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税金の豆知識

Q95 帳簿書類の「保存義務」は何年?

Q95 帳簿書類の「保存義務」は何年?

事業を続けていくと・・どんどんたまってくる「帳簿書類」。
いつまで保管しとかないといけないの?って思ったことはありませんか?
税法上、「帳簿書類」の保存期限は、きちんと定められています。
ただし、「保存期限」は、法人と個人事業主で微妙に異なっています。

 

1. 帳簿書類って?

そもそも「帳簿書類」とは・・以下のことをいいます。

帳簿 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、
固定資産台帳、売上帳、仕入帳など
書類 ● 証憑類
 (取引証拠となる書面で、請求書、領収書、納品書、見積書等)
● 決算書類
 (貸借対照表・損益計算書等)
● その他
 (契約書、注文書、領収書、棚卸表、預金通帳、小切手・手形帳控、
  振込依頼書など)

 

2. 法人の場合

 

(1) 原則的な保存期限

確定申告書の提出期限から7年間となります。

(例)

決算年度 確定申告書提出期限 帳簿保存期限
平成22年3月期 平成22年5月末 平成29年5月31日

 

(2) 例外

青色申告の場合は、以下の例外があります。(繰越欠損金の期限延長の影響)

 

● 平成20年4月1日以後に終了した事業年度に欠損金がある場合
  ⇒保存期間 9年間。

● 平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度
  ⇒保存期間 10年間

 

(例)

決算年度 確定申告書提出期限 帳簿保存期限
平成22年3月期が赤字の場合(青色申告) 平成22年5月末 平成31年5月31日

帳簿保存期限の原則期間(7年間・平成29年5月まで)の間に、平成22年3月期に発生した繰越欠損金が「既に利用済」の場合は、原則どおり7年間の保存で構いません。

 

3. 個人事業主の場合

重要書類は7年間、その他の書類は5年間です。

青色申告、白色申告別にまとめると以下の通りです。
(2014年1月より、白色申告者についても、「帳簿の記帳」と「帳簿書類の保存が義務づけられています)

 

(1) 青色申告の場合
帳簿
(仕訳帳や総勘定元帳など)
7年となります
決算関係書類
(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など)
現金預金取引等の関係書類
(領収書、小切手帳、預金通帳、借用証など)(※)
その他の書類
(請求書・見積書、契約書、納品書、送り状など)
5年となります

(※)前々年分の所得が300万円以下の場合は5年

 

(2) 白色申告の場合
収入金額や必要経費が記載してある帳簿 7年となります
それ以外の帳簿・書類(領収書や請求書など)は5年間保存 5年となります

 

4. 帳簿保存期間を守らなかった場合は?

保存期間を守らなかった場合・・どうなるんでしょうか?
影響の大きそうなところをまとめておきます。

 

(1) 消費税

消費税への影響が一番大きいと思います。消費税上、「仕入税額控除」の適用を受ける要件として、「帳簿書類の保存」が義務付けられています(簡易課税を除く)。
つまり、帳簿保存していない期間は、仕入税額控除が認められない可能性があります。

仮に仕入税額控除が認められない場合は・・・消費税の追徴額が恐ろしい額になってしまいます。正直かなり怖いです。

 

(2) 青色申告の取消

青色申告の要件として「帳簿書類の保存」が要件となりますの。したがって、帳簿保存されていない場合は、「青色申告」が取り消されます。

青色申告が取り消された場合の一番のデメリットは、「欠損金の繰越」が否認されることでしょうね。
過去に繰り越した欠損金を利用していた場合は、追徴される可能性があります。

 

(3) 各種恩典が受けられない

個人事業主では、各種の所得控除などが受けられない場合があるようです。

 

5. 帳簿保存方法は?

 

(1) 原則 紙保存

紙ベースでの保存が原則となります。
とはいっても・・実務上は、税務調査の際に「直近でまとめて打ち出す」場合も、必ずしも×とは言われないようですね。

ただし・・会計ソフトのバージョンアップがあった場合、過去の書類が開けなくなるケースがありますので、最低限のリスクヘッジとしてPDFでの保存をお勧めします。

 

(2) 例外 電子データ保存

一部の帳簿書類については、電子データ保存(サーバーやDVDなど)も認められます。紙に出力する必要がなくなりますので、管理コスト削減につながりますね。ただし、事前に税務署に「申請書」を提出する必要があります。

 

参照URL

(法人税法)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5930.htm

(所得税法)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/01_2.htm

Q94 住民税の「非課税限度額」の計算例及び活用方法

Q94 住民税の「非課税限度額」の計算例及び活用方法

前回、「16歳未満の扶養親族と住民税の非課税限度額」の関係をお伝えしました。
ただ・・頭が混乱する論点なので、まだ「ピンとこない方」もいるかもしれません。

そこで今回は、具体例を用いて「住民税の非課税限度額」を解説します。
今回は、前回のブログと「続きで」見てもらった方がわかりやすいと思います。

 

1. 例題

● Aさん+子供1人(B君 2歳)
● 社会保険は無視・神戸市を例とします。
● 均等割の金額は無視(所得割のみで数値を算定します)

 

(1) 例題1 Aさんの給与収入が150万円の場合

(答え)

収入金額 給与所得控除 所得金額 非課税限度額 税額
1,500,000円 - 650,000円 = 850,000円  ≦ 910,000円 0円

※給与所得控除というのは、サラリーマンの必要経費みたいなものです。
収入に応じて、「あらかじめ決められた額」が控除されます。

 
以下、解説します。

① 所得の計算
1,500,000円-650,000円(給与150万に対応する給与所得控除)=850,000円

② 住民税「非課税限度額」の計算
350,000円×2人(Aさん+B君)+210,000円=910,000円

非課税限度額の計算は、前回、神戸市を例に表にしています。こちらご参照ください。

③ 住民税の課税判定
①850,000円≦②910,000円のため、Aさんの住民税は「非課税限度額内」となりゼロ

 

(2) 例題2 Aさんの給与収入が180万の場合

(答え)

収入金額 給与所得控除 所得金額 非課税限度額 税額
1,800,000円 - 720,000円 = 1,080,000円 ≧ 910,000円 75,000円

 
以下、解説します。

① 所得の計算
1,800,000円-720,000円(給与180万に対応する給与所得控除)=1,080,000円

② 非課税限度額の計算
例題1と同じ・・910,000円

③ 住民税の課税判定
①1,080,000円≧②910,000円のため、住民税非課税限度額を超える⇒住民税がかかる

④ 住民税の計算
1,080,000円-330,000円(Aさんの基礎控除)=750,000円(課税所得額)
750,000円×10%(住民税率)=75,000円
(住民税計算上は、Bくんは16歳未満のため「扶養控除」できません)

 

(POINT)

● あくまで、②非課税限度額は、③住民税の課税判定をするための数値にすぎません。②を算定後、③非課税限度額との比較で「税金の課税非課税判定」を行い、非課税限度額を超える場合は、④の住民税の計算に進みます(超えない場合は③で終わり)。

④の住民税の計算では、③の非課税限度額は全く関係ありません。収入から基礎控除や扶養控除等を差し引いた「課税対象額」で計算します。「非課税枠を超えた分だけ課税されるわけではない点」に注意しましょう。

④の住民税の計算では、年少扶養親族は差し引くことができません。つまり、ここではAさんの基礎控除33万円は差し引けますが、B君の扶養控除33万円は差し引くことができない点に注意です。②非課税限度額の計算の箇所とは異なる点です。

 

2. 非課税限度額の活用方法

住民税の非課税限度額を活用すれば、「節税」できる場合があります。

例えば、夫婦共働きで、お子さんをどちらの扶養にいれるか?という場合です。
一般的に、収入の高い旦那さん側にお子さんを「扶養」で入れることが多いですね?

しかし・・もし奥様の収入が少ない場合は??
あえて奥様側の扶養にいれることで、節税につながる場合があります。

 
(例題)

上記1「例題1」のAさんが、夫婦共働きの奥様だとします
(旦那様は、別途、ご自身の収入が500万円あるとします)。

 

(1) お子様(B君)を奥様(Aさん)の扶養に入れた場合

上記「例題1」のとおり、奥様の住民税はゼロになります。

 

(2) お子様(B君)を旦那様の扶養に入れた場合

旦那様の住民税は、お子様を扶養に入れても入れなくても、税額は変わりません
(給与収入が500万の場合、扶養に入れてもいれなくても「住民税の非課税限度額」はどのみち超えてしまうから)。

しかし、B君を旦那様の扶養に入れた場合は、奥様(Aさん)はB君を扶養に入れることができなくなってしまいます(扶養はどちらか一方しか入れることができない)
その場合、奥様は、扶養ゼロとなりますので、奥様の住民税は以下のようになります。

 

収入金額 給与所得控除 所得金額 非課税限度額 税額
1,500,000円 - 650,000円 = 850,000円  ≧ 350,000円 52,000円

 

① 所得の計算
1,500,000円-650,000円(給与150万に対応する給与所得控除)=850,000円

② 非課税限度額の計算
350,000円×1人(本人Aさんのみ)=350,000円

③ 住民税の課税判定
①850,000円≧②350,000円のため、住民税非課税限度額を超える⇒住民税がかかる

④ 住民税の計算
850,000円-330,000円(基礎控除)=520,000円(課税所得額)
520,000円×10%=52,000円

 

(3) 結論

どうですか?もし B君を旦那様側の扶養に入れてしまっていたら?
奥様は・・住民税52,000円を支払わなければいけない結論になりますよね?

上記の例のように、奥様の収入が低い場合、お子さんを奥様側の扶養にいれることで、住民税が節税できる可能性があるってことになりますね!

 

3. ご参考

細かい話になりますが、実は・・今までのご説明は、所得割・均等割どちらもかからないケースを前提にしています。実際は、非課税限度額を超えても、一定金額までは「均等割」のみ課税され、「所得割」は課税されません。

神戸市の場合、35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)+32万円を超える場合まで「所得割」は課税されません。
(32万円は控除対象配偶者又は扶養親族がいる場合のみ加算)

Q93 16歳未満の扶養親族と住民税の関係は??

Q93 16歳未満の扶養親族と住民税の関係は??

16歳未満の扶養親族は、「年少扶養親族」と呼ばれています。
今回は、「年少扶養親族」と、「住民税」の関係をまとめます。

 

1. 税金はどうやって計算する?

まず、簡単に、所得税・住民税の計算方法を記載します。
所得税・住民税は、収入金額全額に課税されるわけではなく、「課税所得」を算定して、この「課税所得」に対して税金がかかります。

「収入」と「課税所得」の関係は以下の通りです。

 

課税所得=収入ー経費ー所得控除

 

税金の対象となる「課税所得」を算定する際には、収入から、「経費」と「所得控除」を差し引いてくれるんですね。

上記式の中ででてくる・・「所得控除」っていうのは、各人の状況によって税金を安くしてくれる「所得税の恩典」のようなものです。

「所得控除」の一番有名どころは、「扶養控除」ですね。
「扶養親族」がいればいるほど、「課税所得」が低くなり、税額は安くなっていきます(扶養控除の額 所得税38万円/1人、住民税33万円/1人)。

 

2. 年少扶養親族は扶養控除?

ただし、平成22年度税制改正により、「扶養親族」のうち16歳未満の「年少扶養親族」は、所得税、住民税とも「扶養控除」を行うことができなくなりました。
児童手当(子供手当)が創設された関係で、制限されてしまったんですね。

後から登場する「非課税限度額」と混乱しないように、先に強調しておきますね。

現在は、所得税・住民税とも「扶養控除」ができない点は共通しています。

 

3. 住民税の非課税限度額って?

上記「扶養控除」とは全く別の制度として、住民税だけに特別の制度があります。
「非課税限度額」という制度です。
住民税上、所得が「非課税限度額」に収まる場合、課税されません。
上記の「非課税限度額」と比較する概念は、「課税所得」ではなく「所得」である点、注意しましょう。

 

・おさらい 課税所得=収入ー経費ー所得控除
・上記式中の「収入―経費(所得控除差引)」→所得と呼ばれます。
・なので・・課税所得=所得-所得控除となります。

 

この「住民税非課税限度額」は、単に「所得の額が00円以下の場合は、住民税がかからない」という意味にすぎません。
よく誤解されるのですが、住民税の計算上、「非課税限度額」を、所得から差しひいて計算するわけではありませんので、「扶養控除」とごっちゃにしないように!

 

4. 住民税の非課税限度額の計算

(1) 非課税限度額

本人と扶養親族には、それぞれ1人あたり35万円の非課税枠があります。しかも、配偶者や扶養親族が1人でもいれば、更に21万円加算することができます
(神戸市の場合です。加算額は市によって異なります)。

 

非課税限度額 計算
本人のみ 35万円 35万円×1人
本人+配偶者 91万円 35万円×2人+21万円
本人+配偶者+扶養親族 126万円 35万円×3人+21万円

所得が、上記「非課税限度所得」内に収まれば、住民税は、所得割・均等割ともかかりません。
繰り返しますが、「課税所得」ではなく、「所得」(所得控除差引前)です。

 

(2) 年少扶養親族の取扱い

実は・・この非課税限度額を計算する際に登場する「扶養親族」には、16歳未満の「年少扶養親族」を含めることができます。
つまり。16歳未満のお子様は、所得から差し引く「扶養控除」としてはカウントできませんが、住民税の「非課税限度額」のカウントには入れることができるんです。

なので・・「16歳未満の扶養親族」がいる場合は、ちゃんと記載しておかないと、住民税が多く取られてしまう可能性がありますので・・必ず記載しましょう!

 

(3) どこに記載するの?

サラリーマンの場合、毎年、11月頃に会社に提出する「扶養控除等申告書」の一番下の欄(住民税に関する事項)に、「16歳未満の扶養親族」を記載します。確定申告の方は、第二表「住民税・事業税に関する事項」の欄に記載します。

次回は、「住民税の非課税限度額」を「具体的な数値」を用いて解説します。

Q92 リース取引解約時の会計処理/消費税の取扱い(借り手)

Q92 リース取引解約時の会計処理/消費税の取扱い(借り手)

前回、所有権移転外リース取引の税務処理全般をお伝えしました。
今回は、所有権移転外リース取引を「途中解約」した場合の税務処理を解説します。

所有権移転外リース取引を「期間満了前に解約」した場合、通常、「残存リース料」を支払います。この場合の「借り手」の会計処理と消費税の取扱いはどうなるでしょうか?

 

1. 残存リース料の消費税の取扱い

残存リース料の請求書には、通常「消費税が記載」されていますので、解約時の消費税の取扱いは、意外と迷いやすい論点だと思います。

「残存リース料」の実質的な中身は、解約時点での「未払リース料」です。
つまり、「リース資産の対価」を構成するものです。ここがポイントです。

 

(1) 原則処理(売買・契約時に全額消費税を控除)

原則処理の場合は、リース取引開始時に、「リース資産及び債務」を計上し、この時点でリース料総額に対応する消費税全額の「仕入税額控除」が行われています。

つまり、解約時に支払う残存リース料(未払リース料)部分は、既に仕入税額控除は終わっています。したがって、残存リース料支払取引は「消費税課税対象外」となります。(単に開始時に計上した「リース債務の返済」に過ぎない)

 

(2) 例外処理(賃貸借・消費税は支払時に分割控除)

例外処理で「分割控除」を行う場合は、リース料支払ごとに、「支払リース料」を計上し、当該支払額に対応した消費税だけ「仕入税額控除」が行われています。

つまり、解約時に支払う残存リース料(未払リース料)部分は、「仕入税額控除」がまだ行われていません。したがって、残存リース料支払取引は、「消費税課税対象」となります。

 

2. 会計処理

● リース料総額6,480千円(税込)
● リース期間60か月。60回払い(108千円(税込)/月×60回)
● 利息部分は「契約上」明記されていない。
● 30カ月支払った時点で中途解約を行い、残存リース料3,240千円を支払った。
● 「例外処理」での消費税は、リース料支払時に分割控除を採用するものとする。
● 期中の減価償却は無視する。

 

(1) 原則処理(売買・契約時に全額消費税を控除)(単位:千円)
借方 貸方
取引開始時 リース資産(課税)
仮払消費税
6,000
480
リース債務 6,480
リース料支払時
(支払毎)
リース債務 108 預金 108
毎期末 減価償却費 1,200 リース資産 1,200
解約時(※) リース資産除却損(対象外)
リース債務(対象外)
3,000
3,240
リース資産
預金
3,000
3,240

(※)取引開始時に既に「リース料総額」に対する消費税は全額「仕入税額控除」済。
したがって、解約時に支払う残存リース料(=未払リース料)は、単に「リース債務」の減少であり、「消費税課税対象外」となります。

 

(2) 例外処理((賃貸借・消費税は支払時に分割控除)(単位:千円)
借方 貸方
契約時 仕訳なし
リース料支払時
(支払毎)
リース料(課税)
仮払消費税
100
8
預金 108
毎期末 仕訳なし
解約時(※) リース解約損(課税)
仮払消費税
3,000
240
預金 3,240

(※)解約時点までには、支払リース料に対応する消費税部分のみ「仕入税額控除」が行われ、未払部分は、まだ「仕入税額控除」が行われていません。したがって解約時に支払う残存リース料(=未払リース料)は、「消費税課税対象」となります。

 

3. 残存リース料を支払わず、減額される場合

中途解約の場合、「残存リース料」を支払わず、減額される場合があります。この場合の消費税の取扱いは、以下の3つのパターンとなります。

パターン 取扱い 理由
賃借人の原因による解約
(倒産・支払遅延等)で
リース資産を返還
資産の譲渡 代物弁済(金銭等に代えてリース資産で弁済)により消滅する債務の額として取り扱う
リース物件滅失・毀損
修復不能による解約
仕入対価の返還等 リース料の値引きとして取り扱う。
物件の陳腐化による借換え等による
合意解約&現物廃棄

 

4. 違約金

残存リース料と別に、損害賠償的な「違約金」がある場合は、違約金部分は消費税「不課税」となります。ただし、名称で判断するわけではない点に注意しましょう。
違約金という名称でも、実質内容が「資産の譲渡」に当たる場合は「課税取引」となる場合もあります。

 

参照URL

(所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る残存リース料の取扱い)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/02/37.htm

(分割控除 残存リース料の取扱い)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/16/24.htm

(損害賠償金)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6257.htm

Q91 所有権移転外リース取引の借り手の税務処理(中小企業)

Q91 所有権移転外リース取引の借り手の税務処理(中小企業)

「リース取引」の会計処理は、意外と苦手にされている方が多いかもしれません。
原則処理と例外処理、あるいは、会計処理と税務処理で異なる論点があるため、混乱してしまうことが原因の一つかもしれません。

今回は、ほとんどの中小企業様に関連する「税務処理」を中心に解説します。

 

1. 税務上のリース取引って?

法人税法上、「リース取引」とは、資産の賃貸借で、①解約不能②フルペイアウトの要件を満たすものです(会計上の「ファイナンス・リース取引」と定義はほぼ同じ)

解約不能 リース期間中「中途解約」できないもの、又は中途解約する場合、未経過リース料の90%以上を支払うこととされているもの。
フルペイアウト リース物件の経済的な利益を実質的に享受し、物件の使用に伴う費用を実質的に負担するもの。

コピー機などのリースは、上記に該当しないため、税務上のリース取引には含まれず、「賃貸借処理」のみとなります(オペレーティングリース取引と呼ばれます)。

 

2. 所有権移転リース取引って?

税務上のリース取引のうち、以下のすべてに該当しない取引です。

ちょっと・・回りくどい定義ですが・・。

イメージですが・・リース契約終了後に物を返還し、終了時に「買取費用」を支払う、あるいは契約終了後は、「再リース料」を別途支払うようなリース取引です。

譲渡条件付リース取引 ⇒契約上、リース物件の所有権移転を約束
(終了時に無償で譲渡)
割安購入選択権付リース取引 リース期間終了後、著しく有利な価額で買い取る権利があるもの
特別仕様物件のリース取引 借手以外にリースや売却することが困難な物件を対象としているもの
リース期間がリース資産の
法定耐用年数に比して相当短いもの
リース資産の法定耐用年数の60%~70%の年数を下回る期間のもの

ちなみに、上記に該当するリースは「所有権移転ファイナンスリース」と呼ばれます。

 

3. 所有権移転リース取引の税務処理(借り手)

(1) 原則処理

① 仕訳

リース取引開始時に、「売買」と同じ処理を行います(売買処理)。

● リース料総額で「リース資産」及び「リース債務」を計上(※)
● リース料支払時は、「リース債務」を取り崩す。
● 決算時は他の固定資産同様、「減価償却」を行う。

 

(※)契約上「利息部分」が明記されている場合は、利息部分を別建てしますが、実務上は、利息部分が明記されていない取引が多いと思いますので、省略します)

 

② 減価償却方法・償却期間

リース期間で「定額法」による減価償却を行います。

 

③ 消費税の取扱い

消費税上の取扱いも、「取引開始時に売買処理」となりますので、リース取引開始時に、リース料総額に対する消費税全額を計上し、全額、当該年度の「仕入税額控除」を行います。

 

(2) 例外処理(中小企業)

① 会計処理

中小企業(※)は、「賃貸借」と同じ処理を行うことが認められています。
(賃貸借処理)

● 取引開始時は仕訳を行わない。
● リース料支払時に「支払リース料」で計上
● 決算時に「減価償却」は行わない。

 

② 減価償却方法・償却期間

賃貸借処理ですので、「減価償却」はありません。

賃借人が費用処理した「支払リース料」は、法人税上、減価償却費として「損金経理」した額に含まれます(リース料が均等払であれば、支払リース料=償却限度額と一致するため、税務申告調整は不要)

 

③ 消費税の取扱い

賃貸借処理ですので、「減価償却」はありません。

リース料支払時に、支払リース料に対応する消費税を計上する「分割控除」が可能です。

 

(※)中小企業って?

金融商品取引法の適用会社or会社法上の会計監査人設置会社以外の会社。
中小企業は、「中小企業の会計に関する指針」or「中小企業の会計に関する基本要領」(中小会計要領)という「会計基準」の適用が可能です。
中小会計要領では、所有権移転外ファイナンスリースの会計処理は、「賃貸借処理」が原則となっているため、例外処理が可能です。
実務上、中小企業はこの「例外処理」で行い場合が圧倒的に多いです。

 

4. 借り手の仕訳例(所有権移転外リース取引)

● リース料総額6,480千円(税込)
● リース期間60か月。60回払い(108千円(税込)/月×60回)
● 「利息部分」は契約上明記されていない。
● 「例外処理」での消費税は、リース料支払時に分割控除を採用するものとする。

 

(1) 原則処理
借方 貸方
取引開始時(※1) リース資産
仮払消費税
6,000
480
リース債務 6,480
リース料支払時
(支払毎)
リース債務 108 預金 108
毎期末(※2) 減価償却費 1,200 リース資産 1,200

(※1)契約時の貸方「リース債務」を、リース債務6,000千円、未払消費税480千円に分けるやり方もあります。
しかし、「未払消費税」を区分すると、税務署への支払と誤解する可能性があるので、当事務所では、「リース債務」に含めて処理します。
(あくまで「リース債務」は、リース会社に対する支払を表す)
 
(※2)6,000千円÷60か月×12か月=1,200千円

 

(2) 例外処理(中小企業の特例)(単位:千円)
借方 貸方
取引開始時 仕訳なし
リース料支払時
(支払毎)
リース料
仮払消費税
100
8
預金 108
毎期末 仕訳なし

消費税は、契約時に全額控除も可です。

 

5. 償却資産税の取扱いは?

「所有権移転外リース取引」は、償却資産税の申告対象外となります
(貸している側が申告する)

 

参照URL

(所有権移転外リース取引)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5704.htm

(リース取引についての取扱いの概要(平成20年4月1日以後契約分))
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5702.htm

(所有権移転外ファイナンス・リース取引につき賃貸借処理した場合の取扱い)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/16/23.htm

※本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。
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