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Q29【交際費課税】広告宣伝費・販売促進費との違い?/売上割戻・販売奨励金は?/会計処理・消費税の取扱い

最終更新日:2022/01/28

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交際費課税の留意点~売上割戻、販売促進費の違いって?

交際費は「損金算入限度額」があり、税金が課税される場合があります。
できるだけ「交際費」以外の他の科目にしたいところですね!
しかし「交際費」なのか?そうでないのか?の区分は、意外と迷われることも多いと思います。
 

今回は、「交際費」と「売上割戻・販売奨励金・広告宣伝費・販売促進費」の違いについてお伝えします。

 

1.交際費とは?

 

交際費等とは法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものです。(措法61の4③)
 

ポイントは以下の2つです。

事業に関係のある者得意先・仕入先等の取引先、株主等
支出の目的取引円滑を目的とした接待、贈答等

交際費については、法人税上「損金算入限度額」による制限がありますので、周辺の科目、例えば「売上割戻」や「販売促進費」等との区別が重要になります。以下、それぞれとの違いにつきまとめます。
 

2.売上割戻

売上割戻とは、取引量や取引金額・決済額等に応じて支払われるリベート(売上還元)のことです。業種によっていろいろな形態がありますが、得意先に「金銭等」を渡すという点では「交際費」と似ていますが、要件を満たす場合は「交際費」に該当しません。
 

(1)売上割戻の要件
支出の相手方事業に関連のある得意先
(支出の相手先が個人、例えば先方役員、従業員の場合は交際費)
一定の基準「売上高」や「売掛金回収額」等と比例した一定の基準
(営業地域の特殊事情や協力の度合い等も含む)
対価金銭、事業用資産又は少額物品(単価3,000円以下)(※)
(2)原則 金銭・事業用資産での還元に限定

●売上割戻は、原則として金銭・事業用資産での還元に限定されます。したがって、例えば「物品での還元」「旅行等の招待」などは、接待交際費になります(売上割戻を得意先に渡さず積み立て、その後旅行や観劇に招待した場合も、同様)。

●現金と同じようなイメージですが、「商品券」を渡した場合は、原則として「交際費」になる点には十分注意です。
 

●「事業用資産」とは、棚卸資産や固定資産等、事業に使用するものですので、「ゴルフクラブや釣り道具」のように、個人で利用できるものは難しいです。

 

(3)例外 少額物品(3,000円以下)

例外的に、少額物品(購入単価3,000円以下)の場合は、物品での還元も認められます
ただし、たとえ3,000円以下でも、商品券、買い物券など、引換物品の種類が特定されていないものは交際費になります(ビール券、図書カードのように引換物品の種類が特定されているものはOK)
 

(4)会計処理・消費税の取扱い
会計処理売上のマイナス
消費税の取扱い売上に係る対価の返還等(課税取引)
(5)ご参考~関連科目との違い~
販売手数料販売手数料は、事前契約に基づいて支払う手数料で、仲介業者等、売上先に対するものではない(それ自体が取引先の収益となるもの)
売上値引売上値引は、品物の数量の不足、品質が悪い等の理由で行うもの。

3.販売奨励金

販売奨励金とは、販売促進目的で、特定の地域の得意先である事業者に対して渡すものです。「金銭等」を渡すという点では「交際費」と似ていますが、要件を満たす場合は「交際費」に該当しません。
 

(1)販売奨励金の要件
事業に関係のある得意先への支出
(相手先が個人、例えば先方役員、従業員の場合は原則交際費)
特定地域での販路開拓等を目的として、販売高等一定の基準で支出
金銭又は事業用資産(※)
(2)原則 金銭・事業用資産での還元に限定

販売奨励金は、売上割戻同様、金銭・事業用資産で支出するものに限定されています。したがって、たとえ、販売高等を基準としていても、例えば「物品での還元」「旅行等の招待」などは、接待交際費になります。
 

(3)例外 少額物品(3,000円以下)の取扱い

「販売奨励金」の規定上は「少額物品」の記載はありませんが、当該内容が、売上に係る対価の返還等であり、本質は「売上割戻」と変わらない場合は、交際費等に該当しないと考えます。
 

(4)消費者に対するキャッシュバックサービス

ソフトウェアメーカーが、製品購入者である消費者に対して行うキャッシュバックは、「販売奨励金」に該当します
(消費者に対するキャッシュバックサービスの課税関係 参照)。
 

(5)売上割戻との違い

明確な違いはありませんが、販売奨励金は、特約店や代理店等の従業員に対する支出も含めて規定されています(租税特別措置法61の4(1)-7、15(9))

代理店専属のセールスマン等」
(所得税204条の規定で源泉徴収される者)
取引量等に応じた謝礼的な金員(源泉徴収必要)
特約店・代理店等全従業員を対象健康診断・生命保険料等(掛け捨てのみ)の負担

 

(5)会計処理・消費税の取扱い
会計処理売上のマイナスor販売促進費
消費税の取扱い売上に係る対価の返還等(課税取引)or課税仕入

4.販売促進費・広告宣伝費

販売促進費・広告宣伝費は、売上増加を目的として、直接・間接的にかかった費用です。両者に明確な違いはなく、例えば、商品試供品や展示会、キャンペーン費用、販売促進用景品・ノベルティ費用などが該当します。
いろんな形態がありますが、金銭等を渡すという点で「交際費」と似ていますが、要件を満たす場合は「交際費」に該当しません。
 

(1)交際費との違い

実務上の判断は難しいですが、目安として、不特定多数を対象としたものは販売促進費(広告宣伝費)、事業の関係上の特定の取引先などに対するものは「交際費」となります。
例えば、取引先への一般的なプレゼント贈答は交際費ですが、宣伝目的で不特定多数に配布する目的で作成した「社名入りノベルティ」を贈答した場合は販売促進費・広告宣伝費となります。
 

(2)広告宣伝費の例(61の4(1)-9)
抽選で、一般消費者に「金品を交付するため」or一般消費者を旅行、観劇等に招待するため」の費用
(得意先に対して旅行・観劇に招待した場合は交際費)
一般消費者に「金品引換券付販売」に伴い金品を贈るための費用
一定商品を購入する一般消費者を旅行や観劇に招待することをあらかじめ宣伝し、実際に招待する費用
商品を購入した一般消費者に贈る景品の費用
工場見学者等への製品試飲・試食費用
得意先等への見本品、試用品供与に通常要する費用
一般消費者へのアンケートやモニタに対する謝礼にかかる費用
カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品(※)を贈与するために通常要する費用(措令37の5②一)。

(※)「これらに類する物品」とは、次の要件をすべて満たすものです(措通61の4(1)-20)。
●多数の者に配付することを目的
●主として広告宣伝を目的とする物品
●価額が少額(金額的な基準の記載はありませんが、3,000円基準が目安になると考えます)

少額の物品でも、配布先が不特定多数ではなく、得意先等の特定の者に渡す場合は「交際費等」となります。
 

(3)会計処理・消費税の取扱い
会計処理販管費の「広告宣伝費」「販売促進費」
消費税の取扱い課税仕入

5.参照URL

(交際費等の範囲)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm

(売上に対する対価の返還)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/14/01/01.htm

(消費者に対するキャッシュバックサービスの課税関係)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/15/02.htm

 

6.YouTube

 
YouTubeで分かる「広告宣伝費・販売促進費との違い」
 

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