場合は、「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出する必要があります。
この場合、(1)提出可能となる時期(2)不適用届出書の効力発生時期&提出後の課税期間に注意する必要があります。

(具体例)

● 3月決算会社
● 平成30年8月20日に、3か月「課税期間特例選択変更届」提出済
(=平成30年10月1日から、3か月の課税期間の適用開始となる)
● 平成32年7月3日に「課税期間特例適用不適用届」を提出
● この場合の、適用関係をまとめると以下の通り

 

(1) 不適用届出書が「提出可能となる」時期

2年縛りがあるため、提出可能時期は以下となります。

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

 

(2) 効力発生時期&提出後の課税期間

① 不適用届出書の効力発生時期
Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

② 届出書提出後の課税期間(原則課税にもどった後、最初の課税期間)
届出書提出の効力発生日~事業年度末日までの期間が「一の課税期間」とみなされます。上記例だと、平成32年10月1日から効力が生じます、3月決算だと平成32年10月1日~平成33年3月31日までの6か月間が1の課税期間とみなされます。平成33年4月1日以降は、通常の「1年単位」の課税期間に戻ります。

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

 

6. 課税期間を短縮した場合の「申告書」の提出期限

申告書は、通常の消費税申告書と変わるところはありません。また、申告書提出時期も、通常通り、課税期間終了後2か月以内となります。

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Q125 法人が負担した「マイカー通勤者の駐車場料金」は給料?

Q125 法人が負担した「マイカー通勤者の駐車場料金」は給料?

工場勤務などの場合は、マイカーで通勤される方も多いかもしれませんね。
例えば、自社の敷地が狭い場合、法人は、別途「月極駐車場」などを借りて負担するケースもあると思います。

このように、「マイカー通勤者の駐車場料金」を、法人が負担した場合、法人は、負担した金額を経費にすることはできるのでしょうか?
経費にできるとして・・科目は「地代家賃」でよいでしょうか?

従業員自身が駐車場を借りて支払を行い、後日、法人から従業員に支払う場合もあるでしょう。この場合は「給料」なのでしょうか?・・少し迷いそうな感じですね。「給料扱い」されると、個人側には所得税がかかりますので、勘定科目も大きな論点です。

以下、①法人名義で借りた場合②個人名義で借りた場合、に区分して検討しますね。
今回の論点は、明文規定がなく、あくまで個人解釈になりますのでご留意ください。

 

1. 法人名義で借りた場合

(1) 原則

法人会社で借りる場合は、業務で利用することが明確ですので、経費にできます。
また、勘定科目は、給料でなく、地代家賃などで処理が可能です。
この場合、法人と従業員とのお金のやりとりはありませんので、原則的に「個人側」に「給与課税」の論点は生じません。

 

(2) 例外

ただし、以下のような場合は、従業員への「給料」とみなされる可能性があります。
給料扱いされた場合は、「個人側」に所得税がかかってくる論点があります。

● 「特定の者」のために借りた場合
● 駐車場に駐車できる車が「特定」されている
● 車通勤が会社の許可がいるような場合で、「特定の社員のみが許可」されている場合

上記すべてに共通する点は、「特定の人」しか利用できないという点です。
これらのケースは、たとえ業務に利用するとはいえ、他の従業員が利用できないという点で、個人に対する給料と何ら変わるところがないのでは?
と指摘される可能性があると考えます。

 

2. 個人名義で借りた場合

従業員名義で駐車場を借りて支払を行い、後日、法人から従業員に支払う場合はどうでしょうか?個人名義とはいえ、法人業務用の駐車場代ですので、法人側で「経費」にすることについては、問題ありません。

では・・法人から従業員に支払った額は「給料」でしょうか?・・
「地代家賃」ではなさそうですね。
考えられるとすれば・・「通勤交通費」くらいでしょうか。

そこで、所得税上の「通勤交通費」に該当するか?を検討します。通勤交通費に該当すれば、「個人側」には所得税はかかりません。

 

(1) 非課税とされる通勤手当(所施令20条の2 四)

四 通勤のため交通機関又は有料の道路を利用するほか、併せて自動車その他の交通用具を使用することを常例とする者・・・が受ける通勤手当又は通勤用定期乗車券その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃の額又は定期乗車券の価額と当該交通用具を使用する距離につき・・・ 

● 「自動車その他の交通用具」に、「駐車場代」が含まれると解釈するのは・・
  ちょっと無理がありそうです。
● また、「通常の通勤の経路及び方法による運賃等」の「等」は消費税を指しているようですので、「駐車場代」は含まれていないものと想定されます。

 

(2) 結論

結論・・個人名義で借りた駐車場代を、後日、法人から従業員に支払った場合は、所得税法上の「通勤交通費」には含まれず、「給料扱い」が無難では?というように考えます。
  ⇒「給与扱い」ということは・・
  個人側にも「所得税」がかかる可能性があるということです。

ですので、マイカー通勤の駐車場は、「法人名義で契約」することをお勧めします。

 

3. 参照URL

●(所得税施行令20条の2)
http://www.houko.com/00/02/S40/096.HTM#s1.2.2

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Q124 非課税取引って?不課税・免税取引との違い

Q124 非課税取引って?不課税・免税取引との違い

消費税率は・・また来年から上がる??感じですね。
ただし、消費税という税金は、全ての取引に課税されているわけではありません。
今回は、消費税がかからない取引のうち、「非課税取引」を中心に解説します。

 

1. 消費税の全体像

消費税の観点から、普段の取引を区分すると、①国内取引②輸入取引③国外取引の3つに分かれます(輸出取引は、①国内取引に含まれます)
上記3区分ごとの「消費税の取扱い」をまとめると、以下の通りとなります。

 

区分 内訳1 内訳2 消費税の取扱い
国内取引
(輸出取引含む)
資産の譲渡・貸付・
役務の提供
課税資産の譲渡 課税取引・免税取引
上記以外 非課税取引
上記以外 不課税取引
輸入取引 課税資産の譲渡 課税取引
上記以外 不課税取引
国外取引 不課税取引

● 消費税がかからない取引は、上記の赤字の箇所です(免税、非課税、不課税の3つ)このうちの1つが、今回のテーマの「非課税取引」となります。

 

2. 非課税取引と不課税取引・免税取引の違い

先ほどお伝えした、消費税がかからない取引3種類(不課税取引、免税取引、非課税取引)は、それぞれ、どういう違いがあるんでしょうか?

 

(1) 消費税が課税される取引(前提知識)

まず、前提知識として、消費税が課税される取引は「①日本国内において②事業者が事業として③対価を得て行う④資産の譲渡・貸付・役務の提供」です。
4つの要件が要求されています。

 

(2) 不課税取引とは?

不課税取引とは、例えば、海外でお土産を購入した取引などです(国外取引)。「日本国内において」という要件を満たしません。そもそも、上記4つの消費税課税取引の要件を満たさない取引が、「不課税取引」となります。

 

(3) 免税取引(輸出免税)

免税取引=輸出取引のことです。輸出取引は、実は・・上記4つの「要件」は満たしています。なぜなら、「輸出」であっても、資産を引き渡す時点では、当該資産は日本国内にあるからです。(詳しくは、「輸出免税って?」を参照下さい)。
つまり、輸出は、「国内」において、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等に該当し、「課税取引」となります。

しかし、輸出品の「実際の消費地は国外」ですよね。消費税法上、「国内で消費しないものには課税しない」という考え方があるため、輸出取引は、「課税取引」には該当するが、消費税の課税を「免除している」ものです(輸出免税とも呼ばれます。課税資産の譲渡だが、消費税を免除しているだけ)。

 

(4) 非課税取引

非課税取引とは、例えば、土地の譲渡取引などです。非課税取引も、免税取引と同様、上記4つの「要件」は満たしています。しかし、消費税法上、①そもそも消費が予定されていない取引、②消費税を課税することが適当でない取引につき、「限定列挙」で課税しない取扱いにしている取引です(=課税資産の譲渡と取り扱わない)。

 

3. 非課税取引は限定列挙で定められている

結論を先に言うと、「非課税取引」は、消費税法上「限定列挙」されていますので、迷うことはありません。列挙された取引に該当するか?だけの判断です。

「非課税取引」の種類は、大きく2種類となります。

① そもそも、消費が予定されていない取引
② 社会政策的な配慮から、課税することが適当でない取引

 

4. 消費が予定されていない取引

消費税は「消費」に対して課税される税金ですので、資産の譲渡等であっても、「消費」が予定されていない取引には課税されません。限定列挙された内容は以下です。

 

内容 留意事項
土地の譲渡・貸付け
(借地権等も含む)
● 貸付期間が1月未満の土地貸付は「課税取引」。
● 駐車場等、施設利用に伴って土地が使用される場合は「課税取引」。
有価証券等・支払手段の譲渡 (例)
● 株券・債券・金銭債権等の譲渡
● 貨幣や小切手・手形等の譲渡
● 仮想通貨の譲渡
(資金決済に関する法律第2条第5項)

(留意事項)
● 上記を収集品として譲渡する場合は「課税取引」。
● 株式・出資・預託形態によるゴルフ会員権等は「課税取引」。

預貯金利子及び保険料を
対価とする役務の提供等
(例)
● 預貯金や貸付金の利息
● 投資信託収益分配金
● 信用保証料、保険料、手形割引料、
割賦販売手数料、共済掛金
● 郵便切手・印紙・証紙の譲渡
● 商品券・プリベイトカード等の
物品切手等の譲渡
● 外国為替業務に係る役務の提供
● 非課税取引となる取引は、郵便局や印紙売渡所など、特定の場所で行う郵便切手・印紙・証紙の譲渡のみ。
国等が行う一定事務に係る
役務の提供
(例)
登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付等。

 

5. 社会政策的な配慮から、課税が適当でない取引

 

社会保険医療の給付等 ● 健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など。
美容整形・差額ベッド料金・市販医薬品の購入は「課税取引」。
介護保険・社会福祉事業等による
サービスの提供
● 介護保険法に基づく、保険給付の対象となる居宅・施設サービスなど。
● 社会福祉法に基づく、社会福祉事業等によるサービスの提供。
利用者選択による特別居室の提供や、送迎等対価は「課税取引」。
助産 医師や助産師等による、助産関連サービスの提供。
火葬料や埋葬料を対価とする
役務の提供
● 義肢、盲人安全つえ、義眼、点字器、人工喉頭、車いす、改造自動車など。
学校教育・教科用図書の譲渡 ● 学校教育法に規定する学校、専修学校等の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など。
住宅の貸付け(※) ● 住宅以外(事務所や倉庫)として貸付けた場合は「課税取引」
● 住宅の「譲渡」は「課税取引」
● 契約で人の居住用であることが明らかなもののみ(寮費なども含む)
● 1か月未満の貸付けは「課税取引」
(旅館やホテルなど)
● 会社が家主等から住宅を借上げ、社員に社宅として貸付けた場合は、どちらも「非課税取引」。

(※)住宅関連については、少し頭が混乱する論点ですので、「譲渡」と「貸付」に分けて、土地建物それぞれの取扱いをまとめておきます。

 

譲渡の場合 貸付の場合
土地 非課税 非課税
建物(住宅用) 課税 非課税
建物(住宅以外用) 課税 課税

ちなみに、「土地付き建物」の賃貸の場合は、土地を含めた全体を「施設の貸付け」とみなして処理します。したがって、住宅として使用する場合は、土地建物とも「非課税取引」となります。

 

6. 輸入取引での非課税取引

国内取引とのバランスの観点で、輸入取引のうち、有価証券等、郵便切手類、印紙、証紙、物品切手等、身体障害者用物品、教科用図書などは、「非課税取引」となります。

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Q123 個人が売却した「固定資産」の所得区分と減価償却費の関係

Q123 個人事業主が売却した「固定資産」の所得区分と減価償却費の関係

今回は、個人が「固定資産」を売却するケースを考えてみます。

法人の場合、元々所得区分は1つしかありませんので、売却益を「固定資産売却益」に計上するだけで、所得区分の論点はありません。

一方、個人事業主の場合、所得税法上「所得区分が10個」もあります。事業で利用していた固定資産を売却した場合、固定資産売却益は「事業所得?」「譲渡所得?」・・
迷いそうな感じですね。

 

1. 個人事業主の「固定資産売却益」は譲渡所得

個人が固定資産を売却した場合は、たとえその固定資産が「事業用資産」の場合でも、所得区分は、「事業所得ではなく譲渡所得」となります。

 

2. 売却時までの減価償却費は?

期の途中に売却した場合、「売却時までの減価償却費」はどう取り扱うのでしょうか?
事業所得の経費?それとも譲渡所得の経費?・・ここも迷いそうですね。

結論ですが、期中の減価償却部分については、納税者の選択により、どちらの処理も可能です(所得税基本通達49-54)。

つまり、事業所得の計算上「必要経費」に算入するか?譲渡所得の計算上「取得費」(=経費)に含めるか?どちらか選択できるんですね。まとめると以下の通りです。

 

事業所得側の処理 譲渡所得側の処理
(取得費の取扱い)
影響
減価償却費を計上
(事業所得の経費にする)
売却日における未償却残高 ● 事業所得 少
● 譲渡所得 多
減価償却費を計上しない
(事業所得の経費にしない)
前期末の未償却残高
(=期首簿価)
● 事業所得 多
● 譲渡所得 少

 

3. 例題

● 個人事業主(1月1日~12月31日)
● 期首簿価100万円の事業用車両を、200万円で売却
● 売却日は6月30日。期首から売却日までの減価償却費は30万円とする。
● 簡便的に、上記以外の所得はないものとする

事業所得側で、売却時までの減価償却費を計上するか?しないかにより、それぞれの所得(事業所得・譲渡所得)の内訳が異なってきます。まとめると、以下の通り。

事業所得側の処理 事業所得 譲渡所得 (※3)所得合計
減価償却費を計上
(事業所得の経費にする)
△300,000 (※1)1,300,000 1,000,000
減価償却を計上しない
(事業所得の経費にしない)
0 (※2)1,000,000 1,000,000

(※1)事業所得の計算上、売却時までの「減価償却費」を計上するため、その分、譲渡所得は増加
2,000,000(売却額)-700,000(⇒)==1,300,000
   (⇒)1,000,000(期首簿価)-300,000(期中の減価償却費)

(※2)売却時までの「減価償却費」を計上しないため、その分、譲渡所得は減少
2,000,000(売却額)-1,000,000(期首簿価)=1,000,000

(※3)事業所得、譲渡所得の合計額は変わりません。

 

4. 所得区分の違いによる影響

例えば、事業所得がマイナスの場合や、繰越欠損金を多く保有する場合は、事業所得の経費として「減価償却費」を計上しても、事業所得から生じる税額はどのみち「ゼロ」なので、当年度の節税効果はありません(繰越欠損金は増えますが)

こういった場合は、譲渡所得の計算上の「取得費」(=経費)に含めた方が、税金が安くなる可能性がありますね。

 

5. ご参考~法人税上の減価償却費~

法人税法上、減価償却費の計上は、「事業年度終了の時に有する減価償却資産」につき、損金経理を条件に、損金算入できる規定になっています。

つまり、法人税上は、期中売却の場合に、「売却時までの減価償却費」は認められていないということです。法人が固定資産を売却した場合、「期首帳簿価額」が売却原価、売却価額との差額が「売却損益」として計上されます(除却の場合も同様)。

上記の考え方に基づき、法人税申告書別表16(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)も、事業年度末に存在する資産のみ償却費を計上し、期中売却にかかる減価償却費は計上しません。

とはいっても・・法人税では、期中の減価償却をしてもしなくても、最終課税所得への影響はありません。なぜなら、法人税は「所得区分は1つしかない」ので、期中減価償却部分を「減価償却」にしてもしなくても、その分「売却損益」の額が変わるだけで、「トータルの所得の金額」には影響はないからです。

一方、所得税の場合は、所得区分が複数あることから、どの所得の経費にするか?で
最終の税額が変わってくる可能性があるんですね。

なので、あえて、所得税法上は、期中売却の際の減価償却の取り扱いが定められているのかもしれませんね。

 

6. 参照~年中途で譲渡した減価償却資産の償却費~

● (所得税基本通達49-54)
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/08/13.htm

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Q122 信用保証協会への「支払保証料」は前払費用?繰延資産?

信用保証協会へ支払った「保証料」は前払費用?繰延資産?

金融機関から融資を受ける際、「信用保証協会」を利用するケースは多いですね。
信用保証協会を利用する場合、一般的には保証の対価として「保証料」を支払います。
でも・・この支払った「保証料」の科目は「前払費用?」「繰延資産?」・・
迷ったことありませんか??

 

1. 保証料は将来返金される?

信用保証協会の保証料は、契約当初に「一括で支払う」ことが多いです。
しかし、一般的には、「支払った保証料に対応する保証の期間」が定められていて、この「保証期間」は1年を超える場合も多いです。

つまり・・会計上は、支払時に一括経費ではなく、期間按分しなければ・・という論点があります。

また、将来、借入金を繰り上げ返済する場合には、保証期間のうち「未経過部分」に対応する保証料が「返金される」場合もあります(返金されない場合もある)。

「保証料」が返還されるかどうか?は、契約書等に記載されている場合が多いですね。

 

2. 会計処理は?

保証料を支払った際の会計処理は、将来繰り上げ返済等を行った場合、「「未経過保証料が将来返金されるかどうか?」により異なります。

保証料が「将来返金されない」場合は、支出時点で役務の提供が完了しているので「税務上の繰延資産」(長期前払費用)として、一定期間で償却を行います。

一方、「将来返金される」場合は、支出時点では役務提供が完了していないので、「前払費用」として、期間に応じて(時の経過に応じて)、費用処理することになります。

会計処理をまとめると、以下となります。

 

パターン 支払時の勘定科目 支払後の会計処理
将来返金されない場合 税務上の繰延資産
(長期前払費用)
● 原則5年で償却(※)
● 税務上の繰延資産のため、支出額20万未満の場合は、支出時に一括費用処理可
将来返金される場合 前払費用 ● 保証(融資)期間にわたって費用処理
● 返金額は収入(or費用のマイナス)計上
● 大きな違いは、20万未満の場合に、一括償却できるかどうか?という点ですね。

(※)資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立退料等、電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出するその他の費用(法基通8-2-3)

 

3. 実務的には?

保証料は、契約書上は、「信用保証料は、違算の場合を除き返金しません」と記載されている場合が多いです。
しかし実際には、契約書に関わらず、返金されるケースも存在するので迷うことが多いです。
実務的には、契約書を優先して、税務上の繰延資産で処理&別表16(6)に記載するケースが多いかもしれませんね。

 

4. 勘定科目

支払保証料の内容は、財務費用ですので、営業外費用の「支払保証料」(非課税)もしくは「繰延資産償却」(対象外)となります。

 

5. 参照URL

● 繰延資産の償却期間
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_02.htm

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※本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。
 また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
 本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。
 本情報の利用により損害が発生することがあっても、筆者及び当事務所は一切責任を負いかねますのでご了承下さい。

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